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【全身性エリテマトーデス(SLE)】レポートの作成例【実習】

2021年12月30日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「全身性エリテマトーデス(SLE)」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 全身性エリテマトーデス(SLE)の患者

 

「全身性エリテマトーデス(SLE)」の患者のレポート・レジュメ作成例

[基本情報]

患者氏名:

年齢:40歳代

全身状態:身長cm 体重kg

診断名:SLE、腎不全、仙骨の褥瘡から両股関節膿瘍での切開術後

合併症:高血圧

現病歴:〇〇歳時でSLEの診断を受けプレドニン内服、〇〇歳で自己中断していた。〇〇年〇〇月腎機能悪化を認め、全身管理目的でA病院ICU入室。〇〇年〇〇月一時退院し、身の回りのことは一人でできる程度であったが、〇〇年〇〇月に倦怠感出現し臥床がちとなり褥瘡形成。同月救急車にてER受診。また、入院時より左大腿部発赤あり壊死性筋膜炎の疑いで、全身麻酔下で切開排膿術施行。デブリードマン施行。(ペンローズドレーン×2)〇〇年〇〇月よりリハビリ目的で当院転院。

既往歴:

〇〇年〇〇月 SLE

〇〇年〇〇月 高血圧症

〇〇年〇〇月 子宮筋腫(経過観察中)

主訴:左下肢が重たく、歩行が困難

ニード:屋内歩行自立 床坐位からの起き上がり

服用薬剤:プレドニン(作用)抗炎症作用 抗アレルギー作用 免疫抑制作用 (副作用)脂肪異常沈着(ムーンフェイス) 副腎不全 抑鬱 感染症 骨粗鬆症 血栓症 頭痛 吐き気 不眠 頭髪の脱毛 低カリウム血症

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[個人的・社会的背景]

Key Person:母親

同居家族:両親

趣味:パソコン インターネット

支援:経済支援、公的支援あり

家屋構造:実家は平屋で、風呂場、トイレに手すりが設置されている。寝室には電動式のギャッジアップベッドがある。玄関前に2段、玄関上がり框に段差がある。特に玄関上がり框の段差はきつい。(およそ30㎝)

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[検査・測定]

全体像

表情は明るく、コミュニケーションは良好である。リハビリテーションに対して積極的であるが、疲れやすい。ステロイドの副作用によるムーンフェイス、腹部膨隆、頭髪の脱毛がみられる。皮膚にはSLEに特有の紅斑がみられる。

現在SLEの病状は安定しており、SLEによる関節障害、筋炎などの機能障害はほとんどみられない。腎不全の症状も安定しており、また、長期臥床によって形成された仙骨部の褥瘡もほぼ完治している。手術直後は術部に痛みがあったが現在痛みは消失している。両下肢の筋力低下、下腿三頭筋腱の短縮がみられ、特に左下肢に著明である。上肢機能、筋力は若干の低下がみられるが特に問題ない。

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姿勢観察

「坐位」~ベッド上端坐位~

頭頚部屈伸0°、体幹軽度伸展位、骨盤軽度前傾、肩関節軽度屈曲、内転、肘関節90°屈曲、前腕回内にて手部は両大腿上である。下肢は股関節90°屈曲、軽度内転、内旋位、膝関節90°屈曲、足関節は、右足関節はほとんど足底全体で接地しているが、左足関節軽度底屈位で踵が接地しにくい。

前後方向、左右方向でアライメントを観察したところ、前後方向では、耳垂-肩峰-大転子がほとんど一直線上にあり、アライメントは良好であった。左右方向では、後頭隆起-椎骨棘突起-殿裂がほとんど一直線上にあり、アライメントは良好であった。また、両腕を組んだ状態で2分以上安定した端坐位保持が可能であった。

 

「立位」~平行棒内、靴装着にて~

頭頚部屈曲伸展中間位、体幹軽度伸展位、肩関節軽度屈曲、外転、肘関節90°屈曲、前腕回内にて手部はバーをいつでも掴めるようにバー上にある。下肢は股関節軽度伸展位、内外旋中間位、膝関節軽度伸展、足関節底背屈中間位で足底全体で接地している。

