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【変形性膝関節症+TKA施行】レポート・レジュメの作成例【実習】

2021年12月28日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「変形性膝関節症+TKA施行」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 変形性膝関節症の患者

  • TKAを施行
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「変形性膝関節症+TKA施行」の患者のレポート・レジュメ作成例

【はじめに】

 今回、病院での臨床実習において、両変形性膝関節症を呈し、両TKAを施行した症例を担当し、評価および治療を実施する機会を得たのでここに報告する。本症例は退院された後、家庭では1人暮らしであるため、基本動作およびADLが自立している必要があった。本症例は、初期評価時において基本動作・ADLはほとんど自立していたが、左膝関節屈曲制限がみられ、extension lagがみられることから大腿四頭筋(特に内側広筋)の筋力が低下していたので膝折れを起こす危険性があり、歩行が障害されていた。よって、家庭復帰するには、筋力の増強と歩行能力獲得が必要であると考え筋力増強訓練と歩行訓練に重点を置いて治療・訓練を行った。

 

【症例紹介】

[診断名]

#1.左変形性膝関節症

#2.虚血性心疾患

#3.糖尿病

#4.右膝人工関節置換術後

#5.頚椎症性脊髄症術後

[現病歴]

〇〇年〇〇月〇〇日 右膝痛があり、当院受診され右変形性膝関節症と診断を受ける。

〇〇年〇〇月〇〇日 入院

〇〇年〇〇月〇〇日 右TKA施行、経過良好にて〇〇年〇〇月〇〇日に退院される。

〇〇年〇〇月〇〇日 左膝痛が増強し、当院受診にて左変形性膝関節症と診断を受け、Ope目的にて入院となる

[既往歴]

〇〇年〇〇月〇〇日 頚椎症性脊髄症

〇〇年〇〇月〇〇日 狭心症

〇〇年〇〇月〇〇日 糖尿病

[医学的処置]

左TKA(〇〇年〇〇月〇〇日)

[X線所見]*画像添付推奨

[服用薬]

・プロプレス

適応:高血圧症

禁忌:本剤過敏症、妊婦

・アムロジン

適応:高血圧症、狭心症

禁忌:妊婦、ジヒドロピリジン系化合物過敏症

・カルデナリン

適応:高血圧症

禁忌:本剤過敏症

・シグマート

適応:狭心症

禁忌:重篤な肝・腎・脳機能障害、など

・レンドルミン

適応:不眠症、麻酔前投薬

禁忌:重症筋無力症、本剤過敏症、など

・ミオナール

適応:頸肩腕症候群、腰痛症による筋緊張状態

禁忌:本剤過敏症

・アルファロール

適応:慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、など

禁忌:悪心・嘔吐、頭痛、不眠、など

・プルセニド

適応:便秘

禁忌:本剤過敏症、急性腹症、痙攣性便秘、重度の硬結便など

・ムコタス

適応:胃潰瘍、急性・慢性胃炎の急性増悪期

禁忌:本剤過敏症

・ボルタレンサポ

適応:変形性関節症、変形性脊椎症、腰痛症、など

禁忌:消化性潰瘍、重篤な血液異常・肝障害・腎障害など

・バイアスピリン

適応:狭心性、心筋梗塞、虚血性脳血管障害における血栓・塞栓抑制

禁忌:消化性潰瘍、出血傾向・重篤な血液異常など

・ニトロダーム

適応:狭心症

禁忌:重篤な低血圧、心原性ショック、など

・モーラス

適応:変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、上腕骨顆上炎、など

禁忌:本剤過敏症、アスピリン喘息

・インスリン注射

適応:糖尿病

禁忌:重篤な心・肝・腎機能障害、重篤感染症、など

[家族構成]

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[入院前ADL]

・食事:自立(調理・後片付けも含む)

・入浴:自立

・排泄:自立

・整容:自立

・歩行:自立(杖使用)

 

[家屋・生活状況]

・平屋

・トイレ:洋式

・風呂:浴槽の高さは50~60cm程度である

・玄関:廊下との境に段差が2段ある(段差は各15~20cm程度)

・一人暮らし

・庭は舗装されているが草は生えるので草むしりは行っていた

・自室は畳なので床に座ることもある

・寝具はベッドを使用する

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【初期評価】

〇〇年〇〇月〇〇日

1.全体像

 メッセンジャーによる車椅子介助にてリハ室に来室させる。友好的な印象があり、受け答えもしっかりしておりコミュニケーションは良好である。また、評価にも協力的であり、リハビリに対するモチベーションも高い。

