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【大腿骨頚部骨折+腎不全】レポート・レジュメの作成例【実習】

2022年1月1日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「大腿骨頚部骨折+腎不全」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 大腿骨頚部骨折を呈する患者

  • 腎不全あり

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「大腿骨頚部骨折+腎不全」の患者のレポート・レジュメ作成例

Ⅰ.一般情報

1.患者情報

氏名:

年齢:歳代

利き手:右(シャント部位は左手)

 

2.医学的情報

診断名:右大腿骨頚部骨折術後

発症日:〇〇年〇〇月〇〇日

入院日:〇〇年〇〇月〇〇日(術後、約4週)

現病歴:〇〇年〇〇月〇〇日夜間自宅にて転倒。救急車にてA病院受診され右大腿骨頚部内側骨折にて即日入院となりA病院で〇〇年〇〇月〇〇日人工骨頭置換術を施行。〇〇年〇〇月〇〇日に今回リハビリ、さらに既往の期末性腎不全のため人工透析目的にて当院へ入院となる。現在は術後、約7週である。

既往歴:末期慢性腎不全・腎性貧血・高血圧症・骨粗鬆症・慢性胃炎・透析困難症・左変形性膝関節症

薬剤情報:ユーパッチ、アダラート、グラケー、セルベックス、デパス、カルタン

 

3.他部門からの情報収集

Ns:病棟では車椅子へ移乗し自己にて車椅子トイレへ。同室の患者が夜間ナースコールを多用するために眠れず、不眠を訴えることが多い。

OT:リハビリは意欲的だが、その日ごとのメンタル面がモチベーションに影響することが多い。

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4.社会的情報

家族構成:独居 夫あり(B病院にて長期入院中)

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Key person: 長女(近隣に住んでいる。平日は仕事で多忙)

家屋構造:6階(エレベータあり)2DKでベットを利用。

職業:無職(以前は着物を着て、飲食店で仕事をしていた)

趣味:買い物

主訴:右下肢痛、歩行困難

本人の要望:転倒しないように歩行能力を向上させたい。体力をつけたい。入院前と同様にタクシーを利用しヘルパーと一緒にスーパーへ買い物に行きたい。

家族の要望:不明。

入院前ADL状況:屋内での生活はおおむね自立しているが、介助なしには外出しない。介助により外出し、日中はほとんどベットから離れ坐位で過ごしていた。週2回のホームヘルパーを利用し掃除や料理の補助、タクシーを利用し近所のスーパーへの買い物へ行くときには軽介助(タクシーの乗降・買い物かご持ち)が必要で付き添いをしてもらっていた。

 

Ⅱ.理学療法評価

1.全体像

1)第一印象

訓練室へは車椅子(介助)にて来室。小柄で痩せ型である。気品があり、コミュニケーションは良好で、こちらからの問いかけにもはっきり答えられ、話し好きで明るく自分から話されることが多い。リハビリに対しても意欲的な印象を受ける。性格は真っ直ぐで意見をはっきりと言われる。病識もあり傷病状態もほとんど把握されている。人工透析は週3回あり、体力的にも疲れやすいとの申出もあった。

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2)精神機能

コミュニケーション面から特に問題は感じられない。

 

3)全身状態

(バイタルチェック) BP:123~198/51~88  脈拍:75~96回/分

(体形)身長: BMI:17.1

BMIの正常値は、20~22であり、18.5未満は低体重である。

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1.身体機能評価

1)形態測定 

<四肢周径> 単位:cm

※ すべて背臥位にて計測

 

<四肢長> 単位:cm

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2)関節可動域検査 (単位=°  P=Pain)

※ 肩関節(屈曲・伸展・内外転・内外旋),肘関節,手関節,頸部,体幹には著明な可動域制限、及び左右差は認められなかった。膝関節屈曲時の疼痛は変形性膝関節症によるものと考えられる。特に右股関節の外転制限があった。

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3)MMT

部位名

測定肢位

股関節

 

 

 

 

屈曲      

4

5

坐位

屈曲、外転および膝屈曲位での外旋

5

5

坐位

伸展

4

5

側臥位

外転

4

5

側臥位

外転(股屈曲位)

4

5

側臥位

内転

5

5

側臥位

外旋

4

5

坐位

内旋

4

5

坐位

膝関節

 

