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【アルツハイマー型認知症】レポート・レジュメの作成例【実習】

2021年12月24日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「アルツハイマー型認知症」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • アルツハイマー型認知症を呈する

  • 施設入所予定

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「アルツハイマー型認知症」の患者のレポート・レジュメ作成例

《一般情報》

【症例紹介】

患者氏名:

年齢:90歳代

身長:約㎝

体重:約㎏

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【診断名】

アルツハイマー型老人性認知症、高血圧、心不全、肝硬変、腎不全

 

【合併症】

下腿浮腫

 

【既往歴】

 高血圧、アルツハイマー型認知症、気管支喘息、心不全、骨粗鬆症、胸水貯留、高血圧、慢性心臓病、肝硬変、慢性気管支炎、便秘症、高尿酸血症、狭心症、湿疹、B型・C型肝炎、老人性乾皮症、肝性脳症、低アルブミン血症、胃潰瘍、逆流性食道炎、尿路感染、胃静脈瘤、腎不全、下腿浮腫

 

【現病歴】

 〇〇年〇〇月〇〇日に自宅にて嘔吐し、○○日になっても症状が改善しなかったためにA病院に入院。その際の本症例の状況はぐったりしていてアンモニア値の上昇がみられた。同年〇〇月〇〇日、施設に退院した。〇〇年〇〇月〇〇日、施設で下腿浮腫が著明にみられ、A病院に転院してこられ、廃用症候群との診断あり。以前よりみられる疾患として高血圧、アルツハイマー型認知症、心不全(上室性期外収縮)、肝硬変、腎不全との診断があり、現在も服薬している。

 

【主訴】

下腿の浮腫が気になる。

 

【要望】

本症例は、A病院の退院後は自宅復帰を考えていらっしゃるようである。

 

【家族構成】

key personは長女である。

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【要望】

ご家族の要望としてはA病院の退院後は施設入所を希望されている。自宅には高齢のご主人もおられ、2人を同時に介護するには負担が大きいとのこと。また、長女の年齢など考慮すると、介護困難になる可能性があると考えられ、施設入所をゴールに設定する。

 

《医学的情報》

【他部門からの情報】

主治医:理学療法を行う上で必要な事として、心不全をもつ患者様なので息が上がったりするのに注意してほしいとのこと。現在は下腿浮腫にとどまっているが、以前は全身的に浮腫が見られ、原因が腎不全によるものと考えられたため、利尿薬を服用し下腿浮腫の軽減を目指している。利尿薬の作用による脱水状態は腎臓にとってよくないので水分を幾分残せる状態をつくる様にしたいが本症例が心不全を併発しており、水分が多量に存在することで胸水が貯留することを避けたいために、服薬で脱水に近い状態にしながらも水分を保つように調節しているとのこと。

 

看護師:特に転倒に注意が必要。肝機能が悪いため栄養状態が不良とのこと。患者様の栄養状態を保つために食事は必要エネルギーを算出し、その中から患者様が摂取した量で一回の食事の摂取エネルギーをだすとのこと。浮腫の状態に気を配るようにするため週1回体重測定を行っているとのこと。患者様が1番気にされているのは下腿浮腫とのこと。

 

薬剤師:ラニタックには、認知症のような症状がでることがあるため、この薬を服薬した後に認知症の症状が見られる様であればこの薬の副作用を疑うとのこと。ダイアートは利尿薬でカリウムが不足しがちになるのでアスパラK散で体内に不足したカリウムを補うが、利尿作用とカリウムを補う作用ももつ薬もあるが、この患者様には下腿に浮腫がみられるためこの浮腫を取り除くことを目的として服用させているのではないかとのこと。

 

家族:施設に居た時とA病院に入院された時では生活習慣も違い目の輝きも違うとのこと。病院に入院されてからはベッドに臥床する時間が長く、起きているときは折り紙などを折ったりしている様。活字を好み新聞や小説を読書することを好むとのこと。要望としては施設復帰とされている。

 

【心電図】

上室性期外収縮を示している。左室駆出率は77%。三尖弁閉鎖不全がみられる。心房細動がみとめられる。

 

