書き方 脳血管疾患 病院 レポート・レジュメ

【一過性脳虚血発作+脳梗塞】レポート・レジュメの作成例【実習】

2021年12月22日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「一過性脳虚血発作(TIA)+脳梗塞」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 一過性脳虚血発作(TIA)

  • 脳梗塞

  • 左片麻痺を呈する

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一過性脳虚血発作(TIA)+脳梗塞のレポート・レジュメ作成例

A.基本的個人情報

【名前】

【年齢】歳代

【主 訴】左下肢の脱力、左手が動かない、左手の腫れが気になる

【患者のニード】更なるADLの向上(杖歩行、排泄動作の自立)、その後、自宅退院希望                              

【趣 味】ゲートボール、踊り

【嗜好】タバコ(-) アルコール(-)

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B.医学的情報

【診断名】

脳梗塞後遺症

 

【障害名】

左不全片麻痺

 

【臨床診断】

TIA(一過性脳虚血発作)

右側脳室体部近傍白質に新鮮梗塞あり。MRAでは動脈硬化と考えられる軽度狭窄が多発しているが、強い狭窄や閉塞はない。穿通枝梗塞と考えられる。

 

【CT所見】

*画像の挿入を推奨

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【現病歴】

〇〇代より高血圧、糖尿病の内服コントロールでA医院にかかっていた。

〇〇年〇〇月頃までゲートボールをしていた。

〇〇年〇〇月に一過性脳虚血発作発症(脳血栓症右レンズ核線条体動脈【ラクナ】)にてB病院(神経内科)に緊急入院。

入院時、左上肢 MMT0/5、左下肢 MMT2/5、左顔面神経にも経度の麻痺+、構音障害+、意識レベル良好、感覚障害(-)、失語(-)、心雑音(-)、心エコーにてAR(大動脈弁逆流症)+、MR(僧帽弁逆流症)+、心房細動(-)、心内血栓(-)、抗血板剤で治療開始し症状悪化なし。

〇〇年〇〇月リハビリ開始、座位保持レベルの状態で維持リハビリ目的で紹介となり、〇〇年〇〇月当院のC病棟へ入院の運びとなった。

 

【既往歴】

〇〇歳代頃より高血圧、糖尿病にて内服コントロール

〇〇年 子宮筋腫術合、両白内障術合

 

【家族歴】

家族構成は夫と四人の子供がいる。同居状況として、息子1人、娘1人と三人で暮らしている。キーパソンは次男、長女である。

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【服薬状態】

1)バファリン

2)グラマリール

3)グリミクロン

4)ベイスン

5)オルメチック 

6)Rグラマリール

 

【他部門からの情報】

Dr:〇〇年〇〇月に一過性脳虚血発作発症(脳血栓症右レンズ核線条体動脈【ラクナ】)しており、これまでにいくつもの脳血管障害があったため、またいつ再発してもおかしくない。右脳を侵されると精神的の障害がでやすいので注意する。糖尿病の合併症として感覚障害がある。たまに下肢に痛みを訴えているのはこれが原因。

Ns:看護目標は転倒に注意し、安定した杖歩行が獲得できる。在宅介護サービスを利用しての家庭復帰ができる。ADLは入浴で身体をこするときや、更衣の際にたまに痛みがでるため介助をおこなう。他は基本的に自立している。異常行動なし

MSW:介護保険で要介護1で○月末に更新申請中。経済状態は問題ない。家族の受け入れは屋内の杖歩行レベルまでと言っていた。家の作り全体が和式であり手すりは全く付いていない。住宅改修を検討する予定。

 

C.心身機能情報

【バイタルサイン】血圧:159/64mmHg、脈拍数:P66/分、体温:36.4度

 

D.環境情報

純和式で2階建てである。玄関から家に上がる時に段差あり。玄関から本人の部屋までは段差はあるが、歩行には支障はない。しかし、家のいたるところに段差がある。トイレにいくには、本人の部屋からは、周っていかないといけなく遠いのに対して、段差もたくさんある。トイレは和式トイレで簡易式様式トイレを使う。ベッドは家具式ベッドである。

 

E.理学療法評価

1.【全体像】

第一印象:杖をついてリハ室まで来られて、挨拶をすると笑顔で返事を下さった。表情がとても明るく、コミュニケーションもしっかりととれた。意識状態も清明であられた。

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2.【認知症・意識障害の検査】

◆HDS-R検査:認知症の疑いなし。

◆JCSについては、第一印象と問診で判断できたため省略した。

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3.【Brunnstrom Stage】

◆上肢 StageⅣ:StageⅣの肘90度屈曲位で前腕の回内はできるが回外はできない。

◆下肢 StageⅤ:StageⅥの座位でハムストリングによる、下腿の外旋・内旋は可能だが、立位での股関節外転が骨盤挙上による外転角度以上に可能ができない。

◆手指 StageⅤ:Ⅴの全ての項目が可能。

 

<アセスメント>

 上肢は、StageⅣの動作が肘90度屈曲位で前腕の回内しかできないが、StageⅤの肘伸展位で前腕回内・回外ができることとまた、StageⅢの共同運動はなく、著名な痙性もみられず、StageⅢとは考えにくいため、上肢のステージはⅣとした。

 下肢はStageⅣ、Ⅴの動作が全てと、StageⅥの座位でハムストリングによる、下腿の内・外旋が可能だが、基本概念StageⅥの分離運動が自由に、早く協調性を持って行える状態ではないため、StageⅤと判断した。

 手指はStageⅤの動作が全て可能でStageⅥの動作については可能な動作がなかったためStageⅤと判断した。

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4.【病的反射】

 

ホフマン反射

トレムナー反射

ワルテンベルグ反射

バビンスキー反射

チャドック反射

膝クローヌス

足クローヌス

5.【腱反射】

 

上腕二頭筋反射(中枢C5,6)

上腕三頭筋反射(中枢C6,7,8)

腕橈骨筋反射(中枢C5,6)

膝蓋腱反射(中枢L2~4)

アキレス腱反射(中枢L5,S1,2)