屈曲

5

5

坐位

伸展

5

5

坐位

足関節

 

底屈

5

5

立位

背屈内反

5

5

坐位

内反

5

5

坐位

※両上肢は共に5レベルであった。右下肢(特に股関節周囲筋)に筋力低下がみられる。

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2.神経学的評価

1)疼痛評価・右大腿部前面

①安静時痛:(-)

②炎症傾向:発赤(-)腫脹(-)熱感(-)

③夜間痛:(-)

④運動時痛:(+)立ち上がりの荷重時の際、及び歩行開始時の右立脚期の足底接地の際に、「ビリッ」というような疼痛が出現する。(3/10)

visual analogue scale (VAS)

※他の部位での疼痛なし。

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2)深部腱反射
 

上腕三頭筋

上腕二頭筋

腕橈骨筋

膝蓋腱

アキレス腱

3)病的反射
 

クローヌス(足)

     (膝)

ホフマン

トレムナー

バビンスキー

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4)感覚検査 
①表在感覚

触覚:左右を比較して答えてもらう。検査用のはけを用いて行う。     

 

部位

右/左

 

顔面

10/10

上肢

手指

10/10

前腕

10/10

上腕

10/10

下肢

足指

10/10

下腿

10/10

大腿

7/10

痛覚:左右を比較して答えてもらう。検査針を用いて行う。                 

 

部位

右/左

 

顔面

10/10

上肢

手指

10/10

前腕

10/10

上腕

10/10

下肢

足指

10/10

下腿

10/10

大腿

7/10

触覚、痛覚ともに下肢の右大腿部で少し返事が遅れる、感覚鈍麻あり。

 

②深部感覚

運動覚:他動的に各関節を上下中間位と動かし、その運動方向を答えてもらう。5回行ったうちの正解数。

 

上肢(母指)

5/5

5/5

下肢(母趾)

5/5

5/5

位置覚:右側を動かし、左側にて真似してもらう。5回おこなったうちの正解数。

 

上肢(母指)

5/5

下肢(母趾)

5/5

深部感覚は異常なし。

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3.動作分析

1)姿勢反射・バランステスト

[坐位]

前方刺激:外乱刺激を加えると、頭部伸展・体幹伸展の立ち直りを示し、上肢は前方へ屈曲し下肢はやや膝伸展する。

後方刺激:外乱刺激を加えると、頭部屈曲・体幹屈曲の立ち直りを示し、上肢は後方へ伸展し、下肢は、膝軽度屈曲、股関節屈曲する。

右方刺激:外乱刺激を加えると、頭部をやや左側屈、体幹も左側屈で体幹の立ち直りを示し、右上肢は外転し、下肢は膝屈曲、左股関節外旋する。

左方刺激:外乱刺激を加えると、頭部をやや右側屈、体幹も右側屈で体幹の立ち直りを示し、左上肢はやや外転し、下肢は膝屈曲、右股関節外旋する。

すべての方向で立ち直り反応・姿勢反射あり。

外乱刺激を与えるとバランスを崩しやすい。

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2)静的動作分析

[坐位] (自立)

骨盤はやや後傾し、体幹はやや前傾姿勢で、頚部はわずかに前屈位。下肢はやや外旋・外転位をとっている。全体的に重心はわずかに左側にある。

 

[立位] 一本杖を用いて可能、

杖なしでも数十秒程度であれば立位保持可能(監視レベル)

上肢は肘関節軽度屈曲、肩関節外転で、肩関節の外転、肘関節の屈曲は左が右よりやや大きく、右肩が左肩より高い。体幹はやや前傾しわずかに左側屈、骨盤もやや後傾の下肢は膝・股関節ともに軽度屈曲している。患側に十分に荷重できないため、重心は少し左下肢にのっている。頭頚部はほぼ正中位で、左肩甲帯・骨盤はわずかに下制している。

 

3)起居動作分析

[背臥位→側臥位→片肘立て位→端坐位] (自立)

・背臥位から端坐位では、頚部は左方へ回旋し、両股・膝関節を約45°屈曲させ、左方に倒し、それからゆっくりと骨盤・体幹・肩甲帯を左へ回旋させ側臥位となる。

・側臥位から、体幹を覆い被せるようにして、左上肢をつき体幹を支持する。次に左上肢で床を押し、頭部を持ち上げ体幹を前下方に起こし、左前腕と左手掌にて床を押しながら少しずつ体幹を正中位まで起こしていき、端坐位となる。

