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【大腿骨頚部骨折+CHS施行】レポート・レジュメの作成例【実習】

2021年12月29日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「大腿骨頚部骨折+CHS施行」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 大腿骨頚部骨折を呈する患者

  • CHS施行

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「大腿骨頚部骨折+CHS施行」の患者のレポート・レジュメ作成例

1.一般情報

氏名:

年齢:

家族構成:キーパーソンは長女・次女である。長女は県内に住んでおり,経済面でサポートしている。次女は当院の近所に住んでおり、自営業を営んでいる。入院前は次女夫婦と同居していた。

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住居:バリアフリーマンションの3階。本人の入院中に以前の家から転居している。本人は現在の住居には入った事が無い。

主訴:左の太ももが、立ったり座ったりすると痛い

本人の希望:歩けるようになって,自宅に帰りたい。

家族の希望:自営業をしており(午前10:00~午前2:00)、自宅での介護は難しく、退院後は施設を利用したい。

利き手:右手

趣味:縫い物(現在は手の震えがあり,できない)

職業:無職 入院前は家事全般をこなしていた。

介護認定:要介護度4

 

2.医学的情報

診断名:左大腿骨頚部骨折

術式:CHS(compression hip screw)

合併症:腰椎症、慢性気管支炎

現病歴:

〇〇年〇〇月〇〇日 早朝、当院内で転倒により受傷

〇〇年〇〇月〇〇日 B病院にて骨接合術施行

〇〇年〇〇月〇〇日 当院転入院

〇〇年〇〇月〇〇日 回復リハ病棟転棟

 

既往歴:

〇〇年〇〇月〇〇日 乳がんope

〇〇年〇〇月〇〇日 便秘症

〇〇年〇〇月〇〇日 腸閉塞ope

〇〇年〇〇月〇〇日 両鼠径ヘルニアope

〇〇年〇〇月〇〇日 慢性心不全

〇〇年〇〇月〇〇日 慢性胃炎

〇〇年〇〇月〇〇日 高血圧

〇〇年〇〇月〇〇日 慢性気管支炎

〇〇年〇〇月〇〇日 腰痛症

〇〇年〇〇月〇〇日 低カリウム血症

〇〇年〇〇月〇〇日 狭心症

〇〇年〇〇月〇〇日 結膜炎

〇〇年〇〇月〇〇日 変形性腰痛症

〇〇年〇〇月〇〇日 心不全急性増悪

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投薬状況:

ヘルベッサー

適応:1)狭心症,異型狭心症 2)本態性高血圧症(軽症~中等症)

副作用:1)完全房室ブロック,高度徐脈 2)うっ血性心不全3)皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),紅皮症(剥脱性皮膚炎)等 (中止) 4)循環器(徐脈,房室ブロック,顔面潮紅,めまい,洞停止,洞房ブロック,動悸,胸痛,浮腫等) 5)精神神経(パーキンソン様症状,倦怠感,頭痛,頭重感,こむらがえり,脱力感等) 6)肝臓(黄疸,肝腫大,GOT・GTP上昇等) 7)過敏症(発疹,そう痒,光線過敏症,多形性紅斑様皮疹,蕁麻疹等) 8)消化器(胃部不快感,便秘,腹痛,胸やけ,食欲不振,嘔気,軟便,下痢,口渇等) 6)血液(血小板減少,白血球減少) 9)口腔(歯肉肥厚) 10)その他(女性化乳房)

カマグ

適応:1)以下の疾患における制酸作用と症状の改善:胃・十二指腸潰瘍,胃炎(急・慢性胃炎,薬剤性胃炎を含む),上部消化管機能異常(神経性食思不振,いわゆる胃下垂症,胃酸過多症を含む) 2)便秘症 3)尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防

副作用:1)代謝異常(長期大量投与)2)消化器(下痢 等)

アスパラK錠

適応:以下の疾患又は状態におけるK補給:1)降圧利尿薬,副腎皮質ホルモン,強心配糖体,インスリン,ある種の抗生物質などの連用時 2)低K血症型周期性四肢麻痺 3)心疾患時の低K状態 4)重症嘔吐,下痢,K摂取不足及び手術後

副作用:1)心臓伝導障害(一時に大量投与で起こる)2)消化器(胃腸障害,食欲不振,心窩部重圧感 等)3)その他(耳鳴 等)

