訪問看護 無料ダウンロード

【訪問看護専用】災害時におけるアクションカードの作成方法まとめ

地震や津波といった災害は、まさに「いつ、どこで」起こるか予測がつきません。

特に、ご自宅で医療的なケアを必要とされる利用者さんを支える訪問看護ステーションにとって、万が一の災害発生時にどれだけ迅速かつ的確に対応できるかは、利用者さんの命と安全、そして安心して生活を続けていただく上で重要になります。

その点、会社・事業所として災害時におけるアクションカードを作成しておけば、いざという時にでもスタッフが迷わず、安全に行動をすることができるでしょう。

この記事では、訪問看護の現場で役立つ災害時のアクションカードをどう作成していくか、具体的な方法を解説してまいります。

記事の最後では、訪問看護専用のアクションカードをダウンロードすることもできるので、ぜひご活用してみてください。

あわせて読む
【訪問看護】BCP(災害用)マニュアルの作成方法と作成時の注意点【フォーマットダウンロード可】

続きを見る

あわせて読む
【2024年義務化】BCP(自然災害編)の研修内容を完全解説!【フォーマットあり】

続きを見る

訪問看護で使える書類300種類以上ダウンロードし放題

アクションカードとは

アクションカードとは、災害が起きたときに「いつ、誰が、何をすべきか」を、迷わず、そしてすぐに理解できるよう簡潔にまとめた、いわば緊急時の「行動の羅針盤」のようなものです。

緊急で混乱した状況でも、優先順位をつけながらスムーズに行動できるよう、具体的な指示が盛り込まれているのが最大の特徴と言えるでしょう。

なぜ、訪問看護にアクションカードが必要なのか

訪問看護という仕事の性質上、災害時には実に様々な状況が考えられます。

  • 訪問中に利用者さんと被災する可能性: 訪問中に災害に見舞われ、利用者さんと一緒に身の危険にさらされることがあります。この時、利用者さんの安全を確保するのが最優先ですが、医療機器の管理など、普段とは違う判断が求められる場面も出てきます。
  • 移動中に被災する可能性: 利用者さんのご自宅へ向かう途中や、訪問を終えて事業所へ戻る移動中に災害に遭遇することも考えられます。この場合は、まずご自身の安全を確保し、その後、どのように情報を集め、事業所と連絡を取り、安全な場所へ避難するかが課題となります。
  • 事務所で被災する可能性: 事務所にいる時に災害が起きた場合、スタッフ自身の安全はもちろんのこと、訪問に出ているスタッフの安否確認、利用者さんの状況把握、そして事業所としての機能を維持し、一刻も早い復旧を目指すための対応が求められます。

このように、訪問看護の現場では、通常の災害対策に加えて、利用者さんの医療的なニーズ、ご自宅という環境、そして移動中のリスクなど、訪問看護ならではの様々な考慮事項が存在します。

そのため、これらの状況を網羅し、迅速な判断を促すための「訪問看護専用」アクションカードを作成することが、何よりも大切なのです。

アクションカードを作るための基本原則

具体的な作成方法に移る前に、アクションカードを作成する際の基本原則を押さえておきましょう。

アクションカードを作るための基本原則は以下の通りです。

  • シンプルで具体的な表現: 緊急時に誰でもすぐに理解できるよう、専門用語は避け、具体的な行動を箇条書きで示しましょう。
  • あらゆる状況を網羅: 想定されるあらゆる状況(訪問先、移動中、事務所)と、それに伴うリスク(医療機器の停止、二次災害など)をできる限り網羅するようにします。
  • 優先順位を明確に: 「何を一番にすべきか」を明確にすることで、混乱を防ぎます。特に「ご自身の安全確保」は、どんな時も最優先であることを強く打ち出すことが大切です。
  • 携帯しやすい形に: いつでも持ち歩けるよう、コンパクトなサイズにし、水濡れにも対応できるよう工夫すると良いでしょう。
  • 定期的に内容を見直す: 法改正や地域の防災計画の変更、スタッフの入れ替わりなど、状況は常に変化します。それに合わせて、定期的にアクションカードの内容を見直す時間を設けましょう。

訪問看護専用アクションカードの作成方法

では、訪問看護専用のアクションカードにはどのようなことを書けば良いのか、具体的な作成方法についてお伝えします。

ステップ1:基本情報と、いざという時の心構えを書き出す

カードの冒頭には、緊急時における基本的な心構えと、指揮系統をはっきりさせて記載します。

  • タイトル: 「災害時アクションカード」のように、何に関するカードなのかが一目でわかるようにします。
  • リーダーシップの明示: 「管理者・主任の指示があるまで、あなたがリーダーです」という言葉は、初動の遅れを防ぎ、状況に応じて自律的に判断し行動するよう促す、非常に重要なメッセージとなります。  
  • 最優先事項: 「まずは落ち着いて、自身の安全確保を行いましょう」と明記することで、何よりもまずスタッフ自身の安全が第一であることを強調します 。ご自身の安全が確保されて初めて、他の方の支援や、次の行動へと移ることができます。