・端坐位から背臥位では、頚部・肩甲帯・体幹・骨盤を左へ回旋させながら、同時に左手掌にて床を押しながら徐々に上肢を外転、屈曲させて、前腕支持となり次いで肘関節支持になりながら骨盤を支点に体幹部と下肢の重みでバランスをとりながらゆっくりと背臥位となる。

 

[端座位→立位] (手すりを用いて自立)

・端坐位より、手すりを利用しながら、頚部、体幹を屈曲させ重心をやや左前方に移動させ、股・膝関節屈曲し、臀部が少し浮いたら股・膝関節を伸展させながら体幹も伸展させて立位となる。全体的にやや左方に重心がある。

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4)歩行分析

[歩行] T-caneを用いて自立・2動作歩行(前型)監視レベル

・歩容はとぼとぼと歩くような感じで、全体を通して重心がわずかに左側よりである。左手で杖を持ち、監視レベルで前型の二点歩行ができる。後方から見ると重心は健側に寄り、やや左肩上がり。

・矢状面で見るとわずかに脊柱が曲がった状態での歩行である。重心の移動は十分におこなわれておらず、骨盤の左方向への移動が不足している。

・患側の立脚相においても重心は健側と杖の支持に頼っている割合が多く、十分な荷重をかけないで歩行している。術側下肢の立脚相において同側骨盤の下方への沈み込みが見られる。その代償として体幹が右に側屈して左肩上がりの姿勢になっている。

・歩幅は小さく、歩行周期に関しては、患側立脚相では踵接地と足底接地がほぼ同時におこなわれている。立脚中期を過ぎたくらいですぐに右足の踵接地がおこなわれ、右下肢による立脚相は短い。このときに重心は、杖に移行しており、患側下肢への重心移動は十分ではない。

・遊脚相は、膝を少し屈曲させる事により床面から足底面の離地がおこなわれており、足関節の底背屈の動きは少ない。

・視線はやや前方を見ている。右上肢の振りは少なく過伸展位をとり杖を持つ左上肢とのバランスをとっている。

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4.ADL検査(FIM)

FIM:105/126 点

[セルフケア]

食事:摂食は、箸を用いて自立、咀嚼・嚥下可能(7)

整容:入院中のため化粧は除き、口腔ケア、整髪、手洗い、洗顔可能(7)。

入浴:両上肢、胸部、腹部、会陰部の前側のみ自分であらう(3)

更衣(上半身):介助者、器具不要。安全で通常の時間内である(7) 

更衣(下半身):通常より時間がかかる、または安全性の考慮が必要だが監視は不要(6)

トイレ動作:手すり利用、排泄後拭くことができ、服の上げ下ろしができる(6)

[排泄管理]

排尿:人工透析を受けていて自尿はない(7)

排便:Nsに便軟化剤を配ってもらっている(6)

[移乗]

ベッド、椅子:手すりを使って1人で移乗している(6) 

トイレ:手すりにつかまって、トイレに移乗することができる(6)

風呂・シャワー:シャワー椅子から移乗するのに椅子をおさえていてもらう(4)

[移動]

歩行:車椅子を50mこげ方向の微調整のみを手伝ってもらう(4)

 階段:できない(1)

[コミュニケーション]

理解:すべての共通の話題について会話することができる(7)

表出:すべての共通の話題について会話している(7)

[社会的認知]

社会的交流:他患・スタッフとの交流可能(7)

問題解決:自分の金銭管理を行い、適切な決断能力あり(7)

記憶:人を認識でき、日課、依頼に答えられる(7)

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Ⅲ.問題点

(Impairment level)

#1.患側下肢(右股関節周囲筋)の筋力低下による支持性、及びバランスの低下

#2.易疲労性

#3.右大腿前面部から右膝関節にかけての荷重時、歩行開始時の疼痛

#4.ROM制限(右股関節、膝関節)

 

(disability level)

#5:歩行能力の低下

#6:バランス能力の低下(重心の位置)

#7:ADL能力(入浴動作)の低下

#8:段差昇降不安定基本動作能力の低下

 

(handicap level)

#9.屋内歩行困難、行動範囲の減少(屋内でも狭い所へはいけない)

