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【大腿骨頚部骨折+糖尿病】レポート・レジュメの作成例【実習】

2022年1月1日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「大腿骨頚部骨折+糖尿病」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 転倒して大腿骨頚部骨折を呈する患者

  • 既往歴に糖尿病あり

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「大腿骨頚部骨折+糖尿病」の患者のレポート・レジュメ作成例

〔一般的情報〕

【年齢】

【性別】

【身長】

【性格】話しかけると笑顔を見せ、リハビリに対しても積極的である。

【食生活】常食。食欲あり。

【睡眠】8~9時間。良好。             

【視力】異常なし

【聴力】異常なし         

【コミュニケーション】聞き取りづらいことがあるが内容はしっかりしていて理解も良好。  

【障害老人の日常生活自立度】B-2(屋内での生活は介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが座位を保つ。車椅子への移乗には介助を要す。)

【職業】無職

【利き手】右

【主訴】歩けるようになって自宅復帰したい。

【患者のニード】特になし

【趣味】特になし

【嗜好品】なし

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〔医学的情報〕

【入院年月日】〇〇年〇〇月〇〇日

【現病歴】:自宅の階段より転倒し受傷。そのまま様子見ていたが疼痛増強し、体動困難にて救急車にてA病院受診。Ⅹ線撮影後、左大腿骨頚部骨折が認められた。体幹ギプス固定。〇〇年〇〇月〇〇日当院に入院。

【診断名】左大腿骨転子部骨折術後

【既往歴】:第1腰椎骨折。左坐骨骨折。高血圧症。糖尿病。

【合併症】糖尿病。高血圧症。脳梗塞(疑)。急性肺炎(疑)。

【画像所見】

・術前の股関節の画像:*画像添付推奨

・術後の股関節の画像:*画像添付推奨

・CT所見:*画像添付推奨

頭蓋内の出血病変は明確ではない。両側頭葉ならびに小脳の萎縮がみられる。AgingBrainの所見。年齢的にやや目立つもので糖尿病の影響の可能性あり。右被殻外側に境界不明瞭な低吸収域あり。右肺底部背側に脂肪。石灰化(膵尾部か胃内残渣かは不明)

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【手術手順】

 大転子を中枢、末梢に各約7cmの皮切りし、筋膜と外側広筋を切除。大転子直下で内旋筋を切離、関節包をT字に切開し骨頭を切除。生理食塩水にて洗浄後Stemを挿入。neckは+5cm、cupは41を挿入。適合性良好なことを確認し、関節包、筋膜、皮膚を縫合した。

【術後経過】

〇〇年〇〇月〇〇日 人工骨頭置換術施行 ベッド上安静、外転枕装着。

〇〇年〇〇月〇〇日 ベッドアップ90°まで。

〇〇年〇〇月〇〇日   端坐位、車椅子許可

〇〇年〇〇月〇〇日   弾性包帯除去、処置終了後より足洗または下半身浴許可

〇〇年〇〇月〇〇日 歩行訓練開始(全荷重OK)

〇〇年〇〇月〇〇日 外転枕除去

【薬剤状況】

・糖尿病に対する薬物

◆ヒューマリン(中間型インスリン)

◆ノボラピット(超速効型インスリン)

・脳梗塞に対する薬物

◆サワチオンS

◆アデホスコーワ

◆トークラート

◆ルチアノンR

 

【他部門からの情報】

医師より:合併症に糖尿病があるため、訓練時間は投薬時間を考慮して11:00頃行ってほしい。

看護士より:移動は車椅子使用、移乗は介助で行っている。食事は配膳以外は自立。更衣は半介助。トイレはオムツ使用。看護目標は屋内歩行が自立するまで。しかし麻痺が強いようなのでどこまで回復するのかわからない。

補助看護士、介護士より:入浴は清拭のみ。トイレはおむつ使用、便意を正確に感じているかは疑問。便意を訴えても排泄していない場合と便意なしに排泄している場合が多い。更衣は全介助だが調子の良い時は食事の際の涎掛けを自分で着けたり上着を羽織ったりする。意思疎通は調子の良い時と悪い時があり、呼びかけを理解していない時もある。