<アセスメント>

腱反射の亢進は、反射の中枢より上の部位に障害があることを示し、腱反射の減弱または欠如は、一般に反射弓に障害があることを示している。

これら5つの反射は亢進した場合は錐体路障害が疑われる。錐体路は随意運動の運動野である中心前回からの上位ニューロンであり、錐体路に障害がおこると随意運動や経験的に習得した熟練運動や運動プログラムをつくることができなくなり、また痙性麻痺をおこすという特徴をもっている。

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6.<四肢周径>

四肢周径

左右差

上腕周径

伸展位/ 最大

25cm

24cm

-1cm

屈曲位/最大

23cm

21.5 cm

-1.5cm

前腕周径

最大

21cm

20cm

-1cm

最小

14cm

14cm

0cm

大腿周径

膝蓋骨+0cm

33.5cm

33cm

-0.5cm

膝蓋骨+5cm

33.5 cm

33.5 cm

0cm

膝蓋骨+10cm

37cm

37cm

0cm

膝蓋骨+15cm

41cm

40.5cm

-0.5cm

膝蓋骨+20cm

   

下腿周径

最 大

29cm

29cm

0cm

最 小

18.5 cm

18cm

-0.5cm

下肢長

左右差

SMD

上前腸骨棘~内果

69cm

69cm

0cm

TMD

大転子~外果

67cm

67cm

0m

大腿長

大転子~外側上顆

32cm

32cm

0cm

下腿長

外側上顆~外果

35cm

35cm

0m

*左右差は右と比較した数値である。

 

<アセスメント>

 周径をとることによって、身体の栄養状態、筋・骨の発達状態、さらに腫脹や筋萎縮の状態を把握できる。本症例において、麻痺側である左上肢が非麻痺側に比べ小さい。

原因を考えると、姿勢分析や体重の荷重量からもわかるように体幹の重心線が非麻痺側の方に偏位している。そのことで、非麻痺側優位の日常生活をしていた結果、入浴や食事、更衣動作といった日常生活の動作をほとんど非麻痺側である右上肢のみで行っている。このことから非麻痺側の上肢の活動によって、筋力が維持されている状態になっていると考えられる。筋の腫脹も考えられるがその所見はない。

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7.【感覚検査】

1.表在感覚

<触覚>

・顔面、上腕前面後面、前腕前面後面、手前面後面、大腿前面後面、下腿前面後面、足部前面後面:問題なし

・検査方法として、患者様に健側の感覚を「10」と認識してもらい同じ強さで患側の感覚が、健側の「10」に対してどれぐらいの感覚かを答えてもらう。

 

<痛覚>

・大顔面、上腕前面後面、前腕前面後面、手前面後面、下腿前面後面、下腿前面後面、足部前面後面:問題なし

・検査方法は、触覚と同じように施行した。

 

2.深部感覚

<位置覚>

患者様に答えてもらうやり方で施行した

肩関節    5 / 5           股関節           5 / 5

肘関節    5 / 5           膝関節           5 / 5

手関節          5 / 5           足関節           5 / 5

手PIP関節     5 / 5           手DIP関節     5 / 5

母趾MTP関節  5 / 5

 

<運動覚>

患者様に動かしてもらうやりかたで施行した

肩関節           5 / 5           股関節           5 / 5            

肘関節           5 / 5           膝関節           5 / 5

手関節           5 / 5           足関節          5 / 5

手PIP関節       5 / 5         手DIP関節       5 / 5

母趾MTP関節   5 / 5

母趾MTP関節   5 / 5

*位置覚・運動覚  異常なし

 

<アセスメント>

 今回は全ての項目において異常はなかったが、表在感覚(触覚・痛覚)に問題があるとすれば、知覚神経の上行性ニューロンに表在感覚の刺激が伝導されずに視床や中心後回(大脳皮質体性感覚野)まで伝達されないことになる。上行性ニューロンに損傷が起きれば、デルマトームでの感覚が中心後回(大脳皮質体性感覚野)へと伝わらずに、「脱失(消失)」「鈍麻」「過敏」となる。その結果、痛みを認識できずにその部位に二次的障害を来たしたり、感覚がないことで褥瘡を生じやすくなったりする。

 これらの感覚に障害があるとすれば、上肢を例にすると粗大な運動自体は可能であるが、熟練した手指の動きや道具の使用が著しく障害され、肢節運動失行を生じる。また、行為の「構え」の障害、すなわち運動遂行前に適切な肢位をとるという予測的な準備状態の設定が困難となる。

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8.【MMT-T】

MMT

主動作筋

肩甲骨

外転・上方回旋

 

挙上

肩関節

屈曲

肩甲骨面挙上

外転

水平内転

肘関節

屈曲

伸展

前腕

回外

回内

股関節

屈曲

屈曲・外転および膝屈曲位での外旋

外旋

内旋

膝関節

伸展

頸部

頭部屈曲

頸部屈曲

頸部複合屈曲

体幹

骨盤挙上

屈曲

回旋

◆握力:右 8.0kg

 

<アセスメント>

 本症例は左片麻痺であり左上肢は分離運動が乏しいため計測は行っていない。

MMTを計測した結果、体幹と左下肢の筋に筋力低下が目立つ。特に体幹の筋がMMTで「2」であるというのは体幹への筋出力低下が原因と考えられる。上肢や下肢の筋は日常生活の中で、歩行や、食事・整容といった中で使っていく筋なために筋力維持されやすい。体幹筋も歩行や日常生活動作は抗重力姿勢での活動が多いため、筋力が維持されているように思える。しかし、立ち直り反応の結果などと照らし合わせてみても体幹への筋出力が低下し、麻痺側の筋が非麻痺側と同様に働かないと考える。

 麻痺側である左下肢も非麻痺側に比べるとMMTの上では筋出力の低下があると判断できる。本症例は病棟内での自立歩行が可能であるが、体幹のアライメントが非麻痺側に偏位していることや、体重計での左右差を計測したときに非麻痺側の方が荷重量が大きかったというのも普段での日常生活では非麻痺側での体重支持が優位となった生活が主に行われていると考えられる。