セルベックス

適応:1)以下の疾患の胃粘膜病変(びらん,出血,発赤,浮腫)の改善:急性胃炎,慢性胃炎の急性増悪期 2)胃潰瘍

副作用:1)消化器(便秘・腹部膨満感・下痢・口渇・嘔気・腹痛)2)肝臓(GOP・GPTの上昇)3)精神症状(頭痛)4)過敏症(発疹・そう痒感)5)その他(総コレステロールの上昇,眼瞼の発赤・熱感)

イソソルビドテープ

適応:狭心症,心筋梗塞(急性期を除く),その他の虚血性心疾患 

副作用:1)循環器(血圧低下,めまい・ふらつき,熱感,潮紅,動悸等) 2)精神神経(頭痛,脱力感,不快感等) 3)過敏症(皮膚の刺激感,発疹等) 4)皮膚〔一次刺激性の接触皮膚炎(刺激症状,発赤,そう痒等)〕 (アレルギー性接触皮膚炎) 5)消化器(胃部不快感,食欲不振,悪心・嘔吐 等)

アダラート

適応:1)本態性高血圧症,腎性高血圧症 2)狭心症 3)高血圧症,腎実質性高血圧症,腎血管高血圧症 4)狭心症,異型狭心症

副作用: 1)紅皮症(剥脱性皮膚炎) 2)無顆粒球症 3)肝臓(黄疸,GOT・GPT・Al-P,〔CR〕LDHの上昇 等) 4)腎臓(BUN・クレアチニン上昇 等) 5)循環器(胸部痛,顔面紅潮,熱感,のぼせ,潮紅,動悸,血圧降下,起立性低血圧,下肢浮腫,頻脈,頻尿,発汗 等) 6)精神神経系(頭痛,めまい,倦怠感,眠気,不眠,脱力感,筋痙攣,四肢しびれ感 等) 7)消化器(上腹部痛,悪心・嘔吐,便秘,下痢,腹部不快感,口渇,胸やけ,食欲不振 等) 8)過敏症(発疹,そう痒,光線過敏症,紫斑 等) 9)口腔(歯肉肥厚) 10)代謝異常(高血糖) 11)その他(女性化乳房,視力異常)

レンドルミン

適応:不眠症,麻酔前投薬

副作用:1)呼吸抑制(ベンゾジアゼピン系薬剤で報告) 2)依存性(不眠,不安等の禁断症状) 3)精神神経(不穏,興奮,残眠感・眠気,ふらつき,頭重感,めまい,頭痛,中途覚醒時の一過性健忘,気分不快,立ちくらみ,いらいら感,せん妄,振戦,幻覚) 4)肝臓(GOT・GPT・Al-P・γ-GTP・LDHの上昇) 5)循環器(軽度の脈拍数増加) 6)消化器(嘔気,悪心,口渇,食欲不振,下痢) 7)過敏症(発疹) 8)骨格筋(だるさ,倦怠感,下肢痙攣) 9)その他(発熱,貧血,尿失禁

ボルタレン

適応:1)以下の疾患並びに症状の鎮痛・消炎:慢性関節リウマチ,変形性関節症,後陣痛,腰痛症 2)手術後の鎮痛・消炎 3)他の解熱薬では効果が期待できないか,あるいは他の解熱薬の投与が不可能な場合の急性上気道炎(急性気管支炎を伴う急性上気道炎を含む)の緊急解熱

副作用: 1)ショック(胸内苦悶,冷汗,呼吸困難,四肢冷却,血圧低下 等) 2)出血性ショック又は穿孔を伴う消化性潰瘍 3)再生不良性貧血,溶血性貧血,無顆粒球症 4)Stevens-Johnson症候群,Lyell症候群,紅皮症(剥脱性皮膚炎) 5)急性腎不全(間質性腎炎,腎乳頭壊死 等) 6)重症喘息発作(アスピリン喘息) 7)間質性肺炎 8)うっ血性心不全 9)無菌性髄膜炎(頸部硬直,発熱,頭痛,悪心・嘔吐,意識混濁 等) 10)重篤な肝障害(広範な肝壊死等)が報告 11)消化器(食欲不振,悪心・嘔吐,胃痛,下痢,軟便及び直腸粘膜の刺激,消化性潰瘍,胃腸出血,口内炎,便秘,小腸・大腸の潰瘍あるいは狭窄,出血性大腸炎,クローン病又は潰瘍性大腸炎の悪化,膵炎 等) 12)血液(貧血,血小板減少,出血傾向,血小板機能低下 等) 13)肝臓(黄疸,肝障害,GOT・GPT・Al-P上昇等) 14)皮膚(光線過敏症) 15)過敏症(喘息発作,アレルギー性紫斑,血管浮腫,発疹,蕁麻疹 等) 16)精神・神経(頭痛,眠気,めまい,不眠,神経過敏,しびれ,振戦,錯乱,幻覚,痙攣,抑うつ,不安,記憶障害 等) 17)感覚器(霧視等の視覚異常,耳鳴,味覚障害,聴覚障害 等) 18)循環器(血圧上昇,血圧低下,動悸,頻脈 等) 19)その他(浮腫,全身倦怠感,発汗,脱毛,発熱,胸痛)