 

〔社会的情報〕

【家族構成】

息子と孫と三人暮らし。

【家屋構造】

二階建て一軒屋。本人の生活部屋は一階。畳部屋で正座で過ごしていた。玄関・廊下は広く車椅子が入る広さはある。段差は小さい。トイレは洋式。

【居住環境】

住宅街

【入院前の生活】

家事をこなし、近くのスーパーまで徒歩で買い物に行っていた。

【趣味】

特になし

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〔理学療法的情報〕

【全体像】

 無表情であり、やや構音障害もあるためコミュニケーションが難しそうだとの印象を受けるが、こちらからの声掛けには応じる。実際に会話をしてみるとこちらの問いかけの内容は十分理解されておりお話される内容もしっかりしている。時折笑顔も見せてお話される。

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【バイタルサイン】

血圧:132/78

脈拍:68回/分

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【精神・認知機能】

長谷川式簡易知能評価スケール(HDSR)―11点

指示が通らない可能性も考えられたが、問診や普段の会話において理解良好でありお話される内容もしっかりしているためリハビリテーションにも問題ないと判断した。

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【片麻痺機能検査】

Brunnstorom stage ― 上肢VI 下肢Ⅳ

考察:上肢に関してはstageⅤまでの検査を両側で同時に行えた。しかし患側がやや動作緩慢になることがあったためVIと判断した。下肢に関してはStageⅣの検査である「坐位で踵接地したまま足を後方に滑らす」ことは出来たが「膝屈曲、踵接地したまま足関節を背屈する」運動が出来なかった。人工骨頭置換術後の長期安静による末梢性運動神経麻痺の可能性も考えられ、足関節に浮腫もみられることから今回のBrunnstrom Stageの判定が片麻痺の程度を正確に反映出来ているかは疑問である。

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【感覚検査】

(触覚)
 

左(/10)

判定

前腕

10

正常

手背

10

正常

体幹

10

正常

術部(大転子)

10

正常

大腿

10

正常

下腿内側

7

中等度鈍麻

下腿外側

7

中等度鈍麻

足背

0

消失

足底

0

消失

足趾

0

消失

 考察:左下腿の中等度感覚鈍麻、足背、足趾、足底の感覚消失が見られた。人工骨頭置換術後の末梢神経麻痺であるのか脳梗塞による中枢性麻痺であるのか判別が出来ないが、深部感覚の低下も予想され、今後立位訓練に移行する際の問題点となる可能性が高い。

 

(痛覚)
 

左(/10)

判定

上腕部

10

正常

前腕背側

10

正常

前腕腹側

10

正常

手背

10

正常

術部(大転子部)

10

正常

大腿

10

正常

下腿内側

10

正常

下腿外側

8

軽度鈍麻

足背

3

重度鈍麻

足趾

3

重度鈍麻

足底

3

重度鈍麻

(深部感覚)

 運動覚を測定する方法として、閉眼して示指を他動的に上下左右に動かし、どちらに動かしたかを答えてもらう方法をとった。左右の上肢と下肢の左右共に行った。位置覚を測定する方法として、閉眼してもらって麻痺側を他動的に動かし、同じ角度まで非麻痺側を自動的に動かせるかをみた。

運動覚

上肢

右:5/5

左;5/5

下肢

右;5/5

左:2/5

位置覚

上肢

1/5

下肢

1/5

考察:運動覚は左右の上肢は共に全正解だったが、指を他動的に動かしてから、回答するまでの時間に左右差があった。下肢は左下肢の場合に曖昧な答えや間違いが目立った。

位置覚の場合、10度以上の差を異常と考えるとほぼ全ての動作において異常がみられた。

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【疼痛検査】

痛みのある部位:左大腿骨転子部周辺

発症状況:運動時痛

性質:鈍痛

主観的程度(VAS):5/10

考察:痛みは皮膚の表面の痛みとのことで蝕察、他動的に運動しながら確認していった結果筋の痛みは少なく、術部の皮膚のこわばりの可能性が高いと考える。

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【形態測定】

四肢長

背臥位にて施行、単位はcm

 