【画像診断】

頭部CTでは、頭頂・後頭葉の萎縮があるが年相応の萎縮であった。

胸部X線写真では、胸水貯留がみられ横隔膜との明瞭な分岐点がみられず、心拡大がみとめられた。

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【検査所見】    

アルブミン:48,5%↓

α2‐G:6,0%↓

γ‐G:35,1%↑

LD(LDH):286U/L↑

総ビリルビン:1,5㎎/㎗↑

グルコース:112㎎/㎗↑

総コレステロール:123㎎/㎗↓

中性脂肪:31㎎/㎗↓

尿素窒素:56㎎/㎗↑

クレアチニン:1,91㎎/㎗↑

カリウム:3,4mEq/L↓

アルブミン:50,0%↓

α2‐G:5,1%↓

γ‐G:35,1%↑

LD(LDH):288U/L↑

総ビリルビン:1,5㎎/㎗↑

総コレステロール:109㎎/㎗↓

中性脂肪:21㎎/㎗↓

尿素窒素:64㎎/㎗↓

クレアチニン:1,79㎎/㎗↑

尿酸:7,6㎎/㎗↑

【服用薬剤】

ガスター(ラニタック):1錠 夕

作用は、胃潰瘍に対する酸分泌抑制。副作用には、一過性の認知症様症状がでることがある。

アテレック:2錠 朝夕

作用は、血圧を下げる。副作用には、眩暈が起こる事がある。

ダイアート:1錠 朝

作用は、尿量を増やしてむくみをとる。

ザイロリック:1錠 朝

作用は、高尿酸血症に対する薬。

リーバクト:3パック 朝夕

作用は、肝機能低下時の栄養補給。

アスパラK散:2g 朝夕

作用は、体内の不足したカリウムを補う。

ラニタック:1錠 朝

作用は、胃潰瘍に対する酸分泌抑制。副作用には、一過性の認知様症状がでることがある。

アテレック:2錠 朝夕

作用は血圧を下げる。副作用には、眩暈が起こる事がある。

ラシックス:1/2錠 

作用は利尿作用があり、適応は心・肝・腎性浮腫。高血圧症など。

副作用にはショックやアナフィラキシー様症状、再生不良性貧血などがある。

リーバクト:1パック 夕

作用は肝機能低下時の栄養補給。

ザイロリック:1錠 夕

作用は高尿酸血症にたいする薬。

アスパラK散:2g 朝夕

作用は体内の不足したカリウムを補う。

《理学療法評価》

【全身状態】

バイタル:血圧 138mmHg-72mmHg

脈拍:62拍/分 (不整脈6回)

呼吸:16回

体温:36,4度

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【ROM】     

部位(姿勢)

部位(姿勢)

股関節屈曲(臥)

115°

100°

膝伸展位での足関節背屈(臥)   

-20°

-20°

伸展(側)

10°

5°

底屈(臥)

35°

30°

外転()

15°

30°

肩関節屈曲(坐)

165°

170°

内転(臥)

15°

15°

伸展(坐)

45°

55°

外旋()

30°

25°

外転(坐)

155°

160°

内旋()

45°

30°

外旋(坐)

40°

40°

膝関節屈曲(臥)

140°

135°

内旋(坐)

60°

40°

伸展(側)

-15

-10

肘関節屈曲(坐)

130°

150°

膝65°屈曲位

足関節背屈()

5°

0°

前腕回内(坐)

90°

80°

底屈(臥)

50°

55°

  回外(坐)

90°

95°

下腿浮腫による足関節の背屈制限、もしくは下腿三頭筋(腓腹筋)の影響による制限。長期臥床による関節可動域制限。股関節伸展の可動域が狭いことで、heel contactからの股関節伸展が行いにくい。足関節の底背屈可動域も狭く、歩行時のtoe offの蹴り出す力が弱い。

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【MMT】

(P=疼痛を示す)

部位

部位

肩関節屈曲

股関節屈曲

伸展

伸展

外転

外転

3+

3+

内転

内転

3-

3-

肘関節屈曲

3+

膝関節屈曲

4-

4-

伸展

伸展

前腕 回内

足関節底屈

回外

3+

3p

背屈

3+

 3+

一日の大半を臥床状態で過ごしていることが多いため、廃用症候群による筋力低下ではないかと考えた。

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【形態測定】

四肢長
 

上肢長

44,0㎝

43,0㎝

上腕長

24,0㎝

23,0㎝

前腕長

20,0㎝

20,0㎝

SMD

70,0㎝

69,0㎝

TMD

62,0㎝

61,0㎝

大腿長

31,5㎝

30,0㎝

下腿長

31,5㎝

32,0㎝

上腕周径
 

上腕

18㎝

21,5㎝

前腕

17㎝

18㎝

大腿周径
 

直上

33,5㎝

32,6㎝

5㎝

35㎝

35㎝

10㎝

37㎝

36㎝

15㎝

38,5㎝

38,5㎝

下腿周径(膝蓋骨直下から)
 