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パスによる予定

・〇〇年〇〇月〇〇日:膝装具着用にて全荷重可能

・〇〇年〇〇月〇〇日:リハ開始

・〇〇年〇〇月〇〇日:膝装具除去

・〇〇年〇〇月〇〇日:状態によっては杖歩行可

 

2.右関節可動域検査(ROM-T)

単位は °

  

備考

股関節

屈曲

115

90

膝関節屈曲に痛みが出現し、90°以上屈曲できなかった。

SLR

70

70

膝関節伸展位

外転

40

40

 

外旋

45

45

 

内旋

45

45

 

膝関節

屈曲

130

90(P)

屈曲時に創部に痛みの訴えがある

伸展

-15

-25(P)

伸展時にハムストリングの腱に痛みの訴えあり

足関節

背屈

20

10

膝関節屈曲位

10

膝関節伸展位

底屈

40

40

 
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3.疼痛検査

―運動時痛―

部位:左膝関節、腰部(L5・S1付近)

・膝関節屈曲時に創部に疼痛の訴え

・左膝関節伸展時にハムストリング腱部に疼痛の訴え(伸長痛)

・歩行時にL5・S1付近疼痛の訴え

 

―安静時痛―

部位:左膝関節前面の創部

・運動時痛に比べると痛みの程度は低い

 

―荷重時痛―

・なし

―圧痛―

部位:左膝関節周囲

・膝伸展時にハムストリング腱部に疼痛の訴え

・関節裂隙(内側膝蓋・外側膝蓋)に疼痛の訴え

・膝窩中央部に軽度ではあるが痛みの訴えがある

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4.形態測定

単位はcm

大腿周径

 

備考

膝蓋骨上5cm(大転子より下27cm)

44.0

Ope後で包帯を巻いていたため測定不能

膝蓋骨上10cm(大転子より下22cm)

48.5

49.5

 

膝蓋骨上15cm(大転子より下17cm)

52.0

53.0

 

下腿周径

 

備考

最大周径

34.5

35.5

 

最小周径

22.0

23.0

 
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5.触診

・左下肢に浮腫がある。

・左膝関節に熱感がある。

・左膝窩中央部に圧痛あり。

 

6.徒手筋力検査(MMT)

  

検査肢位

備考

股関節

屈曲

坐位

 

伸展

側臥位

腹臥位がとれないため側臥位にて測定

外転

側臥位

 

内転

側臥位

 

膝関節

屈曲

坐位

腹臥位がとれないため坐位にて測定

伸展

2+

坐位

伸展位まで可動することができなかった

足関節

背屈

坐位

 

底屈

2+

立位

 
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7.ADLテスト(FIM)

103/126点

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8.姿勢・バランス

・端坐位:安定

・立位:安定

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9.基本動作能力

・寝返り:左右とも自立

・起き上がり:自立

・起立:自立

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―歩行―

・平行棒:自立

左膝に膝装具を装着している。視線は下を向きがちであり、重心は右に軽度偏っている。歩幅は左が板目3枚分で右は板目4枚分である。

(左遊脚期)

膝関節が膝装具を装着しているので屈曲できない。そのため、軽度股関節の外転による代償が見られる。

(左立脚期)

踵接地 :右と比較して踵接地時の背屈角度が小さい。体幹が左側屈し、重心が左による

足底接地:体幹が軽度伸展している。

立脚中期:体幹が軽度前屈し、骨盤帯が右に偏る傾向がある。

踵離地 :右と比較して踵離地時の底屈角度が小さい。

足尖離地:重心を左に偏たよらせ、体幹を軽度伸展し軽度股関節を外転する。

 

・歩行器:自立

平行棒内歩行と比較して視線はより下を向きがちであり、重心は右に軽度偏っている。歩幅は左が板目2枚分で右は板目3枚分と平行棒内歩行より歩幅が狭くなっている。

 

・独歩:近位監視

平行棒歩行や歩行器歩行と比較して左が板目3枚分、右が板目2枚分と左右の歩幅が逆転する。左に倒れそうである、という訴えから上肢の支持がないためか、左下肢への荷重が不安であるために左立脚中期が短縮しているのだろう。それにより上肢の振りはあるが右上肢の振りのほうが少ない。

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【問題点】

-Impairment Level-

#1.ROM制限(右膝関節:伸展、左膝関節:屈曲・伸展)

#2.筋力低下(左股関節屈筋・伸筋・外転筋、左膝関節伸筋・屈筋、足関節底屈筋)

#3.疼痛 → 運動時痛:左膝関節屈曲時、歩行時にL5・S1付近。伸長痛:膝関節伸展時に膝窩部。安静時痛:膝関節前面の創部。圧痛:膝窩中央部、ハムストリング腱部、関節裂隙(内側・外側膝蓋)