クラビット

適応:1)集簇性ざ瘡,毛嚢炎,せつ,せつ腫症,よう,伝染性膿痂疹,丹毒,蜂巣炎,リンパ管(節)炎,化膿性爪囲炎,皮下膿瘍,汗腺炎,感染性粉瘤 2)乳腺炎,肛門周囲膿瘍,外傷・熱傷・手術創などの二次感染 3)咽喉頭炎,急性気管支炎,扁桃炎,慢性気管支炎,びまん性汎細気管支炎,気管支拡張症(感染時),慢性呼吸器疾患の二次感染,肺炎 4)腎盂腎炎,膀胱炎,前立腺炎,副睾丸炎,淋菌性尿道炎,非淋菌性尿道炎 5)胆のう炎,胆管炎 6)細菌性赤痢,感染性腸炎,サルモネラ腸炎,コレラ 7)子宮付属器炎,子宮内感染,子宮頸管炎,バルトリン腺炎 8)眼瞼炎,麦粒腫,涙嚢炎,結膜炎,瞼板腺炎 9)外耳炎,中耳炎,副鼻腔炎,化膿性唾液腺炎 10)歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎

副作用: 1)ショック,アナフィラキシー様症状 2)中毒性表皮壊死症(Lyell症候群),皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群) 3)痙攣 4)急性腎不全 5)黄疸 6)無顆粒球症 7)汎血球減少症 8)溶血性貧血(症状:ヘモグロビン尿) 9)間質性肺炎10)偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎 11)横紋筋融解症 12)低血糖(糖尿病患者,腎障害患者で現れやすい) 13)アキレス,腱断裂等の腱障害 14)錯乱等の精神症状 15)過敏性血管炎 16)過敏症(発疹等,浮腫,蕁麻疹,熱感,光線過敏症,そう痒 等) 17)精神神経系(振戦,しびれ感,視覚異常,耳鳴,不眠,めまい,頭痛,幻覚,眠気,意識障害) 18)腎臓(BUN・クレアチニンの上昇,血尿) 19)肝臓(GOT・GPT・Al-P・γ-GTPの上昇 等) 5)血液(白血球減少,好酸球の増多等,貧血,血小板の減少 等) 20)消化器(悪心,腹痛,下痢,食欲不振,嘔吐,消化不良,口内炎,舌炎,口渇,腹部膨満感,便秘) 21)その他(倦怠感,発熱,関節痛,動悸,味覚異常)

 

バイタル:(血圧)140/80mmHg

(脈拍)72/分(不整脈)

その他:難聴あり(右耳が比較的良い)、視力低下、意識・理解力は問題なし

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MMSE:25/30点

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他部門からの情報収集:

Drより

合併症として腰痛症・慢性気管支炎があるが、阻害因子にはなっていない。大腿部外側の痛みは外側広筋の短縮・癒着の可能性はあるが、イスとベッド上の生活の中では特に問題なし。許容負荷量はきつくない程度・次の日に残らない程度で、本人に確認すること。施行上の注意は、手術から日数が経っており、プラトーに達しているので、特には無いが痛み・疲れに注意すること。

 

Ns部門より

家族は頻回(週に2・3回程度)に来られている。本人の入院中に同居家族が引越しをされ、本人は新居に訪れた事が無く、自分の身の回りのものなどがどうなっているのかなどの不安を抱いている。それを家族に言えない事で葛藤もあるよう。痛みに対する問題行動はない。トランスファーなどを自分で行なおうとすることがあったので、ナースコールをするように指導すると、以後はそのようにしており問題ない。ADLに関しては移乗を行なう場合のみ近監視レベルである。

 