5㎝

29,0㎝

29,5㎝

10㎝

29,0㎝

29,5㎝

15㎝

24,0㎝

27,0㎝

20㎝

23,5㎝

24,5㎝

下腿には浮腫がみられ、膝蓋骨直下から15㎝下に下ろした位置では左の下腿に特に浮腫が観察できる。本症例は浮腫に痛みを訴えていない。聞き手は右手であるにも関らず、左手のほうが周径は大きいが、それは本症例が病室のベッドより起き上がる際左手にてベッド柵を掴み起き上がるためではないかと考えた。

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【握力】

5,5㎏

6,4㎏

【腱反射】

反射

上腕二頭筋反射

++

上腕三頭筋反射

腕橈骨筋反射

回内筋反射

膝蓋腱反射

アキレス腱反射

±

 腱反射が亢進するのは錐体路障害などで出現し、軽度減弱が見られることは、末梢神経障害などで起こる。しかし本症例はどちらも病歴としてもっていないが、本症例が高齢であること、アルツハイマー型認知症であることから脳の萎縮がみられ、錐体路に何らかの障害があるのではないかと考えられる。

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【10m歩行】

 

1回目

2回目

時間

29秒00

29秒00

歩数

61歩

72歩

 10m歩行では、1回目と2回目の歩行時間に変化はないが、歩数は明らかに2回目のほうが増加している。歩数が増えているということは歩幅が狭くなり、歩隔も狭い。

 

【バランス】

合計27/56

①椅子坐位から立ち上がり

⑧上肢前方到達

②立位保持

⑨床から物を拾う

③坐位保持(足底接地でもたれず。)

⑩左右の肩越しに後ろを振り向く

④着座

⑪360°回転

⑤移乗

⑫段差踏み替え

⑥閉眼立位保持

⑬片足を前に出して立位保持

⑦閉脚立位保持

⑭片脚立ち保持

⑧は左上肢が13㎝、右上肢が10㎝

⑪右回りが9秒、左回りが10秒

どの段階においても監視が必要で、転倒のリスクが高い。

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【感覚】

触覚:指尖やティッシュを細くしたもので皮膚をなでる。理解しており間違えることなく返答された。

痛覚:クリップをのばし皮膚を刺激すると間違えることなく返答あり。

運動覚:患者様への指示が通らず、不可能である。

二点識別覚:同上

触覚と痛覚は指示も通りやすく、間違えることなく応答あったが運動覚・位置覚になどについては指示から通らず、検査の続行は困難となった。

HDS-R、MMSEによる認知症の判定を行っており、本症例は認知症の診断が出ていることがMMSEからも疑われるので感覚検査の信憑性はうすいと考えられる。

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【HDS-R】

HDS-Rは合計30点満点で採点し、20点以下であれば認知症が疑われる。本症例は合計点は12点であるため、認知症が疑われる。

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【MMSE】

質問内容

回答

得点

今年は何年ですか。

今の季節はなんですか。

今日は何曜日ですか。

今日は何月何日ですか

わからない

 

1点

わからない

 

わからない

 

ここは何県ですか。

ここは何市ですか。

ここは何病院ですか。

ここは何回ですか。

ここは何地方ですか。

わからない

 

わからない

 

〇〇病院

1点

3階

 

わからない。

 

物品名3個(相互に無関係)

賢者は物の名前を1秒間に1個ずつ言う。その後、被検者に繰り返させる。

正答1個につき1点を与える。3例全て言うまで繰り返す(6回まで)

何回繰り返したかを記す

桜・猫・電車

3点

100から順に7を引き(5回まで)、あるいはフジノヤマを逆唱させる

マヤジフ

 

今さっきの提示した物品名を再度復唱

わからない。

 

