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【脛骨腓骨遠位端骨折】レポート・レジュメの作成例【実習】

2022年1月2日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「脛骨腓骨遠位端骨折」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 脛骨腓骨遠位端骨折を呈する患者

  • 職場復帰を目標

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「脛骨腓骨遠位端骨折」の患者のレポート・レジュメ作成例

【症例紹介】

1.一般的情報

年齢・性別・職業:60歳代,男性,調理師(自営業)

診断名:右脛骨腓骨遠位端骨折

受傷年月日:〇〇年〇〇月〇〇日

リハ開始年月日:〇〇年〇〇月〇〇日

 

2.医学的情報

現病歴:〇〇年〇〇月〇〇日,農道をバイク(50cc)で走行中,曲がる時に後輪が脱輪し転倒.車体が右下腿に乗り,激しい疼痛のため救急車にて来院.〇〇年〇〇月〇〇日にope.〇〇年〇〇月〇〇日より1/3PWB.

手術内容:〇〇年〇〇月〇〇日にope.術式は観血的整復固定術(ピロンプレート+フィブラプレート).脛骨,腓骨ともにプレートにて固定.

X線所見:脛骨は斜骨折.腓骨は粉砕骨折と考えられる(図1).また開放骨折ではないことが判断できる.ope後(図2),〇〇年〇〇月〇〇日においては脛骨に若干の骨折線が確認できる.仮骨形成段階であると考えられ,負荷量や骨折線に考慮した抵抗位置での理学療法が必要であると考えられる.

図1 ope前のX線

図2 ope後のX線

 

生化学検査所見:〇〇年〇〇月〇〇日付

①GPT:71H <基準値>4~43

②白血球数:32L <基準値>39~98

③赤血球数:370L <基準値>427~570

④Hb(血色素量):11.5L <基準値>13.5~17.6

⑤Ht(ヘマトクリット):34.8L  <基準値>39.8~51.8

他部門情報:PT:ope後の2週間はL字のシーネで固定.〇〇年〇〇月〇〇日より足関節の可動域練習開始.現在は,下肢・上肢の筋力強化も並行.一時期,左肩に疼痛を訴えたが,現在は消失.

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3.基礎・社会的情報

本人のニード:仕事復帰

趣味:バイクのツーリング,庭いじり,日曜大工

住居環境:一戸建て.階段は傾斜が急であり15~16段ほど.段の幅が約25㎝.

生活環境:職場まで自転車と電車,徒歩にて移動.所要時間として約1時間.

 

【理学療法評価】

(〇〇年〇〇月〇〇日)

1.全体像

 両松葉杖にて右下肢は非荷重でリハ室に来室.常に笑顔で会話は良好.右足関節の患部に若干のむくみと皮膚の色が赤くなっている.

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2.関節可動域検査

passiveにて測定(単位:°)

測定部位/運動方向

Rt.

Lt.

肩関節 屈曲

180

150(P)

    伸展

60

60(P)

    外転

180

130(P)

    外旋(肩外転位)

80

45(P)

足関節 背屈(膝屈曲位)

0

20

    背屈(膝伸展位)

0

5

    外がえし

10

20

母趾 MP屈曲

30

30

   MP伸展

25

45

Pは疼痛出現.ともに最終域で出現.

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3.筋力検査

関節運動

Rt.

Lt.

肩関節  屈曲

5

5(P)

     外転

5

5(P)

     内旋

5

5(P)

足 背屈内がえし

4

5

  底屈

2

5

※Pは測定時に疼痛出現.ともにVASで4.

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4.形態測定

(単位:cm)

周径

Rt.

Lt.

差(小)

膝関節上10cm

43.7

45.3

1.6

    15cm

46.4

47.4

1.0

下腿最大周径

36.7

38.0

1.3

下腿最小周径

27.7

23.8

2.9

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5.感覚検査

術創部周囲に関して軽度の鈍麻(8/10).また右側足部の背面に軽度のしびれがあり.

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6.ADL評価(Barthel Index) 

80/100点

食事:10点:自立.

更衣:10点:上下ともに自立.靴下は未実施.

整容:5点:車いすにて自立.歯磨き,洗顔等は自立.

入浴:5点:車いすにて移動.手すりを用いて自立.

排尿:10点:自立.

