レポート・レジュメの書き方など、学生向けの記事を書いていると、養成校入りたての学生や理学療法士(PT)を目指している高校生から、
「実習ってそんなにキツイんですか?」
っていう質問をよく受け付けます。
ネット検索でも、「ブラック」「寝れない」などネガティブな言葉が並びます。
私(理学療法士)は、過去に何十人という学生のバイザー(指導者)をしてきました。
個人的には、やはり慣れない環境に行くので少なからずキツイことは確かだと思います。
しかし、実習取り巻く環境は、今と昔では大きく異なります。
この記事では、「そこまでキツイと思わなくて良いよ」という内容を中心に、実習の対応策までお伝えしています。
この記事を読めば、きっと楽な気持ちで実習に望むことができるようになるでしょう。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の実習とは
大学、専門学校によってカリキュラムは違いますが、一般的には
1年生の時に「見学実習(1日~1週間程度)」
3年生の時に「評価実習(3週間程度)」
4年生の時に「臨床実習(7~8週間程度が2回位)」
の3種類で構成されます。
理学療法士になるためには、避けては通れません。
もちろん、作業療法士(OT)や言語聴覚士(ST)も同じです。
実家や今現在住んでいるところから通える人もいれば、実習地近くのレオパレスに住んで通ったり、またまた2時間くらいかけて電車で通うといった、過酷スケジュールを勧告される場合があります。
実習地に関しては、ある程度の希望は汲んでくれますが、ほとんどは教員が指定した場所へGOです。
ちなみに私は、評価実習では片道2時間かけて実習先に行き、臨床実習では隣県にレオパレスを借りて自転車で通いました。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の実習は何がキツイのか
では、実習はキツイというが何が大変なのか。
- 慣れない場所に行くことによるストレス
- バイザー、職員との人間関係
- レポート、レジュメ作成のため睡眠不足
この3つが大部分を占めていると思います。
慣れない場所に行くことによるストレス
まぁこれは想像つきますよね。
知らない場所に行く。
そして、ほとんど一人きりの場合が多い。
これだけで結構なストレスですよね。
どんな場所にもすんなり溶け込んでしまう人もいますが、みんながみんなそうではありません。
出来上がったコミュニティーの中に入っていくのは、精神的に結構きついものがあります。
バイザー、職員との人間関係
実習生には、必ずスーパーバイザーという人が少なくとも一人はつきます。
付きっきりで、実習の面倒を見てくれる指導者のことです。
ほとんど、このバイザーと一緒にいるわけですから、もしウマが合わなければ、まさに地獄です。
現に、「実習で一番心配していることはなんですか?」という質問では、大半が「バイザーとうまくやっていけるか?」という内容でした。
ネチネチ口を出したり、分かりやすく陰口を言われたり、膨大な課題を出されたりするバイザーに当たれば、ストレスが半端ではございません。
もうこればかしは、運ですね。
なにくそ!と腹をくくって、そしてたかが数週間~数ヶ月!と割り切って、反骨精神で乗り切るしかありません。
実習がつらいと思っているのはあなただけではありません。
体験談(実習がつらいと感じる学生へ。みんなも同じだよ!【体験談まとめ】)を見て勇気をもらおう!