(時計を見せながら)これはなんですか。

(鉛筆を見せながら)これは何ですか。

時計

鉛筆

2点

次の文章を繰り返させる。

『みんなで力をあわせて綱を引きます。』

みんなであわせて綱をひきます。

 

『右手にこの紙をもってください。』

『それを半分に折りたたんでください』

『机の上に置いてください。』

 

3点

(次の文章をよんで、支持に従ってください)

『目を閉じなさい』

 

1点

(何か文章を書いてください。)

今日はくもりです。

1点

次の形を欠いて下さい。

  
  

12点

【姿勢分析】

臥位

背臥位で前額面より見ると、肩関節軽度内転、前腕回内位をとる。矢状面よりみると、肩関節軽度屈曲、肘関節軽度屈曲、膝関節伸展制限による股関節の軽度屈曲も見られる。水平面よりみると手指は軽度屈曲位にて腹部の上に位置する。股関節は、外旋位であり、外旋角度は右に比べて左が大きい。足関節は底屈位、軽度内がえし位。支持基底面は臥位のために広く、重心は最も低くなる。

 

坐位

自立である。矢状面よりみると骨盤後傾位で仙骨支持である。端坐位で肩関節軽度屈曲、肘関節軽度屈曲、前腕回内、手指軽度屈曲位にて大腿部の上に位置する。股関節は屈曲、膝関節屈曲、足関節は膝関節のやや後方に位置し、足底接地している。

支持基底面はベッド上に接触している殿部と地面に接地している足部まであるためやや広く重心は低い。支持基底面上に重心があり、重心が低い位置にあることから安定性は保たれていると考える。そのため自立で坐位保持可能と考えるが、安全性に欠けている。アルツハイマー型認知症であるために、一人で移動することがあり、認知力低下による転倒の危険因子を有するため。

 

立位

近位監視。前額面(後方)よりみたアライメントは…脊柱が若干左に凸に側弯していて安全性にかける。前腕中間位、手指軽度屈曲位。

矢状面よりみたアライメントは骨盤後傾で股関節・膝関節屈曲位であることからアライメントの指標は股関節レベルで大転子の前方を通ることになり、膝関節も膝蓋骨後面を通るも指標からはズレが出現する。肩関節中間位、肘軽度屈曲、股関節は屈曲、膝関節は軽度屈曲にて足関節を接地している。支持基底面は地面に接地している足部の幅しかなく重心も高くなるため最も不安定となりやすい。

骨盤が後傾位であるために股関節、膝関節は屈曲位をとり、足関節は背屈の可動域制限があるために立位時の身体重心は支持基底面上にはなくやや後方に位置するため安定性に欠けると思われる。

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【基本動作能力の分析】

寝返り

自立。左に寝返る時は両股関節・膝関節屈曲し、下肢先行型で骨盤の回旋を行いながら左上肢は肩関節外転肘関節伸展させ、右上肢は肩関節内転、肘関節屈曲し、体幹の屈曲パターンと頭部は屈曲しながら寝返る方向へ回旋させる。

右に寝返るときは顔を先に寝返る方向に向け、下肢を両側揃えて回旋し体幹を回旋させると同時に右上肢は肩関節外転、肘関節伸展させ、左上肢は肩関節内転、肘関節屈曲し、全身をほぼ同時に動かしたことから体軸内回旋があまり見られない寝返りであった。

 

起き上がり

近位監視。背臥位から肩関節を伸展、肘関節を屈曲してon elbowで体幹を支持し、on handsに向かう。股関節、膝関節を屈曲して足底はベッド上に接地したまま、肘伸展位でのon handsになり起き上がる。

 

立ち上がり

近位監視。立ち上がる際に下肢を肩幅に広げ、足底接地後、体幹を前屈する。膝関節は約90°屈曲位にて上肢は大腿の上か体側に置き、足関節の背屈制限の代償として上肢の力を利用して立ち上がっている。

 

独歩

近位監視。肩関節軽度屈曲・外転、肘関節軽度屈曲、前腕中間位、手指屈曲位で上肢の振りは少なく、股関節は骨盤が後傾位であることから屈曲、膝伸展制限があることから膝屈曲となり足関節も背屈制限があることから重心が支持基底面内で安定せず、高齢ということもあり不安定である。安定性を保つために肩関節を軽度屈曲・外転している。歩隔・歩幅ともに狭くheel contactはなく、つま先から接地するfoot flatとなっている。