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9.【ROM-T】

部位名

運動方向

参考可動域

<passive ROM>

<active ROM>

肩甲帯

屈曲

20゜

20゜

20゜

20゜

20゜

伸展

20゜

20゜

20゜

10゜

10゜

挙上

20゜

20゜

20゜

20゜

20゜

引き下げ

10゜

10゜

10゜

5゜

5゜

屈曲

180゜

160゜

90゜

155゜

40゜

伸展

50゜

50゜

40゜

30゜

25゜

外転

180゜

145゜

75゜

135゜

60゜

内転

0゜

0゜

0゜

0゜

0゜

外旋

60゜

60゜

10゜

40゜

-5゜

内旋

80゜

80゜

80゜

80゜

60゜

屈曲

145゜

140゜

120゜

130゜

115゜

伸展

5゜

0゜

0゜

0゜

0゜

前腕

回内

90゜

90゜

90゜

90゜

90゜

回外

90゜

90゜

30゜

90゜

10゜

屈曲

90゜

80゜

55゜

60゜

35゜

伸展

70゜

60゜

25゜

50゜

20゜

橈屈

25゜

20゜

10゜

10゜

10゜

尺屈

55゜

45゜

45゜

40゜

30゜

屈曲

125゜

120゜

120゜

95゜

95゜

伸展

15゜

測定不能

10゜

測定不能

0゜

passiveでは膝関節伸展位・屈曲位の両方で測定

外転

45゜

30゜

30゜

10゜

20゜

内転

20゜

10゜

10゜

10゜

5゜

外旋

45゜

35゜

30゜

25゜

20゜

内旋

45゜

10゜

10゜

5゜

0゜

屈曲

130゜

110゜

125゜

110゜

120゜

伸展

0゜

-30゜

-15゜

-25゜

-10゜

背屈

20゜

10゜

10゜

5゜

5゜

底屈

45゜

45゜

45゜

30゜

40゜

足部

外がえし

20゜

20゜

20゜

0゜

0゜

内がえし

30゜

10゜

10゜

5゜

5゜

外転

10゜

5゜

5゜

5゜

5゜

内転

20゜

10゜

10゜

10゜

10゜

頸部

屈曲

60

50゜

40゜

伸展

50゜

40゜

35゜

回旋

60゜

50゜

50゜

50゜

50゜

側屈

50゜

30゜

30゜

25゜

25゜

胸腰部

回旋

40゜

50゜

50゜

50゜

30゜

側屈

50゜

30゜

25゜

20゜

20゜

<アセスメント>

 このROM測定での注目点は、麻痺側である左上肢と、股膝関節の伸展制限である。左上肢は上位ニューロンである神経経路に障害が起こってしまったために随意性の低下が生じてしまったことが考えられる。またそれに加えて、肩関節周囲炎の影響や肩関節拘縮が原因で可動域制限がでてしまったと考える。

 股関節の伸展は側臥位にて測定したが、麻痺側上肢は側臥位時に疼痛を生じるために左股関節の計測しか行っていない。股関節伸展の制限に関しては、二関節筋である大腿直筋の影響の取り除いた膝関節伸展位と膝関節屈曲位の両方で伸展させたところ、可動域に変化がなかったために腸腰筋の短縮が一番ではないかと考えられる。

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10.【ADL-TEST】

◆Barthel Indexを用いてADL能力を評価した。

Barthel Indexでの減点項目は入浴動作と階段昇降の二項目である。

浴室内での移動動作は見守りが必要であり、入浴動作はシャワーを介護者にかけてもらい、体幹の後面を洗体する時だけ介護してもらうという状況である。

階段昇降は評価した時点では、禁止されており不可能と判断。

*現在は見守りで訓練用の階段昇降は可能である。

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11.【筋トーヌス検査】

◆背臥位    

特になし

◆座位

右広背筋の過緊張

◆立位

右広背筋の過緊張、左大殿筋の過緊張、右大腿二頭筋の過緊張、右腓腹筋の過緊張

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12.【平衡機能検査】

*支持基底面を以下BOSと記載

 

1)≪座位バランス≫

◆静的バランス

閉眼、開眼ともに問題なし

◆動的バランス(外乱は患者の後方より骨盤に与えた)

右:立ち直り反応はあるが弱い(BOS内)   左:立ち直り反応あり(BOS内)

右:保護伸展反応あり(BOS外)       左:保護伸展反応あり(BOS外)

前:保護伸展反応あり(BOS外)       後:保護伸展反応あり(BOS外)

 

2)≪立位バランス≫

◆静的バランス

閉眼、開眼ともに問題なし

◆動的バランス(外乱は患者の前方より骨盤に与えた)

右:立ち直り反応はあり(BOS内)     左:立ち直り反応はあるが弱い(BOS内)

右:ステッピング反応あり(BOS外)         左:ステッピング反応はあるがでたりでなかったり(BOS内)

前:ステッピング反応あり(BOS外)    後:ステッピング反応あり(BOS外)

 

3)≪片足立ちテスト≫

◆開眼時

右脚:5秒可能    左脚:5秒不可能

◆閉眼時

両脚5秒以上不可能

 

<アセスメント>

 座位での立ち直り反応をみてみると右の立ち直り反応はあるが弱く、左の立ち直り反応の方がしっかりとでた。立位では、右の立ち直り反応がしっかりとでて、左の立ち反応が弱いという特徴がでた。ステッピング反応は全体のバランス反応にしっかりとでた。麻痺側の上肢もしっかりとでた。もし立ち直り反応が出なかった場合は平衡障害が考えられる。小脳虫部の病変で、姿勢を正常に保持しようとしてもできなくなってしまう。姿勢を保持できなくなってしまうということは、歩行につなげることも困難になってしまうし、座位バランスさえも獲得しにくくなってしまう。そうなると、予測的に反応することも出来ないと考えるので、常に介助が必要となってしまうし、日常生活の活動レベルも下がってしまう。しかし、本症例は小脳には病巣はなく、また他の反応はしっかりとでているので、問題ないと判断できる。

