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【変形性股関節症+置換術】レポート・レジュメの作成例【実習】

2021年12月25日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「変形性股関節症+人工骨頭置換術施行」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 変形性股関節症の患者

  • 人工骨頭置換術を施行
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「変形性股関節症+人工骨頭置換術施行」の患者のレポート・レジュメ作成例

<症例紹介>

氏名:

年齢:代

体重:kg

診断名:両変形性股関節症

合併症:なし

投薬情報:DEXA(作用:コレステロール低下)を高コレステロール値の状態に対し、服薬中である。→内科所見によるとコレステロール値が最大時において220前後まで向上。現在、コレステロール値は206前後。

主訴:座り動作時(または、床のものを拾い上げるとき)に恐怖感を感じる。

Need:今の体力を最低限維持したい

利き手:右手

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<医学的所見>

現病歴:〇〇年〇〇月〇〇日:回転骨切り術施行

    〇〇年〇〇月〇〇日:右人工骨頭置換術施行

    〇〇年〇〇月〇〇日:左人工骨頭置換術施行

既往歴:〇〇年〇〇月〇〇日:頚椎捻挫

 

<社会的情報>

家族歴:本症例は8人兄妹。また、本症例以外に同胞(姉二人)に変形性股関節症あり。

家庭での役割:主婦

コミュニケーション:良好

趣味:家庭菜園、パソコン

精神面:訓練に対する意欲は高い。積極性がみられる。

社会面:社交的である。

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<理学療法評価>

<全体像>

 小柄な体格で、各動作時において著明な異常はみられない。リハビリテーションに対しては積極性が見られ、周囲に対して好意的で明るい性格である。

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<疼痛検査>

 発症当時は、股関節部の違和感や疼痛に悩まされていたが、現在、THAによる術創部の痛みは安静時・運動時においてはほとんど感じられていないということである。まれに歩行時において股関節部に荷重時痛を感じることはあるが痛みの程度は軽いようでVAS(visual analogue scale)で1~2程度ということである。

 また、ADL動作を阻害するほどのものではないと思われる。

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<形態測定>

 

右側

左側

左右差

SMD

78cm

76cm

2cm(右>左)

TMD

76cm

73cm

3cm(右>左)

大腿長(大転子~大腿骨外側上顆)

41cm

39cm

2cm(右>左)

下肢長(大腿骨外側上顆~外果)

36cm

35cm

1cm(右>左)

FTA(大腿骨軸と脛骨軸の交点の外側角)*ただし、背臥位において直接計測

175°

175°

なし

(コメント)

 SMD,TMDにおいて若干の左右差が出た結果となった。レントゲンによる人工骨頭の長さが左右同じであるかの確認はできなかった。また、一方で、変形性股関節症による股関節の関節裂隙の狭小化も原因の一つとして考えられる。

 FTAの計測にあたっては、エックス線画像による確認ができないため、直接計測。女性のFTAの正常値は整形外科疾患の分類とX線計測によると176.43±0.21°となっている。本症例のFTA値は左右ともおよそ175°と判断した。よって外反膝および内反膝の可能性は低いと思われる。

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<四肢周径>

 

右側

左側

左右差

前腕最大周径(位置の基準なし)

21.0cm

21.0cm

なし

大腿周径(膝蓋骨上縁)

36.0cm

36.0cm

なし

5cm中枢側

36.5cm

36.5cm

なし

10cm中枢側

40.0cm

40.0cm

なし

15cm中枢側

44.0cm

46.5cm

2.5cm(右<左)

下腿最大周径

30.5cm(内果より18cm上方の位置)

31.0cm(外果より19cm上方の位置)

0.  5cm(右<左)

(コメント)

 前腕最大周径に関しては、本人による前腕の太さが左右異なるという意見があったため計測したが、結果的に左右差は見られなかった。

 また、両側における変形性股関節症において、元々、右下肢の状態のほうが比較的に良くなかった(この理由からTHAは右側を先に施行)ということから、筋肉量の確認として大腿および下腿最大周径を計測した。大腿の全体の筋群の指標となる膝蓋骨上縁より15cm上方の部位に関しては差が見られたが、大体周径においては、ズボンをはいた状態で計測しているため信憑性は高くはないと思われる。

 

<ROM測定>

[上肢]

上肢における頚部の前屈・後屈・回旋、肩関節の屈曲・伸展・外転・内転・外旋・内旋・水平屈曲・水平伸展、肘関節の屈曲・伸展、前腕の回内・回外、手関節の掌屈・背屈は左右ともActiveによる運動を行わせ正常可動域であると判断した。また、運動時の疼痛の発生はなかった。

 

[下肢]

*Passive及びActiveにより計測。( )内がActive

  

股関節

屈曲

95(85)

105(60)

 

伸展

15(10)

15(10)

 

外転

40(35)

35(30)

 

内転

25(20)

20(15)

 

外旋

35(30)

15(15)C

 

内旋

35(30)

35(30)

膝関節

屈曲

145(135)

145(140)

 

伸展

0(0)

0(0)

足関節

背屈

  
 

(膝伸展位)

15(10)

15(10)

 

(膝屈曲位)

20(10)

15(10)

 

底屈

40(35)

45(40)

(コメント)

 変形性股関節症による股関節の運動制限は全体的には著明ではないように思える。これはおそらく、THAを施行してからの時間的な経過や定期的なリハビリテーションによるものだと思われる。しかし、左側の股関節外旋の可動域値はとくに低かった。骨性、あるいは股関節内旋筋の短縮による影響が予想される。それとは別に本人によると、脱臼肢位ではないにしろ恐怖感も若干あったとのことである。一方で、以前の両側のTHA術後の創部痛による動作不全のための可動域制限も要因の一つとして考えられる。また、上記のROM測定において疼痛による可動域制限は見られなかった。

 下肢の可動域をActiveにより計測したところ、Passiveでの計測時と同様に左股関節の可動域制限が目立ったが、右と比較して左股関節の状態が良くないという本人の訴えがあった。

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<徒手筋力検査>

 右側左側

股関節 屈曲

    外転

    内転

    外旋

    内旋

膝関節 屈曲

    伸展

足関節 底屈

5           

    背屈

体幹 屈曲

   伸展

(コメント)

 股関節屈曲、膝関節伸展、足関節底屈・背屈は十分な筋力が伺えた。現在行っている週3回のエルゴメーター・立ち座り訓練が効果的であるように思われる。

 一方で、股関節の外旋は左右において、抵抗に抗する筋力が他と比較して明らかに感じられなかったように思えた。本人からは、「普段の動作でやらない運動だからね」という意見があった。股関節の外旋筋は股関節の安定性において大きく関わる筋でもあるためアプローチすべき点であると考えられる。

股関節の外転筋においては弱化していればトレンデレンブルグ跛行の要因となるので注意する点の一つであるように思われる。

 本症例のTHAの術式においては不明であるが、手術時において骨盤に付着している筋の剥離等が行われていれば、その影響による筋力低下も考えられる。

 また、股関節の計測から開始し、端座位の姿位であったため、膝関節屈曲も端座位で行い、膝屈筋群の総合力を計測した。

 計測時、疼痛の発生はなかった。

 体幹筋の測定においては屈曲・伸展いずれも本来の方法においての判定が困難であったため端坐位の状態で体幹に対し前後方向への徒手抵抗を加え判定した。元々、抗重力位での安定した立位姿勢の保持が問題なくとれるため、3以上であると予想される。徒手に対する抵抗感から体幹屈曲筋のほうが体幹伸展筋よりもやや弱く感じられたが、腹筋群と脊柱起立筋群の割合を考慮してあえて差はつけなかった。体重の影響も考慮に入れ4程度であると判断した。

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<基本的動作>

1寝返り:自立→実用性あり

2坐位:自立→実用性あり

3立位(端座位から立ち上がり・立位から座り込み):自立→実用性あり

4歩行:自立→実用性あり

(コメント)

 基本的動作は各々自立レベルで日常生活における実用性もあると思われる。ただ、床からの立ち上がり時などは力が入りにくく立ち上がるのが大変という意見があった。また、歩行も安定しているように思えるが、跛行が見られることもある。跛行の要因については特定されていないが実用歩行の阻害になっているようには考えにくい。歩行の耐久性においては、確認してはいないが、訓練時の活動性の高さから問題はないと考えられる。

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<ADL能力>

Barthel Indexにより判定

項目

 

点数

1.食事

全介助 0

要介助 5

自 立 10

10  

2.車椅子からベッド又はその逆の動作

全介助 0

要介助 10

自 立 15

15

3.整容(洗面、整髪、髭剃り、歯磨き)

全介助 0

要介助 0

自 立 5

4.トイレ動作

全介助 0

要介助 5

自 立 10

10

5.入浴動作

全介助 0

要介助 0

自 立 5

6.平面歩行(歩行不能時車椅子駆動)

全介助 0

要介助10

自 立15

15

7.階段昇降

全介助 0

要介助 5

自 立 10

10

8.更衣動作

全介助 0

要介助 5

自 立 10

10

9.排便の管理

全介助 0

要介助 5

自 立 10

10

10.排尿の管理

全介助 0

要介助 5

自 立 10

10

 

合計

100

(コメント)

本症例は術後のリハビリテーションにより、日常生活動作においては特別な弊害はない状態に改善しているように思われる。階段昇降については自宅の構造が平屋ということもありほとんど行うことはないということであるが、実行能力は備わっている。

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<理学療法問題点>

Impairment

♯1下肢の可動域制限

♯2下肢筋力の低下

♯3脚長差

#4股関節部の疼痛

 

Activity limitation

♯5座り動作困難(♯1~4)

♯6跛行(♯1~4)

 

Participation restriction

♯7農作業がやや困難(♯1~6)

(活動性の低下)

 

<目標設定>

短期ゴール:下肢のROM制限の改善(3W)

長期ゴール:安定した歩行動作の獲得(8W)

 

<理学療法プログラム>

1股関節の筋力増強訓練(等張性訓練)〔#4~6〕

2股関節の可動域訓練 〔#1.5.6〕

3立ち座り動作訓練(下肢筋力の維持・向上)〔#2.5.6〕

4姿勢矯正訓練(短縮筋の伸長) 〔#1.5.6〕

5足底板の使用による補高の設定(歩容の改善)〔#3.5.6〕

6下肢への負荷のかからない動作訓練(エルゴメーター、水中訓練)〔#2.5.6〕

 

<考察>

 本症例は両変形性股関節症を呈し、左右の股関節においてTHAを施行された症例である。

本症例は変形性股関節症による運動時痛・荷重時痛は軽く、日常動作においては大きな問題を抱えていない状態である。よって、現在において、能力上注意するべき点として、日常動作には大きな影響を与えてないものの下肢の関節可動域・筋力の一部にやや問題がみられるところがある。原因としては、発症時における、股関節の運動制限、あるいは荷重時の疼痛における動作不全が考えられる。

本症例にとって床への坐り動作が困難な理由として、股関節の可動域にやや制限(股関節屈曲、外旋)があること、あとは人工股関節における臼蓋と人工骨頭との適合性の違和感が考えられ、それらが床へ座り込むときの恐怖感の要因とも考えられる。また下肢筋力の影響も多少考えられる。それらに対して、股関節の可動域、筋力への訓練を取り入れると同時に、なるべく、疼痛にも注意を払い、両下肢における負担をできるだけ考慮した、エルゴメーターの利用、また可能であれば、全身運動となるうえ、股関節、膝関節にストレスのかからない水中訓練なども適していると思われる。加えて本症例に適した動作指導を行うことも方法の一つとして考えていき、脱臼の予防には特に注意を払うようにする。

基本的動作における実用性は備わっている。ただ、跛行が見られているように思われる。跛行が股関節痛によるものか、股関節の伸展制限による股関節伸展の代償によるものか、また、脚長差によるものかは不明である。実際本人によると、脚長差に対する訴えはなく、検査結果からも股関節伸展制限も確認されなかった。可動域に関してはROM測定結果から股関節・膝関節・足関節において正常歩行に必要な可動域は最低限備わっていると考えられる。他の要因を考えると、以前THAを施行されたばかりの時期に疼痛に悩まされていたということから歩行時の疼痛を回避するため逃避性跛行が発生していた可能性がある。その時期の歩行様式の癖によるものも考えられる。一方では、股関節外転筋(中殿筋)の筋力低下によるトレンデレンブルグ徴候による影響も予想される。

脚長差に関していうと、本症例自身が問題を感じてないものの動作全般においてまったく影響がないとは考えにくい。よって、足底板を用いることで左右の高低差を解消させ脚長差の影響を改善させる方法を考える。補足訓練として脚長差の影響を考慮したバランスボードを用いた姿勢矯正訓練などを考える。

全体的に本症例の特徴から、股関節周囲へのアプローチが中心となる結果となった。筋力においては股関節の内・外転筋、外旋筋の筋力向上を考える。特に股関節外旋筋(内・外閉鎖筋等)は股関節屈曲筋(腸腰筋)との協調作用から股関節の動的安定化に関与するため本症例の更なる動作能力安定のためにも改善を図りたいと考える。可動域に関しては、筋の短縮の改善や関節面の離開を考慮した可動域訓練を実施し可動域の改善を考える。同時に、疼痛の発生も考慮にいれながら、補足訓練として脚長差の影響を考慮したバランスボードを用いた姿勢矯正訓練などを考えてみたい。それらにより本症例の能力の維持または飛躍につなげていければよいと考える。

 

【参考文献】

  1. 米本恭三・他編:リハビリテーションにおける評価Ver.2 2000 医歯薬出版
  2. 河村廣幸・他編:ここがポイント!整形外科疾患の理学療法 2003 金原出版
  3. 吉元洋一・他編:理学療法評価法 2000 神陵文庫

 

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

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