 

車椅子押し歩行

近位監視。肩関節屈曲、肘関節軽度屈曲、前腕中間位にて車椅子のグリップを握り、体幹前屈位をとることから骨盤は前傾位となるが、股関節屈曲位となり膝関節は伸展制限があることから屈曲となり、足関節には底背屈制限によりつま先接地で歩行する。車椅子には安定性がなく前方に進む時には車椅子が先行して体幹の無理な前屈など異常な姿勢になることなどがある。

 

平行棒内歩行

近位監視。平行棒を肩関節屈曲・軽度外旋し、肘関節屈曲、前腕回内にて把持する。体幹は軽度前屈させ、前屈することによって股関節は屈曲位をとり、膝関節に伸展制限があることから膝関節屈曲位にて歩行する。平行棒を把持しているが上肢の振りがみられ、平行棒が安定していることから歩行も安定しているように思われる。

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【ADL評価】

Barthel Index

食事:朝食と夕食は病室で端坐位にて食事をとる。昼はデイルームにて車椅子坐位で食事。食事の際はセッィングを前もって行っていれば自立で摂取する。自立しているが約1時間と時間がかかる。(服薬は全介助)

排泄:監視レベル。尿意、便意有り。失禁有り。尿意があるのに失禁してしまうのは、トイレに行くまでに時間を要し、動作の耐久性が悪く我慢できないからだと考える。他には見当識障害で自分のパンツをおろし忘れ、その状態で排尿しようとすることもる。排泄は病室ではポータブルトイレで監視、リハビリテーション室でもトイレに連れて行けば監視で可能。

入浴:全介助。一部洗体で自分の体の前面を洗えるが背面は洗えないために、洗髪・洗体は看護師が全介助にて行う。

更衣:半介助。袖を通したり、洋服を着ること自体は本症例にもできるがボタンなどの巧緻動作が含まれると看護師が行う。とくに入浴後の更衣は、体温低下などを防ぐためにも早く行う必要があり、本症例は高齢ということもあって動作に時間がかかるので半介助レベルなのだと考える。

整容:全介助。洗顔や口腔ケアは、本症例がアルツハイマー型認知症であることから清潔に保つことが困難と考えられるため。(入れ歯を出し、口をゆすぐ程度なら声掛けで可能)。

起居・移動・移乗:リハビリテーション室での起居は近位監視。物的介助がないために時間がかかり起居時にきつそうな声をあげられる。病室では自立。ベッド柵を左手で掴み、引き寄せる力と同時に右上肢はon elbow にして体幹を起こす。体幹を起こす際、腹直筋の力も利用している。移動は半介助。車椅子など掴まるものがあれば移動は容易になるが筋力低下のため耐久性がなく疲労しやすい。移乗は監視にて可能。指示も通り、車椅子からベッドに移乗する際も声掛け程度で可能。移乗する際両上肢をベッドにつき体幹を前屈させ体重心を足底に移して立ち上がり、体幹と下肢を回旋させながら膝を屈曲し、着座する。が全身の立位での回旋にはFBSの結果を見るとおり、近位監視が必要で安定はしていないと考えた。

 

FIM

食事

整容

入浴

更衣(上半身)

更衣(下半身)

トイレ動作

排尿

排便

ベッド、椅子、車椅子

トイレ

風呂、シャワー

歩行、車椅子

階段

理解

表出

社会的交流

問題解決

記憶

合計点

49点

49/126点

 

ADL能力は合計点が49点と半分も取れておらず、能力的には低下していっていると考えられる。実際にできる動作も含まれているが現状では、時間がかかりすぎて実用的でない動作が多くあるために特に入浴に関しては看護師がほとんどを行っているようである。

だが、本症例の動きを妨げることにもなりうると考えられるのでできるところは本症例にも動いてもらうことで廃用症候群などの予防になるのではないかと考える。

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《目標》

 ご家族の目標としては、施設入所があげられている。本症例は家に戻りたい様子であったが、ご家族の要望では本症例のご主人の介護やKey personの健康状態などにより本症例の退院先は施設になる。本症例は転倒の危険性があるため、活動性をあげ離床時間を長くし介護負担を減らす。活動性をあげるためには最低でも現状維持もしくは機能向上させ施設入所を目指す。