下肢長:SMD

78

77

大腿長:大転子~大腿骨外側上顆

32

32

下腿長:大腿骨外側上顆~外果

34

34

四肢周径

背臥位にて施行、単位はcm

大腿周径

膝蓋骨上縁より0cm(膝関節)

36.5

37

5cm(内側・外側広筋)

37

36.5

10cm(内側・外側広筋)

39

38

15cm(大腿全体)

42

41

下腿周径

  

最大下腿周径

32

30

最小下腿周径

20.5

20

考察:左膝関節、左足関節は人工骨頭置換術後の影響と思われる浮腫がみられ、周径にも数値の差として表れている。また膝関節から5cm~15cmの部位、下腿では左下肢が右下肢と比較して細くなっており、人工骨頭置換術後の安静による大腿四頭筋、下腿三頭筋の萎縮ではないかと考えられる。

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【ROM】

関節可動域テスト(ROM-T):単位は°

運動方向

股関節屈曲

95P

140

   外転

30

30

   内転

15

20

   外旋

15P

50

   内旋

25

40

膝関節屈曲

140P

160

   伸展

-10

0

足関節背屈

0

0

   底屈

75

75

 考察:左下肢の股関節屈曲、外旋での可動域制限と疼痛は術後修復しきれていない関節包や、術中に切除された内旋筋の伸長痛ではないかと考えられる。膝関節の痛みに関しても術中に筋膜、外側広筋を切除しており、伸長痛になっているのではないかと考える。

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【筋緊張検査】

・ 被動性検査:ROM測定時の抵抗をもとに考察。

左右上肢の筋緊張は左右差がなく、亢進も低下もしていないと判断した。左右の下肢の差は、左足関節の底背屈時の抵抗が少なく、背屈位を支える手を離すと底屈位にストンと落ちるため、筋緊張の低下があると判断した。左の膝関節に関しては姿勢や精神的緊張による筋緊張亢進がみられた。股関節軽度屈曲位で膝関節を屈曲した場合は、筋緊張は上がらず、股関節を90°近く屈曲した場合には筋緊張があがり抵抗が強くなった。これは術部である股関節周辺や股関節周囲筋群の疼痛があることも一因であると考えられる。

 

・懸振性検査

手、腕、下肢、足で懸振性検査を行った。その結果、左足関節の振り子運動において振幅が大きかった。左膝関節についてはこの検査では異常は見られなかった。

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【筋力検査(MMT)】

徒手筋力テスト(MMT)

運動

上肢

  

肩関節屈曲

4

4

肩関節伸展

肩甲骨面挙上

4

4

肩関節外転

肩関節水平内転

  

肘関節屈曲

4

4

肘関節伸展

  

前腕回外

4

4

前腕回内

4

4

手関節屈曲

4

4

手関節伸展

4

4

下肢

  

股関節屈曲

3

股関節外転

  

股関節外転と屈曲

3

2

股関節内転

  

股関節外旋

3

2

膝関節屈曲

3

2

膝関節伸展

3

2

足関節底屈

4

2

足背屈ならびに内がえし

4

1

足内がえし

4

1

足底屈位での外がえし

3

1

足背屈位での外がえし

3

1

体幹

  

体幹屈曲

3

 

体幹回旋

3

 

考察:対象者が可能な肢位は現在坐位か背臥位に限定されるため検査項目が限られた。左下肢に関しては中枢性の質的麻痺の可能性もあるためMMT適用の正当性が問われるが、随意収縮を確認する意味も込めて測定を行った。

ADL動作の中から考えても、坐位で臀部を浮かして後方に座りなおすことが出来ることから上肢の筋力には問題ないと思われる。左下肢の随意運動の低下が問題と思われる。

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【反射テスト】

腱反射

反射

右側

左側

上腕二頭筋反射

++

上腕三頭筋反射

++

腕橈骨筋反射

++

膝蓋腱反射

++

アキレス腱反射

病的反射  

病的反射

バビンスキー反射

ホフマン反射

トレムナー反射

考察:腱反射に関しては上肢には著明な左右差があったが、下肢の左右差は比較的少なかった。膝蓋腱反射は筋腱移行部では出現しなかったが右下肢との比較において亢進していると判断した。