 ここで、立ち直り反応に左右差がある原因を考えてみる。まず座位では麻痺側である左側の立ち直り反応がしっかりとでた。これは、座位時の筋トーヌスの検査での結果を見てみると、右側の広背筋の筋緊張がそれとも頚部の側屈筋である肩甲挙筋等や体幹側屈筋である、胸最長筋や腰腸肋筋の筋出力低下があるという可能性も考えられるのではなかろうか。次に立位では、麻痺側である左側の立ち直り反応が弱い。これはMMTからも推測できるが、下肢・体幹の筋出力低下によりバランスを保てないという原因や、筋の過緊張によりそれだけ反応が遅延してしまい反応が遅れるということにも考えられる。その他にも足関節のROM制限によって反応の差がでるとも考えられる。

*筋力は意識的に動かすが、このようなバランスをとろうとする反応は無意識である。上位・下位運動ニューロンの働きの違いもある。

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13.【高次脳機能検査】

1)<意識障害>

JCS:Ⅰ-1 しっかり開眼しており、応答もはっきりしている。

 

2)<言語障害(-)>

自発言語、復唱、言語了解、書字、読字は可能である。錯誤、保続もなく一つ一つの言葉をはっきり話すことができる。

 

3)<失行(-)>

構成失行(-):上の図を写すことができている。

観念失行(-):紙とペンで自分の名前が書ける。

観念運動失行(-):慣習的動作、構成模倣が可能である。

 

4)<失認(-)>

半側空間失認(-)

左右失認(-)

手指失認(-)

失算(-):簡単な計算ができる

失書(-):自分の名前が書ける

 

5)<視空間失認>

直線の二等分、線分抹消テスト、図形模写、時計描写、全てにおいて正常

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14.【協調性テスト】

検査名

結果

膝・踵試験

正常

向こう脛叩打試験

正常

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15.【姿勢分析】

はじめに、基本矢状面と基本前額面でみる立位での重心線を記載する。

<基本矢状面でみる立位での重心線>

①耳垂 ②肩峰 ③大転子(大腿骨骨頭のやや後方・股関節後方) ④膝関節前部(膝関節中心の前方)⑤外果やや前方(外果やや前方)

<基本前額面でみる立位での重心線>

①後頭隆起 ②椎骨棘突起 ③殿列 ④膝関節内側中心(両膝関節内顆間の中心) ⑤両内果間中心

*FTA:右 185゜  左 190゜

 

1)≪背臥位≫

【前額面】

 頚部は右に軽度側屈し、左肩甲骨は軽度挙上し、右肩関節は正中位で、左肩関節は軽度外転して両肘関節は正中位で、骨盤は右が軽度下制し、左が軽度挙上して、右股関節は軽度外旋で、左股関節は軽度外転して、右足部は内がえし、左足部は正中位の肢位となっている。

 

【矢状面(右)】

 右肩甲骨は前方突出し、右股関節と右膝関節は軽度屈曲し、右足関節は中等度底屈位である。矢状面の左に比べると右股関節のみ屈曲角度が大きい。

 

【矢状面(左)】

 左肩甲骨は前方突出し、左肘関節は軽度屈曲している。左股関節と左膝関節は軽度屈曲し、左足関節は中等度底屈位である。

 

2)≪座位(自立)≫

【前額面(前方)】

 頚部は右に側屈し、左肩甲骨は軽度下制し、左肩関節は軽度内旋し、左肘関節は軽度屈曲して、左前腕は90゜回内し、左手掌は左大腿中央内側面に位置する。右肩関節は軽度屈曲、右肩関節は軽度外転し、右肘関節は軽度屈曲し、右手掌は右大腿中央前面に位置する。両股関節は約90゜屈曲し、軽度外転・外旋し、両膝関節は約90゜屈曲し、両膝関節はO脚であり、左膝関節の方が内反膝が大きく、左足部は外転している。

 

【前額面(後方)】

 頚部は右に側屈し、左肩甲骨は下制し、右骨盤が挙上している。

 

【矢状面(右側)】

 仙骨支持で、頚部は軽度屈曲、肩甲帯は軽度前方突出し、肩関節は軽度伸展し、肘関節は軽度屈曲し、手関節は軽度背屈して大腿中央前面に位置する。股関節と膝関節は約90゜屈曲し、足関節は軽度底屈位である。

 

【矢状面(左側)】

 仙骨支持で、頚部は軽度屈曲、肩甲帯は軽度後退し、肘関節は軽度屈曲し、前腕は約90゜回内し、大腿中央内側面に位置する。股関節と膝関節は約90゜屈曲し足関節は軽度底屈位である。

 

【水平面】

 頭部は右に軽度側屈し、左肩甲骨は後退し、左股関節は軽度外転・外旋し、左膝関節は軽度内反膝で、左足関節は軽度外転している。

 

3)≪立位(自立)≫ 

【前額面(前方)】

 頚部は右に軽度側屈し、左肩甲骨は軽度下制し、両股関節は軽度外転・外旋し、右膝関節は軽度内反膝であり、右足部は軽度外転している。

 

【前額面(後方)】

 頚部は右に軽度側屈し、右肩甲骨は水平位で、左肩甲骨は軽度下制し、体幹は左に軽度側屈し、右股関節は軽度外転・外旋し、右膝関節は軽度内反膝であり、右足部は軽度外転し、左足部は正中位である。

 

【矢状面(右側)】

 頚部は軽度屈曲、右肩甲骨は軽度後退し、肘関節と股関節は軽度屈曲、足関節は軽度背屈している。

 

【矢状面(左側)】

 頚部は軽度屈曲し、左肩甲骨は軽度前方突出し、左肘関節は軽度屈曲し、左股関節と膝関節は軽度屈曲し、足関節は軽度背屈している。

 

【水平面】

 頚部は軽度屈曲し、左肩甲骨は軽度後退し、右肩甲骨は軽度前方突出している。

 

<アセスメント>

 まず、体重の荷重量から考えてみて非麻痺側の方に重心が偏位していると考えられる。そのために非麻痺側優位の姿勢をとっていると考える。全体的に麻痺側への側屈があるため筋出力の低下が原因で体幹を正中位に戻すことができないことも考えられる。立位時では股膝関節の伸展制限や足関節の背屈制限がROM-Tや筋トーヌス検査からも考えられるための屈曲位姿勢であると考えられる。膝関節の内反膝は両側の変形性膝関節症が原因と考えられFTAからも内反膝と考える。

 

16.【動作分析】

◆本症例は脳梗塞後遺症(左不全麻痺)であり、寝返りは非麻痺側である右側のみの動作分析を行った。

 

1)≪寝返り(自立):背臥位より右側臥位へ≫

【開始姿勢:背臥位】

 頚部は右に軽度側屈し、左肩甲骨は軽度挙上し左肩関節は軽度外転して肘関節は軽度屈曲、骨盤は左が軽度挙上して、左股関節は軽度外転して、右股関節は軽度外旋で右足部が内がえしの肢位となっている。

まず、頚部を右に軽度回旋し、右股関節を屈曲・外転・外旋しながら右膝関節も屈曲していく。右下肢の動作に少し遅れるように、左股関節を屈曲・内転・内旋しながら左膝関節を同時に屈曲していく。右股関節を中等度屈曲・外転・外旋位、右膝関節を中等度屈曲位、左股関節を中等度屈曲・内転・内旋位、左膝関節を中等度屈曲した右大腿骨外側上顆がベッドに付く肢位まで持ってきたら、左肩関節を伸展・外転・内旋しながら、前腕を回内して、手掌が左側の第12肋骨あたりまできたら、肩肘関節を同時に伸展し同時に肩関節を水平内転しながら肘関節を最大伸展位まで持って行く。

頚部をさらに右に回旋し、左肩関節を水平内転、肘関節を最大伸展位の状態のままで、右肩関節を軽度屈曲しながら右肘関節を完全伸展位まで持っていく。次に左肩甲帯と左骨盤帯を同時に動かして、左肩甲帯と左骨盤帯を床から離す。

左肩甲帯と左骨盤帯を同時に体軸内回旋のない回旋を行い側臥位にまでなる。

 

2)≪起き上がり(自立):側臥位より端座位へ≫

【開始肢位:側臥位】

 右肩関節は90゜屈曲で左肩関節は中等度屈曲し、両股膝関節は中等度屈曲位で、両足関節は軽度底屈位である。膝関節に関しては、右膝関節が前方、左膝関節が後方に位置し、重なりあってない肢位である。

 頚部を軽度屈曲しながら左に軽度回旋し、次に右肩関節を伸展・外転しながら右肘関節を屈曲し、右前腕を中間位までもってきて、さらに右肩関節を伸展・外転・内旋し、右肘関節も屈曲していきながら、右前腕を回内位まで持っていくと同時に、左肩甲帯は後退し体幹は後方に倒れながら左に側屈させてon elbowまで持っていく。

 頚部を軽度屈曲し、右肩関節伸展と右肘関節屈曲と体幹前傾を同時に行いながら、手背が視線の下あたりまできたら右肩関節を屈曲・外転・内旋しながら肘関節を伸展し、手関節を背屈していき、そして体幹を左に側屈しながらon handまで持っていく。

 両股関節を屈曲しながら両膝関節を伸展し、ベッドの端まで足部を持っていく。右手掌をベッドについたまま、体幹を左に側屈さる反動で左手部を左に移動させると同時に両下腿をベッドから降ろし足部を床につける。その時点ではまだ体幹は右に側屈しており、体幹を左に側屈する反動で右上肢を移動し、端座位の正中位まで持っていく。

 

3)≪立ち上がり(自立):端座位より立位へ≫

【開始肢位:端座位】

 仙骨支持。頚部は右に側屈し、左肩甲骨は軽度下制し、左肩関節は軽度内旋し、左肘関節は軽度屈曲して、左前腕は90゜回内し、左手掌は左大腿中央内側面に位置する。右肩関節は軽度屈曲、右肩関節は軽度外転し、右肘関節は軽度屈曲し、右手掌は右大腿中央前面に位置する。両股関節は約90゜屈曲し、軽度外転・外旋し、両膝関節は約90゜屈曲し、両膝関節はO脚であり、左膝関節の方が内反膝が大きく、左足部は外転している。

体幹を前傾しながら両肩関節の伸展と両肘関節の屈曲も同時に行い、また両股関節の屈曲も同時に行い、重心を殿部から足部へと移す。

さらに体幹を前傾しながら両股関節をさらに屈曲し、両肩関節の伸展・外転・内旋を行い、殿部を離床し、体重を足部へと移す。

頚部を伸展し、両股膝関節を伸展しながら、体幹をそのまま真っ直ぐ伸展していく。そのとき両肩関節内転・外旋しながら肘関節を伸展も同時に行い、立位へとなる。

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4)≪1本杖歩行(自立)≫

歩行分析は素足で行い、麻痺側である左上下肢に着目して分析を行った。歩行分析において、以下heel contactはHC、foot flatはFF、mid stanceはMS、heel offはHO、toe offはTOはと略す。

【立脚期(麻痺側)】

 歩行は、右肩甲帯が挙上している。股関節を屈曲して左下肢を前方に踏み出した時に左足部が床に着く時に膝関節の屈曲があまりみられないまま膝関節を伸展していきHCがないHCとFFの足底同時接地がおこる。同時に接地した下肢の方に体幹の側方移動がみられるが大きい揺れはないが、麻痺側で接地した時に体幹が左に沈み込むような動作をする。このことについては考察で詳細に述べる。右下肢の股膝関節の屈曲はあまりみられず、足部を引きずるように遊脚相で右下肢を踏み出す。左足部が床から離れる時に股関節の十分な伸展はみられずに、膝関節の十分な屈曲も見られず、足関節のHOとTOが同時にみられる。

 

【遊脚相(麻痺側)】

遊脚相には十分な股膝関節屈曲がみられず、足関節に関しては、足底部をたまに引きずって体幹の前方まで振り出していることがある。その原因としてBrunnstrom Stageなどの結果からも体幹の筋出力低下が考えられ、体幹を正中位に戻す反応が起こりにくいために左下肢をしっかりとあげきらないことが考えられる。また、ROM-Tから判断できる足関節の背屈制限も考えらえれる。

 

<アセスメント>

 本症例の歩行の特徴として両股関節伸展制限、両膝関節伸展制限、両足関節背屈制限がある。これらの制限により筋力低下や筋の萎縮、短縮があると考えられ1歩行周期に必要な筋活動も欠如していると考えられる。本症例の患側下肢の歩行周期を健常人の正常歩行と比較して分析していく。