#4.左下肢の浮腫

#5.左膝関節周囲の熱感

#6.左下肢の支持性低下

 

-Disability Level-

 #7.高い段差越え困難:浴槽への出入りのため

 #8.階段昇降困難:玄関⇔廊下間の2段の段差を越えるため

 #9.床への昇降困難

 #10.歩行困難

 

-Handicap Level-

 #11.家庭復帰困難

 

【ゴール】

―短期ゴール―

・左膝関節屈曲可動域拡大(90°→130°)

・左膝関節伸展可動域拡大(-25°→0°)

・左下肢の筋力向上(股関節外転筋:3→4~5、膝関節伸展筋3→4~5)

・左下肢の支持性の向上

・室内杖歩行自立

 

―長期ゴール―

・屋外杖歩行自立

・階段昇降自立

 

―最終ゴール―

・床への昇降自立

・高い障害物越え自立

・家庭復帰

 

【理学療法プログラム】

#1.ROM訓練

目的:ROM拡大

方法:

右膝関節屈曲・伸展:背臥位にて膝の屈曲・伸展運動を行う

左膝関節屈曲:端坐位にて膝の屈曲運動を行う

    伸展:背臥位にて膝の伸展運動を行う

#2.筋力増強訓練

目的:弱化筋の強化

方法:股関節外転筋は、立位で左右の外転運動を行う。(左右20回ずつ)。大腿四頭筋は、坐位にて徒手抵抗(構成運動を考慮に入れながら行う)で20回、膝関節伸展位を5秒ほど保持させ5セット、セラバンドを平行棒に結び車椅子につけ、車椅子に乗ったまま膝の屈伸運動を行う。回数は、20回×2~3セット

#3.物理療法

目的:術後の疼痛緩解

方法:熱感があり創部が完治していない場合はアイシング、熱感が治まり創部が完治した場合はホットパック

#4.歩行訓練

目的:歩行獲得

方法:平行棒で5往復程度し、休憩後歩行器でリハ室5周する。休憩後杖歩行にてリハ室5周程度

#5.マッサージ

目的:浮腫の軽減

方法:遠位部から近位部に向けてマッサージをする。

#6.起立訓練→装具除去後

目的:筋力強化、床からの立ち上がり能力獲得

方法:30cm台からの立ち上がりを10回。床への昇降を10回

#7.階段昇降訓練

目的:15~20cm程度の段差越えのため

方法:リハ室にある階段で階段昇降を行う。2~3往復程度

 

【経過】

〇〇年〇〇月〇〇日:初期評価

〇〇年〇〇月〇〇日: 理学療法開始(#1,2,4,5)

〇〇年〇〇月〇〇日:#2.筋力増強訓練で平行棒にセラバンドを結び車椅子とつなげ、膝の屈伸運動を行った。大腿四頭筋筋力向上(2+→3-)

〇〇年〇〇月〇〇日:#4.歩行訓練において膝装具を除去して平行棒内歩行を施行。歩行訓練後左膝関節周囲の熱感が増強したため、#3.物理療法としてコールドエアーを開始

〇〇年〇〇月〇〇日:左膝関節可動域改善(屈曲:90°→100°、伸展:-25°→-10°)。#4.歩行訓練で平行棒内歩行に加え、歩行器歩行、杖歩行も膝装具を除去して施行。この日より、病棟内移動を車椅子から歩行器に変更。車椅子を使用しなくなったのでセラバンドを使用した四頭筋訓練を終了。歩行器歩行が自立したため、平行棒内歩行終了

〇〇年〇〇月〇〇日:#4.歩行訓練に追加し屋外坂歩行、#7.階段昇降を開始。#2.筋力増強訓練で四頭筋訓練は腹臥位にて下腹部に枕を置き両足指を床に対して踏み返しながら膝伸展を行う方法を開始。病棟内での歩行器歩行が自立しているため、歩行器歩行終了

〇〇年〇〇月〇〇日:熱感の減弱が認められる。

〇〇年〇〇月〇〇日:リハ室‐廊下間を5周連続歩行可能

 

【中間評価】

〇〇年〇〇月〇〇日

1.全体像

歩行器歩行にてリハ室に来室させる。膝装具が除去され、歩行能力が向上していくにつれてリハビリに対するモチベーションがさらに高くなった。

 

バイタル(脈:76拍/分、血圧:122/58mmHg)

 

2.関節可動域検査(ROM-T)

単位は °

  

備考

股関節

屈曲

115

110

膝関節屈曲位

膝関節

屈曲

130

110(P)

背臥位。屈曲時に創部に痛みの訴えがある

130

90(P)

腹臥位で屈曲時左股関節が屈曲し、左大腿部前面に痛みあり

伸展

-15

-5(P)

伸展時にハムストリングの腱に痛みの訴えあり

足関節

背屈

20

20

膝関節屈曲位

10

10

膝関節伸展位

*改善のある部位のみ記載。それ以外は変化なし。

 

3.疼痛検査

―運動時痛―

部位:左膝関節、腰部(L5・S1付近)

・膝関節屈曲時に創部に疼痛の訴え

・左膝関節伸展時にハムストリング腱部に疼痛の訴え(伸張痛)

・歩行時にL5・S1付近疼痛の訴え

・腹臥位にて左膝関節屈曲時に左大腿部前面に疼痛出現(伸張痛)

 

―安静時痛―

部位:左膝関節前面の創部

・運動時痛に比べると痛みの程度は低い

 

 ―荷重時痛―

・なし

 

―圧痛―

部位:左膝関節周囲

・膝伸展時にハムストリング腱部に疼痛の訴え

・膝窩中央部に軽度ではあるが痛みの訴えがある

*初期評価時と痛みの部位・種類に変化はないが痛みの程度は軽減している

 

4.形態測定

単位はcm

大腿周径

 

備考

膝蓋骨上5cm(大転子より下27cm)

42.0

44.0

 

膝蓋骨上10cm(大転子より下22cm)

48.0

48.5

 

膝蓋骨上15cm(大転子より下17cm)

51.5

52.0

 

下腿周径

 

備考

最大周径

34.0

35.0

 

最小周径

22.0

23.0

 

*左下肢に関して、周径は小さくなっている

 

5.触診

・左下肢に浮腫がある。

・左膝関節に熱感がある。

・左膝窩中央部、ハムストリング腱部に圧痛あり。

*浮腫・熱感に関しては、初期評価時より軽減している。

 

6.徒手筋力検査(MMT)

  

検査肢位

備考

股関節

屈曲

坐位

 

伸展

腹臥位

 

膝関節

伸展

坐位

Extension lagは認められない

足関節

背屈

坐位

 

底屈

立位

左は1回が限度であった

*変化のある部位のみ記載。その他は著名な変化なし

 

7.ADLテスト(FIM)

111/126点

*初期評価時と比較して、階段昇降が修正自立(6点)、歩行・車椅子移動が自立(7点)となり、ADLが向上した

 

8.姿勢・バランス

・端坐位:安定

・立位:安定

*初期評価時から安定していた

 

9.基本動作能力

・寝返り:左右とも自立

・起き上がり:自立

・起立:自立

・歩行

平行棒:自立(歩容に異常はみとめられない)

歩行器:自立(歩容に異常はみとめられない)

杖歩行:自立

杖・患側下肢‐健側下肢の2動作前方の歩行である。歩容に異常はみとめられないが、左にバランスを崩すことが時折みられる。

10周を20分で歩行する。1周あたりの距離(84m)、時間(2分)、速度(41m/分)

・階段昇降:近位監視(足を出す順番をよく間違えるので)

・屋外坂歩行:近位監視(歩容に異常はみとめられないが、安定性が少し悪く、左へバランスを崩しやすい)

 

【問題点】

-Impairment Level-

#1.ROM制限(右膝関節:伸展、左膝関節:屈曲・伸展)

#2.筋力低下(左股関節屈筋・伸筋・外転筋、左膝関節伸筋・屈筋、足関節底屈筋)

#3.疼痛 → 運動時痛:左膝関節屈曲時、歩行時にL5・S1付近。伸長痛:膝関節伸展時に膝窩部。安静時痛:膝関節前面の創部。圧痛:膝窩中央部、ハムストリング腱部。

#4.左下肢の浮腫

#5.左膝関節周囲の熱感

#6.左下肢の支持性低下

#7.筋の短縮(大腿四頭筋)

 

-Disability Level-

 #7.高い段差越え困難:浴槽への出入りのため

 #8.階段昇降困難:玄関⇔廊下間の2段の段差を越えるため

 #9.床への昇降困難

 

-Handicap Level-

 #10.家庭復帰困難

 

【ゴール】

―短期ゴール―

・左膝関節屈曲可動域拡大(110°→130°)

・左膝関節伸展可動域拡大(-5°→0°)

・左下肢の筋力向上(股関節外転筋:→5、膝関節伸展筋4→5、左足関節底屈筋3→4~5)

・左下肢支持性向上

・屋外杖歩行自立

・階段昇降自立

 

―長期ゴール―

・高い障害物越え自立

 

【理学療法プログラム】

#1.ROM訓練

目的:ROM拡大

方法:

右膝関節屈曲・伸展:背臥位にて膝の屈曲・伸展運動を行う

左膝関節屈曲:伏臥位・端坐位にて膝の屈曲運動を行う

    伸展:背臥位にて膝の伸展運動を行う

#2.ストレッチ

目的:大腿四頭筋の伸張

方法:腹臥位にて左膝関節屈曲し、20秒ほどストレッチする

#3.筋力増強訓練

目的:筋力強化

方法:

股関節外転筋:側臥位での外転運動を徒手抵抗にて行う(左右20回ずつ)。

大腿四頭筋:腹臥位にて下腹部に枕を置き両足指を床に対して踏み返しながら膝伸展を徒手抵抗で行う。2kgの重錘ベルトを足部につけSLRを20回行う。

下腿三頭筋:立位で底屈運動を20回

#4.歩行訓練

目的:歩行獲得

方法:駐車場の歩行、屋外の坂を5往復程度、平行棒内で横歩き5往復

#5.階段昇降訓練

目的:15~20cm程度の段差越えのため

方法:リハ室にある階段で階段昇降を行う。10往復程度

#6.関節トレーニング

目的:下肢の支持性向上、膝関節の再学習

方法:半歩荷重肢位にて10秒ほど保持させる

 

【経過】

〇〇年〇〇月〇〇日:中間評価、病棟内移動を歩行器から杖歩行へ変更

〇〇年〇〇月〇〇日:中間評価における治療プログラム(#1~6)を開始。両膝への負担を考えると床への昇降動作は施行しないほうが良いということを説明すると納得したため、床への昇降動作訓練をプログラムから削除。#4.歩行訓練に屋外歩行を追加

〇〇年〇〇月〇〇日:#7.応用歩行として横歩きを開始。#6.関節トレーニングにレストレーターを追加

〇〇年〇〇月〇〇日:創部を再縫合した。縫合部へのストレスを考え、この日の訓練は軽めに行った。#7.応用歩行に後ろ歩きを追加

〇〇年〇〇月〇〇日:縫合部へのストレスを考え、訓練を軽めに行った。

〇〇年〇〇月〇〇日:この日より通常通りの運動量で訓練を行った。

〇〇年〇〇月〇〇日:退院日決定(〇〇年〇〇月〇〇日)

〇〇年〇〇月〇〇日:再縫合後、膝の屈曲可動域が落ちていたが、この日、再縫合前と同じ屈曲可動域が確保できた

〇〇年〇〇月〇〇日:最終評価、退院時指導

治療経過2

 

【最終評価】

〇〇年〇〇月〇〇日

1.全体像

杖歩行にてリハ室に来室し、笑顔で挨拶をさせる。病棟から降りてくるときは、階段で降りてきているとのこと。

 

バイタル(脈:80拍/分、血圧:120/62mmHg)

 

2.関節可動域検査(ROM-T)

単位は °

  

備考

股関節

屈曲

120

120

膝関節屈曲位

膝関節

屈曲

130

120(P)

背臥位。屈曲時に創部に痛みの訴えがある

130

70(P)

腹臥位で屈曲時左股関節が屈曲し、左大腿部前面に痛みあり

伸展

-10

0(P)

伸展時にハムストリングの腱に痛みの訴えあり

足関節

背屈

20

20

膝関節屈曲位

10

10

膝関節伸展位

*改善のある部位のみ記載。それ以外は変化なし。

 

3.疼痛検査

―運動時痛―

部位:左膝関節、腰部(L5・S1付近)

・膝関節屈曲時に創部に疼痛の訴え

・左膝関節伸展時にハムストリング腱部に疼痛の訴え(伸張痛)

・腹臥位にて左膝関節屈曲時に左大腿部前面に疼痛出現(伸張痛)

 

―安静時痛―

部位:左膝関節前面の創部

・運動時痛に比べると痛みの程度は低い

 

―荷重時痛―

・なし

 

―圧痛―

部位:左膝関節周囲

・膝伸展時にハムストリング腱部に疼痛の訴え

*初期評価時と比較し痛みの程度は軽減している

 

4.形態測定

単位はcm

大腿周径

 

備考

膝蓋骨上5cm(大転子より下27cm)

42.5

42.0

 

膝蓋骨上10cm(大転子より下22cm)

46.0

45.0

 

膝蓋骨上15cm(大転子より下17cm)

49.0

48.0

 

下腿周径

 

備考

最大周径

34.0

34.0

 

最小周径

21.0

21.0

 

*左下肢に関して、周径は小さくなっている

 

5.触診

・左膝関節に軽度熱感がある。

・ハムストリング腱部に圧痛あり。

・左膝窩中央部の圧痛は消失しており、圧迫すると気持ちが良いとのこと

・初期評価時に触診できた浮腫が最終評価時では触診できなかった。

*熱感に関しては、初期評価時より軽減している。

 

6.徒手筋力検査(MMT)

  

検査肢位

備考

股関節

屈曲

坐位

 

伸展

腹臥位

 

外転

側臥位

 

膝関節

伸展

坐位

Extension lagは認められない

足関節

背屈

坐位

 

底屈

立位

左は中間評価時では、1回が限度であったが、最終評価時では3回が限度であった。

*変化のある部位のみ記載。その他は著名な変化なし

 

7.ADLテスト(FIM)

112/126点

*初期評価時と比較して、階段昇降が完全自立(7点)となり、ADLが向上した

 

8.姿勢・バランス

・端坐位:安定

・立位:安定

*初期評価時から安定していた

 

9.基本動作能力

・寝返り:左右とも自立

・起き上がり:自立

・起立:自立

・歩行

平行棒:自立

歩行器:自立

室内杖歩行:自立

屋外杖歩行:自立→時折バランスを崩すことがある

・階段昇降:自立

 

【問題点】

-Impairment Level-

#1.ROM制限(右膝関節:伸展、左膝関節:屈曲)

#2.筋力低下(足関節底屈筋)

#3.疼痛 → 運動時痛:左膝関節屈曲時。伸張痛:膝関節伸展時に膝窩部。安静時痛:膝関節前面の創部。圧痛:ハムストリング腱部

#4.左膝関節周囲の熱感

#5.筋の短縮(大腿四頭筋)

#6.左下肢の支持性低下

#7.左膝関節の創部の未完治(創部が化膿したことなどにより完治が遅延したため)

 

-Disability Level-

#8.家庭での浴槽への出入り困難

#9.入浴の未許可:創部が完治していないため

 

【ゴール】

―短期ゴール―

・左大腿四頭筋の伸張(70°→90°)

・左大腿四頭筋筋力増強(4→5)

・左下肢の支持性向上

 

―長期ゴール―

・股関節外転筋力増強(4→5)

・浴槽への出入り自立

 

【理学療法プログラム】

#1.ROM訓練

目的:ROM維持

方法:

右膝関節伸展:背臥位にて膝の伸展運動を行う

左膝関節屈曲:端坐位にて膝の屈曲運動を行う

    伸展:背臥位にて膝の伸展運動を行う

#2.ストレッチ

目的:大腿四頭筋の伸張

方法:腹臥位にて左膝関節屈曲し、20秒ほどストレッチする。回数は5回程度

#3.筋力増強訓練

目的:筋力の強化

方法:

股関節外転筋:背臥位での外転運動を徒手抵抗にて行う。(左右20回ずつ)

大腿四頭筋:腹臥位にて下腹部に枕を置き両足指を床に対して踏み返しながら膝伸展を徒手抵抗で行う、徒手抵抗にてSLRを20回行う、端坐位で徒手抵抗にて20回

下腿三頭筋:立位で底屈運動を20回

#4.関節トレーニング

目的:膝関節の再学習

方法:レストレーターを10分間行う

#5.物理療法

目的:熱感の軽減、除痛

方法:コールドエアーを患部から15cm離して3分間当てる

#6.ADL指導

目的:家庭での浴槽への出入りの方法を指導

方法:浴槽と同じ高さ(50~60cm)の台に置いてそれに座り、浴槽へ下肢を出し入れするように指導を行う。また、安全性を考え、介護保険を紹介・利用して浴室床に滑り止めマットや手すりの設置などを勧める。

 

【home exercise】

#1.ROM訓練

目的:ROM維持

方法:

左膝関節屈曲:背臥位で左膝関節を屈曲し、踵が殿部に近づくように手で下腿部を押さえ膝を屈曲する。

    伸展:坐位で右下肢を屈曲位、左下肢を伸展位とし、膝蓋骨上の大腿部を押さえ膝を伸展する。

#2.Patella mobilization

目的:膝蓋骨の可動性維持

方法:膝蓋骨を手で上下・左右に動かす

#3.筋力維持訓練

目的:筋力維持

方法:

側臥位の股関節外転を行う → 左右20回ずつ

背臥位で膝窩部に枕などを置き、その枕を下に押さえつけるように膝関節を伸展する → 左右20回ずつ

背臥位でSLR → 左右20回ずつ

立位でベッドの手すりなどを把持し足関節底屈を行う → 左右20回ずつ

 

【考察】

本症例は両膝に変形性膝関節症を診断され両膝にTKAを施行した歳の女性である。本症例の初期評価時の一番の問題点は、左膝関節のROM制限と筋力低下でそれに伴い歩行や階段昇降などの動作が障害されていた。

初期評価時には入院前の生活状況から床への昇降動作が必要と考え、通常床からの立ち上がりには膝屈曲可動域は130°程度必要であることから、左膝関節の屈曲可動域90°では床からの昇降動作が困難となってしまい、また、その他のADLにも影響を与えると考えたので目標を屈曲可動域130°とし、ROM訓練を行った。途中経過に再縫合があったため、縫合部へストレスをかけないように行ったこともあり、屈曲可動域120°と改善はみられたが目標には達することができなかった。しかし、床への昇降動作は、膝へ負担がかかり人工関節の摩耗を早めるので、膝への負担を考えると行うべきではない。床への昇降動作を行わなければ、膝関節屈曲可動域120°でも生活を行ううえで問題とならないと考えられる。

筋力に関して、初期評価時の大腿四頭筋の筋力は2+であり、extension lagがみられることから特に内側広筋の筋力が低下している。膝折れは、膝伸展機構の調節が不十分で、特に大腿四頭筋の筋力が弱く膝蓋骨による前方の押さえが効いてない場合に起こるので、初期評価時の大腿四頭筋の筋力では膝折れを起こす危険性があった。そのため、大腿四頭筋の筋力増強訓練を重点的に行った。方法として、SLRで20回、坐位にて徒手抵抗で20回、膝関節伸展位を5秒ほど保持させ5セット、また、セラバンドを平行棒に結び車椅子につけ、車椅子に乗ったまま膝の屈伸運動を20回×2~3セット行う。しかし、これは、気を付けなければセラバンドが切れる恐れがあり、車椅子を使用するので、途中で車椅子を使用しなくなったので中止した。また、腹臥位で下腹部に枕を置き股関節屈曲位とし、両足趾を床に対して踏み返しながら膝関節を伸展する方法を行った。この方法は、大腿四頭筋だけでなく大殿筋、膝関節屈筋群、下腿三頭筋などの同時収縮による多関節連鎖機構を引き起こすことできるため、有効的な訓練である。

これらの四頭筋訓練により右:4→5、左:2+→4に筋力が増強したので膝折れを起こす危険性はなくなった。また、股関節外転筋は立位で股関節外転運動を行った。これは、closed kinetic chain exerciseであるため、実用的な筋収縮を起こすことができると考え行ったが、中間評価時において股関節外転筋力に変化は見られなかった。これは、本症例にとって抵抗量が少なかったためではなかろうかと考え、側臥位にて外転運動に徒手抵抗を加える方法に変更した。その結果、右:4→4、左:3→4と右に関しては変化がみられなかったが、左に関しては筋力が増強した。このことより、初期評価時で考案した股関節外転筋の筋力増強訓練法は、抵抗量が少なかったといえる。足関節底屈筋に対しては立位で底屈運動を行った。

その結果、中間評価時には右:3→5、左:2+→3に筋力が増強し、最終評価時には右:5→5、左:3→3と変化はなかった。しかし、左は中間評価では底屈運動を1回しかできなかったが、最終評価時では、3回できたことから筋力が増強したといえる。浮腫に関しては、マッサージを行ったが浮腫が軽減したのは、下肢の運動により浮腫が改善したと考えられる。そのため、マッサージは効果的ではなかった。

歩行に関しては、初期評価時と比較し膝装具除去により歩容の改善もみられ、筋力増強に伴い安定性が増し、中間評価時において室内歩行は、リハ室‐廊下間を10周(1周あたり84mの距離である)連続歩行が可能であったことから持久性も向上した。また、屋外歩行においても駐車場を1周する程度まで可能になった。しかし、屋内より路面の凹凸が激しいためか、膝折れしそうであるという訴えがあり、時折バランスを崩すことから、室内歩行と比較し安定性が屋外歩行のほうが低いと考えられるので、大腿四頭筋の増強が必要であると考えた。

