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【脳性麻痺+四肢麻痺】レポート・レジュメの作成例【実習】

2021年12月29日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「脳性麻痺+四肢麻痺」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 施設に入所中
  • 脳性麻痺の患者

  • 四肢麻痺を呈する

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「脳性麻痺+四肢麻痺」の患者のレポート・レジュメ作成例

1.基礎情報

(一般患者情報)

・氏名:

・生年月日:

・家族構成:Key Person:母親

・身障手帳:1級 

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(医学的情報)

・診断名:脳性麻痺(極型ファロー四徴症術後…先天性心臓病)、てんかん

・現病歴:

〇〇年〇〇月〇〇日・脳性麻痺 ・脳厚性運動機能障害 ・四肢麻痺

〇〇年〇〇月〇〇日・嚥下障害

〇〇年〇〇月〇〇日・てんかん

〇〇年〇〇月〇〇日・ファロー四徴症術後

〇〇年〇〇月〇〇日・言語発達遅滞 ・構音障害

 

・出生時の状況:在胎○週、〇○gにて出生。生直後より次第にチアノーゼ↑、心雑音(+)となりO病院からS病院へ搬送される。極型ファロー四徴症の手術後後遺症にてCPを発症。

・投薬:フェノバール(催眠、不安・緊張状態の鎮静、熱性けいれん及びてんかんのけいれん発作の改善),副作用…眠気、時にめまい、頭痛、脱力感、構音障害、知覚異常、運動失調、精神機能低下など

・知的面:音のする大きな玩具に興味を持っている。目の前に提示されると手を出して叩いたりもするが、すぐつかんで口に入れている。

・情緒面:機嫌が良かったり、声掛けなどするとにこっと笑顔を見せている。また体をゆすったりすると声を上げて喜ぶ。

・遠城寺式発達検査:

運 動:移動動作・・・7ヶ月

手の運動・・・7ヶ月

社会性:基本的習慣・・8ヶ月

対人関係・・・7ヶ月

言 語:発語・・・7ヶ月

言語理解・・・10ヶ月

 

(他部門からの情報)

・担当STより

ホワイトボードからマグネットのカードを取り、それを反対側のポストへ入れるという訓練を行なう。言語の指導というよりむしろカードを取る、運ぶ、入れるといった一連の動作を関連付ける訓練を行なっているということである。

 

(母親からの情報)

家にいるときは坐位や四つ這いにて自分の目当てのもののところまで行き、手に取ったりまたは直接顔を近づけ口に入れている。テレビが好きでよくアニメのビデオを流すとそちらのほうをじっと見ている。食事は坐位姿勢をとり摂取するが、介助されて食べるよりもテーブルの上にご飯などを並べてあげたほうが、遊びながらでも自分で手でつかみ食べている。嬉しい時や嫌な時の感情は態度(笑ったり声を上げて)である程度までは判断できている。特に腹を立てると見向きもしなくなり頑固な一面があるということである。

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2.理学療法評価

(全体像) 

母親に抱かれて来室される。声掛けをすると声のするほうに顔は向けるが、特に大きな反応も見られることなくおしゃぶりを続けている。母親が床に座らせると間もな くぐぜるようにしてまた母親のほうへしがみつく光景がみられる。ウーン、ウーンと喃語がよくでており、自分が嫌なことに対しての感情表現はできている。母指をおしゃぶりする癖があり何をしていてもすぐ手が口元へと向かっている。

・主訴、要望:手で持ったものをすぐ口に入れることをやめてほしい

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1)姿勢の評価

<背臥位>

頭部が正中位にある状態では、左肩関節外転、外旋、肘関節屈曲位、右肩関節外転、肘関節伸展位、左股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、足関節背屈位、右股関節軽度屈曲、外転、外旋、膝関節軽度屈曲、足関節底屈位であり左右差が見られた。両上肢は手をたたくように時々正中線で合わせるようなしぐさが見られる。左手でよくおしゃぶりをするためか頭部を左に回旋する機会が多い。

<腹臥位>

on-elbowで頭部、体幹を伸展させ支持している。両下肢においては股関節屈曲・外転・外旋位を取り左右差はあまり見られない。足関節は底屈・内反位で左<右である。

<坐位姿勢>

両股関節とも屈曲、外転、外旋位であるが左>右であり、また両膝関節においても屈曲位で左>右であった。足関節においては左足関節背屈、右足関節底屈位で左右差が見られる。

w-sitting時は両股関節屈曲・外転・内旋位、両膝関節屈曲、両足関節底屈位をとり、この肢位での座位のほうが安定している。上肢においては両上肢ともよく動かして手をたたいたりしている。

<立位姿勢>

腋窩支持にて立位を試みるが、下肢装具をつけていないと両足とも内反尖足が強く、十分な立位をとることができない。両下肢に装具を使用し立位をとると、下肢において左股関節は軽度外転・外旋位をとっているため左右差が見られる。膝関節においては両方とも伸展しているが左は容易に屈曲させることができ、右膝関節においては筋緊張が高くロックされているように固く伸展位をとっている。立位をとっても体幹筋の筋緊張が低く上体が後方へ反り、股関節が伸展位を取り下肢で体重を支えることができず自立した立位をとることは難しい。上肢は玩具に手をかけ遊んでおり、時々右上肢で机をたたき笑顔を見せている。

 

2)姿勢反射の評価

・パラシュート反応:弱いが左右とも見られる。

・立ち直り反応:体幹を傾けるとゆっくりだが徐々に立ち直ってくる。前後左右とも見られる。

・平衡反応:右への刺激は左上肢を伸ばし、左への刺激もゆっくりだが右上肢を伸ばしているような肢位を取っている。

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3)動作観察

・寝返り(自立レベル)

~背臥位→腹臥位 左方向~

骨盤体から動き始め、左下肢を下にし左股関節屈曲、膝関節屈曲、同時に右股関節を屈曲させながら右下肢を左下肢より前方に下ろす。このとき上肢は左肩関節軽度屈曲、外旋、肘関節屈曲位で、右肩関節伸展、肘屈曲位であった。体幹が側臥位になるにつれて頭部は右側屈、伸展し始めた。右上肢は頭部が持ち上がるころ一番最後に肩関節を屈曲させ、肘関節を屈曲させて手掌面を床につけ腹臥位となった。

~背臥位→腹臥位 右方向~

骨盤体から動き始め、左下肢を股・膝関節屈曲させながら右のほうへ移動させる。次に左上肢が右上方へ移動しながら体幹を回旋させる。頭部は上肢の動きに合わせ右回旋・伸展する。右上肢は肘関節屈曲位をとって体幹回旋時に下敷きとなって寝返り動作を阻害しスムーズに行えない。

 

・四つ這い

四つ這い位を取ると両股関節が屈曲・外旋・外転、膝関節屈曲位をとる。足関節が底屈位をとっているためkickingが阻害され下肢での移動より上肢の運動が優位である。上肢に関しては右上肢の支持性が弱く時々、右前方へつまづく時がある。

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・歩行(全介助レベル)

下肢装具使用にて行う。後方からの支持が必ず必要で、歩く際も本人の意思でバランスをとっているという様子でもなかった。足の振り出しについては左下肢に体重を乗せ右下肢を振り出す様子と、反対に右下肢に体重を乗せ左下肢を振り出す様子とでは、明らかに後者のほうが左下肢の遊脚期が短くまた歩幅も狭かった。足を前に出そうとすると股関節が屈曲内転方向に動くため、時々足部が交差してしまい下肢がなかなか前に出ない。また筋緊張が弱いためか十分体重支持ができておらず、実用的な歩行ではない。

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・ADLに関して

日中は家で母親と過ごすことが多く、ADLについては母親による介助が多くを占めている。また移動に関しても、屋外に行くときなどは抱きかかえられていくためこれも母親の介助量の負担を増やしている要因のひとつである。

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4)関節可動域テスト

passiveでの可動域制限は見られないが、右足関節において内反尖足位をとっている。

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3.問題点

<impairment level>

#1.体幹の筋緊張低下

#2.支持性の低下(上肢、体幹、下肢)

#3.立ち直り反応の不十分

#4.保護伸展反応の不十分

#5.右足関節の内反尖足

#6.言語・認知能力における発達遅滞

 

<disability level>

#7.坐位保持困難(特にいす坐位において)(#1.2.3.4)

#8.移動能力の低下(#1.2.5)

#9.意思疎通の困難(#6)

#10.食事やトイレなどにおけるADLの低下(#1.2.3.4.5.6)

 

<handicap level>

#11.コミュニケーションの不良(#9.10)

#12.介助量の増大(#7.8.9.10)

 

4.ゴールの設定

S.T.G:安定した椅子坐位の獲得、立位による抗重力筋の支持性の向上

L.T.G:立位歩行による移動能力の増大

 

5.治療プログラム

初めに覚醒レベルを上げるために、バルーンなどを用いて刺激を全身に与え訓練の導入部に用いる。次に、上肢・体幹・下肢筋の低緊張の改善やバランス能力の獲得を目的として、坐位や立位での抗重力肢位をとる。

玩具や遊びを通してKickingや上下肢の支持性の向上を図り移動能力を高める。また、それらを用いることで各関節を動かし拘縮等の予防を行なっていく。

 

6.考察

本症例は、左上下肢に比べ、右側での運動がやや少なく、立位における右下肢で筋緊張が高まるなど右側が目立つ四肢麻痺であると思われる。

現在上肢においては変形・拘縮は見られず、また両上肢とも運動性はあるが、今後痙性が高まることが考えられそれに伴う弊害が出現するものと思われる。このため良肢位での指導を促していき、特に右上肢の活動性を高めるため右側からのアプローチを行うことが望まれる。下肢においては、立位時などに特に右下肢の筋緊張が高まるなど左右差が見られ、また足関節においても内反尖足が認められるため下肢装具などによる矯正を行い変形・拘縮の予防を行う必要がある。

体幹の筋緊張の低下や姿勢反射の弱さは、坐位保持困難の原因のひとつであると思われる。よってこの体幹筋の低緊張を改善するために坐位や立位といった抗重力肢位取ることで、体幹筋群の筋活動を促していく。またバルーンを用いた活動により、外乱刺激によるバランス能力の更なる獲得を促していく必要がある。

移動に関しては現在四つ這いなどで行っているが、kicking能力が低いため下肢の活動性が乏しい。これを改善するために歩行器を用いた訓練を行いたい。歩行器を用いることで下肢、及び体幹の動きをよくすることが期待できる。また歩行器での移動能力の獲得が出来ると、両上肢の活動性が増えるとともに自分の行きたいところへ移動でき、その分外からの刺激が増え言語・認知における発達が期待できると考える。

また言語・認知における問題は、外的刺激の乏しさも挙げられる。日中は母親と二人だけで家におり、ビデオを見たり遊ぶものや見るものに変化があまり見られない。外出も買い物へ行くときだけで散歩は特にしないという母親の話からもこのことが言えると思われる。外的刺激をもっと多く取り入れることで言語等の知的・情緒面の改善が考えられるため、今後家族に対して保育園等の施設利用を勧めていく必要があると考える。またこのことで介助量の軽減にもつながることを期待したい。

さらに外出する機会の少ない本児童がリハビリ室へ来室する時間というのは、外的刺激を得られる貴重な時間であると考える。このためリハビリ室へは楽しんできてもらいたいのだが、あまり笑顔が見ることが出来ない。これは訓練時間において①覚醒レベルの低さ、②モチベーションの低さに原因があると考える。①については薬の副作用である眠気が関与されると思われるため、使用時間や量を検討しコントロールしていく。また、今実習中に鼻腔チューブを使用し来室されたことがあり、母親によるとお菓子の食べすぎでご飯を食べず栄養不足によりそのようになったと話をされた。栄養の摂取状態による体調管理という意味からも、母親への規則正しい生活リズムを作っていただくよう食事や睡眠時間について指導・協力を促す必要があると思われる。②については、リハビリ室が楽しい遊び場と思われるよう環境作りをしたい。興味を持つ玩具(手で触れることができ、回転したり視覚で確認でき、音が鳴るもの)の検討や、訓練時間中に話しかける機会を多く保ちコミュニケーションをとることで信頼関係を作っていく。また他児童との交流が出来るように誘導して環境作りをしていきたいと考える。以上のようなことにより本児童の笑顔を引き出していきたいと思う。

本症例では今後痙性が強まり、活動の低下や変形・拘縮が出現していくことが予想される。このことを家族に対して事前に説明し、理解してもらうことで協力を促し環境を整えることが必要であると考える。

 

<参考文献>

  1. ベッドサイドの神経の診かた 田崎義昭・斉藤佳雄 著 南山堂 2000年1月18日
  2. 測定と評価 和才嘉昭・嶋田智明 著 医歯薬出版株式会社 2000年1月20日
  3. 脳性麻痺の類型別運動発達 Berta&Karel Bobath 著 医歯薬出版株式会社 2001年1月20日
  4. ボバース概念のハンドブック 紀伊克昌監修 パシフィックサプライ株式会社 1998年2月1日
  5. OTジャーナル 33 No.7 1999年7月

 

レポート・レジュメの作成例をもっと教えて欲しい!

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おそらく、あなたが実習で担当するであろう疾患のほとんどを網羅しているので、ぜひ参考にして実習に望んでください。

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

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