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【脳梗塞+歩行獲得を目的】レポート・レジュメの作成例【実習】

2022年1月2日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「脳梗塞+歩行獲得を目的」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 施設に入所中
  • 脳梗塞を発症

  • 実用的な歩行獲得を目標

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「脳梗塞+歩行獲得を目的」の患者のレポート・レジュメ作成例

はじめに

今回、脳梗塞後右片麻痺の症例に対して評価を行う機会を得たので、歩行についての考察を中心に報告する。

 

一般的情報

氏名

年齢:60歳代

性別:男性

身長:cm

体重:kg

 

医学的情報(カルテより)

診断名:脳梗塞

合併症:構音障害 

現病歴

〇〇年〇〇月〇〇日、脳梗塞にてA病院に入院。  

〇〇年〇〇月〇〇日、リハビリのために当院に転院。

既往歴:〇〇年〇〇月〇〇日 くも膜下出血(前交通動脈瘤)。以前から高血圧、糖尿病。

CT所見:前交通動脈瘤クリッピング術後。右尾状核頭部および左基底核にそれぞれ小梗塞を合併。右側脳室前角は二次性拡大がある。

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個人的情報

家族構成:未婚・独居、近隣に従兄一名

職業歴:総務(物品発注)

利き手:右

家屋状況:築30年以上2階建てアパート1階、洋室6畳、トイレ和式共同、浴槽和式据置式

保険:介護保険5、障害身体者手帳

発症前の生活:自宅では身のまわりの動作全て自立。嗜好品は回転寿司。趣味は麻雀や釣り。

性格:話好きで我慢強い。

本人のホープ:東京見物、独居

家族のホープ:手足麻痺の回復

本人のニード:ADL能力の完全自立

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他部門からの情報

Dr:今後は再発もありえるので、家事などのことを考えると一人暮らしは厳しい。

Ns:基本的に目立った問題行動等はないが腰痛などで早く目覚めてしまい、不眠状態。食欲は良好で更衣は一部介助である。日中の排尿は自立。夜中の排尿は一部介助で失禁をすることあり。

OT:治療目標は歩行でのトイレ自立と手の疼痛へのアプローチである。利き手交換により、左側に変更。

ST:発話明瞭度2。顔面下部亢進・舌に運動障害があり構音障害あり。日常会話に影響はほぼない。

MSW:経済面は介護保険5・障害者手帳の認定を受けていると共に、家族の生命保険と厚生年金で問題はない。一人暮らしは難しい。

 

理学療法初期評価

(1)Motivation:訓練に対して意欲あり

(2)Communication:良好 意識障害:なし

(3)BMI:27.1〔kg/m²〕:前肥満

(4)バイタルサイン:血圧140/84 mmHg 脈拍60/min(平均)

(5)四肢長周径:(Rt/Lt)上腕長30.5/29.5、周径の右側は左側より萎縮。前腕周径最大24.5/25.0、殿溝直下47.0/50.0、下腿周径最大31.0/34.0

(6)Brunnstrom stage:上肢Ⅲ 下肢Ⅲ 手指Ⅲ

(7)高次脳機能検査:異常なし

線分末梢課題、線分二等分課題、D.Dにおいて所見(-)

(8)改訂長谷川式簡易知能評価スケール:異常なし(29/30)

(9)関節可動域:右上肢疼痛中等度制限。右下肢・体幹軽度制限。肩屈曲60°p+、肩伸展45°p+、肩外転60°p+、肩外旋20°、肩内旋45°、肘屈曲55°p+、肘伸展5°p+、手賞屈50°、股関節伸展5°、胸腰部屈曲25°、胸腰部伸展25°、胸腰部回旋20°、胸腰部側屈 15°

(10)筋力検査:左側握力23kg 、MMT 体幹筋2~3、左側上肢4~5、左側下肢4~5

(11)筋緊張:右側肩関節屈曲・伸展・外転、肘関節屈曲・伸展、手関節掌屈・背屈、股関節伸展、足関節底屈・背屈に痙性(+)

