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【肩関節拘縮+疼痛軽減目的】レポート・レジュメの作成例【実習】

2021年12月28日

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、レポート・レジュメの作成例シリーズ。

今回は、「肩関節拘縮+疼痛軽減目的」の患者のレポート・レジュメです。

実習生にとって、レポート・レジュメの作成は必須です。

しかし、書き方が分からずに寝る時間がほとんどない…という人も少なくありません。

当サイトでは、数多くの作成例を紹介しています。

紹介している作成例は、すべて実際に「優」の評価をもらったレポート・レジュメを参考にしています(実在する患者のレポート・レジュメではありません)。

作成例を参考にして、ぜひ「より楽に」実習生活を乗り切ってください!

 

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今回ご紹介するレポートの患者想定

 

今回ご紹介する患者想定

  • 病院に入院中
  • 肩関節拘縮を呈する患者

  • 疼痛軽減目的でリハビリ介入
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「肩関節拘縮+疼痛軽減目的」の患者のレポート・レジュメ作成例

A.症例紹介

氏名 :

性別 :

年齢 :歳代

職業 :

利き手:右

家族状況:

主訴 :1年ほど前から左肩周辺が痛い

HOPE :痛みがとれて肩を自由に動かしたい、夜眠れるようにしたい

NEED :疼痛軽減、左肩関節可動域増大

 

B.医学的所見

診断名:左肩関節拘縮

 

C.現病歴

(〇〇年〇〇月〇〇日)腰痛にて当院受診.腰椎椎間板症に対する理学療法開始.

(〇〇年〇〇月〇〇日)肩関節拘縮にて理学療法開始.

(〇〇年〇〇月〇〇日)PTS評価開始.

 

D.一般情報

・ADL

移動:自立

食事:自立

入浴:自立(洗髪するのに左手があまり使えない。背中を洗うのが困難)

排泄:自立

更衣・整容:自立(上着を着たり、ズボンをはくのに痛みを伴う)

家事動作:鍋などの重たいものを持つことが困難

結髪動作:左手は頭頂までしか届かない

結帯動作:左手は殿部までしか届かない

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E.関節造影

1%カルボカイン 5ml

(10ml)          8ml

ウログラフィン  3ml

        (20ml)

関節包に伸縮性がないため造影剤が筋肉に漏れている

 

F.MRI所見

インピンジメントはないが、棘上筋がcritical pointで部分断裂している

 

G.手術所見

・SABが癒着していたが炎症はそれほどなかった。SABを剥離した。

・C‐H ligamentを切ったので肩が動くようになった

 

H.検査・測定

(1)視診・触診 

安静時(坐位)左肩甲骨は右に比べ外転、上方回旋しており(下図)、背中を丸め顎を前に突き出すように座っていた。

筋の触診では、三角筋、僧帽筋(上部繊維)、棘下筋を触診したがどの筋も緊張が高かった。

 

(2)疼痛検査

・部位(下図斜線部)

・発現時

安静時痛:+(VAS:10/10)

運動時痛:+

夜間痛 :+(VAS:10/10)

・程度

安静時の痛みは変化するが夜間痛は耐え難いくらいの痛みである。痛みの感じはつったよう「ジーン」とする感じである

【コメント】

 痛みは肩周辺が特に痛く肘の方までつったような痛みがあり、肩の中のほうが痛むと訴えていた。他動的に動かしてみても痛みが出現し、痛む部位を圧迫したら痛みが増強した。夜は痛みが強くなり3~4回起きてしまう(睡眠時間5、6時間程度)。自宅では布団で寝ている。左肩を下にしたり、うつぶせになって寝ると痛みが増強する。腕を下垂位の状態にしているときが一番痛みが軽い。

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(3)ROM測定 

passive(単位:゜) (Pain:P)

肩関節

左右差

屈曲

160

120(P)

-40

伸展

25

20(P)

-5

外転

165

95(P)

-70

内転

0

0

0

外旋

45

0(P)

-45

内旋

65

65(P)

±0

肘関節

   

屈曲

135

130(P)

-5

伸展

0

0

±0

Active (単位:゜) (Pain:P)

肩甲骨

左右差

挙上

15

15

±0

下制

5

5

±0

前方突出

10

10

±0

後方突出

10

5

-5

肩関節

   

屈曲

155

100(P)

-55

伸展

25

15(P)

-10

外転

155

65(P)

-90

内転

±0

外旋

30

0(P)

-30

内旋

60

60(P)

±0

肘関節

   

屈曲

135

100(P)

