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【実習】脳卒中が怖くない!リハビリの流れと脳病巣の局所診断を解説

2021年12月18日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、評価ポイント解説シリーズ。

今回は、「脳卒中(脳梗塞・脳出血など)」の患者に対するリハビリの流れと脳病巣の局所診断です。

実習では、ほとんどの学生が脳卒中の患者を担当します。

その中で、「どのようにリハビリを進めたら良いかわからない」「脳の障害部位と症状がわからない」という声を多くいただきましたので、解説してまいります。

今回は、解説に加えて、まとめたシートも用意しているので、ダウンロードして実習に臨んでください。

もちろん、ダウンロードは無料です。

 

脳卒中(脳梗塞・脳出血など)の患者に対するリハビリテーションの流れ

それでは、まずは「脳卒中(脳梗塞・脳出血など)の患者に対するリハビリテーションの流れ」をお伝えします。

今回紹介するのはあくまでも一般的に言われていることであり、それぞれの病院によって流れは異なる可能性があります。

一般的な流れは抑えつつ、実習先の病院の流れに臨機応変に対応していくことが重要と言えるでしょう。

 

経過

内科・脳外科的治療

リハビリテーションプログラム

主要目的

発症直後急性期発

症後24時間以内

①バイタルサイン、神経所見、頭部CT、MRI、血液検査、心電図心臓超音波検査など

②血腫除去術(出血)

③脳浮腫予防・減圧

④脳血流維持対策

⑤再発・進行予防

①意識障害2桁以上

②関節可動域訓練

③体位変換

④良肢位保持

⑤意識障害1桁以内

⑥上記に加え、3~5分の座位、立位、歩行

①廃用症候群の予防

②健側・体幹筋力の維持

③立位感覚の維持

④心理的安静

急性期2~7日

①脳浮腫予防・減圧

②脳血流維持対策

③再発・進行予防

④栄養管理

⑤リスク・全身管理

①上記と同様

②進行しなければ徐々に機能を上げ実用歩行をめざす

①上記と同様

②心理的アプローチ

③機能障害的アプローチ

回復前期2~4週

①再発・進行予防

②栄養管理

③リスク・全身管理

④合併症予防

①機能回復訓練

②日常生活訓練

③高次脳機能障害訓練

①機能障害、能力障害、心理的アプローチ

回復後期2~6ヶ月

①痙性増強対策

②疼痛対策(視床痛など)

①機能回復訓練

②日常生活訓練

③高次脳機能障害訓練

④生活関連動作訓練

⑤耐久力・体力訓練

⑥前職業訓練

⑦在宅環境調整

①機能障害、能力障害、アプローチ

②社会・家庭へのアプローチ

③障害受容・克服へのアプローチ

慢性期7ヶ月~1年

 

①高次脳機能障害訓練

②職業環境調整

③機能維持

 

超慢性期1年以上

①再発予防・健康維持増進

②整形外科的再建術

①機能維持を行いながらの生活

①社会へのアプローチ

「脳卒中(脳梗塞・脳出血など)の患者に対するリハビリテーションの流れ」ダウンロード

上記の表をpdfでダウンロードできます。

必要な方は、是非ダウンロードして実習に臨んでください。

ダウンロード:脳卒中の患者に対するリハビリテーションの流れpdf

 

脳病巣と局所診断

次に、「脳病巣と局所診断」をお伝えします。

わかりやすくいうと、「脳のココが障害されたらこういう症状が出やすい」をまとめています。

バイザーには、「今度視床出血の患者さん担当してもらうから」と言われます。

この時、「視床出血ならあの症状が出やすいからあの評価をしよう」と思えるかどうかはかなり重要です。

スムーズに評価ができる、つまり実習に落ちないことに繋がるので、しっかりと抑えておきましょう。

 

障害部位

徴候および症状

大脳皮質

前頭葉

前々頭葉領野

精神障害

種々な異常反射

運動失調「症」

受動運動持続

カタレプシー

運動領野および前運動領野

単麻痺または片麻痺

病的反射出現

腱反射低下または亢進

表在性腹壁反射減弱~消失

筋緊張異常(痙縮、硬直、強剛、弛緩性)

焦点運動発作、ジャクソンてんかん

運動性失行、歩行失行

眼球共同偏倚

ブローカ野

運動性失語または表出性失語

前頭葉下面

嗅覚消失

フォスター・ケネディ症候群

頭頂葉

焦点性(ジャクソン型)感覚発作

皮質性感覚障害

優位半球では失行「症」

非優位(右)半球では左方の空間や身体の失認、病態失認

構成失行

優位半球では失読(失書を伴う)

対側半身の筋萎縮

視野の欠損(反対側の下四分盲)

運動失調「症」(深部感覚障害によるものが主体)

角回

ゲルストマン症候群

側頭葉

側頭葉てんかん、精神運動発作、鉤発作(嗅の幻覚)

感覚性失語または受容性失語

記銘・記憶障害(両側性障害で高度)

聴覚性失認、皮質聾

視野欠損

クリューヴァー・ビューシー症候群(両側の側頭葉の切除で出現)

後頭葉

同名性半盲を示すが、黄班部は侵されない

視覚性失認、相貌失認、色彩失認、純粋失読、視空間失認などが起こる

視覚消去現象

視覚性てんかん

バーリント症候群

皮質〔性〕盲、アントン症候群

内包

片麻痺

腱反射亢進

病的反射出現

腹壁反射消失

筋緊張異常(急性期には弛緩、慢性期には痙縮となりウェルニッケ・マンの肢位をとる)

顔面神経、舌下神経の中枢性麻痺

半身感覚鈍麻(顔面を含む:三叉神経障害)

基底核(大脳核)

不随意運動

間脳

視床

病巣反対側の全感覚鈍麻(手口感覚症候群)

視床痛

運動失調

不随意運動

視床手

失語

視床性無視

視床性認知症

視床下部

縮瞳、ホルネル症候群

尿崩症

体温異常

高Na血症または低Na血症{SIADH(ADH分泌異常症)}

肥満またはやせ

睡眠障害

「脳病巣と局所診断」ダウンロード

上記の表をpdfでダウンロードできます。

必要な方は、是非ダウンロードして実習に臨んでください。

ダウンロード:脳病巣の局所診断pdf

 

脳卒中の患者に対する評価方法は?

脳病巣と局所診断ができたら、次は実際に評価をしていきます。

当サイトでは、脳卒中の評価には欠かせない片麻痺検査(【実習】片麻痺の患者の評価ポイント!【カンペ付き評価シートあり】)をはじめ、脳神経検査(【実習】脳神経検査の評価ポイント!【カンペ付き評価シート有】)など、実習で必要と思われる評価のほとんどを網羅しているので、ぜひ他の記事も参考にしてみてください。

実習の成功を心から応援しています。

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