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【バランステスト】

静的バランス

坐位で2分間の坐位を保つことができた。その間、体幹のふらつきもなく、上肢による支持も必要なかった。

 

動的バランス

能動的な重心移動をさせると、頚部体幹の立ち直り反応は乏しかったが重心の移動に伴い、左右方向どちらも保護伸展反射で新しい支持基底面を形成することができた。

坐位で外乱を加えるテストでは、頚部体幹の立ち直り反応が乏しく、片側の坐骨に重心が乗ると直ちに上肢をついて支えていた。この傾向は左右で比較すると患側(左側)への外乱の際のほうがやや顕著であった。

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【脳神経テスト】

嗅神経:食事の際、匂いを感じてみかんを判別したため正常と判断した。

視神経:視力は紙の裏に「あいうえお」と書いたものを40cmくらいの距離で読んでもらった。問題なく読むことができた。視野は左右にほぼ対称の範囲見ることができた。

動眼・滑車・外転神経:眼瞼、眼球、瞳孔の観察で異常なし。眼球運動も0(正常)。眼振

三叉神経:顔面の感覚左右差なし。

顔面神経:上顔面筋、下顔面筋共に異常なし。

舌咽神経・迷走神経:カーテン徴候は見られなかった。

副神経:僧帽筋、胸鎖乳突筋は左右とも問題なかった。

舌下神経:舌の観察により、著名な異常は認められなかった。

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協調性テスト

鼻指鼻試験:陰性

示指-耳朶試験:陰性

反復拮抗運動試験:陰性

運動分解(示指-耳朶試験):陰性

両手の同時握り締め:陰性

書字試験:陰性

腕叩打試験:陰性

スチュアート・ホームズ反張現象:陰性

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【ADL】

病棟でのしているADLを確認する意味で「FIM」を採用した。

セルフケア

食事―5、整容―2、入浴―1(清拭のみ)、更衣(上半身)―1、更衣(下半身)―1、

排泄管理

排尿―1(オムツ)、排便―1

移乗

ベッド・車椅子・椅子―2、トイレ―1、風呂・シャワー―1

移動

歩行・車椅子―1、階段―1

コミュニケーション

理解―7、表出―6

社会的認知

社会的交流―7、問題解決―3、記憶―7

*合計49点であった。

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【高次脳機能】

失語・・普段の会話から、やや構音障害はあるが失語はないと判断。

失認・・線分二等分試験、線分抹消試験の結果から半側空間無視はないと判断。

失行・・普段の動きから肢節運動失行、手指失行、顔面失行はないと判断。動きの模倣が出来るため観念運動失行もない。筆記物の使用出来るため観念性失行もないと判断。着衣失行もない。

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【姿勢分析】

坐位

矢状面からのアライメントは骨盤後傾、胸腰椎後弯して仙骨座りとなり、それに対応して頚部が進展して前方を見ている。前額面からみると、静止坐位では体軸のずれは顕著ではないが、両腕を挙上してもらうと一旦患側に傾き、体幹の立ち直りで右側屈し体軸を健側に傾かせていた。更に、坐位で靴下を履いてもらった際、健側股関節を屈曲し足部を挙上すると体幹が患側にふらついて傾き、左上肢の保護伸展反射で新しい支持基底面を形成した。罹病前にはこの同じ姿勢で靴下の着脱を問題なく出来たとの対象者の話からバランス能力の低下が伺える。

 