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レジュメ、レポート作成のための睡眠不足
レジュメ・レポート作成のため、睡眠不足に陥ってしまうことも少なくありません。
いわゆる「症例報告書」の作成です。
学生はバイザーが指定した患者様を担当にもって、どういう考えのもとリハビリを行ったかなどの報告書を作成しなければなりません。
これは義務としているところが多く、発表会もあるため、必死になってみなさん作成します。
レポート・レジュメの作成を、バイザーによっては
「明日までに出せ!」
「ここも違う!ここも違う!明日までに再提出!」
と言って、何度も追い返し、そして追い詰められ睡眠時間短縮…という流れが少なからずあります。
身体面へのダメージも大きいです。
理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)の実習は今と昔では話が違う
ここまで聞いて、
「うわっ…やべぇ。。理学療法士になるのやめようかな。。」
と思われた学生さん。
大丈夫です。
今と昔では話も大きく違ってきています。
昔の学生指導の方針は、「就職した段階で1人前」という教育のもと行われていました。
しかし、今の学生指導の方針は、「就職してから1人前になっていこうね」という方針に切り替わっています。
平成12年:国家資格合格者数3,048人
令和02年:国家資格合格者数10,608人
令和03年:国家資格合格者数9,434人
上記は、理学療法士の国家資格合格者数を示しています。
昨今は、毎年10,000人近くの理学療法士が誕生しています。
養成校は乱立し、不本意ではありますが学生のレベルは低いとみなされている現状です。
そのため、就職から3年は新人教育プログラムというものがあり、この3年をかけて1人前の理学療法士を育成しようという流れに変わっているのです。
「学生は出来なくて当たり前」というところからスタートしているため、そこまで学生に高い教養は求めなくなりました。
逆に「レポート書かせなくていいです。その分たくさん患者様をみせてあげてください。」という学校がかなり増えてきています。
学校も、症例報告書という紙っぺらに時間割いて睡眠不足になるくらいなら、「しっかり寝て、病院内、施設内で多くのこと吸収してきて」という流れに変わってきています。
今の時代に求められるキツイ実習への対応策
このように、以前ほど実習がいわゆる「ブラック」「寝れない」というものでは無くなってきていることはお分かりいただけたと思います。
しかし、依然として「実習がキツイ」と感じている人も多くいます。
そのような人の特徴として、「今の時代に求められる実習生としての振る舞い」が出来ていないことが挙げられます。
ここが出来ていないと、バイザーからお叱りを受けたり、理不尽な思いをするかもしれません。
ここからは、「今の時代に求められるキツイ実習への対応策」をご紹介してまいります。
人間としての常識面を磨く
今の時代に求められる最も重要な要素は、「コミュニケーション面」つまり「人間としての常識面」です。
・時間に守れるか?
・期限を守っているか?
・敬語を使えているか?
・あいさつ出来ているか?
このように、今の時代では知識や技術よりも「常識面」が重要になってきました。
実習を乗り切るポイントとしてコチラの記事(絶対に落ちない!評価実習で押さえるべきたった2つのポイント)でも紹介していますが、人間としての常識面がしっかりとしていれば、知識や技術は後からついてくるという考えのもと指導をするようになっています。
人間としての常識面は、常日頃から意識をしていなければ形成できるものではありません。
友人関係・学校の先生への接し方など、対人関係におけるコミュニケーションを今一度見直してみましょう。
絶対に落ちない!評価実習で抑えておくべきたった2つのポイント
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徹底的な準備をする
実習では、学生に対して高度な知識や技術を求めてはいません。
それよりも、「学ぶ姿勢」に重点をおいています。
この学ぶ姿勢を評価する要素として、多くのバイザーは「しっかりと準備をしているか」をよく見ています。
例えば、「明日、〇〇さんのROMを評価してもらうから」と言われたとします。
それなのに、評価シートも用意していない、記載するクリップボードも用意していないだと、「本当に学ぶ気があるのかな?」と思ってしまいます。
学生にできることは、「徹底的な準備」です。
準備は実習開始前から始まります。
コチラの記事では、実習前にするべき準備(【PT/OT/ST必見】実習前に準備をしておくこと5選!)と必要な持ち物(【必要な持ち物】実習で使うオススメのバッグ、靴、服装など紹介!)を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【PT/OT/ST必見】実習前に準備をしておくこと5選!
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【必要な持ち物】実習で使うオススメのバッグ、靴、服装など紹介!