OTより

訓練内容は下肢の可動域訓練、筋力増強訓練、歩行訓練とPTプログラムとほぼ同じ内容だが、現在は耐久性の向上を治療目的としている。

 

SWより

入院期間が長く(転倒する以前の○月から当院に入院していた)、本人は家に帰ることを希望している。しかし家族は自宅では見ることができないと言われている。入院以前はデイサービスを受けていたが、○月ごろから休みがちであった。現在家族が施設への申し込みをしているが、本人にはそのことを伝えていない。施設への入所は家族から説明をすることとなっており、病院側から進めることは無い。

 

3.理学療法評価

<全体像>

第一印象:車椅子に乗り押されて来室され、自己紹介を行なおうとすると、事前に事情を聞いておられたようで、先にPTSの名前を言われた。その後自己紹介をすると、「よろしくお願いします」と笑顔で答えられる。

性格:明るく社交的で、話をされるのがお好きである。

モチベーション:高い

病識:きちんとあるが、現在の身体状況の把握が今一つ足りない。

コミュニケーション:良好

知能面:問題なし

(ご本人がテストに対して余り良い印象を持っておられなかったので、今回はテストを実施していないが、日常生活、会話などから問題は無いと思われる。カルテのMMSE(25/30)も参考)

 

<本人よりの情報収集>

既往歴:当病院への入退院を繰り返している。腸閉塞・乳がん・今回の大腿骨頸部骨折と何度も手術経験がある。

受傷時の状況:早朝トイレに立つと、めまいなどはなかったが、足がもつれて転倒した。

主訴:膝を屈曲したときに太ももが痛い。

要望:一人で歩きたい。

その他:5.6年前から3回転倒している。1回目は自宅で、昼間に転倒し怪我をしなかった。2回目も自宅で、午前2時頃転倒し、後頭部を仏壇の前にある台にぶつけ縫う怪我をしている。3回目は今回の院内での転倒で、朝方転倒し大腿部頚部骨折を受傷した。3回とも睡眠薬は飲んでいなかった。

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<ROM>

上肢

部位( )は参考可動域

自動

他動

自動

他動

肩関節

    

屈曲(180)

120

135

140

140

伸展(50)

75

75

45

70

外転(180)

120

 

140

 

外旋(60)

35

 

40

 

内旋(80)

70

 

65

 

肘関節

    

屈曲(145)

150

155

140

160

伸展(5)

回内(90)

90

95

50

100

回外(90)

75

80

85

90

*単位は°*普段からの上肢の動きを見ると特に問題なさそうだったので、自動を中心に計測

 

下肢

部位( )は参考可動域

自動

他動

自動

他動

股関節

    

膝屈曲位での屈曲(125)

90

105

30(p)

65(p)

膝伸展位での屈曲

55

85

0(p)

60(p)

伸展(15)

10

10

外転(45)

25

50

15

15

内転(20)

20

20

  

外旋(45)

 

45

  

内旋(45)

 

85

  

膝関節

    

股屈曲位での屈曲(130)

130

145

0(p)

90(p)

伸展(0)

-10

-5

足関節

    

背屈(20)

10

10

30

底屈(45)

30

50

50

60

*左股関節の内転・外旋・内旋は脱臼や痛みが出る可能性があるので計測せず。

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<MMT>

上肢

部位

肩関節

  

屈曲

伸展

水平内転

側方挙上

肩甲骨面挙上

肘関節

  

屈曲

伸展

下肢

部位

股関節

  

屈曲

2以上(p)

伸展(膝伸展位)

外転

内転

3以上

 

膝関節

  

伸展

足関節

  

背屈

底屈

2+以上

2+以上

*左股関節内転は脱臼や痛みが出る可能性があるので計測せず。

*内転はリスク管理上背臥位にて測定(GMT)

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<形態測定>

部位

左右差

下肢長(SMD)

73.4

72.4

1.0

下肢長(TMD)

69.3

68.9

0.4

大腿長(大転子~大腿骨外側上顆)

34.3

32.9

1.4

下腿長(大腿骨外側上顆~外果)

35.6

34.9

0.7

*単位はcm

部位

左右差

膝蓋骨上縁より(0cm)

26.9

29.2

2.2

       (5cm)

23.0

25.3

2.3

       (10cm)

24.7

24.7

       (15cm)

26.9

27.1

0.2

       (20cm)