ステップ2:状況別に具体的な行動を立てる

次に、状況別に具体的な行動を示します。

訪問看護における状況とは、大きく「訪問先」「移動中」「事務所」に分けられると思うので、それぞれの状況にあわせた行動を示すと良いでしょう。

1. 訪問先で被災した場合の行動

利用者さんと共に被災する可能性が最も高い状況です。

利用者さんの安全を確保し、医療的なニーズにどう対応するかが主な焦点となります。

以下、訪問先で被災した場合の具体的な行動を示します。

  • 自身の安全確保: まずは何よりもご自身の身を守る行動を最優先してください。頭を保護し、丈夫な机の下などに身を隠すことが大切です 。  
  • 利用者さんおよび同居家族の安全確保: 利用者さんの状態(ご自身で避難できるか、医療機器を使っているかなど)に合わせて、安全な場所への移動を促します 。ご家族がいらっしゃる場合は、ご家族とも連携して安全確保に努めましょう 。  
  • 避難出口の確保: 揺れが収まったら、安全に避難できる経路を確保します。ドアや窓を開けて、避難経路が塞がれないように注意しましょう 。  
  • 電気を使う医療機器のバッテリー切り替え確認: 人工呼吸器や吸引器など、命に関わる医療機器を使っている利用者さんの場合は、すぐにバッテリー駆動に切り替えるか、予備電源があるかを確認します 。停電しても医療が中断しないよう、普段から利用者宅の電源状況や予備電源の有無を確認しておくことが大切です。  
  • 津波被害の可能性がある場合: 揺れが収まったら、すぐに上階や高台へ避難するよう促します 。地域のハザードマップを確認し、事前に避難場所を把握しておくことが重要です。  
  • 本震・余震に備えた利用者さんへの避難指示: 利用者さんの身体状況やご自宅の耐震性などを考慮し、避難所へ移動するよう指示するか、または自宅での避難(在宅避難)を選択するよう指示します 。
  • 在宅避難の場合の二次災害予防: ご自宅での避難を選択した場合でも、二次災害の予防策を徹底します 。
  • ガスの火を止める: 揺れを感じたら、まず火を消すことを徹底します 。  
  • 揺れがおさまったら、必ず「器具栓」・「ガス栓」・「メータガス栓」を閉める: ガス漏れによる火災を防ぐため、ガスの供給を遮断します 。  
  • 電気のブレーカーを落とす: 通電火災を防ぐため、ブレーカーを落とします 。  
  • 電気のコンセントを抜く: 家電製品が倒れたり、通電が再開した時に火花が出たりして火災が起きるのを防ぎます 。  
  • 懐中電灯などの明かりを確保: 停電に備えて、懐中電灯やランタンなどの照明器具をすぐに使える場所に用意しておきましょう 。  
  • 夏なら熱中症、冬なら低体温症予防のための環境整備: 災害時はライフラインが止まり、エアコンが使えない可能性があります。夏は水分補給と風通し、冬は防寒対策を徹底し、体調管理に努めます 。  
  • 電動ベッド・エアマットの調整: 停電によって電動ベッドやエアマットが使えなくなる可能性があります。手動での調整方法や、床ずれを防ぐための代替策(体位変換など)を確認しておきましょう 。  
  • スマホは「省電力モード」にして、バッテリー消費を軽減: 連絡手段を確保するため、スマートフォンのバッテリー消費を抑える工夫をします 。  

また、災害時には通信が断絶されることも想定されます。

通信が繋がる場合と繋がらない場合、両者を想定して記載しておくと良いでしょう。

◆通信が繋がる場合

  • ご自身の状況を報告: ご自身の安全と利用者さんの状況を、速やかに事業所へ報告します 。  
  • 次の指示に従う: 事業所からの指示に従って行動します 。  

◆通信が繋がらない場合

  • 二次災害の予防策を講じた上で、事務所または代替拠点へ移動: 安全を確保した上で、事業所が指定する避難場所や代替拠点へ移動を試みます 。  
  • 道路状況などで、事務所までの移動が難しい場合、避難所など安全な場所に一時避難: 無理に移動せず、地域の避難所や安全な場所で一時的に身の安全を確保します 。  

2. 移動中に被災した場合の行動

訪問看護は移動が多い業態でもあります。

特に単独で移動していることも多いため、これらを想定した行動を示すことも重要になります。

  • 自身の安全確保: 運転中の場合は、周囲の状況をよく確認し、安全な場所に車を停めます 。徒歩の場合は、上からの落下物などに注意し、安全な場所に身を寄せましょう 。  
  • 津波の可能性あり 高台に避難: 津波注意報や警報が出た場合、またはその可能性があると判断される場合は、すぐに車を置いて高台へ避難します 。  
  • スマホは「省電力モード」にして、バッテリー消費を軽減: 連絡手段を確保するため、バッテリーを温存します 。   

◆通信が繋がる場合

  • ご自身の状況を報告: ご自身の安否、今いる場所、周辺の状況などを事業所へ速やかに報告します 。  
  • 次の指示に従う: 事業所からの指示に従って行動します 。  