【動作分析】

ベッドから車椅子への移乗

1相:ベッドから端坐位への起き上がり

病室のベッドでは自立して起き上がりが出来るように吊り輪があり、それを両上肢で把持して上体を引き上げ、起き上がりが何とか可能。このとき効果的な体幹の屈筋の収縮が少なく腹筋群の低下が伺える。実用的な起き上がりとしてはギャッジアップで他動的に坐位になるものである。リハビリテーション室のプラットホーム上ではほぼ全介助で端坐位までの起き上がりをしている。この場合は二人がかりで、一人が上肢体幹を支えながら健側方向に回旋させ、一人が下肢を把持して回旋する。この際股関節が屈曲内転肢位をとらないように注意する。対象者は上肢をついて起き上がりにつれて進展し自立への意欲が見られる。

2相:端坐位から車椅子への移乗動作(立ち上がり)

坐位をとることは自立しており、ふらつきもない。車椅子に移乗する際は介助者が両膝の間に足を入れて固定し、介助者に体重を預けながら立位になり、回転して車椅子の座面に向き、腰を降ろす方法をとる。この際の対象者の動きは下肢の支持性に乏しく、体幹の前傾により自力で下肢に重心を移すことが出来ない。介助により重心を移した後、膝股関節を伸展するが伸展筋力の低下もしくは麻痺の影響により自力での伸展は出来ない。介助により膝伸展位になるとロッキングにより、支持が可能になる。

3相:端坐位から車椅子への移乗動作(身体の向きを変えて座面に腰を下ろす)

車椅子の座面に腰を下ろす際も介助が必要である。身体を座面に向ける動作も下肢の十分な随意性がないため介助者が他動的に回旋する。座面に座る際の股関節、膝関節の屈曲も筋力を要するので自力では不可能であり介助で行う。このとき対象者は車椅子のアームレストに座面に浅く座った後、深く座りなおすことは自力で可能である。左右の肩関節伸展、肘関節屈曲の状態から肩関節伸展、肘関節伸展して上体を持ち上げて臀部を後方に移動する。

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【問題点】

Impairment

♯1 左下肢随意性低下

♯2 下肢筋力低下

♯3 立位の安定性低下

♯4 左下肢感覚障害

♯5 大腿外側の疼痛

♯6 左股関節ROM制限

 

Disability

♯7.ADL能力の低下 (移乗:介助レベル 入浴、更衣:全介助)<#1,2,3,4>

♯8.基本動作能力の低下(寝返り、立ち上がり:介助) <#1、2、3、4>

 

handicap

♯9.活動範囲の狭小化による活動制限 <#7,8>

♯10.家庭復帰困難<#7,8>

 

【ゴール設定】

(Short goal)

立位の保持

立ち上がりの自立

車椅子への移乗の自立

平行棒内歩行の自立

 

(Long goal)

長下肢装具、T―cane歩行の自立

更衣、トイレ動作の自立

 

(Final goal)

短下肢装具、T‐cane歩行の自立

ADL(入浴以外)自立し、家庭復帰。

 

【プログラム設定】

関節可動域訓練

毎日一つの関節につき10回×2セット行う。特に左下肢の可動域訓練は術後の大転子部の癒着、麻痺による膝関節、足関節の拘縮を防ぐために入念に行う。

 

坐位でのバランス訓練と下肢協調運動訓練。

直径15cmほどのボールを足部の下に置き、前後左右に動かす。

股関節周囲筋群など下肢全体の協調した運動を促す。麻痺側から行い、慣れてきたら健側でも行う。

 

Tirt tableによる立位耐性訓練。

60°で20分可能になれば以下の訓練に移行。

 

立位のバランス訓練

3分間。その後、手すりを持った状態で体幹の回旋、前傾、後傾を自動運動で行い、重心の移動を学習する。更に、平行棒内で健側のみ平行棒を持ち、麻痺側の下にボールを置いて前後左右に動かす。慣れてきたら健側でも行う。

 

寝返り訓練

 術部の状態が安定してきたら寝返り動作の訓練を行う。股関節屈曲内転内旋の禁忌肢位を避けるため、術側への寝返りを指導する。背臥位からベッド上端坐位への起き上がりは麻痺側の足をベッドから下ろしながら第1のてこを利用して起き上がる方法を指導する。

 