28.5

31.6

3.1

最大下腿周径

20.4

21.2

0.8

最小下腿周径

16.3

16.3

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<感覚検査>

触覚

部位

下腿

10/10

10/10

足背部

10/10

10/10

*足尖部にシビレがあるとのことで部位を限定

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<疼痛評価>

部位:大腿部(外側)

発生状況:運動時(ただし,歩行時にはみられない)

影響因子:

①発現姿勢→膝屈曲・股屈曲肢位(軽度の屈曲ではみられない。特に膝の屈曲が大きくなると現れる)

②発現動作→起立動作・着座動作

③軽減姿勢→膝伸展(伸展方向への筋収縮では疼痛は見られない)

④軽減動作→安静時には疼痛は無い

⑤時間帯→特になし

性質:鋭痛(健が突っ張るよう)、深部痛

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<姿勢分析>

背臥位

頭部・体幹は正中線上にあり、回旋・屈曲は見られない。上肢は左右ともに肩関節軽度外転位、肘関節屈曲位、前腕回内位で胸部に手掌をつける。下肢は股関節が左右とも外旋位であるが、左は右と比較して外旋している。膝関節は右がやや屈曲している。足部はやや底屈している。

 

端坐位→自立

(矢状面)

体幹はやや屈曲し軽度の円背を呈する。骨盤は体幹の屈曲に伴いやや後傾している。

頭・頚部は体幹の屈曲に伴いやや伸展位になっている。

上肢は左右とも通常は肩関節軽度伸展、肘関節軽度屈曲で大腿部の横の座面に手掌をつけているが、

膝上に手部を乗せても安定して保持可能。下肢は左右とも股関節・膝関節約90°屈曲で床面に足部の先1/2ほどを床面につけている。

(前額面)

体幹は正中線上にあり側屈などはみられない。肩は右肩が左に比べやや下がっている。

頭部は正中線上にあり、正面をむいている。上肢は左右とも大腿部の横の座面に手掌をつけているが、

膝上に手部を乗せても安定して保持可能。

下肢は通常は股関節軽度外転位で、両膝は離れているが、両膝同士を揃えても保持可能。

 

立位→両前腕を介助

(矢状面)

体幹は軽度屈曲位している。頭・頸部はそれに伴い軽度伸展している。上肢は左右とも肩関節屈曲、肘関節軽度屈曲で、介助者の両肩をしっかりと把持している。下肢は両方とも股関節・膝関節ともに軽度屈曲して体重は前方に移動している。足関節はそれに伴い軽度背屈している。

(前額面)

重心がやや右方に偏位している。他動的に重心を正中にもっていくと「倒れそう」言う。体幹、頭・頸部の側屈などはみられない。上肢は肩関節が極軽度外転している。下肢は重心が右方に偏位しているので左股関節の外転が右に比べてやや大きくなっている。左右の足部は離れており支持基底面は広い。

 

<動作観察>

寝返り→自立

①背臥位→腹臥位(普段あまりしない)

開始肢位:背臥位(両手部は胸上)

終了肢位:腹臥位(両上肢は肩関節外旋、肘関節屈曲で、前腕が回内した状態で体幹の横)

最初に、両下肢の股関節・膝関節を軽度屈曲し、頭部、肩甲帯、骨盤帯、下肢の順に体軸内回旋が起こりながら、左回りで寝返る。ある程度体幹腹面がベッドと平行になったら、右上肢を体幹の下から引き抜く。左上肢は肘関節を屈曲して体幹の横に近づけ、終了肢位となる。

 

②腹臥位→背臥位(普段あまりしない)

開始肢位:腹臥位(両上肢は肩関節外旋、肘関節屈曲で、前腕が回内した状態で体幹の横)

終了肢位:背臥位(両手部は胸上)

開始肢位から肩関節を一度外転し、そこから肘関節の伸展によって、頭部・体幹を持ち上げ、パピーポジションになる。その後股関節・膝関節を屈曲していき、四這い位となる。四這い位から、右の上下肢に体重を乗せて右回りに寝返る。最後は右背面から勢い良く倒れこむようにして、体幹をベッドに付ける。そこからさらに右回転して背臥位となり、両手部を胸の上にもってくる。

 

起き上がり→自立

①検査台上

開始肢位:背臥位(両手部は胸上)

終了肢位:端坐位(両上肢は肘関節を軽度屈曲して手部を大腿部の横) 