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バイザーが何を求めているかを知る
最後に、あなたを担当しているバイザーが「何を求めているかを知る」ことです。
これは少し裏技みたいな対応策になってしまいますが、知っておくに越したことはありません。
例えば、バイザーの中にも「コミュニケーション面」を重要視している人もいれば、「書類の期限」を重要視している人もいます。
現時点でのあなたのゴールは、「実習に受かること」です。
つまり、合否を決めるバイザーが「何を求めているか」を知り、それに対する働きをすればキツイ実習もスムーズ行うことができます。
詳しい方法を知りたい方は、コチラの記事(実習開始一週間でする「たった一つの評価」が落ちない秘訣だ!)を参考にしてみてください。
実習開始1週間でする「たった1つの評価」が落ちない秘訣だ!
本サイトは、レポート、レジュメ(症例報告書)の書き方など、実習をうまく乗り切るコツを中心に書いていますが、結局合格、不合格を決めるのはバイザーと呼ばれる指導者です。 「いやー上手にレポート書けたわ!」 ...
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理学療法士の実習ってそんなにキツイの?のまとめ
実習はつらい!ブラック!は昔の話で、現在は幸か不幸か
「学生は出来なくて当たり前」
からスタートしているので、前ほどキツイという印象は脱ぎ払っていいと思います。
ただ、これをいいことに
「俺、学生だから~」
といって、やる気や誠意を見せないと、最も評価される「人間としての常識面」の部分で不合格になり得るので、分からないなら分からないなりの誠意を持って、実習に臨みましょう。
逆に、こういう態度の面は昔よりもセンシティブに評価されるとも言い換えられます。
謙虚に、笑顔で望めば実習はそんなに怖いものではない!!
君ならできる。大丈夫。
実習に抜群!各評価の方法と無料評価シートダウンロード
実習では、様々な評価をすることになります。
その時に重要なのが「評価シート」です。
分かりやすい評価シートを使用することで、ミスなく実習を乗り切ることができます。
当サイトは、実習に必要な評価のほとんどを網羅しています。
以下に、各評価の方法と無料評価シートのダウンロード記事をまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。
評価方法と評価シートダウンロード
【実習生必見!】評価マニュアルブック&ポケットマニュアル販売ページ
当サイトでは、100種類以上の無料評価シート配布、70例以上のレポート・レジュメ作成例などを中心に発信しています。 おかげさまで日々多くの方々にお越しいただく中、「評価をまとめた印刷物が欲しい!」「で ...
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評価実習に抜群!70以上のレジュメ・レポートの作成例
実習の最難関として、「レポート・レジュメの作成」があります。
多くの学生が、このレポート・レジュメの作成に悩んでいます。
夜も眠れず、徹夜で実習に向かうことも少なくありません。
そんなあなたに一つアドバイスをするとすれば、「できるだけ多くの作成例に目を通しなさい」ということです。
書き方やノウハウを学校で教わっても、いざ実習に行くと「どのように作成したらいいか分からない…」となってしまいます。
それは当たり前で、患者一人ひとりによって病態や症状は異なるからです。
そのため、レポート・レジュメの作成をスムーズに行う1番の近道は、できるだけ自分が担当している症例に近い作成例に目を通して、全体の内容を掴むことと言えます。
以下に、疾患別の作成例リンクを貼っておきますので、ぜひ参考にしてみてください!
レポート・レジュメの書き方!完全まとめ【記載例70以上】
本サイトは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、評価シートの無料ダウンロード、レポート・レジュメの書き方や作成例を中心にご紹介しています。 今回は、「レポート・レジュメ ...
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疾患別のレポート・レジュメ作成例
疾患名 | 特徴 | |
脳血管疾患 | 脳梗塞 | 高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中 |
脳出血 | 片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標 | |
くも膜下出血 | ||
整形疾患 | 変形性 | 股関節症(置換術) / 股関節症(THA) / 膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行 |
骨折 | 大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折 | |
リウマチ | 強い痛み / TKA施行 | |
脊椎・脊髄 | 頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症 | |
その他 | 大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷 | |
認知症 | アルツハイマー | |
精神疾患 | うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症② | |
内科・循環器科 | 慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫 | |
難病疾患 | パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難 | |
小児疾患 | 脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症 | |
種々の疾患が合併 | 大腿骨頸部骨折+脳梗塞 / 一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ |