脳血管疾患 書き方 施設(老健など) レポート・レジュメ

【脳梗塞+施設入所中】レポート・レジュメの作成例【実習】

2021年12月24日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「脳梗塞+施設入所中」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 施設に入所中
  • 脳梗塞を発症

  • 右片麻痺を呈する

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「脳梗塞+施設入所中」の患者のレポート・レジュメ作成例

<患者プロフィール>

氏名:○○

性別:女性

生年月日:○○年○○月○○日

年齢:80歳代

身長:cm

体重: kg

職業:なし

性格:遠慮深い

利き手:右

入所:○○年○○月○○日

診断名:脳梗塞後遺症

既往歴:

○○年○○月○○日脳梗塞(後遺症なし)

○○年○○月○○日脳梗塞(右片麻痺)

CT:左橋の梗塞との表記

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併存症:心房細動 

薬:

・バイアスピリン

作用:抗血液凝固剤

重大な副作用:ショック、アナフィラキシー様症状(呼吸困難、全身膠様、血管浮腫、蕁麻疹等)頻度不明 。出血(脳出血、眼底出血、消化管出血等の重篤な出血)頻度不明。皮膚粘膜眼症候群(stevens-johnson症候群)中毒性表皮壊死(Lyell症候群)剥脱性皮膚炎 頻度不明。再生不良性貧血 頻度不明。喘息発作 頻度不明。

その他の副作用:消化器5%以上または頻度不明 胃腸障害、嘔吐、腹痛。胸やけ、便秘、下痢、消化性潰瘍、食道炎、口唇腫脹、吐血、吐き気。消化器0.1~5%未満 悪心、食欲不振、胃部不快感。過敏症 5%以上または頻度不明 蕁麻疹。過敏症0.1~5%未満 発疹、浮腫。血液0.1%未満貧血、白血球減少、血小板減少、血小板機能低下(出血時間延長)。皮膚5%以上又は頻度不明 掻痒、皮疹、膨疹、発汗。精神神経系0.1~5%未満 頭痛。肝臓5%以上または頻度不明 GOT上昇、GPT上昇。肝臓0.1%未満 腎障害。循環器5%以上または頻度不明 血圧低下、血管炎。循環器0.1~5%未満 心窩部痛。呼吸気5%以上または頻度不明 気管支炎、鼻出血。呼吸気0.1~5%未満 鼻炎。感覚器5%以上または頻度不明 角膜炎、結膜炎。感覚器0.1~5%未満 耳鳴、難聴。その他5%以上または頻度不明 過呼吸、代謝性アシドーシス。その他 0.1~5%未満 倦怠感。その他0.1%未満 低血糖。

 

・レンドルミン

作用:GABAを介し、視床下部や大脳辺縁系を抑制する。その結果、自律神経系その他の部位からの余剰刺激は遮断され、催眠、鎮静、抗不安感の中枢神経作用を現す。

重大な副作用:薬物依存0.1%未満。不隠、興奮(0.1%未満)。呼吸抑制(類薬:ベンゾジアゼンピン系薬剤で報告)

その他の副作用:精神神経(残民間・眠気、ふらつき、頭重感、幻暈、頭痛、一過性健忘、気分不快、立ち眩み、イライラ感、せん妄、振戦、幻覚)肝臓(GOT、GPT、Al-P、γ-GTP、LDHの上昇)循環器(軽度の脈拍数増加)消化器(嘔気、悪心、口渇、食欲不振、下痢)過敏症(発疹等)骨格筋(だるさ、倦怠感、下肢痙攣)その他(発熱、貧血、尿失禁等)

 

・アパティアテープ

作用:冠動脈拡張作用

特徴:経皮吸収なので、肝臓での初回通過効果を受けないため、安定した効果が長時間得られる。

適応:狭心症、心筋梗塞(急性期を除く)、その他の虚血性心疾患

副作用:循環器(血圧低下、幻暈・ふらつき、熱感、潮紅、動悸等)精神神経(頭痛、脱力感、不快感等)過敏症(皮膚の刺激感、発疹等)皮膚(一時刺激性の接触皮膚炎(刺激症状、発赤、掻痒感等))消化器(胃部不快感、食欲不振、悪心・嘔気等)

 

主訴:右手の第4・5指の動きが悪い。

Need:歩きたい。自分の家がいい。

臨床検査所見:血液、生化学検査より

ALP↑(360IU/ℓ 正常値100~350IU/ℓ)

γ-GTP↑(36IU/ℓ 正常値30IU/ℓ以下)

総コレステロール値↑(227mg/㎗ 正常値130~220mg/㎗)

HDL-C↓(40.7mg/㎗ 正常値47.0~73.0mg/㎗)

HDL-率↓(17.9% 正常値20.0%)

動脈硬化指数↑(4.6 正常値0.6~4.5)

カリウム↓(3.3mEq/ℓ 正常値3.5~5.1 mEq/ℓ)

MCV↓(100.0fℓ 正常値81.0~98.0fℓ)

MCHC↓(30.1% 正常値32.0~32.5%)

※その他において異常値を認めるものはない

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<他部門からの情報>

○医師より

・心房細動とその薬について→血栓ができやすい疾患のため、脳梗塞の再発防止のためにも抗凝固剤を使用している。アパティアテープについては心筋梗塞、狭心性の既往のある患者に使用しているため何らかの心疾患の既往があるはずである。⇒心疾患の有無は未確認

・禁忌事項→とくにない。しいて言うなら過度な関節可動域訓練。

 

○看護師より

・本症例の性格などについて→遠慮気味の方。意識もしっかりしているから余計に遠慮深い方。身体のことより心配なのは家庭との関係。2~3ヶ月ずっと髪の毛を切りたがっているが、理髪の支払いは家族負担のため一人息子を事故で亡くされてから家の事を管理しているお嫁さんに確認をとっても電話になかなか出てくれず、出ても許可が得られないので我慢していただく日々が続くばかり。現在、医療面では問題はなく、便秘がある程度。会話も可能。便秘については便秘薬と下剤を使用。体重も月に±1kgの変動はあるものの落ち着いている。血圧も落ち着いている。

・ADLについて

食事:左手を使って9~10割は召し上がられる

更衣:多少手伝ってもらっている

入浴:特殊浴槽にて

トイレ:リハビリパンツを使用

 

<検査測定>

○○年○○月○○日

①Brunnstrom Stage

上肢(Ⅳ):手を腰の後に動かせる、肘関節90°屈曲位にて前腕の回内外ができる

手指(Ⅴ):握りが可能、指の集団伸展が可能(範囲はまちまちである⇒第3、4指が動きづらい)

下肢(Ⅲ):股関節、膝関節の分離運動は可能だが、足関節の背屈を命じたところ下肢の屈筋パターンが出現

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②ROM測定

(背臥位・passive)

 

 

肩関節  屈曲

     伸展

     外転

     内転

     外旋

     内旋

125°P

60°

75°P

25°

40°

135°

 

120°

75°

40°

股関節  屈曲

     伸展

     SLR

     外転

     内転

     外旋

     内旋

100°

40°

15°

15°

50°

30°

-5°

肘関節  屈曲

     伸展

150°

-35°

140°

膝関節  屈曲

     伸展

135°

-15°

 

前腕   回内

     回外

95°

100°

85°

70°

足関節 底屈

背屈(膝伸展)

         (膝屈曲)

    内がえし

40°

-15°

 0°

30°

 

手関節  掌屈

     背屈

     撓屈

     尺屈

35°

65°

20°

35°

75°

75°

25°

30°

※activeの測定については共同運動パターン出現のため測定不能

※P=痛み

・右肩関節屈曲時痛は最終域にて腋下後縁、肩甲骨外側の突っ張り感

・右肩関節外転時痛は最終域にて腋下前縁の突っ張り感

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③筋力測定

 

股関節  屈曲

膝関節  屈曲

     伸展

4 

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④感覚検査

・表在感覚

*右上下肢を無造作に3回ずつさわり、どこを触っているかをたずねた。

正答数 上肢:3/3  下肢:3/3

 

非麻痺側を10としたときの麻痺側の感じ方

触圧覚

温痛覚

上腕部 

8~9

上腕部

8~9

前腕部

8~9

前腕部

8~9

(第4・5指)

8~9

(第4・5指)

8~9

大腿部

8~9

大腿部

8~9

下腿部

8~9

下腿部

8~9

足部

7~8

足部

7~8

足底

足底

・深部感覚

位置覚:非麻痺側の肩関節、肘関節、股関節、膝関節をうごかして、閉眼にて麻痺側で真似てもらう。

肩関節 2/3 肘関節 3/3 膝関節3/3 股関節 3/3

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⑤反射

・腱反射
 

上腕三頭筋

+++

上腕二頭筋

+++

回内筋

±

大腿四頭筋

アキレス腱

±

左上腕三頭筋、回内筋、アキレス腱反射の減弱については神経学的な意味はないと思われる。

 

・病的反射(右)

バビンスキー反射

+++

ホフマン反射

トレムナー反射

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⑥高次脳機能検査

・線分末梢テスト

・線分2等分検査

上記2検査において異常所見は認められなかった

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・改定長谷川式簡易評価スケール

合計点:20点(20点以下は認知症の疑い有り)

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⑦筋緊張検査

(背臥位にて)

・右上肢

触察:全体的に柔らかい

被動性:肩関節屈伸方向に抵抗感は少ない。肘関節伸展にて上腕二頭筋に抵抗感有り。また速度を変えると、さらに強い抵抗感を感じた。手関節背屈時にも、手関節屈筋群が速度を速めたところ強い抵抗感を示した。

・右下肢

触察:柔らかいが全体的に左下肢より細く感じる(形態測定参照)

被動性:股関節屈曲、膝関節伸展時にて強い抵抗感を感じた、速度を変えるとさらに強い抵抗感を感じた。足関節背屈においても強い抵抗を感じた。

 

(坐位にて)

・右上肢

触察:全体的に柔らかい

被動性:背臥位時よりも強い抵抗感を感じるが、まだ抵抗感は少ない。肘関節伸展にて上腕二頭筋に抵抗感有り。手関節背屈時にはさらに強い抵抗感を感じ、伸張を加えると手関節掌屈筋群が伸張反射のように収縮する。

・右下肢

触察:全体的に柔らかい

被動性:股関節、膝関節伸展時、足関節背屈時にて抵抗感を感じた。足関節背屈での抵抗感は背臥位に比べ軽減した。

 

(立位にて)

・右上肢

触察:柔らかいが上腕二頭筋腱の浮き上がりを強く感じた

被動性:肩関節屈曲、肘関節伸展、手関節掌背屈において坐位よりも強く抵抗感を感じた。また速度を変えることによってさらに強い抵抗を感じた。

・右下肢

触察:下腿三頭筋の強い収縮が感じられた。強さは左下肢と同等だが若干弱い感もある。

※左下肢に浮腫が認められた。

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⑧形態測定

(背臥位にて測定)

 

大腿周径  膝蓋骨上縁より 5cm

             10cm

             15cm

35.3cm

38.5cm

40.8cm

36.0cm

39.2cm

39.6cm

下腿周径  最大下腿周径

      最小下腿周径

27.0cm

20.7cm

29.8cm

22.0cm

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⑨バランス反応テスト(装具無し)

・坐位にて麻痺側へ傾き:体幹を傾け続けても上肢に防御的な反応は見られなかった。下肢では非麻痺側に下肢を対側へ振る保護的反応がやや見られた。

・坐位にて非麻痺側に傾き:傾けるとすぐに左上肢の保護伸展反応がみられた。下肢では麻痺側下肢の膝関節が軽度伸展した。

・坐位にて後方への傾き:少し傾けただけで「ちょっと怖い気がする」という返答が返ってきた。

・坐位にて前方への傾き:前方へ傾け続けても足部の後方への引きは見られなかった。

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⑩ADL

食事:左手でスプーンを使用で可能。摂取量は9割~全部。時間は10~15分。ご飯は粥、魚等もくずしてあるため自力で可能。味噌汁など汁物は直接お椀をもって飲む。食器の固定はしなくても可だが不安定。お皿は深め。

車椅子・ベッド間の移乗:立ち上がってベッド(車椅子)に移るときにだけ介助を必要とする。

トイレ動作:移乗・ズボンの上げ下げは介助。立ち上がりはバランスが悪いが手すりにつかまって行う。普段はリハビリパンツを着用。

入浴:特殊浴槽にて

車椅子駆動:片手片足で駆動。短距離しか行わない。角を曲る、方向回転するのはだいぶ慣れたがまだ難しい。

更衣:ズボンに足をとおすなどは部分介助が必要。上着は前開きのものを着用。ボタン・紐結びは片手で可能。装具・靴の脱着は近くにあれば自分で可能。靴は前開きのマジックテープ止め。

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<姿勢・動作観察>

○全体像

車椅子に乗り、健側左上下肢で駆動。プラスチック製のAFOを装着してている。こちらからの質問にも答えてくれ、コミュニケーションに問題はないと思われるが、同じ事を何度も繰り返して言う同語反復がみられるため軽度な認知症が疑われる。顔面右に腫脹をみとめ、話しにくそうなところもある。よく「手が硬くなるから」と右手の手指を屈伸している。

 

○背臥位

背臥位になる際に麻痺側下肢の伸展パターンが強く出現するため、麻痺側下肢はしばらく股関節伸展、内転、内旋、膝関節伸展、足関節底屈、内反を示す。そのため下肢部分が左側へ偏位することも多い。これは自身の左下肢を用いて直すことが可能。また左股関節膝関節をすぐ屈曲する癖がある。本人によれば左膝関節を伸展すると膝関節周囲に痛みがあるとのこと。指示により伸展位を保持し続けることも可能。両上肢は肘関節を屈曲し胸の上におく。

 

○寝返り

自立しており麻痺側に寝返ることも可能。麻痺側に寝返る際は上肢より寝返る。麻痺側右上肢をベッド上へおき頸部を屈曲させ肩甲帯をおこす。このときに麻痺側下肢の屈曲パターンが出現する。肩甲帯の回旋に伴い骨盤も回旋し側臥位となる。健側からの寝返りでは麻痺側下肢の屈曲パターンの出現はみられなかった。

 

○起き上がり

麻痺側からの起き上がりも可能。麻痺側から起き上がる際は麻痺側上肢で体幹を支え、上体が起き上がるとともに健側上肢もベッドにつく。起き上がる際には麻痺側下肢に屈曲パターンが出現する。体幹を回旋させ下腿をベッド端から降ろそうとするが降りないため、麻痺側上肢で体幹を支えながら健側上肢を用いてベッド下へ降ろす。その後健側上肢を両大腿間につき、傾いた体幹を支えていた麻痺側上肢をひきよせ、もどした。

 

○坐位→臥位

体幹がベッドに接地する際に麻痺側下肢の伸展パターンの増強がみられるが、その中でも股関節の屈曲筋群の筋緊張は亢進し股関節屈曲位を示す。その後体幹が接地するとともに筋緊張は低下し股関節は屈曲伸展中間位にもどる。

 

○坐位姿勢(車椅子)

麻痺側への重心の偏位(右肩の下降)が認められる。この重心の偏位については自身で気づき直せるが、長時間保持するには努力が必要とされる。プラスチック装具を外したところ、足部は内反尖足位をしめした。麻痺側上肢は肘関節屈曲、前腕回内、手指は屈曲し膝の上におかれている。

 

○立位姿勢(介助)

体幹前傾、股関節軽度屈曲、膝関節軽度屈曲位で麻痺側上肢は肘関節屈曲、前腕回内、手指は屈曲し後方から観察したところ、体幹は麻痺側へ傾いていた。触察して確認したところ、骨盤も大きな傾斜をしめし麻痺側へ傾いていた。よって体重は右の麻痺側にかかっているように観察される。装具を外したときと重心の動揺を比べたが大きな差はなく、介助も多くは必要としなかった。

 

○歩行(介助)

全体的に身体は右後方に傾き、立位時よりも強い股関節屈曲、膝関節屈曲を認める。左手で平行棒をつかみ、左上肢で身体を引き寄せるようにして一歩一歩歩く。左の遊脚相は短く右が膝折れするのを防ぐように足底接地する。左下肢の足底接地とともに、左上肢は平行棒のさらに前方へもちなおす。この動きとともに身体全体の前後(左前⇔右後)の動揺が出現する。

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<動作分析>

麻痺側からの起き上がり(装具無し)⇒坐位

 

観察された動作

上体を起こそうと上肢を伸展、右手を体幹の横へつき何度か頸部を屈曲し反動をつけ右方向へ左肩甲帯を起こす。この動作とともに右下肢に屈曲パターンが出現する。

右下肢に屈曲パターンが出現すると同時に左下肢も屈曲し基底面を縦に縮め、横へ拡げる。体重は左側殿部、腰部、大腿部に集中してくる。

さらに上体を起こすとともに左上肢を右腋窩部の下方へ接地する。体幹を右へ回旋させベッドから下肢を降ろそうとするが降りないためやや後方に右手をつき上体を支えながら骨盤の回旋とともに左手で右大腿部を持ち少しずつ右側へずらす。体重は右手、右殿部に集中する。

支えていた右手は重心を中心方向へ戻すために左手を両大腿間につきながら体幹に徐々に近づけ完全に上体を起こす。ベッド端へよるため両上肢で体幹を支えながら左足関節をベッド端に掛け膝関節を屈曲して身体全体をベッド端へ引き寄せる

※非麻痺側からの起き上がりではⅠ相の体幹に反動をつける動作は見られなかった。また右下肢の屈曲パターンの出現はみられなかった。

 

立ち上がり(介助)

 

観察された動作

肩に左手を回してもらい腋窩より背部、殿部へ介助を加え体重を前方へ移動させる。

体幹を前上方へ持ち上げると体重を右下肢へのせ立ち上がる。体幹が右へ偏位する。

体重は右へ乗り右下肢で支持するが支持しきれないため骨盤右側は下制し右へ偏位した体幹はやや正中位へ戻る。股関節膝関節は屈曲位。

歩行(片てすり) 装具有り

 

観察された動作

開始肢位

左手は平行棒を前方にて握る。股関節膝関節屈曲角度は立位時よりも増す。体幹は右後方に引かれ、重心も右後方へ落ちる。

~左足尖離地期

左下肢を前方へすばやく振り出す。左上肢で支持しているため右側への体重移動は少ない。重心は前方へ移動する。振り出すとともに麻痺側肩甲帯の強い後退が出現し、骨盤も右側が後方へ引かれる。

~左踵接地期

右下肢で立脚し体重が乗ると支持性が低いためか膝折れが生じそうになるため左下肢はすばやく接地する。体幹は右後方へ引かれ重心は右後方へ戻る。左下肢の歩幅は小さく、左下肢が接地してから右下肢を左上肢で引き寄せるように振り出す。重心は左前方へ移動する。

~左立脚中期(右遊脚期~踵接地)

右下肢接地の際は装具を装着しているためか、足部外側より接地し、これにより膝関節が外側を向き不安定さが確認されるが足底が全面接地すると膝関節は前方を向きなおす。重心は右後方へもどる。その後左手をさらに前方に持ち直す。

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<統合と解釈>

 本症例は、○○年○○月○○日に脳梗塞を発生された症例であり、発症後A病院にて7ヶ月ほど入院された後、当施設へ○○年○○月○○日に入所された。

 患者の全体像としては、意識は鮮明で性格は遠慮深く検査測定にも協力的であるが反復同語をしばしばみとめるため会話が進まないことがある。一人息子を亡くされた後は息子の嫁がkey personとなるが、家庭での介護が困難ということから入所にいたったそうである。本人は「いいお嫁さんだ」と言うが前述したようなこともあり、家庭とのつながりも問題になりそうである。

 脳梗塞は脳灌流動脈が閉塞し、その流域下の脳組織に壊死が生じた状態で、血栓、塞栓によるものが多い。神経症状は動脈の閉塞部位、側副血行路の発達程度によって異なるが片麻痺、眼球運動や瞳孔の異常、高次脳機能障害、半側感覚障害や視床痛、不随意運動、小脳失調、脳神経の障害などがある。本症例の場合左橋の出血というカルテ上のみの情報があるが実際の画像を確認できないため、説明は控える。

 理学療法検査では、まず痙性麻痺の分離運動の程度を評価するためBrunnstrom Stageをみた。上肢は手を腰の後に動かせ、肘90°屈曲位にて、前腕の回内外が可能なためⅣ、手指は握り、集団伸展が可能なためⅤと判断した。下肢においては股関節、膝関節の分離運動は可能だが、足関節の背屈は下肢の分離運動が屈曲パターンの出現により不可能なためⅢと判断した。このため分離運動を完全に行うことは難しく、実生活においても主に健側の利用が多いことが理解できる。また、ROM測定においても共同運動パターンの出現のため他動運動のみの測定だが、右の肩関節屈曲、外転での痛みはそれぞれ上腕三頭筋長頭、大胸筋部と一致し本人の訴えの「突っ張り感」から考えて筋による可動域制限と考えられる。右の肘関節伸展-35°という結果は上腕二頭筋腱の浮き上がりもみられ、これによる制限と考えられた。足関節は尖足内反位をしめしていた。

 次に筋力測定だが、中枢性疾患でBrunnstrom StageⅢのため信頼のおける結果ではないが健側である左下肢は4~5レベルの筋力が感じられた。右下肢筋力は数値で表現することはできないが、健側に比べ「弱さ」を感じた。

 感覚検査においては上肢下肢ともに健側10に対して平均8~9という鈍麻をしめした。本人の訴えにもある「動きが悪い」手指4・5指においては特に鈍麻がみとめられた。坐位で足底が接地していても「足が浮く感じがする」足底でも感覚鈍麻が特に強くみられた。位置覚の検査では、著名な異常は認められなかった。肩関節の2/3は検査方法の理解が不十分だったため途中再説明を行ったところ次からは正確に答えたため異常とは判断しなかった。

次に深部反射の検査について、5大恒常反射についてすべて行った。結果は非麻痺側にくらべ上腕二頭筋、上腕三頭筋に著名な亢進が認められた。病的反射もバビンスキー反射陽性のため右側に痙性が強く特に上肢近位部に強いことがわかる。また右足底は軽度の刺激でバビンスキー反射が誘発されるため、刺激に対し敏感であると考えられる。

次に患者は、右片麻痺ということもあり、優位半球の障害も考えられ、半側感覚障害について観察で異常な所見はみられなかったが検査を行ったところ異常がないことを確認した。非利き手である左で書いてもらったため、線分二等分検査においては正確に判断しにくいが、本人から「もうちょっと右かな」という言葉もあり、異常はないと判断した。また長谷川式簡易スケールでは20点という結果であったが会話をしていてもコミュニケーションには大きな問題はないため、日常生活上支障をきたすことはないと判断した。

 次に姿勢・動作観察を行い、その観察から動作を障害している原因になると思われる結果について以下に述べる。筋緊張検査であるが背臥位では麻痺側の筋は全体的に柔らかく、柔らかさに関しては特に左右差も認められなかった。下肢では太さに違いが認められ、麻痺側下肢の廃用性筋萎縮が疑えた。そこで大腿周径・下腿周径を測定したところ、大腿周径では膝骸骨上縁15cmでは右下肢に+1.2cm、膝蓋骨上縁10cm、5cmでは右側下肢にそれぞれ-0.7cmの差を認めた。しかし、大腿周径は脂肪による周径差が現れやすいためこれだけの差では筋萎縮の有無を確認することは難しい。また、下腿周径では左下肢に最大+2.8cmの差を認めた。これは左下体の浮腫によるものと考えられ、筋萎縮の程度は周径からでは確認できなかった。

背臥位での被動性について行ったところ、麻痺側の上腕二頭筋の伸張に対して抵抗を感じ、また動かす速度を速くするとさらに強い抵抗感を感じた。手関節背屈時にも同様の抵抗を感じ速度を速めたところ手関節掌側面に掌屈筋群腱の浮き上がりを触知できた。特に手関節掌屈筋群では軽度の伸張による収縮がみられ緊張が高いことがわかる。これらの抵抗感は坐位、さらに立位になるほど亢進していることがわかる。このため立位姿勢、歩行時には筋緊張が亢進していることが疑われる。筋緊張の保持は骨格筋にいたる遠心性神経線維であるα線維とγ線維により、α線維は筋線維にいたる運動ニューロンでγ線維は筋紡錘の感度、または反応の範囲を調節し、α運動ニューロンの興奮性を変化させている。また、骨格筋から脊髄に至る遠心性線維にはⅠ群、Ⅱ群、Ⅲ群の3種類がある。Ⅰ群線維はⅠa線維とⅠb線維があり、Ⅰa線維は筋紡錘の伸展によってインパルスを脊髄に送り、α運動ニューロンの働きを促進する。Ⅰb線維は腱紡錘の伸展によってインパルスを脊髄に送り、α運動ニューロンの働きを抑制する。α運動ニューロンはこれらの線維による末梢のコントロールのほか、上位中枢からの影響も受けている。特に上位中枢からのインパルスはγ運動ニューロン→筋紡錘→Ⅰa求心性線維という回路を介してα運動ニューロンの興奮性をコントロールしそれにより骨格筋の緊張を保持している。1)本症例の場合、上位運動ニューロンの障害によりγ線維による制御が行われなくなり筋緊張が亢進したものと考える。

 ADLでは食事、移乗、については実際に行っているものを見て評価し、それ以外については看護師、本人からの話を聞き評価した。食事動作については、深めの皿に入った刻み食を左手でスプーンを使用して摂食していた。食器の固定はしておらず不安定ではあるが滑ることはなかった。摂取量は9割~全部で口へ運ぶ動作もスムーズで食事時間も10分から15分と問題はないと考えた。入浴は特殊浴槽にて行っている。更衣動作はズボンに足を通す動作などで介助を必要とするが、上着は前開きのものを着用しボタン・紐結びは麻痺側手指も使用し可能。装具、靴の脱着も近くにあれば可能なため多くの介助を必要とせず問題はないと考えた。つぎに、トイレ動作は移乗、ズボンの上げ下げは介助が必要だが手すりにつかまっての立位はバランスが悪いが可能。普段はリハビリパンツを着用。車椅子駆動は、左上下肢による片手片足駆動でスピードはないが可能。角の曲がりや方向回転はまだ難しさがある。これは駆動に関与する健側下肢の足底が車椅子の坐面が高く床面に接地されていないため、大きな駆動力を利用できないことが問題と考えられる。車椅子・ベッド間の移乗は立ち上がり、回転には介助を要する。行動観察も移乗や更衣、トイレ動作などで必要となる立ち上がり、歩行についておこなった。立ち上がりでは最終位の立位姿勢より立ち上がり時の姿勢の不安定さに問題がある。立ち上がり時には麻痺側である右下肢に荷重をかける傾向があり、椅子から殿部が離れ立位へ移行する時期にとくに強く出現して体幹は右偏位し、これを骨盤右側の下制により代償する。このため重心は右側による。この重心の位置の偏位は歩行時においても見られ、左上肢で平行棒を握り体幹を支持するため右後方へおちる。さらに歩行時には右下肢立脚時に膝折れ、右下肢踵接地時に膝関節の不安定さが確認されるため、右下肢の支持性のなさが疑われるとともに筋緊張検査より立位に至るほど筋緊張は亢進することが予測されるため、Brunnstrom StageⅢの下肢では分離運動の困難さがさらに増すことを考え介助なしでは危険である。また、右下肢接地時の膝関節不安定の原因としては右足部を外側から接地することによって側方への動揺が装具で固定しているため膝関節まで伝達し、外側への動揺が出現すると考えられる。さらに足底の表在感覚は他に比べ特に低下しているため、足底からの感覚刺激入力が乏しくこの一連の動きが修正されにくいと考えた。重心の右側への集中については高次脳的な半側感覚障害は認められなかったが、バランス反応テストからは非麻痺側への重心の傾けへの反応が早かったため、非麻痺側へ体重をかけることが困難と考えられる。