前後方向、左右方向でアライメントを観察したところ、前後方向では、耳垂-肩峰-大転子-膝関節前部-外果2cm前部がほとんど一直線上にあり、アライメントは良好であった。左右方向では、後頭隆起-椎骨棘突起-殿裂-両膝関節内側中心-両内果間中央がほとんど一直線上にあり、アライメントは良好であった。また、2分間の立位保持テストを行ったところ、後半に前後方向のふらつきがみられた。

 

動作観察

「背臥位→側臥位」~寝返り~

上肢先行型の寝返りである。まず頭部が回旋し、次に下方に位置する肩甲帯後退、肩関節伸展により、肘、上腕でベッドを押しながら、上方の肩関節を屈曲、内転、内旋、肘関節屈曲させ支持基底面を狭くさせ、上肢体幹を回旋させる。それに続いて下肢が回旋する。十分な体軸内回旋がみられ、効率的な寝返りが行えている。

 

「側臥位→端坐位」

 下肢をベッドの端から下ろし、骨盤を軸に、肩関節を伸展、外転させ上体を起こし、肘で体幹を支える。その後徐々に肘関節を伸展、手掌で体幹を支えながら、上体を近づけ、端坐位へとなる。

 

「端坐位→立位」~立ち上がり~

 車椅子上での坐位姿勢で、肩関節軽度屈曲、肘関節90°屈曲、前腕回内位にて両前腕を車椅子のアームレスト上に置いている。その肢位より、膝関節90°屈曲位からさらに軽度屈曲させ、下腿を後方へ引き足底全体を床に接地させるとともに、体幹屈曲し重心を前方へと移動させる。同時に肘関節伸展させ、手部でアームレストを押しながら、股関節伸展、膝関節伸展させ臀部離床する。この時、足関節の背屈はあまりみられなかった。

 臀部離床後、肩関節屈曲、肘関節伸展させ、さらに手部でアームレストを押しながら、股関節伸展、膝関節伸展を強め、立位姿勢へとなる。

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「歩行」~裸足にて~

 介助まではいかないが、安全のため患者の左側からズボンを把持した状態での歩行で、安定性、安全性に欠け、歩行速度も遅く(歩行速度0.44m/秒:リハ室内1周約30mを70秒)屋内歩行の実用性は低下している。

左下腿Heel contact(以下HC)からFoot flat(以下FF)にかけてほとんど足底全体で接地している。FFからMid stance(以下MS)にかけて膝関節の伸展がみられる。(正常歩行ではMSで膝が15度屈曲)同時に、Trendelenburg歩行がみられ、右側の骨盤が下降し、体幹は左側へと側屈している。左下肢への荷重時間が少なく、右下肢の遊脚期は短くなり、そのため右下肢は左下肢を完全に交差する前に接地してしまう。Heel off(以下HO)はほぼ正常通りみられ、Toe off(以下TO)から加速期にかけては、足指で強く地面を蹴りだせず、また、股関節の屈曲も弱い。遊脚中期から減速期にかけては、下肢が前方へ振り出され、膝関節の伸展がみられる。

上肢は常に肩関節軽度屈曲、外転、肘関節屈曲、前腕回内位でバランスをとっている。

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階段昇降動作

昇段時 

①手すりを持った左手を前に、同時に右足を昇段させる。→十分に右下肢をあげることができ、問題なく昇段できる。

②重心を左手、右足へと移す。→体幹の左側屈がみられるが特に問題はない。

③左足を昇段させる。→左上肢肩関節伸展、肘関節伸展と同時に右下肢股関節伸展、膝関節伸展させ左下肢を持ち上げるようにして昇段させる。右下肢の挙上が弱いため、十分に左上肢、右下肢で持ち上げてやらないと段差につま先がひっかかることがある。

 

降段時

①両手で手すりを掴み、重心を前へ移動させる。

②左足を下ろす。→支持足である右足に若干の膝折れがみられ、左足を下段にゆっくりと接地することができない。このとき左下肢膝関節は伸展位で接地する。

③右足を下ろす。→左下肢膝関節伸展位で右足を下ろす。

 

ADL評価

Barthel Index 85点

食事:自立 準備してもらえば自分でできる

トイレ動作:自立 夜間はオムツ使用 トイレに何回も起きるということが心理的圧迫感となるため

入浴動作:要介助 

更衣:自立

整容:ほぼ自立 足の爪きりのみ介助

起居・移動動作:自立

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MMT

肩甲骨

外転・上方回旋

4-

4

屈曲

2

3

挙上

4

4

屈曲・外転・及び膝屈曲位での外旋

2

4-

内転

4

4

伸展

4

4

下制と内転

4

4

外転

2

3

内転・下方回旋

3

3

外転(股屈曲位)

2

3

内転

2+

3

屈曲

4

4

外旋

2

3

伸展

3+

3+

内旋

2

4

肩甲骨面挙上

5

5

外転

5

4

屈曲

3

4

PR水平外転

4-

4-

伸展

2+

4

水平内転

4

4

足・足部

外旋

4

4

底屈

2+

2+

内旋

3

3

背屈

3

5

外返し

4

5

屈曲

4

4

内がえし

3

5

伸展

4

4

   

前腕

   

回外

4

4

体幹

回内

4

4

屈曲

2+

2+

回旋

3

3

屈曲

4

4

   

伸展

5

5

   
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ROM

屈曲

120

120

伸展

10

15

外転

30

45

内転

15

15

外旋

40

45

内旋

35

30

屈曲

140

150

伸展

0

0

足・足部

底屈

70

65

背屈

5

10

外返し

5

15

内がえし

15

10

外転

5

10

内転

10

15

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痛み

左大腿から足指にかけて痺れ じんじんする

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反射テスト

(1)腱反射
 

 

上腕二頭筋腱反射

++

++

アキレス腱反射

++

+

上腕三頭筋腱反射

++

++

   

腕橈骨筋腱反射

++

++

回内・外筋反射

++

+

膝蓋腱反射

++

++

   
(2)病的反射
 

膝クローヌス

足クローヌス

ホフマン

トレムナー

バビンスキー

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[統合と解釈]

 現在のActivity limitationレベルの問題点として、屋内歩行実用性の低下が挙げられる。

歩行動作における現在の問題点として、左下肢HC時の足底全体での接地、左下肢MS時の体幹の不安定性及び膝関節の過進展、左下肢減速期の下腿の制動不足が挙げられる。

まず、左下肢HCからFFにかけての足底全体での接地については、前脛骨筋の筋力低下により足関節の十分な背屈保持ができないことが考えられる。この時前脛骨筋は遠心的に働きゆっくりと足底を地面につけることに役立っているが、この筋に筋力低下がみられると代償的に足底全体で接地してしまう。また、足関節の可動域制限があるためHC時に十分に足関節を背屈できないことも考えられる。背屈制限は長期臥床により重力の影響で足関節が底屈位の状態が長期間に及び、下腿三頭筋の短縮が起きたためと考えられる。

次に、左下肢MS時の体幹の不安定性及び膝関節の伸展について述べる。体幹の不安定性は、Trendelenburg徴候が見られることから、左側下肢の股関節外転筋である中殿筋の筋力低下に起因するものと考えられる。中殿筋を主とする股関節外転筋に弱化があると、その下肢だけでの起立時に大腿骨を骨盤に固定できないため、非支持脚側の骨盤が下方へ傾く。これを代償するために支持側へ体幹を側屈してしまい、体幹の不安定性が生じてしまうものと考える。そして、膝関節の過伸展については、大腿四頭筋の筋力低下により膝折れを防ぐために起こるものと考えられる。

最後に、左下肢減速期の下腿の制動不足については、ハムストリングスの筋力低下が考えられる。ハムストリングスは遊脚中期から減速期にかけ、遠心的に働き下腿の制御に役立っているが、この筋の筋力低下により振り子状に振り出した下腿を制御しきれず、膝関節の過伸展が生じてしまっていると考える。

 

[ICFによる生活機能の構造]

 

[問題点の抽出]

Impairment level

♯1 廃用による二次的下肢筋力低下

♯2 廃用による二次的な下肢関節可動域制限

♯3 左下肢の痺れ

♯4 上肢の筋力低下

 