 

STG…筋力維持・増強(股関節周囲筋群)と関節可動域改善(下腿三頭筋の特に腓腹筋)

LTG…基本動作能力(立ち上がり、歩行)改善(物的介助にて立ち上がり・歩行)

FG…施設入所(移動などは物的介助などで歩行してもらいたい。)

 

《問題点》

Impairment level

#1 下肢筋力低下(股関節伸展・内転・足関節底背屈)

#2 関節可動域制限(とくに膝関節伸展、足関節底背屈制限)

#3 平衡機能障害

 

Activity limitation level

#4 基本動作能力低下(立ち上がり、歩行)

#5 ADL能力低下(食事、排泄)

 

Participation restriction level

#6 施設入所困難

 

《治療プログラム》

下腿浮腫に対しては、臥位の時に足部の下にクッションなどを敷いて挙上位にしたり、足関節底背屈の自動運動などを行う。関節可動域制限についてはROM訓練、筋力低下には筋力維持(筋力低下の予防を行う)増強訓練、歩行訓練。転倒の予防に対しては、Mollerの平衡機能訓練プログラム・荒川せらばん体操を用いる。

 

《考察》

本症例は高齢であり、高血圧、アルツハイマー型認知症、心不全、肝硬変、腎不全、などをもち、廃用症候群を呈した90歳代の方である。〇〇年〇〇月〇〇日に下腿浮腫の増強のため入院となった。家族からの要望で、ゴール設定は施設入所となった。

本症例を担当し①ROM ②MMT ③バランス ④10m歩行 ⑤姿勢・基本動作能力分析などの検査を行った。その結果①では他の関節に比べ膝伸展、足関節の背屈に可動域制限を認め、膝関節伸展制限に対してはハムストリングスの短縮や日中の安静臥床による廃用性の可動域制限が考えられ、足関節の背屈制限に対しては下腿三頭筋(特に腓腹筋)に短縮や下腿浮腫による制限ではないかと考える。②では他の筋力に比べ特に股関節の内外転と膝伸展、足関節の底背屈に筋力低下が認められたが、日常の長時間の臥床状態による廃用性の筋力低下や足関節では下腿浮腫からの筋力低下ではないかと考える。③のバランスtではFBSを用い、27/56点で特に立位での検査(中でも片足に体重をのせ重心を片脚に移す検査)は点数が低かった。バランスの移動能力に障害があるときのカットオフ値を45点とし、45点以上であれば歩行補助用具の必要性なしとされている。40点以上であれば家庭や地域で生活が可能とされている。本症例は27点なので家庭や地域で自立して過ごすことは困難だと思われる。どの段階においても監視は必要であり、転倒のリスクの高さに注意が必要である。④では1回目は速度が29秒で歩数は61歩、2回目は速度が29秒で72歩であった。1回目と2回目では速度は変わらないが歩数が増えていてバランス能力が低下していることから歩行時に同時定着期の時間を増やして片脚立位の時間を減らし、安定性を求めているため歩数が増えたのではないかと考える。本症例はMMSEの合計点が12点と低く危険認知機能の低下が見られ、独歩を行うために転倒の危険がある。⑤姿勢・基本動作能力分析では、近位監視レベルが多く自立でできる動作も多くあるのだが、やはりアルツハイマー型認知症ということで危険因子を取り除くためには最低、近位監視レベルや見守りはほしいと考える。

本症例のゴール設定が施設入所であることから転倒のリスクを減らし、転倒からの骨折などの2次的疾患の予防、廃用症候群などの悪循環を断ち切り、さらに歩行を安定させることで活動性をあげ、施設入所後の生活を物的介助にて移動したり、活発にしたいと考える。その結果、本症例は転倒と歩行が問題点と考え、そのため、まずはアプローチとして下肢筋力低下には筋力維持・増強や歩行訓練、関節可動域制限にはROM訓練を行った。転倒予防にたいしてはMollerの平衡機能訓練プログラムや荒川せらばん体操を用いた。

 

《参考文献》

・総合リハ 第34巻1号・2006年1月 27p~31p 山田 拓実

      第32巻9号・2004年9月 819p~824p 池永 康規

 

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

-書き方, 病院, 認知症, レポート・レジュメ