立ち上がり動作

高い座面からの立ち上がり→低い座面からの立ち上がりへ移行する。始めは高い座面  で前方に手を載せられる台を設置し、押す動作での立ち上がりを学習する。体幹の前傾による足部への重心移動を学習させる。動作が確立し、安定してきたら立ち上がり途中の膝屈曲、股関節屈曲の姿勢を維持させ、大腿四頭筋、ハムストリングスなどの遠心性収縮を促す。

 

平行棒内歩行

平行棒内にてまずは手→患側→健側の3動作歩行を確立する。その後、手と患側→健側の2動作歩行に移行する。

 

物理療法

大腿外側の疼痛軽減のためホットパックを行う。

 

【考察】

 本症例は左大腿骨頚部骨折を呈して入院された。入院されて三日後に人工骨頭置換術を行っている。術後は精神的に不安定となり術創部を引っかいたりと問題行動が見受けられたが、現在は落ち着かれておりリハビリテーションに対しても積極的である。自宅には息子と孫がおり、早く家に帰って子守りがしたいとの要望がある。趣味は特にないが歩けるようになりたい、自分の身の回りの事は自分で出来るようになりたいとお話される。

本症例は合併症として糖尿病をもち、脳梗塞の疑いもある。CT所見において被殻に低吸収域がみられ、左下肢に麻痺が強い。血糖値は投薬によりコントロールされている。麻痺に加えて術後の禁忌肢位に注意を要するため自立での寝返り、立ち上がりなどの基本動作は出来ず現在はほぼ全介助で行っている。ADLも食事以外はほぼ全介助であるため自宅復帰困難となっている。

検査項目はROM,MMTから高次脳機能検査、脳神経テストと多岐に渡った。その中で前述の能力障害に直結する所見は左下肢のBrunstrom下肢Ⅲ、上肢VI、左下肢の深部感覚の著名な低下、左股関節・膝関節の可動域制限であると考える。上肢の筋力は左右ともにMMT4以上保たれており、今後の訓練の助けとなると予想される。

現在、術後二週であり全荷重が許可されている。Tirt tableによる立位耐性訓練で60°の傾斜角度を20分保てれば次の訓練へ移行する。坐位は自立しているため坐位で直径15cmほどのボールを足部の下に置き、前後左右に動かす訓練を行い、股関節周囲筋群など下肢全体の協調した運動を促すと同時に動的バランスの訓練を行う。立位でのバランス訓練では手すりを持った状態で体幹の回旋、前傾、後傾を自動運動で行い、重心の移動を学習する。立ち上がり動作訓練は高い座面から始め低い座面へと移行する。始めは高い座面  で前方に手を載せられる台を設置し、押す動作での立ち上がりを学習する。体幹の前傾による足部への重心移動を学習させる。動作が確立し、安定してきたら立ち上がり途中の膝屈曲、股関節屈曲の姿勢を維持させ、大腿四頭筋、ハムストリングスなどの遠心性収縮を促す。平行棒内歩行では状態に応じて下肢装具を装着して、まずは手→患側→健側の3動作歩行を確立する。その後、手と患側→健側の2動作歩行に移行する。その後短下肢装具、T-cane歩行へと移行する。

 これらの訓練により基本動作、ADLがある程度獲得されれば自宅復帰が可能と思われる。ただし、自宅には介助者がいないため、入浴などの介助が必要と思われるADLに関しては家族と相談の上何らかの方策が必要となる。地域により状況が異なるが、デイサービスなどを利用して週1,2回は入浴が出来るようにプランを立てたい。

対象者にとって自宅復帰し、息子や孫と暮らすことがQOLの向上に直結することと思われるの。歩行の自立、出来る限りのADLを獲得し退院後に家族と充実した生活が送るために今後も援助していきたい。

 

【参考文献】

  1. 「ベッドサイドの神経のみかた」 南山堂出版株式会社
  2. 「脳卒中の理学療法」 医歯薬出版株式会社
  3. 「ここがポイント整形外科疾患の理学療法」金原出版株式会社

 

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

-書き方, 病院, 整形疾患, 内科・循環器, レポート・レジュメ