まず開始肢位から、肩関節軽度外転、肘関節伸展、前腕回内して、手掌面を下にして前腕を体幹の横のベッド上につける。その状態から頭・頸部、体幹を屈曲しながら、腹筋を使い、さらに肩関節の伸展、肘関節の伸展で、背部をベッドから浮かせる。その後左右の肩関節を交互に屈曲していき、股関節、膝関節が軽度屈曲した長座位となる。そこから左下腿を台から浮かせ、両上肢と右下肢で体重を支持して、殿部を前方にずらす動作を繰り返して、ベッドの端から両下腿を垂らした端坐位となる。

 

②ベッド上

検査台上と同様に長座位となり、そこから殿部を中心として回転し、ベッドから両下腿を垂らす。

 

移乗→近監視レベル

①車椅子→検査台またはベッド(車椅子は向かって右側からつける)

フットプレートを自分で上げ、両下肢を床面につける。両手でアームレストを掴みお辞儀をするように体幹を屈曲していき、殿部を挙上しながら右上肢、左上肢の順に手を座面につく。体重が両上肢にしっかり乗ったら、そこからゆっくりと右回転して殿部からベッドに移乗する。足部は数回踏み直して小刻みに移動させる。

 

②ベッド→車椅子(車椅子は向かって左側からつける)

車椅子のベッド柵に右手をつき、ベッドサイドのテーブルに左手をつき立ち上がる。そこから右手を車椅子のアームレストにつきなおし、車椅子が後ろにくるように身体を回転させて、ゆっくりと殿部を降ろす。足部は数回踏み直して小刻みに移動させる。

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歩行→左腋窩部分で支えられての杖歩行

(踵接地をHC、足底接地をFF、立脚中期をMS、踵離地をHO、つま先離地をTOとして表す。)

体幹は基本的に立位姿勢と同様。目線は進行方向を向いている。

 

2動作歩行(杖と健足→患足)

下肢において、左右の違いはほとんど見られないが、患側の立脚期が、健側に比べわずかに短い。

遊脚期の足部の引きずりは両側ともにみられない

 

10m歩行(注:計測は一回のみ)

歩数:29歩

時間:25.16秒。

歩幅:約34.5cm

重複歩距離:約70cm

歩行率:約1.15steps/sec

歩行速度:約1.42km/h

 

歩容

(患側)

上肢は腋窩から支えられて力が入っており、手の振りはみられない。下肢はHC、FFがみられるが歩幅が狭いのでわずかであり、疲れてくると不明瞭となる。MSでは、下肢に荷重が掛かると体幹の前傾は増強し、しばしば側方・前方にふらつきがみられる。体幹の前傾の増強はTOまで続く。股関節伸展は体幹の前傾と歩幅の狭さにより、ほとんど見られない。膝関節の屈曲はHC~MSと、遊脚期に極わずかにみられる(double knee action)。遊脚期に足部の引きずりはみられない。

(健側)

 上肢は杖をしっかりと把持している。杖の突き幅は重複歩距離とほぼ同距離(約70cm)である。患側の支持性が低いので、HCとFFは短く不明瞭であり、FFからMS間で体幹屈曲の増強が元に戻る。MSからHO間の股関節の伸展はほとんどみられない。遊脚期に健側の骨盤が極わずかに下向する。膝関節の屈曲はHCからMS間と、遊脚期にわずかにみられる(double knee action)。

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<バランス>

(坐位)他動では骨盤を両方から把持し操作

右方:他動的に骨盤を操作し重心を右に偏移させると、かなり重心が移動した時点で立ち直り反応が見られる。自動で体重を偏移させても、かなり大きな重心の移動にも耐えられる。

左方:右方と同様

前方:抵抗感がありほとんど重心は移動しない

後方:前方と同様

 

(立位)他動では骨盤を両方から把持し操作

右方:他動的に重心を右に偏移させると、早い時点で立ち直り反応がみられる。

左方:右方と同様(左右差はあまりみられない)

前方:側方よりは比較的、重心の偏移が大きくなってから立ち直り反応が見られた。

後方:前方と同様だが、前方よりかは重心の偏移が少ない時点で立ち直り反応が見られた。

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<ADL>

Barthel Index  65/100点(別紙参照)

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【統合と解釈】

 本症例は大腿部頚部骨折を呈し、CHSを施行後3ヶ月が経過している患者である。今回、高血圧症の既往があるために毎回、評価前と評価後に血圧と脈拍のチェックを行なった。慢性気管支炎の合併症もあるので呼吸の様子も随時チェックした。評価前も評価後も拡張期血圧70~82mmHg、収縮期血圧128~140mmHgと平常時と比較して大きな変化は見られなかった。脈拍は、評価前81/分と86/分とやや頻回であったが、アンダーソンの基準土肥変法と比較しても中止事項には当てはまらなかったので、本人にきつくないか聞きながら進め、次の日に疲れていないかを聞いた。

投薬状況をみると、種類が多く、強い副作用があるものや、睡眠薬なども使用しているので、表情や様子、言動にも注意をしていた。循環器系疾患や呼吸器系疾患の既往歴から全身持久力の低下が予想できる。

 ADLのなかで介助が必要となるのは、移乗・トイレが近監視レベル、移動は病棟内では車椅子で全介助レベル、リハビリテーション室内では杖歩行にて中等度介助、更衣(下半身)が最小介助レベルである。介護者が日中長時間不在である自宅で行なう場合は、動作の安定が必要となる。それ以外の食事、整容、排便・排尿の管理は自立しているが、配膳、道具の準備はしてもらっているので、介護者が日中長時間不在である自宅で行なう場合は、自分である程度する必要がでてくる。これらのことにより在宅復帰を困難にしている。移乗・トイレを近監視レベルにしている因子としては下肢の筋力低下、立位でのバランス能力の低下、疼痛などが考えられる。上肢の機能は正常なので、動作中に近くで見守ってふらつきにより転倒しそうなときにのみ支えることで対応できる。移動を困難にしている因子は下肢の筋力低下、平衡機能の低下、全身持久力の低下、重心の左方への移動に対する恐怖心などが考えられる。左大腿部の疼痛は荷重時にはみられないので、阻害因子とはならない。更衣を困難にしている因子は、左大腿部の疼痛である。ズボンをはく際には、股関節・膝関節の屈曲角度がかなり必要となるが、膝関節を90°以上屈曲すると疼痛が出現する。

脚長差はTMDのおいては、0.4cmとなっており歩行にはほとんど影響しない。しかし大腿長、下腿長に分けて計測した値では、合計で2.1cmある。これは立位時に右下肢のほうが長くなり、長期に渡って左右差を無意識のうちに調節するために右膝関節を常に屈曲していた結果、右膝関節の屈曲拘縮(自動-10°、他動-5°)が現れた原因となった可能性がある。

疼痛に関してはCHS施行の際の、外側広筋の切開による初期の疼痛から、不動状態が続いたことで、筋の短縮や癒着が起こっている可能性が考えられる。股関節外転の可動域制限は最終域で内転筋の筋緊張が高まっていたので、術後の不動による内転筋の短縮が原因と思われる。

 

【問題点】

Impairment level

#1 下肢筋力低下(股関節・膝関節周囲筋)

#2 疼痛(左大腿外側部)

#3 平衡機能低下

#4 ROM制限

 

Activity limitation(Disability) level

#5 歩行能力低下(#1・3・5)

#6 起立動作困難(#1・2)

#7 移乗能力低下(#1・2・3・4)

#8 ADL動作困難(特に更衣)(#2)

 

Participation restriction(Handicap) level

#9 在宅復帰困難

 

【治療目標】

Short goal

①痛痛の軽減

②下肢筋力増加(4レベルまで)

③起立動作の安定性獲得

 

Long goal

①屋内移動の自立

②ADL動作自立

 

【治療プログラム】

ホットパック

一日一回、約10~20分行なう。

 

マッサージ

拇指または、手掌を利用して、外側広筋を圧迫する。

 

ストレッチによる外側広筋の伸張

外側広筋の起始部と停止部を約30秒、徒手的に遠ざける。

 

下肢の筋力維持増加訓練(特に股関節周囲近を中心に)

徒手的に抵抗を調整して、1か所につき約10回行なう。

 

下肢の関節可動域運動(ROMの維持)

他動的に関節を動かして、1か所につき約10回行なう。

 

自動関節可動域運動の指導

 

起立動作訓練

ベッド上から立ち上がる動作を、本人の体調を確認しながら、数回行なう。

 

歩行動作訓練

リハ室内を介助しながら杖歩行を行なう。

 

歩行器を使用した歩行訓練

リハ室と病室間の移動は介助なしで、歩行器を利用して歩行する。

 

その他

退院後も廃用性の筋力低下、関節可動域の低下を防ぐために、自主的に行なえる筋力維持増強、関節可動域維持のための体操などを指導する。(例:棒体操など)