#10.外出困難、屋外歩行の制限

 

Ⅳ.ゴール

STM(Short term goal):一本杖、シルバーカーを利用して安全に屋内移動する

①右下肢筋力改善(外転筋群、大腿四頭筋、大殿筋)

②歩容改善(踵接地に足関節背屈となる)

③一本杖とシルバーカーを利用しての屋内移動自立

 

LTM(Long term goal):歩行能力の向上させ、一本杖、シルバーカーを利用して外出できるようにする。(タクシーを利用し、ヘルパーがいれば近所のスーパーへ買い物に行けるようになる)

 

Ⅴ.治療プログラム

#1.筋力増強訓練

#2.歩行訓練、段差昇降訓練

#3.立位バランス訓練

#4.生活指導

 

♯1.筋力増強訓練

目的:低下した筋力を強化し、筋萎縮を予防する。また、歩行においての耐久性を図る。

方法:

①膝窩部押し下げ訓練 膝窩部に小枕か手掌を置き、それをベッドに押し付けさせる。

②下肢伸展挙上訓練(SLR)+足関節背屈(重錘1kg) 挙上角度:10~15°挙上運動を20回行う。足関節背屈:大腿四頭筋の収縮が促通される。

③股関節外転訓練(重錘1kg) 背臥位にて股関節を外転運動を20回行う。

※注意することは、次の日に疲れや痛みが残らない程度で行う。

 

♯2.歩行訓練、段差昇降訓練

目的:移動時の転倒予防のため

方法:歩行訓練は、踵接地時に背屈位になるよう意識付けを行う。段差昇降訓練は、自宅浴室入り口と同等の15㎝程度の段差を用い平地での右下肢の立脚中期での体重負荷を意識づけることにより右下肢の支持性を図る。

 

♯3.立位バランス訓練

目的:外乱刺激による転倒予防のため。

方法:平行棒内で不安定板を用いて前後、及び左右に体重移動させバランスを保てるようにする。

 

♯4.生活指導

方法:

①家庭内訓練:♯1の下肢筋力増強訓練を家庭内でも引き続き継続するように指導する。

②できるだけ洋式の生活を心がけ、股関節、膝関節に対して負荷がかからないように指導する。

 

Ⅵ.考察

 本症例は、転倒により左大腿骨頚部内側骨折を呈し、人工骨頭置換術を施行した患者である。術後約7週間経過している。自宅復帰(独居)に向けたリハビリに対するモチベーションも高い。既往歴として期慢性腎不全による人工透析・腎性貧血・高血圧症・骨粗鬆症・易疲労性もあり、訓練中には易疲労性や貧血によりふらつき転倒するなど、リスク管理に配慮が必要である。

右股関節周囲筋の筋力低下による支持性の低下、膝関節の伸展制限がバランス能力の低下や、重心がやや左側にある原因として考えられる。左股関節周囲筋の筋力低下については受傷後のベット上の安静、その後のリハビリ以外での移動性の低下などが原因として考えられる。支持性の低下は筋力低下、恐怖心、それに伴う重心の移動性の低下、バランスの偏位(左側)などが原因として考えられる。

 歩行不安定の原因として廃用性の筋力低下、膝関節の伸展制限、患側の支持性の低下、バランスの不安定などが考えられる。患側の支持性の低下は荷重時や歩行開始時の疼痛や、恐怖心から無意識に健側で体重を支えて患側を免荷しているとも考えられる。

 高齢ではあるが、独居でADLが自立しているため屋内での活動性が高いと考えられ、自宅に戻ってからは、転倒を予防するため、特に危険と思われる浴室やトイレに手すりの設置や風呂場入り口の段差解消などできる限り住宅改修も考慮すべきである。

 

【参考文献】

  1. 冨士武史:ここがポイント整形外科疾患の理学療法.金原出版株式会社,2005.
  2. 片田重彦:整形外科手術後療法ハンドブック.南江堂,2003.
  3. 米本恭三:別冊/リハビリテーションにおける評価2.医歯薬出版株式会社,2004.
  4. 千住秀明・楢橋政和:理学療法評価法.株式会社神陵文庫,2000.
  5. 田崎義昭・斎藤佳雄:ベッドサイドの神経の診かた.南山堂,1993.

 

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

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