-35

伸展

0

0

±0

【コメント】

Passiveで動かした際エンドフィールがなく痛みにより制限されていた。屈曲・外転・外旋は特に左右差が大きく痛みも強く訴えていた。水平外転、水平内転はポジションが取れなかったため測定不可能だった。

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(4)manual muscle test:MMT

(Pain:P) 

 

肩甲骨挙上

3(P)

肩甲骨上方回旋と外転

3(P)

肩甲骨内転

3(P)

肩甲骨内転と下方回旋

3(P)

肩関節屈曲

3(P)

肩関節伸展

3(P)

肩関節外転

3(P)

肩関節外旋

3(P)

肩関節内旋

4(P)

肘関節屈曲

3(P)

肘関節伸展

4(P)

前腕回外

3(P)

前腕回内

3(P)

【コメント】

すべての動作において力を入れようとすると疼痛が出現し、痛みで力が入りにくいと訴えていた。また、正常可動域の範囲を動かせない動作は、動かせる位置まで動かしてもらい、抵抗を加えた。通常は可動域の範囲を動かせない場合MMTは2以下となってしまうが、痛みにより動かせなくなっていたため、動かせる範囲内で右との筋力を比較し評価した。肩甲骨下制と内転はポジションが取れなかったため測定不可能だった。

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(5)握力測定 

右:15kg 左:5kg

【コメント】

左の握力は痛みにより力が入らなかった

 

(6)その他の検査 

①Yergason’s test:疼痛出現(肩~肘)

②Speed’s test:疼痛出現(肩~肘)

③Painful arc:疼痛出現(肩~肘)
④Drop arm sign:疼痛出現(肩~肘)

⑤棘上筋腱炎テスト:疼痛出現(肩~肘)

⑦アプレー・スクラッチテスト:検査不可

⑧Impingement test:疼痛出現(肩~肘)

【コメント】

通常、Yergason’s test、Speed’s testは通常、上腕二頭筋腱炎の鑑別テストであり、結節間溝部に疼痛が出現すれば陽性とするものである。また、Painful arc、Drop arm sign、棘上筋腱炎テスト、Impingement testは腱板損傷などの病変の鑑別検査であり、腱板付着部付近に疼痛が出現すれば陽性とするが、今回はすべての鑑別テストにおいて、肩から肘にかけての疼痛が出現したため、陽性、陰性と区別することができなかった。

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I.問題点

Impairmentレベル

#1.肩周辺から肘にかけての疼痛

#2.肩甲骨・肩関節・肘関節のROM制限

#3.上肢の筋力低下

 

Disabilityレベル

#4.入浴動作困難

#5.更衣・整容動作困難

#6.家事動作困難

 

Handicapレベル

#7.家庭復帰困難

#8.QOL低下

 

J.考察

 まず、#1に挙げた肩周辺から肘にかけての疼痛だが、安静時痛、夜間痛が強く、またどのような動作をしても痛みがなくならないことから肩周囲に炎症が起こっているのではないかと考えた。ROM検査で屈曲、外転時にエンドフィールを感じることなく痛みによりそれ以上動かせない状態になった。痛みにより動かせない角度がPainful arcなどの腱板断裂を疑う60゜から120゜の間なので、腱板断裂を疑ったが、安静時なども常に痛みがあるということから腱板断裂による痛みではなく、挙上時、肩峰下滑液包が圧迫されることで痛みが生じており、圧迫され続けることにより肩峰下滑液包に炎症がおこり、安静時でも常に痛みが生じている状態になったのではないかと考えた。また、肩周辺の筋の緊張が高く、常に力が入っているように感じたので、そのことも肩峰下滑液包を圧迫している可能性も考えられる。文献によると肩峰下滑液包炎の特徴として、強い夜間痛があり、特に患側の肩を下にして眠っているときに増強し放散痛も生じる。¹⁾ということからも、本症例は肩峰下滑液包炎による痛みではないかと考えた。本症例も夜間痛が強く出現し、肘にまで痛みが出現している。

 次に、#2に挙げた肩甲骨・肩関節・肘関節のROM制限だが、大きな阻害因子となっているのは痛みだと考えられる。Passiveで動かしてみたときもエンドフィールを感じることなく痛みにより可動域が制限されていた。次に関節造影の所見からも関節包の伸縮性が小さいため、可動域を制限している可能性も考えられる。また肩周辺の筋の緊張の高さも制限因子の一つと考えられる。さらに、靭帯も影響している可能性がある。文献によると関節上腕靭帯は外旋時3つのすべての線維束が緊張するとされており、さらに烏口上腕靭帯の前部線維束は伸展時に緊張が高まり、後部線維束は屈曲時に緊張するとされている⁽²

 次に、#3に挙げた上肢の筋力低下だが、MMTにおいて痛みにより力が入りづらかったと訴えていたが、1年ほど前から痛み出して日常生活であまり動かさず、さらに重いものを持てないということからも左側は右側に対して筋力が低下し、筋萎縮が生じていると推測した。しかし、触診してみたが違いがわかりづらかった。

 次に、Disabilityに挙げている#4入浴動作困難、#5更衣・整容動作困難、#6家事動作困難のいずれの動作も疼痛が一番の大きな制限因子となっているため、まずは痛みを取り除いて、可動域、筋力をつけていく必要があると思う。入浴動作、更衣・整容動作では、結髪動作、結滞動作が障害されて動作困難となっているため、肩関節の屈曲、外転、外旋、内旋の可動域と肩甲骨の可動性も大きくする必要があると考えられる。

 最後に、#7に挙げた家庭復帰困難であるが現在夫と二人暮らしであるため、家庭復帰が困難だと夫の家庭内の負担が大きくなることからも、できるだけ早期の家庭復帰が望まれる。また#8に挙げたQOL低下は痛みによりいろいろな動作制限されたり、痛みそのものによってQOLが低下してくるのではないかと考えた。そういったことからもこの患者様の一番の問題点は痛みであると思われる。

 

K.終わりに

 手術所見においてもSABの炎症はそれほどなかったものの癒着していたため、痛みの原因はSABによるものと考えられる。また、C‐H ligamentを切ったので肩が動くようになったという情報から、屈曲、伸展の可動域制限にはC‐H ligamentも関係していると思われる。 

 

<参考文献>

1)山嵜 勉:整形外科理学療法の理論と技術、株式会社メジカルビュー社、東京、2001、p238-241

2)I.A.KAPANDJI:カパンディ関節の生理学、医歯薬出版株式会社

 

レポート・レジュメの作成例をもっと教えて欲しい!

今回は、「肩関節拘縮+疼痛軽減目的」の患者のレポート・レジュメの作成例を紹介しました。

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おそらく、あなたが実習で担当するであろう疾患のほとんどを網羅しているので、ぜひ参考にして実習に望んでください。

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疾患名
特徴
脳血管疾患

脳梗塞

高次脳機能障害 / 半側空間無視 / 重度片麻痺 / 失語症 / 脳梗塞(延髄)+片麻痺 / 脳梗塞(内包)+片麻痺 / 発語失行 / 脳梗塞(多発性)+片麻痺 / 脳梗塞(基底核)+片麻痺 / 内頸動脈閉塞 / 一過性脳虚血発作(TIA) / 脳梗塞後遺症(数年経過) / トイレ自立を目標 / 自宅復帰を目標 / 歩行獲得を目標 / 施設入所中

脳出血片麻痺① / 片麻痺② / 片麻痺③ / 失語症 / 移乗介助量軽減を目標

くも膜下出血

片麻痺 / 認知症 / 職場復帰を目標

整形疾患変形性股関節症(置換術) / 股関節症(THA)膝関節症(保存療法) / 膝関節症(TKA) / THA+TKA同時施行
骨折大腿骨頸部骨折(鎖骨骨折合併) / 大腿骨頸部骨折(CHS) / 大腿骨頸部骨折(CCS) / 大腿骨転子部骨折(ORIF) / 大腿骨骨幹部骨折 / 上腕骨外科頸骨折 / 脛骨腓骨開放骨折 / 腰椎圧迫骨折 / 脛骨腓骨遠位端骨折
リウマチ強い痛み / TKA施行 
脊椎・脊髄

頚椎症性脊髄症 / 椎間板ヘルニア(すべり症) / 腰部脊柱管狭窄症 / 脊髄カリエス / 変形性頚椎症 / 中心性頸髄損傷 / 頸髄症

その他大腿骨頭壊死(THA) / 股関節の痛み(THA) / 関節可動域制限(TKA) / 肩関節拘縮 / 膝前十字靭帯損傷
認知症アルツハイマー
精神疾患うつ病 / 統合失調症① / 統合失調症②
内科・循環器科慢性腎不全 / 腎不全 / 間質性肺炎 / 糖尿病 / 肺気腫
難病疾患パーキンソン病 / 薬剤性パーキンソン病 / 脊髄小脳変性症 / 全身性エリテマトーデス / 原因不明の歩行困難
小児疾患脳性麻痺① / 脳性麻痺② / 低酸素性虚血性脳症
種々の疾患が合併大腿骨頸部骨折+脳梗塞一過性脳虚血発作(TIA)+関節リウマチ

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