 

【考察】

 本症例では、本人は自宅への復帰を希望しているが、家族は退院後の施設の利用を希望している。理由として同居家族の仕事の関係で、長く一人でいる時間があり、転倒の危険があることが挙げられる。家族の希望は本人には、まだ伝えられていない。今後、家族から本人への説明をする予定である。そのことにより退院後の生活は本人の希望である在宅生活復帰と、家族の希望である施設への入居の二つの場合を考慮する必要がある。

本人の希望である在宅復帰を困難にしている因子として、家族が自営業を営んでおり、ひとりで生活する時間が長く、その間に転倒の危険性が高いことである。日中は一人での生活となり、主に排泄や、食事が大きな阻害因子となっている。排泄に関しては、排泄管理が自立しており、認知症状の見られないことから、おむつの使用は本人にかなりの抵抗があり難しいと思われる。そのことにより、トイレへの移動・便座への移乗・起立動作・下半身の更衣動作が必要となる。本人が自分の身体状況をしっかり認識していない部分もあり、現在は移動動作に全介助(病棟内)、中等度介助(リハ室内)が、移乗動作・起立動作に監視が必要である。しかし下肢筋力が増強し、立位バランスが向上し立位が安定し、さらに安全な動作を獲得すれば一人で行なうことも可能である。起立動作の困難さにおいては、下肢筋力低下に加え疼痛も大きな原因となっているので、下肢筋力の増強とともに、疼痛の軽減を行なうことで自立できる。更衣動作は坐位バランスが正常なので、ベッド上で行なう場合、疼痛が軽減すれば可能になると考えられる。または上肢の機能が正常なので、リーチャーなどの自助具を使用して行うことも可能である。食事に関しては、準備されていれば自立していることから、事前に昼食と夕食を用意しておけば一人で可能である。食事の準備は家族がおこなうか、もしくは介護保険での家事援助を利用することもできる。

左大腿部の疼痛に対して、ホットパックをあて、筋緊張の軽減、痛覚域値の上昇による疼痛の緩和を行なう。疼痛域値が上昇したところで、外側広筋を徒手的に少し痛みが出る程度まで伸張する。その後、外側広筋とその周囲をマッサージして、筋とその周囲の正常代謝の促進、リラックス効果を狙う。また少し強めに行なうと、皮下組織の癒着を剥離させることができる。マッサージは末梢部から中枢部に向かっておこなう。疼痛が軽減・消失すると、更衣動作は自立し、起立動作も安定すると考えられる。

疼痛に対しての治療の後に、関節可動域運動を行なう。ベッド上でリラックスした状態で徒手的に関節可動域運動をおこなう。特に膝関節伸展はしっかりと行ない拘縮を予防する。そのほかの部位も、関節可動域の維持の目的で行なう。退院後も継続して可動域の維持ができるように、自動関節可動域運動を指導する。

股関節屈曲(腸腰筋・大腿四頭筋)、外転(中殿筋・大腿筋膜張筋)、内転(内転筋群)、膝関節伸展(大腿四頭筋)を中心に、筋力増強運動を行なう。そのほかの部位も筋力の維持を目的に抵抗運動をおこなう。股関節屈曲・膝関節伸展を行なうことで、歩行時の下肢の引きずりを予防し、つまずきによる転倒を予防する。外転筋・内転筋の強化により、片足立脚期の骨盤を安定させる。このことにより歩行動作が安定し、自立歩行が可能になると考えた。

動作訓練として、起立動作訓練・歩行動作訓練をおこなう。起立動作訓練は、動作の安定性と、筋力の向上を目的とする。歩行動作訓練は、筋力の獲得、アライメントの修正、歩容の改善を目的とする。

施設入所の場合も考慮し、歩行器使用での歩行練習を行なう。このことで移動は自立する。また自宅がバリアフリーであるので、自宅内で歩行器使用もできる可能性がある。

 

【参考文献】

  1. 小林克己他 編:理学療法テキストⅨ 物理療法,神陵文庫,2001 ,p105-121
  2. 千住秀明 監:運動療法Ⅰ 第2版,神陵文庫,2005,p64-91,p120-140
  3. 永井良治:部分荷重における股関節の関節合力変化,PTジャーナル36巻,2002,p209-213
  4. 中村隆一 他:基礎運動学 第6版,医歯薬出版株式会社,2005,p361-371

 

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

-書き方, 整形疾患, 病院, レポート・レジュメ