 まず、HCでの正常歩行は股関節25゜屈曲、膝関節屈伸なし、足関節底背屈なしである。しかし、本症例はHCがなく、膝関節軽度屈曲位で全面足底接地となる。足底全面接地の時には、股関節軽度屈曲位で膝関節軽度屈曲位である。この時点で正常であれば最大に働く筋であるハムストリングが正常に活動していないことになる。その結果、下肢での減速性と安定性が欠如してしまう結果となってしまう。足背屈制限の背屈制限や膝関節の伸展制限があるために十分な可動域が得られない状態になりHCが起こらないと考える。

 次に、FFでの正常歩行は股関節20゜屈曲、膝関節20゜屈曲、足関節10~15゜底屈位である。本症例はFFはあるが、FFの時点ですでにMSに移行していると考えられる。そのためFFで最大に働く筋である前脛骨筋、大腿四頭筋が正常に活動しないために膝の安定性の欠如が生じる。この時に筋出力低下によって下肢の支持性が欠如する結果となり体幹の動揺にもつながってしまう。

 第三に、MSでの正常歩行は股関節屈伸なし、膝関節15゜屈曲、足関節2~3゜背屈位である。本症例はMSでの股関節が屈曲しており、股膝関節屈曲位、足関節背屈位であるために、下肢全体の筋を活動させてしまうことになり正常歩行以上の筋力を必要としてしまうと考えられる。そのため、体幹の不安定につながったり、遊脚相を短くしてしまう原因になると考える。この時の体幹の立ち直り反応が正常に起こらず筋出力低下により正中位に戻す反応が低下したと考える。また右広背筋の過緊張がみらえ体幹が固定された状態になってしまったとも考えられる。

 第四に、HOでは股関節20゜伸展、膝関節2゜屈曲、足関節15゜背屈位である。本症例はHOがなくHOとTOが同時に起こる全面足底離地である。股関節は屈曲しており、膝関節も正常歩行以上に屈曲しているため、正常歩行で最大に働く筋である下腿三頭筋、大腿四頭筋が正常に活動しないために歩行の推進力、強い蹴りだし力が欠如してしまう。

 最後に、TOでは股関節10゜伸展、膝関節40゜屈曲、足関節15~20゜底屈位である。本症例は全面足底離地であるためにTOがない。股関節は屈曲しているため、TOで最大に働く筋である下腿三頭筋、股内転筋が正常に活動していない。そのため、蹴りだし力、推進力に加え、骨盤の安定性が欠如してしまう。

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4)≪ 階段昇降(介助):訓練用階段で手すり使用≫

 昇り:右上肢で手すりを把持し、非麻痺側である右側の股膝関節を同時に屈曲させていき、一段目の高さまできたら股膝関節を伸展しながら一段上の階段に足部を着く。右側の股膝関節を同時に伸展していきながら右上肢の力も同時に利用して左下肢を階段までもってくる。この動作を繰り返す。

 降り:右上肢で手すりを把持し、麻痺側である左下肢→非麻痺側である右下肢の順で降ろす。右の股膝関節をゆっくりと屈曲していきながら同時に体幹を右に中等度回旋しながら、左股関節を内旋して一段下の段に左足部を着く。次に体幹を左に回旋し正中位に戻しながら右股膝関節を伸展していき足部を左足の横に並べる。

 

<アセスメント>

 本症例の階段昇降で一番の原因となるのは右下肢を上げる時につま先が階段に引っかかることである。ROM-Tからも分かるように右足関節に背屈制限がある。また右下肢を十分に上げきらない原因として筋出力の低下により股関節屈曲筋である腸腰筋がうまく作用しないことや、膝関節に伸展制限があることで片脚立ちになった時に膝関節屈曲位になるため下肢の筋が正常以上に働くこととなってバランスが悪くなる。

 また、降りるときの一番の原因は右膝の疼痛である。本症例は右膝の大腿四頭筋の健あたりに原因不明の骨片が存在する。これが原因で膝に痛みを訴える。降りる時に体幹を回旋させるのは膝の屈曲角度を減少させて痛みを軽減するためと考えられる。ROM-Tからも分かったことであるが、一定の屈曲角度までくると疼痛が生じるため、この角度を避けようとして体幹の回旋肢位をとる。しかし、この痛みは手術以外での痛みを取り除く方法は考えにくく、PTのアプローチとして身体的なことよりも、踏み台や手すりを用いて1段の段差を低くしたりするなどの環境的アプローチを心掛ける必要性がある。

 

F.問題点                    

<Impairment level>

#1:股関節伸展制限、膝関節伸展制限、足関節背屈制限

#2:下肢の筋出力低下(下腿三頭筋、股関節外転筋、股関節内転筋)

#3:立脚中期の体幹の不安定

#4:麻痺側下肢の支持性低下

#5:体幹のアライメントの変化

#6:階段昇降時の膝関節の疼痛

#7:体幹腹筋・回旋筋群の低下

#8:筋トーン異常亢進

#9:左上肢の随意性低下

#10:左上肢の疼痛

#11:左上肢の筋緊張低下

 

<Disabirity level>

#12:病棟内での杖歩行能力低下(#1.2.3.4.5.6.8.9)

#13:手すりでの階段昇降能力低下(#1.2.3.4.5.6.7.8.9)

#14:独歩で屋外歩行能力低下(#1.2.3.4.5.6.7.8.9)

#15:入浴自立動作能力低下(#1.10.11.12.13)

#16:更衣動作能力低下 (#1.10.11)

#17:排泄動作能力低下 (#1.10.11)

 

<Handicap level>

#18:活動範囲の狭小化(#1.2.3.4.5.6.7.8.9.13.14.15.16)

#19:自宅復帰困難 (#1~18)

 

G.ゴール設定

短期ゴール(2W):手すりを使用した階段昇降自立

長期ゴール(3W):1本杖での屋外歩行自立

最終ゴール:屋外への生活範囲の拡大

 

<アセスメント>

短期ゴール:自宅に段差が多いため段差を乗り越えらえるように階段昇降を獲得させる。

長期ゴール:屋外での歩行になると坂道や細い道、横歩き、車などの危険があるのでそのための歩行獲得

最終ゴール:デイケアや近所への買い物に行くためのゴール

 

H.治療プログラム

①神経筋促通法(PNF)

目的:筋出力低下の下肢の筋へ行う。腸腰筋・中殿筋・大腿筋膜張筋・大腿四頭筋・前脛骨筋・長短腓骨筋などを強化する。

方法:肢位は背臥位である。開始肢位は、股関節:伸展-内転-外旋位、膝関節:伸展位、足関節:底屈-内返し位に保持する。セラピストの両手で下肢長軸方向に他動的に牽引しておく。遠位手は足底屈-内返し方向に急激な伸張を加え、この直後に患者は足背屈-外返し運動を開始する。患者の視線は絶えず運動方向に向けさせる。中間肢位では、両手で下肢を牽引しながら伸展-内転-外旋方向に抵抗を加える。この運動パターンは抗重力のため、抵抗より牽引を強調する。最終肢位は、股関節:屈曲-外転-内旋位、膝関節:伸展位、足関節:背屈-外返し位となる。

 

②輪投げを利用したリーチ運動

目的:バランス能力獲得、前傾することでの腹筋群の強化

方法:輪を触ってもらうように指示してあらゆる方向に動かして触ってもらう。

 

③立位バランス訓練

目的:バランス能力獲得

方法:まず、左右、前後への重心移動とそれに伴った随意的なステップの練習を行う。その動きの中で骨盤、体幹の回旋も引き出す。続いて肩などから外乱刺激を与える。はじめは刺激とそれに伴うべき下肢や体幹の動きを予告説明したうえで刺激を加える。ステップが出ても下肢を速やかに元に戻すことができなかったり、体幹がうまく立ち直らないことが多いので、細かく指示を与える。風船やボールを使って体幹の回旋や下肢の屈曲を伴ったバランスの練習を行う。

 

④階段昇降訓練

目的:階段昇降能力獲得

方法:低い段差から通常の段差への訓練を行う。

1)階段を利用した下肢の動的支持運動を行う。麻痺側を軸に、非麻痺側を上・下段にステップする。次の段に足を昇降させるという目標が明確であることも運動を誘発するのに有効である。

2)杖か手すりを使用して、訓練用階段の5~6段の昇降訓練から開始する。2足1段昇降→1足1段昇降の順に行う。

 

⑤応用歩行訓練

目的:障害物等の乗り越え獲得

方法:1)溝またぎ…最初は10㎝程度のものから、しだいに幅を広げて30㎝幅くらいのものまで練習する。

   2)障害物またぎ…5㎝高さ程度の角材などをまたぐ練習から、10㎝程度のものまでを練習する。

 

⑥動的関節制動訓練

目的:各肢位への移行動作の獲得

方法:半歩前荷重位・半歩後荷重位を学ばせる。(歩行や階段昇降の肢位に相当する)

他にも、1)立位にて足指把握機能を学ばせる。2)半歩前荷重肢位と、半歩後荷重肢位を学ばせる。3)半歩片脚起立。4)半歩荷重肢位、片脚起立の各肢位にて、PTは肩、骨盤、膝部などよりあらゆる方向から外力を加えるなどがある。

 

⑦短縮筋へのストレッチング

目的:筋の短縮の改善

方法:以下の筋の走行に沿ったストレッチング、またはダイレクトストレッチングを行う。

・広背筋:肩関節屈曲・外転・外旋位

・大殿筋:股関節屈曲・外旋位

・大腿二頭筋:股関節屈曲・内旋位

・腓腹筋:膝関節伸展・足関節背屈位

 

⑧退院後指導

住宅改修に向けての手すり使用などの指導

 

I.考察

 本症例は、右側脳室体部近傍白質に新鮮梗塞がみられ、MRAでは動脈硬化と考えられる。軽度狭窄が多発しているが、強い狭窄や閉塞はなく、穿通枝梗塞と考えられる。

〇〇代より高血圧、糖尿病の内服コントロールでA医院にかかっていた。〇〇年〇〇月に一過性脳虚血発作発症(脳血栓症右レンズ核線条体動脈【ラクナ】)にてB病院(神経内科)に緊急入院。これまでにいくつもの脳血管障害があったため、いつ再発してもおかしくない状態である。糖尿病の合併症として感覚障害がある。たまに下肢に痛みを訴えているのはこれが原因と考えられる。

本症例は、Brunnstrom Stageは上肢Ⅳ、下肢Ⅴ、手指Ⅴである。上肢は、StageⅣの動作が肘90度屈曲位で前腕の回内しかできないが、StageⅤの肘伸展位で前腕回内・回外ができることとまた、StageⅢの共同運動はなく、著名な痙性もみられず、StageⅢとは考えにくいため、上肢のステージはⅢとした。下肢はStageⅣ、Ⅴの動作が全てと、StageⅥの座位でハムストリングによる、下腿の内・外旋が可能だが、基本概念StageⅥの分離運動が自由に、早く協調性を持って行える状態ではないため、StageⅤと判断した。手指はStageⅤの動作が全て可能でStageⅥの動作については可能な動作がなかったためStageⅤと判断した。

本症例は、病棟内では杖歩行は自立しており、介助すれば階段昇降も可能なレベルである。Barthel Indexでの減点項目は階段昇降、入浴動作である。本症例は病棟内では杖歩行は自立しており介助すれば階段昇降も可能なレベルである。自宅復帰後、屋外への出入りが必要となるため階段昇降が一番の問題点と考えている。自宅復帰も近いことから短期ゴール(2W)は1本杖または手すりでの階段昇降自立、長期ゴール(3W)は1本杖での屋外歩行自立、最終ゴールは屋外への生活範囲の拡大(デイケア等)につなげていきたい。

本症例の自宅は段差が多く、一度自宅で段差につまずき転倒したという経緯があるために、段差等があっても歩行に支障がない状態にする。現在は病棟内での杖歩行自立はしてはいるが、段差がない空間で日常生活を送っている。自宅はまず玄関に段差があり、部屋のいたるところに段差が多いために自宅で安心した生活を送れるためにもまずは段差を乗り越えられることを考えて短期ゴールに設定した。