これらは患者のトイレ動作での手すりでのつかまり立ち、更衣動作でのズボンの上げ下ろしの際の立位、車椅子・ベッド・トイレ間などの移乗動作に影響を及ぼすと考えられる。例えば一番気になる動作としてはトイレ動作であり、手すりでのつかまり立ち、立位姿勢でのズボンの上げ下ろし、便器への移乗が狭い空間で一度に行われるため一番危険が多いと考えた。現在の様子では立ち上がり時の重心移動の不安定さ、立位姿勢の重心移動の著明な偏りがあり安全性に欠けるため介助を要するので安定性の獲得を行っていかなければなれない。また移動動作の車椅子駆動についても、左上下肢による片手片足駆動のスピードが遅く長距離を移動できないため、さらに実用性のあるものにしなければならないと考える。また、今後は歩行についても安全性を高めていかなければならない。歩行時には特に右の肩甲帯の強い後退により重心を右後方へ崩すという立位時と違う反応を示す。これは移乗する際にも関ってくる問題のため、更なる安全性の向上を目指す。そこで短期ゴールとして歩行時の重心位置の改善と安定を、長期ゴールとしてはADL能力向上をあげた。これに対する治療アプローチとして問題となる肩甲帯に対して異常な筋緊張の出現を抑え、分離運動を促通し、歩行時の重心移動をより安定化させることを目指す。文献には「より自動的な筋活動を求める場合には荷重や肢位を考慮する。荷重は特に関節の固定筋群や伸筋の収縮を促しやすい」2)とあり、筋緊張の低い肢位での促通が必要となる。この患者の場合坐位や立位でも肩甲帯の過剰な筋活動は出現しておらず、歩行時にのみ増強される、肩甲帯後退筋群への後退運動が可能なため、歩行での前段階となる坐位にて、肩甲帯の前方突出、後方突出の反復運動を行わせ、調節運動を促す。また、坐位にてこの運動が筋緊張の亢進を抑えて可能となった場合、徐々に歩行時の状態に近づくため姿勢のレベルを上げ、この運動を立位、さらに麻痺側を前にステップした位置で行い、自分自身でコントロール可能な状態に至ることを期待する。

 

<問題点抽出>

○Impairment

♯1.右半身の痙性

♯2.右下肢の分離運動能力の低さ

♯3.右半身の肢位の変化による筋緊張の亢進

♯4.右足底の感覚鈍麻

♯5.右側への重心の偏位

 

○Disability

♯6.立ち上がり困難(♯1.2.3.4.5)

♯7.移乗動作困難(#1.2.3.4.5)

♯8.歩行困難(#1.2.3.4.5)

 

<ゴール設定>

○短期ゴール

・重心の改善と安定(歩行時)

 

○長期ゴール

・ADL能力向上

・立ち上がり、立位、移乗動作の安全性向上

 

<プログラム設定>

・分離運動促通

肩甲帯の分離運動を促通するため坐位から立位、前方ステップ位置で徐々に肩甲帯前方突出筋群に収縮をうながす

・バランス訓練

 

引用文献

1)真島英信:生理学(第18版).文光堂,第7章 中枢神経系:p-147,2000.

2)細田多穂・柳沢健:理学療法ハンドブック(改定第3版)第3巻疾患別・理学療法プログラム.株式会社 協同医書出版社,第48章 脳血管障害:p-25,2002

 

参考文献

・細田多穂・柳沢健:理学療法ハンドブック(改定第3版)第3巻疾患別・理学療法プログラム.第48章 脳血管障害:p25-44,2002

・細田多穂・柳沢健:理学療法ハンドブック(改定第3版)第1巻 理学療法の基礎と評価.株式会社協同医書出版株式会社,第23章 脳血管障害に対する理学療法評価:p-637-696,2002

・安藤一也・杉村公也:リハビリテーションのための神経内科学.医歯薬出版株式会社,2000

 

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

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