排便:10点:自立.

移乗:15点:手すりにつかまり自立.

トイレ動作:10点:洋式に座って行う.ともに自立.

歩行:5点:両松葉杖歩行にて自立.ただし,右下肢は全免荷.

階段昇降:0点:未実施.

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【問題点抽出】

<inpairment>

#1 足関節背屈・母趾可動域制限

#2 右下肢大腿・下腿の筋力低下

#3 左肩関節可動域制限と疼痛

#4 術創部の腫脹(若干むくみと熱感)

#5 術創部の軽度感覚鈍麻

 

<disability>

#6 歩行動作の荷重制限(♯1・2・4・5)

#7 松葉杖使用での立位(♯1・2・4・5)

#8 洗髪動作困難(♯3)

#9 松葉杖使用時の疼痛(♯3)

 

<handicap>

#10 職場での長時間の立位や運搬などに支障(♯6・7)

#11 バイクの運転に支障(♯6・7)

 

【治療目標】

短期目標(3W後):足関節可動域改善(背屈10°)

長期目標(2M):足関節可動域改善(背屈20°),肩関節疼痛除去,松葉杖なしでの歩行・階段昇降,職場復帰

 

【治療プログラム】

①関節可動域練習,②筋力増強練習(体幹・上肢・下肢),③物理療法(超音波療法),④起立台や平行棒での荷重練習

 

【考察】

 骨折部位の癒合期間の予測では両下腿骨で8週間とされている1).このことからopeの8週間後には全荷重の予定を念頭に理学療法を進めていく必要がある.

 現在の状況では1/3PWBが開始されたが,足関節の背屈に一番の問題が生じているものと考える.可動域の制限因子として腓腹筋・ヒラメ筋・関節の柔軟性の欠如,術創部の癒着,プレートによる関節運動の阻害といったものが考えられる.足関節の可動域について斎藤2)らは正常歩行において背屈10°は必要であることを報告している.今回の場合,足関節背屈0°であり,歩行時に影響が出るものと考えられる.そればかりか階段昇降やかがみこみといった応用動作にも支障が出るものと考える.歩行では10°を目標としているが,職場の復帰を考えると,階段やかがみこみといった動作を行うにあたって,左側と同等の背屈20°を長期目標として獲得する必要があると考える.可動域を獲得するために筋のストレッチングや可動域制限の因子となる部位への関節モビライゼーションを用いて柔軟性を高め可動域改善を促進すべきと考える.経過が順調に進んでいくと荷重をしていく.そのためには正常な可動域も必要であるが,筋力も必要となってくる.周径や筋力検査から右側に筋力低下があることが予測されるため,重錘やチューブを使用して筋力の維持・向上を目指すべきと考える.下肢のみならず松葉杖を使用するので上肢のアプローチも行う.また稲岡3)は物理療法の超音波療法での軟部組織の柔軟性向上や骨癒合の促進を促すために治療に取り入れるべきと報告している.骨癒合の経過が前進することで,荷重量も増えるため,歩行練習が早期から実現可能になると考える.

 最後に肩関節の疼痛と制限について述べる,いつから疼痛が出現したのかは不明であるが,現在は日常生活において制限が生じていないため,現段階では下肢のアプローチに集中すべきと考える.しかし今後,疼痛の増悪や制限が著名になる場合,並行してアプローチする必要があると考える.

 退院については職場の現状を把握した上で,全荷重での疼痛がない状態を目安とし,その後外来でアプローチするべきと考える.

 

【参考・引用文献】

1)嶋田智明 他:ケースで学ぶ理学療法臨床思考.文光堂,pp77,114-126,2006

2)中村隆一 他:臨床運動学 第3版.医歯薬出版,2002,5,pp92-93

3)稲岡忠勝:下肢骨折の病期別理学療法ガイドライン.理学療法,19(1),pp105-113,2002

 

レポート・レジュメの作成例をもっと教えて欲しい!

今回は、「脛骨腓骨遠位端骨折」の患者のレポート・レジュメの作成例を紹介しました。

当サイトでは、数多くのレポート・レジュメの作成例を紹介しています。

おそらく、あなたが実習で担当するであろう疾患のほとんどを網羅しているので、ぜひ参考にして実習に望んでください。

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

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