フィジカルアセスメント 訪問看護

"訪問看護における"フィジカルアセスメントの目的と順番【事例まとめ 】

2022年9月10日

いち医療スタッフとして患者や利用者と関わる上で、フィジカルアセスメントは必須です。

フィジカルアセスメントとは、「利用者からの訴え(主観的情報)」「私たちからみた様子(客観的情報)」「身体評価」などを通じて、利用者の現在の状態や問題点を評価して分析することを指します。

このフィジカルアセスメントは、病院や施設など働いている場所に限らず、患者や利用者が相手にいるのであれば行うべき項目です。

フィジカルアセスメントと聞くと看護師に必要と思われるかもしれませんが、訪問看護で働く理学療法士・作業療法士・言語聴覚士にも必要な知識です。

今回は、その中でも"訪問看護”に特化したフィジカルアセスメントの目的や順番をご紹介します。

この記事で解決できること

・訪問看護でフィジカルアセスメントをする目的って何?

・フィジカルアセスメントの順番ってあるの?

・よくある事例を教えて欲しい!

記事の最後には、たっぷり18事例!訪問看護の現場でよくある事例をまとめています。

ぜひ、日々の業務にご活用ください。

”訪問看護における”フィジカルアセスメントの目的

訪問看護におけるフィジカルアセスメントの目的は、以下の3点です。

フィジカルアセスメントの目的
・現在の状態や問題点を評価して分析をする
・急変を予測する
・看護計画を作成する

現在の状態や問題点を評価して分析する

フィジカルアセスメントを行う大きな目的に、「利用者の状態や問題点を評価して分析する」ことが挙げられます。

利用者がどこに悩みを抱えているのか、そしてその問題点はどこに隠されているのか。

はたまた、利用者自身が気付いていない問題点があるのではないか、となればその問題点はどこにあるのか。

これらを、主観的情報や客観的情報を合わせてアセスメントしていきます。

ここで一つ注意が必要なのが、あなたが今行なっているフィジカルアセスメントは、フィジカルイグザミネーションだけではないかという点です。

フィジカルアセスメントとは、「評価・分析すること(=アセスメント)」を指します。

一方、フィジカルイグザミネーションは、「検査(=イグザミネーション)」を指します。

例えば、訪問をしたときに転倒をしていた利用者がいたとします。

このとき、バイタルを測って頭部をみて、「大丈夫、何もなっていない」と判断をするのは不十分だと言えます。

「バイタル測定」「視診」は、あくまでもフィジカルイグザミネーションの一部でしか過ぎません。

フィジカルイグザミネーションにより得た情報を評価・分析して必要に応じたケアの提供を行い、加えて関係機関・人に報告することまでが、訪問看護で必要なフィジカルアセスメントであると考えます。

「なぜ転んでしまったのか、筋力が弱っているかもしれない」

「1ヶ月後に症状が出るかもしれない、家族に注意事項を伝えておこう」

「往診が入っているので報告をしておこう」

このように、現在の状態を観察するだけでは不十分で、評価して分析をすることまでがフィジカルアセスメントの目的になります。

急変を予測する

次の目的は、「急変を予測する」です。

個人的に、訪問看護におけるフィジカルアセスメントで一番重要だと考えています。

なぜなら、訪問看護はある程度状態が落ち着いた利用者が多いという特徴があります。

しかし、昨今は病院の重点化により、急性期の治療を終えた人はすぐに在宅に戻る時代であり、亜急性期・回復期のような人を在宅で見ることも増えてきました。

つまり、急変をするリスクが高い利用者が多くいることを覚えておかなければならないのです。

訪問看護は病院と違い、急変をしたときにすぐに適切な処置ができるとは限りません。

そのため、常日頃フィジカルアセスメントを行い、「あれ?いつもと違うな。ちょっと早めの受診を促したほうがいいかもしれない」と、急変の”予測”をして、予防するための解決策を提案することが重要になります。

そしていざ急変をしたときに、「ここ最近で何か変わったことがありましたか?」と聞かれて、口を閉ざしてしまう訪問看護スタッフはプロ意識が甘いと言えるでしょう。

「先週の訪問時は〇〇でいつもとお変わりはありませんでした」

このように言えるためには、日々のフィジカルアセスメントが重要なことは言うまでもありません。

また、「先週はいつもより苦しそうでSpO2も低かったです」と状態の変化を把握していたとしても医師やケアマネに報告をしていなければ、「じゃあなんで報告くれなかったの!すぐに往診に入ったのに!」と、言われてしまいます。