背臥位:右側上肢に筋緊張亢進。

座位:右肩関節周囲筋、肘関節屈筋の筋緊張亢進。

立位:右側肩甲帯周囲筋や僧帽筋の筋緊張亢進。

歩行時:右側肩甲帯周囲筋や僧帽筋の筋緊張亢進、腹直筋の筋緊張低下。

(12)深部腱反射・病的反射:深部反射に著名な亢進、口尖らし反射、メンデル・ベヒテレフ反射、バビンスキー反射、マイヤー反射、ルリー徴候、マイヤー・ルリー徴候(+)、足クローヌスRt(+)

(13)知覚検査

痛覚:左下腿で中等度鈍麻(10:5)、左足部で軽度鈍麻(10:7) 

温冷覚:左前腕で中等度鈍麻(10:5)、左手背で中等度鈍麻(10:5)、左下腿で重度鈍麻(10:2) 

位置覚:右側軽度鈍麻

受動運動覚:右側軽度鈍麻

振動覚:右側の上肢では中等度鈍麻(1/3)、下肢では重度鈍麻(1:5)

その他の感覚(触覚、複合感覚):良好

(14)脳神経検査

三叉神経(Ⅴ):右側の筋・側頭筋収縮低下、下顎の動き低下  

顔面神経(Ⅶ):顔つき非対称(右側口角下制)、右側の顔のしわ寄せ低下、閉眼低下、広頸筋収縮低下

副神経(XI):右側の上部僧帽筋収縮低下、胸鎖乳突筋収縮低下

舌下神経(XⅡ):右側へ舌偏位(+)

(15)運動失調検査

鼻指鼻試験、膝打ち試験、足趾手指試験、踵膝試験、向こう脛叩打試験、線引き試験、手回内・回外検査、Finger Wiggle:所見(+) 

(16)バランス評価

ロンベルク試験:1分間以上保持可能。左側に重心が大きくことあり

マン試験:(左足前の場合)1分間以上保持可能 (右足前の場合)30秒間保持可能。左側にバランスを崩す

ステップ反応:足は出るが、正常よりはやや遅い。

(17)持久力テスト

3分間歩行テスト:心拍数61→69

※連続歩行距離は本症例の左上肢疼痛のため、最大負荷はできず。

(18)姿勢分析

背臥位:アライメントが左側に偏位。上前腸骨棘や踵の高さは右側の方が高い。両上肢とも肩関節外転・内旋位で、左下肢は股関節外旋位。

端座位:アライメントは左側に偏位。頚部は屈曲。骨盤は後傾位、右側挙上。左上肢にて体幹のバランスを保持。右肩甲帯は挙上。右上肢前腕回外位。左上肢は肩関節周囲筋、肘関節屈伸の筋緊張亢進。また手関節背屈、MP関節屈曲位。左下肢は筋緊張亢進し股関節外旋位。左側脊柱起立筋群の筋緊張亢進。

立位:アライメントは左側に偏位。頚部屈曲位。右肩甲帯は挙上。骨盤は右側の方が高く、軽度左回旋位。左下肢に体重の大部分を荷重。右下肢の股関節・膝関節は軽度屈曲位。 

(19)動作分析

寝返り(背臥位→左側臥位):自立。背臥位から頭頚部を屈曲、左回旋。右上肢は腹部におき、左上肢は体側に肘伸展位。丸太様に回旋し左側臥位に。

起き上がり(左側臥位→長座位):自立。左側臥位から左肘頭マットを押し左on elbow位。左手掌外側でマットを押しon hand位。左肘関節を伸展させ、殿部を中心に右回旋し長座位に。

立ち上がり(端座位→立位):自立。端座位より頭頚部・体幹の順で屈曲。体幹を前屈し、殿部が台から浮き、股関節、膝関節を伸展し立位に。

床からの立ち上がり(長座位→立位):監視。長座位からあぐらをかき、左上肢は肩関節軽度伸展、肘関節屈曲、前腕回内位にして30cm台に前腕と手掌を置く。この状態から頚部・体幹が丸太様の左回旋。頚部、右股関節・膝関節を屈曲し、足関節中間位。体幹を前屈させ、左股関節伸展により左膝が床に着き片膝立ち位。右股関節を屈曲・内転・内旋させ、左肩関節・肘関節伸展、手関節背屈により体幹を起こす。左肘関節伸展位にて手掌で体重を支えて、左股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈し立位に。

トランスファー(車椅子→ベット):自立。車椅子をベットに対し側方につける。アライメントは左側に偏位。左手をベットに着き、左下肢を軸に左股関節内旋、骨盤右回旋させベットに座る。

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(20)歩行分析

歩行速度:21.4〔m/min〕、ケイデンス:64.3〔steps/min〕

歩行(SHBと四点杖):自立。歩行中、アライメントは左側に偏位し、視線は下。右上肢は肩甲帯後方突出、肩関節伸展・内転・内旋、肘関節伸展、前腕回内位にて身体の前部にて腕の振りはなく、肩甲帯周囲の筋緊張亢進。また、右側下肢は外旋位でぶん回し歩行が稀に出現。歩幅は全体的に狭く、特に左側の歩幅が狭い。重心移動も円滑にできておらず、歩行速度も遅い。

<右下肢立脚期>体幹は左側に偏位しており、右側への重心移動が少ない。右側の骨盤や肩が挙上している。右下肢踵接地期は右股関節屈曲・外旋、膝関節軽度屈曲位である。蹴り出しは弱い。右下肢立脚後期に体幹が軽度右回旋するが骨盤と体幹の分離運動ができておらず、骨盤の回旋もあまり起こっていない。右膝関節は伸展して、体幹は前屈する。

<右下肢遊脚期>体幹は左側に偏位して、右側の骨盤は挙上している。重心は左後方にある。右下肢toe off後背筋の収縮はあまりなく、体幹は後屈する。体幹と骨盤は丸太様の左回旋を行う。踵接地する前も膝関節は軽度屈曲したままである。

<左下肢立脚期>体幹は左側に偏位している。踵接地前から膝は伸展して立脚中期も膝関節は伸展位である。大殿筋や中殿筋に収縮が見られ左下肢の筋緊張はかなり亢進している。左下肢立脚後期に体幹が軽度左回旋する。

<左下肢遊脚期>体幹は左側に偏位して、左側の骨盤や肩は右側よりも下制している。左側上肢の筋収縮は亢進する。右下肢踵接地と同時に杖を着くのだが、杖を支持するために左肩関節・肘関節を屈曲位から伸展させる。

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階段昇降(SHB使用と手摺り):監視。

左下肢から2足1段で昇ぼる:監視。常に体幹前屈位でアライメントは左に傾き、頭部屈曲位にて足元を注視している。左肘関節を屈曲位から伸展させ手すりをつかみ下に押しながら、左下肢を1段上にあげる。右下肢は骨盤を挙上させ、股関節外旋位のまま階段の縁につま先を沿わせて1段上にあげ、左上肢にて手すりを強く引っぱり、骨盤と体幹は丸太様に左回旋させ接地する。

右下肢から2足1段で降りる:監視。常に頭部屈曲位にて足元を注視している。体幹前屈、左肩関節屈曲にて手すりをつかむ。右下肢を1段下に降ろす際、体幹を前屈させ右下肢を前方に振り出す。アライメントは左に傾き骨盤を後傾させて右側踵部を段の縁に沿わせて左股関節・膝関節を屈曲させて右足を接地させる。左上肢にて体幹を支えながら左下肢を股関節・膝関節屈曲させて1段下ろし接地する。

(21) Barthel Index

できる(85/100): 食事、移乗、整容、トイレ動作、歩行、更衣、便禁制、尿禁制は自立。階段昇降は監視。入浴は全介助。

している(60/100): 整容、更衣は一部介助(作業効率が悪く、意欲もあまりない)。歩行はw/c駆動自立、尿禁制は夜間介助。

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問題点

〇Impairment Level

#1.右下肢の支持性低下

#2.筋力低下―体幹

#3.右上下肢の随意性の低下

#4. ROM制限―体幹、右肩関節屈曲・伸展・外転、右肘関節屈曲・伸展

#5.骨盤と体幹の分離運動不十分―寝返り、歩行時

#6.右上下肢の知覚障害―表在覚、深部覚の鈍麻

#7.バランス能力低下

#8.筋緊張亢進―右肩関節周囲筋、肘関節屈筋、僧帽筋

#9.疼痛―肩関節、肘関節 

#10.左上下肢の運動失調

#11.右肩関節軽度亜脱臼

 

〇Disability Level

#12.歩行能力低下(#1~#7)

・右下肢への荷重量低下による歩行安定性の低下

・歩行スピードの低下

#13.起き上がりからの一連のトイレ動作能力低下(#1~#11)

#14.整容・更衣困難(#1~#11)

#15.入浴困難(#1~#7)

#16.基本動作能力低下―床からの立ち上がり(#1~#8)

#17.階段昇降(#1~#7)

 

〇Handicap Level

#18.自立生活・家庭復帰困難(#12~#17)

#19.生活行動範囲の狭小化(#12~#17)

 

考察

本症例は、〇〇年〇〇月〇〇日に脳梗塞発症し、歩行能力、基本動作能力、ADL能力に低下が見られた発症約4ヶ月経過した症例である。

本症例はリハビリに対しては積極的であり話好きである。構音障害はあるが早口でなければ理解もできる。歩行は自立して補助具があれば歩けるが歩行速度は低下している。また、床からの立ち上がりやADL動作においては一部介助を必要としている。本症例は入院前、一人暮らしをしており、家族は従兄が一名いる。予後として今後は再発もありえるので、家事などのことを考えると一人暮らしは厳しい。また右手の機能回復も難しいと思われる。よって、現在は老人保健施設などの施設を検討中である。施設内ADLを向上させ完全自立するためには歩行能力低下とADL能力低下、基本動作能力低下の3つの点が問題であると考えた。今回は歩行能力低下について述べる。

歩行能力低下の原因として、#1.右下肢の支持性低下、#2.体幹の筋力低下、#3.右下肢の随意性低下、#4.体幹のROM制限、#7.バランス能力低下、#5.骨盤と体幹の分離運動不十分が考えられる。

歩行周期全般に見られるアライメントの左側への偏位は右下肢の支持性低下が原因であると考えられる。右下肢の荷重量が低下していてアライメントが傾き、左上肢で使用する杖への荷重量が増え震えていることが多い。右下肢の蹴りだしが弱化しているのは、右下肢随意性低下が考えられる。それを代償するために体幹を後屈させ右下肢の前方への推進力を得ている。右下肢立脚後期に骨盤が右回旋しているのは、右股関節伸展の可動域制限があるから骨盤の右回旋が出現する。それに伴い、体幹と骨盤が分離不十分なため体幹の丸太様の回旋が起こると考えられる。右下肢立脚後期に体幹が前屈するのは、右下肢支持性低下が考えられる。右下肢遊脚期前期に骨盤挙上が見られるのは、右下肢随意性低下によって右股関節・膝関節を随意的に屈曲できないためであると考えられる。右下肢がつまずかないためにも、床から足を浮かせる必要がある。それを補うために骨盤を挙上させ、前方へのスイングをしやすいように代償している。

現在、歩行時に見られる正常からの逸脱はこれらの原因が考えられるが、結果としてケイデンスの低下と右下肢立脚期が短縮による左歩幅の狭小化をきたし、それらにより歩行速度の低下が起こると考えられる。したがって今まで述べてきたことを踏まえると、右下肢の支持性向上、右下肢の随意性向上、体幹の筋力・分離運動向上を中心にアプローチすることでより安定性が高く、実用的な歩行が可能となると考えられる。

 

レポート・レジュメの作成例をもっと教えて欲しい!

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

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