Activity limitation level

♯5 屋内歩行困難(安定性、安全性に欠けるため)

♯6 体力低下

♯7 入浴動作困難

♯8 床からの立ち上がり困難

♯9 階段昇降困難

 

Participation restriction level

♯10 在宅復帰困難(屋内歩行の実用性に欠けるため、段差未整備のため)

♯11 自宅復帰後の家庭での役割、自身の目標が不透明である

 

[ゴール設定]

Short goal 下肢の筋力増強、実用的な歩行の獲得

Long goal 階段昇降動作の獲得、家庭復帰、復帰時の自分自身の役割の獲得

 

[プログラム]

筋力増強訓練

足部関節可動域訓練

歩行練習

階段昇降

 

[考察]

 本症例は、現在SLEの病状は安定しており、SLEによる関節障害、筋炎などの機能障害はほとんどみられない。腎不全の症状も安定しており、また、長期臥床によって形成された仙骨部の褥瘡もほぼ完治している。手術直後は術部に痛みがあったが現在痛みは消失しており、痺れを有するがADL能力の向上にむけ特に問題はない程度である。両下肢の筋力低下、下腿三頭筋腱の短縮がみられ、特に左下肢に著明である。上肢機能、筋力は若干の低下がみられるが特に問題ない。

 本症例で、最も問題となっているのが、廃用による両下肢の筋力低下である。特に中殿筋、大腿四頭筋、前脛骨筋の筋力低下が著しく、それが患者のADL能力の向上、安定した歩行を獲得するのに大きな障害となっている。そこでまず、これらの筋の筋力増強訓練を考えた。中殿筋については、セラバンドによる負荷を用いて背臥位にて股関節外転動作を行う。大腿四頭筋については、マシンを用いて、膝関節の伸展動作を行う。20回を1セットとし、2セット行う。膝を伸展させるときに、息をしっかりと吐き出すように促す。重量に慣れてきたら1kgずつ徐々に負荷量をあげる。前脛骨筋については、端坐位で、足部に重りをつけ、つま先を上げる運動を行う。また、訓練中患者にどこの筋肉を使ってやるか説明し、意識付けをすることでより効果的な筋力アップが望めると考える。

 本症例では、左足関節の背屈制限がみられ、これは下腿三頭筋の短縮によるものと考えられる。そこで、足関節の関節可動域訓練を行うことで背屈の可動域を改善し、歩行時により安定した歩容の獲得を目指す。まず、膝関節を屈曲させ、二関節筋である誹腹筋をできるだけ弛緩させ、ヒラメ筋から伸張させる。次に膝関節を伸展させ、誹腹筋の伸張を促す。

 上記のことをまず重点的に行った上で、平行して歩行、階段昇降の練習を行う。歩行は、安全性を考慮し、平行棒内か、歩行器を用いて行う。平行棒内では、できるだけ手を離して行い、歩行器歩行では、上肢全体を歩行器に乗せるのではなく、できるだけ手だけで持つようにする。階段昇降動作の獲得は、自宅に2,3段の段差があるため、家庭復帰には欠かせない項目である。昇段時にできるだけしっかりと下肢を上げ、足部のひっかかりに注意し、降段時には支持足が膝折れを起こさないよう、手すりに体重を預け、ゆっくりと降りるように注意する。しかし、自宅には手すりが設置されていないため、杖を用いた階段昇降動作の練習も行っているが、安全性、安定性から考えると手すりは必要である。手すりが設置できないとき、それに代わる手を置ける台などの設置はできないか、今後、在宅の詳しい状況を調べ、可能であれば福祉用具の適応なども考えていく必要がある。

 

[参考文献]

  1. ICFに基づく評価の進め方と記載 宮崎哲哉 PTジャーナル39巻10号890~897 2005
  2. 基礎運動学第6版 中村隆一他 医歯薬出版 2003
  3. 臨床運動学 丸山仁司 アイベックス 2002
  4. リハビリテーションにおける評価Ver.2 米山恭三 医歯薬出版 2004
  5. 理学療法評価法 千従秀明 神稜文庫 2000

 

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

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