階段昇降は、訓練開始当初は足を出す順番を間違えることがあったので近位監視であったが、次第にその間違えもなくなり監視も必要なくなり、リハ室には階段を使用して来室されていたことから、自立していると判断し、階段昇降においては訓練の必要はないと考えた。一方、退院させ家庭に帰られたときに問題となるのが浴槽への出入りである。浴槽の高さが50~60cmあるが、現在、エルゴメーターに乗る際に動揺しバランスを崩しそうになり、エルゴメーターが倒れないように支えるよう訴えることから、浴槽を跨いで出入りすると片脚立位とならなければならないため、膝に負担がかかり、床が濡れているため転倒の危険性が考えられる。そのため、浴槽を跨いで出入りすることは望ましくない。よって、片足立位とならないでよい浴槽への出入り方法を指導する必要がある。

指導方法としては、浴槽と同じ高さ(50~60cm)の台に置いてそれに座り、浴槽へ下肢を出し入れするように指導を行う。また、安全性を考え、介護保険を紹介・利用して浴室床に滑り止めマットや手すりの設置などを勧める。

最終評価においての問題点は、①ROM制限、②筋力低下、③疼痛、④左膝関節周囲の熱感、⑤筋の短縮、⑥左下肢の支持性低下、⑦左膝関節の創部の未完治(創部が化膿したことなどによる左膝関節の創部の完治が遅延したため)、⑧高い段差越え困難、⑨入浴の未許可である。今後理学療法を続けるのならば、これらの問題点を改善するために、①ROM訓練:ROM維持、②ストレッチ:大腿四頭筋の伸張、③筋力増強訓練:筋力の強化、④関節トレーニング:膝関節の再教育、⑤物理療法:熱感の軽減、除痛を実施するが、本症例は、退院する予定なので家庭で行えるhome exerciseを立案し、指導を行う必要がある。

home exerciseとして、

  • ROM訓練(左膝関節屈曲・伸展)
  • Patella mobilization
  • 筋力維持訓練(股関節外転・膝関節伸展・SLR・足関節底屈)

を指導し、注意事項として、

  • 両膝とも人工関節なので長時間歩くと、より早く人工関節が磨り減ってもう一度手術をしないといけなくなるので、長時間歩かないこと。また、杖をつくことで膝への負担を減らすことができ、人工関節の磨り減りを遅らせることができるので、歩くときは必ず杖をつくようにすること。
  • 食後30分~1時間くらいが最も血糖値が上がり、食後安静にしていると血液中の糖が消費されず脂肪となって体内に蓄えられるので肥満になる可能性がある。また、薬を服用している人やインスリン注射している人は、空腹時(食前)に運動すると低血糖を起こす危険性があるので、運動は食後1時間~3時間の間に行うようにすること。
  • 喫煙は、動脈硬化の危険因子であり、糖尿病があるとさらに危険性が高くなるので、タバコは控えめにすること。

以上、3点を注意事項として指導を行う。

 本症例は、糖尿病や化膿したことなどによって傷の完治が遅延したため、退院が延期になってしまったが、退院後は家庭復帰が可能な症例である。本症例は、リハビリに対するモチベーションが高く訓練も積極的に行い、また、活動性も高く、リハ開始当初から膝装具を着用していたが歩行レベルが独歩まで可能であったことや身の回り動作がすべて自立していたことが家庭復帰を可能にしたと考えられる。しかし、活動性が高いことから膝への負担が大きくなることや時折バランスを崩しそうになることから転倒などによる骨折などの危険性が考えられる。よって、退院時に家庭での生活指導や筋力や関節可動域の維持を目的とする訓練方法の指導が必要となってくると考えた。

 

【終わりに】

 本症例の治療・訓練において、筋力増強訓練の負荷量の設定や膝への負担を考えずに歩行量を設定したことなどが反省点として挙げられる。また、リスクを考え理学療法を行うことの重要性や症例に対して適切な治療プログラムを立案することの難しさなどを学ぶことができました。

 最後になりましたが、本稿を作成するにあたり御指導いただいた病院の臨床実習指導者の先生、ならびにスタッフの皆様に深く感謝いたします。

 

【引用・参考文献】

  1. 石井 清一他 編集:標準整形外科学、 第7版、 医学書院、 2001.
  2. 腰野 富久 著:膝診断マニュアル、第4版、医歯薬出版株式会社、1992.
  3. 中村 隆一他 著:基礎運動学、第5版、医歯薬出版株式会社、2001.
  4. 山嵜 勉 編:整形外科理学療法の理論と技術、メディカルビュー社、2001.
  5. 石川 斎 編:理学療法ガイド、文光堂、1999.
  6. 細田 多穂編:理学療法ハンドブック[改定第3版] 第2巻 理学療法の基礎と評価、共同医書出版社、2001.

 

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整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
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脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
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種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

-書き方, 整形疾患, 病院, レポート・レジュメ