訪問看護では、より密な報告・連絡・相談が必要であると言うこともあわせて覚えておきましょう。

看護計画を作成する

最後は、「看護計画を作成するため」です。

訪問看護にも「訪問看護計画書」や「訪問看護報告書」が義務付けられている通り、計画や報告の重要性はいうまでもありません。

特に訪問看護は担当制を導入していないところも多く、その点を考えても共通言語である看護計画は入念に作成するべきだと言えます。

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フィジカルアセスメントの順番

次に、フィジカルアセスメントの順番をご紹介します。

フィジカルアセスメントの順番は、先ほども図で紹介した通り、「問診(主観的情報)」→「フィジカルイグザミネーション(客観的情報)」→「評価・分析(アセスメント)」→「ケア・報告」になります。

問診の方法

まずは問診です。

訪問看護に限らず、利用者や患者を接するにあたって、すべての始まりとなるのが「問診」です。

問診では、以下の項目を聴取することが推奨されています。

一般情報氏名、生年月日(年齢)
医学的情報入院歴、診断名、現病歴、既往歴、手術歴、内服薬など
家族背景家族構成、主介護者(キーパーソン)
生活歴運動習慣、嗜好、趣味、1日の過ごし方、日常生活の様子など

問診と聞くと、「私たちが質問をする→利用者が答える」という流れを淡々と繰り返していくことを想像しますが、訪問看護においてはもう少しコミュニケーションの要素を取り入れるべきです。

なぜなら、私たちは長年過ごしているお家にお邪魔させていただく立場だからです。

できるならば他人は家にあげたくないと思っている利用者がいるかもしれません。

かなり身構えている利用者が多いのも事実なので、会話の中から必要な情報を聞き出すスキルも身につけていくべきでしょう。

また、担当者会議やケアマネから事前に情報を聞いている場合は、すべてを利用者から聞き出すべきではありません。

ただでさえ身構えているところ、質問責めをされると訪問看護に対して嫌悪感を示してしまいます。

本人の口から確認をしたいことに絞って問診することが推奨されます。

避けるべき問診
・(看)なんのご病気をされましたか?→(利)肺炎です
・(看)どのくらい入院していましたか?→(利)1ヶ月くらいです
・(看)今苦しいですか?→(利)だいぶ落ち着きました

推奨される問診
(看)ケアマネさんから聞きましたが、肺炎でご入院なされていたんですね。
→(利)そうなんですよ
→(看)病院の生活はいかがでしたか?
→(利)やることなくてつまらなかったよ
→(看)そのようにおっしゃる方は多いですよ。どのくらい入院されていたんですか?
→(利)1ヶ月くらいかな〜
→(看)肺炎だと相当苦しかったんじゃないですか?
→(利)入院していた時はそうだったんだけどね、今はだいぶ落ち着いたよ
→(看)そうですか、それは良かったですね。これから安全に暮らしていけるようにサポートさせていただきますね。

両者の違いは、会話の中から必要な情報を聞き出しているか否かです。

「質問→回答」のようにぶつ切りになってしまっているのは望ましくないでしょう。

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フィジカルイグザミネーションの方法と順番

次は、フィジカルイグザミネーション(客観的評価)の方法と順番です。

フィジカルアセスメントの肝となる部分です。

基本的に、フィジカルイグザミネーションは「視診→触診→打診→聴診」の順番で行うことが推奨されています。

しかし、これらはあくまでも基本形であり、利用者の状態や緊急度・重症度によって前後や省略することがあることは抑えておいてください。

視診でみるべきポイント

視診でみるべきポイントは以下の通りです。

身体面発疹、腫脹、隆起、創傷など
動作面歩行、立ち上がり、姿勢、関節の動きなど
環境面整理整頓、汚物の有無など

視診で得られた情報は、「前回との変化」「左右差」に注意をしましょう。

前回との変化を見ることによって、改善・悪化をアセスメントすることができます。

また、左右差をみることにより、正常の状態との比較や脳神経疾患の有無を知ることができます。

これら視診で得られた情報は、数値化しておくことが理想的です。

例えば、発疹があった場合は定規やメジャーで形を測ったり、歩行であれば連続どのくらい歩けるかなどです。

数値化することにより、前回との変化がわかりやすくなったり、違うスタッフが訪問するときの申し送りをスムーズにすることができます。

また、視診とは若干異なりますが、家族がいる場合は家族の表情や疲労感などもしっかりとみておく必要があります。

家族がいてこそこの生活が成り立っているという利用者もいるので、家族の観察も忘れずにするようにしましょう。

触診でみるべきポイント

触診でみるべきポイントは以下の通りです。

皮膚弾力、温かいか、冷たいか、浮腫の有無など
臓器位置、圧痛、左右差、便の有無・腹水の判別など

触診をする際は、以下の点に気をつけましょう。

触診時に気をつけるポイント
・手は冷たくないか
・爪は長くないか
・プライバシーに配慮できているか

私たちの手が冷たいと、相手に不快な思いをさせてしまうのはもちろん、筋緊張が亢進して正確な評価ができなくなる可能性があります。

冬場にはホッカイロを持参するなどして対策をすると良いでしょう。

爪が長いのは論外です。皮膚に傷をつけてしまう可能性があるので、訪問前には爪の長さをチェックしておきましょう。

最後にプライバシーへの配慮です。

触診は直接肌に触れることも多いため、肌をさらけ出すことになります。

「利用者だから」「老人だから」と思っている人は必ずどこかでクレームが起こります。

相手を尊重するような対応を行いましょう。

打診でみるべきポイント

フィジカルアセスメントにおいて、いきなり打診から始まることはほとんどありません。

問診や視診、触診により得られた情報から打診をする・しないを決定しましょう。

打診をすることにより、叩いた下にどのようなものがあるかを推察することができます。

例えば、腸は空気が入っているときは鼓音(ポコポコ)という音がなりますが、便の詰まりがあると濁音(詰まったような音)がします。

便が出ていない、お腹が痛い・張りがあるという利用者に対する評価の一助になります。

打診音の種類は以下の通りです。

音の種類音の特徴臓器
鼓音太鼓がなるような音胃・腸
濁音詰まったような音心臓・肝臓
共鳴音響くような音
過共鳴音共鳴音よりも響く音肺(肺気腫)
無共鳴音響がない音筋肉

打診をする際は、直接利用者の肌を叩くのではなく、自分の逆の指を間にかませて叩くようにしましょう。

中指でスナップを利かせながら叩くと効果的です。

聴診でみるべきポイント

聴診は、聴診器を用い、耳から得られる音によって状態を判別します。

聴診でわかることは以下の4点です。

聴診でわかること
・呼吸の状態
・心臓の状態
・腸の状態
・血流の状態

どの部位も共通して、「音の強弱」「左右差」は留意して判別するようにしましょう。

また、異常音と判断するには正常音を理解しておかなければなりません。

職場の人と聴診し合うのは良いトレーニングとなるでしょう。

肺の異常音を見分けるには、実際に多くの利用者と触れ合うしかありませんが、アプリを使って勉強をするという方法もあります。

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評価・分析(アセスメント)の方法

問診やフィジカルイグザミネーションで得られた情報から、どのような状態なのかを把握し、問題点などをアセスメントしましょう。

アセスメントは生理的・解剖学的な側面だけではなく、心理面や社会的状況、日常生活にどのような影響を及ぼしているのかまで踏まえるようにしましょう。

また、家族の状況などを踏まえて、どのようにすれば安心安全に在宅生活を継続できるかという点でアセスメントするのも、訪問看護ならではと言えるでしょう。

そのためには、しっかりと目標を設定しておくことも重要になります。

訪問看護計画書の目標記載例・文例集
訪問看護計画書「看護・リハビリテーションの目標」の記載例・文例集【コピペ可あり】

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アセスメントを上手にできるコツは、数多くの事例に触れることです。

この記事最後に30例以上の事例をまとめているので、ぜひ参考にしてください。

ケア・報告

アセスメントをしたことをケアに活かしてまでが、フィジカルアセスメントの流れになります。

加えて、特に訪問看護では、必要に応じて、必要な機関・人に報告するまでがセットと考えてよいでしょう。

なぜなら、訪問看護の重要な役割は急変の予測です。

自分だけがフィジカルアセスメントをしてその情報を知っていたとしても、その情報を共有しなければ急変時に対応できません。

チームで利用者を支えることが大目標になるので、スタッフ間はもちろん、主治医やケアマネといった関係機関には逐一報告をするようにしましょう。

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訪問看護におけるフィジカルアセスメント18事例まとめ

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フィジカルアセスメントの理屈は分かったけど、実際にどのようにしたら良いか分からない…。

フィジカルアセスメントの目的や順番は理解できたとしても、実際の利用者にどのようにしたら良いか分からないという人も多いのではないでしょうか。

そのような方のために、訪問看護でよく見られる事例をまとめました。

なんとたっぷり18事例!も紹介しているので、きっと悩んでいるシチュエーションにも出会えるはず。

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