長期ゴールでは、1本杖での屋外歩行は階段昇降ができなくても可能かもしれないが、現在とは全く違う環境にでていく。坂道もあったり、急な方向転換もあったり、細い道に入ったり、横歩きをしたり、また車の交通があったりと全く違う環境にでていくため、最低限の段差は乗り越えられるだけの能力をみにつけたあとに長期ゴールにもっていきたいと考えている。1本杖での屋外歩行につなげていくことによって、活動範囲を広げていきたいと考える。最終ゴールは、屋外への生活範囲の拡大(デイケア)を目標に設定した。デイケアは家族の介助量の軽減にもつながり、本人にとってもQOLの向上にもつながると考える。

本症例の歩行をみると右肩甲帯が挙上しており、股関節を屈曲して左下肢を前方に踏み出した時に左足部が床に着く時に膝関節の屈曲があまりみられないまま膝関節を伸展していきHCがないHCとFFの足底全面接地がおこる。同時に接地した下肢の方に体幹の側方移動がみられるが大きい揺れはないが、麻痺側で接地した時に体幹が左に沈み込むような動作をする。これは歩行時に体幹が麻痺側に傾き、麻痺側の肩が沈みこむような感じで歩行をする。これらのことから、歩行の問題点は遊脚相初期のつま先の引っかかり、HCから立脚中期にかけて麻痺側の支持性低下、右への立ち直り反応の低下と考える。これらの問題点を全体的に考えてみると、転倒の可能性が高くなってしまう。足関節の背屈制限が考えられ、筋トーヌス検査からもわかるように下腿三頭筋の短縮が考えられる。また、膝関節の伸展制限によって片脚支持になった時に膝関節屈曲位で立っているのは、正常に働く筋以上の筋活動を必要としてしまうために、不安定になりやすいと考える。また、バランス検査からも確認できるが、右への立ち直り反応が弱いために体幹を正中位に戻すことができず、歩行速度が上がるにしたがって麻痺側偏位の歩行となってしまい下肢の挙上困難にもつながる原因であると考える。MMTでの体幹筋力低下が確認できるため、体幹筋力低下も考えられるし、筋トーヌス検査から筋の過緊張で反応が遅れたりする可能性も考えられる。脳梗塞後遺症であるために、筋の伝達が正常に行われていない可能性もあるために筋出力低下ということも十分に考えられる。これらの治療プログラムとして麻痺側の支持性低下には、PNFを筋出力低下の下肢の筋へ行うことによって麻痺側下肢筋の随意的な収縮を行わせ、筋の出力を高め支持性を高めていくことや立位バランス訓練を行い、左右、前後への重心移動とそれに伴った随意的なステップの練習を行うことや筋の走行に沿ったストレッチング、またはダイレクトストレッチングを行うことで筋の左右差を無くし、安定した歩行を獲得していく。

一番の問題点と考える本症例の階段昇降動作において、短期ゴールの阻害因子とする原因は、昇りではつま先の引っかかり、麻痺側下肢の支持性低下である。一段目の階段を昇る時につま先が引っかかってしまが、麻痺側の支持性低下であると考えられ、これはMMTやBrunnstrom Stageからも判断できるが、1本杖歩行が自立していても麻痺側の筋出力の低下により非麻痺側に比べると支持性は低下していると考えられる。これはBrunnstrom StageⅤの股関節外転ができないことからも判断できる。またMMTを計測した結果、体幹と左下肢の筋力低下が目立つ。特に体幹の筋がMMTで「2」であるというのは体幹への筋出力低下が原因と考えられる。上肢や下肢の筋は日常生活の中で、歩行や、食事・整容といった中で使っていく筋なために筋力維持されやすい。体幹筋も歩行や日常生活動作は抗重力姿勢での活動が多いため、筋力が維持されているように思える。しかし、立ち直り反応の結果などと照らし合わせてみても体幹への筋出力が低下し、麻痺側の筋が非麻痺側と同様に作用しないと考える。麻痺側である左下肢も非麻痺側に比べるとMMTの上では筋出力の低下があると判断できる。本症例は病棟内での自立歩行が可能であるが、体幹のアライメントが非麻痺側に偏位していることや、体重計での左右差を計測したときに非麻痺側の方が荷重量が大きかったというのも普段での日常生活では非麻痺側での体重支持が優位となった生活が主に行われていると考えられる。また頚部・体幹への立ち直り反応の低下がみられる。これらは、階段を昇降する際に支持性の低下にもつながることでもあるし、これは歩行の際にも大きく関係してくる。

 降りる時の一番の短期ゴールの阻害因子は右膝の疼痛である。本症例は左片麻痺であるが右膝を屈曲させて左下肢を着いた時に一番痛みが増強する。本症例の右膝蓋骨上縁3㎝上に原因不明の異所性骨化が存在する。これが原因で膝に痛みを訴える。これは手術以外での痛みを取り除く方法は考えにくく、PTのアプローチとして身体的なことよりも、踏み台や手すりを用いて段差を低くしたりするなどの環境的アプローチを心掛ける必要性がある。左右、前後への重心移動とそれに伴った随意的なステップの練習を行い、その動きの中で骨盤、体幹の回旋も引き出すなかで、頚部・体幹の立ち直り反応の獲得も目指す。また、輪投げによるリーチ運動を行うことで体幹を前傾させ獲得しにくい体幹の腹筋力を訓練することにより、体幹の安定性にもつなげる。過緊張がみられる広背筋、大殿筋、大腿二頭筋、腓腹筋の筋に対しては、筋の走行に沿ったストレッチング、またはダイレクトストレッチングを行うことで筋の左右差を無くし、安定した歩行を獲得していく。以上のようなアプローチを行い家庭復帰までの援助をしていく必要性があると考えた。

 

【引用・参考文献】

1)丹波義明:脳卒中片麻痺患者の歩行.PTジャーナル37.11-19.2003.

2)内山靖:高齢者の転倒予防と理学療法.理学療法18巻9号.2001.

3)川口浩太郎:運動負荷.理学療法17巻4号.2000.

4)吉尾雅春:標準理学療法学 運動療法学 各論.医学書院.

 

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

-書き方, 脳血管疾患, 病院, レポート・レジュメ