◆通信が繋がらない場合

  • 事務所または代替拠点へ移動: 安全に移動できる経路が確保できる場合、事業所または指定された代替拠点へ移動します 。  
  • 道路状況などで、事務所までの移動が難しい場合、避難所など安全な場所に一時避難: 無理な移動はせず、地域の避難所や安全な場所で一時的に身の安全を確保します 。

3. 事務所で被災した場合の行動

スタッフ自身の安全確保はもちろん、事業所としての機能を維持し、訪問中のスタッフや利用者さんへの対応が主な業務となります。

  • 自身の安全確保: まずは何よりもご自身の安全を確保しましょう 。  
  • 避難出口の確保: 揺れが収まったら、避難経路を確保します 。  
  • 津波被害の可能性がある場合: 周囲の状況を確認し、必要であれば上階や高台へ避難します 。  
  • 所長または代行者による代替拠点開設や避難の判断: 事業所としての指揮系統を確立し、必要に応じて代替拠点の開設や避難の指示を行います 。  
  • 避難しない場合の二次災害予防:
  • ガスの火を止める: 調理などで火を使っている場合は、すぐに火を消します 。  
  • 揺れがおさまったら、必ず「器具栓」・「ガス栓」・「メータガス栓」を閉める: ガス漏れによる火災を防ぎます 。  
  • 電気のブレーカーを落とす: 通電火災を防ぐため、ブレーカーを落とします 。  
  • 懐中電灯などの明かりを確保: 停電に備え、照明器具を準備します 。  
  • 電気のコンセントを抜く: 家電製品からの出火を防ぎます 。  
  • スタッフへの周知: 事務所にいるスタッフ全員に、状況と指示を伝えます 。  
  • 行政や関係機関への周知: 必要に応じて、地域の行政機関や関係機関(消防、警察など)に連絡し、状況を報告します 。  
  • スマホは「省電力モード」にして、バッテリー消費を軽減: 連絡手段を確保するため、バッテリーを温存します 。  
  • 行政や各種メディアからの情報集約: テレビ、ラジオ、インターネット、防災無線など、様々な情報源から正確な情報を集めます 。  
  • 訪問スタッフの安否および状況把握: 訪問中のスタッフ全員の安否を確認し、必要に応じて状況の報告を求めます 。  
  • 所長または代行者による対応レベルの判断: 被害の状況やスタッフの安否、利用者さんの状況などを総合的に判断し、事業所としてどのような対応レベルを取るかを決定します 。  
  • スタッフの状況や被害のレベル等を鑑みつつ、地震対応マニュアルに沿って、スタッフに情報提供および対応指示: 決定された対応レベルに基づき、地震対応マニュアルに沿って具体的な行動指示をスタッフに伝達します 。  

災害時の連絡手段、情報収集の方法

災害時は通信インフラが使えなくなる可能性があります。

以下が一般的にいわれている災害時の連絡手段や情報収集の方法です。

複数の連絡手段を確保し、どのように情報を伝達するかを事前に決めておくことが非常に重要です。

  • スマートフォンの活用: 主要な連絡手段となりますが、バッテリーの消費を抑えるため、省電力モードを徹底して使うようにしましょう。
  • 災害用伝言ダイヤル(171): 固定電話や携帯電話から利用できる伝言サービスです。ご家族や事業所との連絡手段として、使い方を周知徹底しておくべきです。
  • SNS(ソーシャルネットワーキングサービス): LINE、X(旧Twitter)、FacebookなどのSNSは、災害時にも情報収集や安否確認に役立つことがあります。ただし、デマ情報には十分注意が必要です。
  • 防災無線・ラジオ: 停電時でも情報を得られるよう、手回し充電式のラジオなどを用意しておくことも検討しましょう。
  • 集合場所・代替拠点の明確化: もし通信が途絶えてしまった場合に、スタッフ全員がどこに集まるのか、また事業所が機能しない場合の代替拠点を複数設定し、スタッフ全員に事前に周知しておくことが肝心です。

訪問看護におけるアクションカードの運用方法

アクションカードは、ただ作って終わりではありません。

実際に機能させるためには、以下の運用と定着に向けた取り組みが不可欠です。

  • スタッフ全員への周知と教育: 作成したアクションカードは、スタッフ全員に配布し、研修会などを通じて細部まで丁寧に説明を行いましょう。各項目に込められた意図や背景を共有することで、より深い理解を促すことができます。
  • 定期的な訓練(シミュレーション): 実際に災害が発生したと想定し、アクションカードに基づいた行動訓練を定期的に実施します。これにより、カードの有効性を検証し、改善点を見つけることができます。例えば、「今、地震が発生しました!」と突然指示を出し、各自がアクションカードを見てどのように行動するかを確認する抜き打ち訓練も効果的です。
  • 携帯の徹底: スタッフ全員が常にアクションカードを携帯できるよう、名札入れや訪問バッグに収まるサイズに調整して配布します。
  • 見直しと更新: 災害から得られた教訓や、地域の防災計画の変更、利用者さんの状況の変化、事業所の体制変更などに合わせて、定期的にアクションカードの内容を見直しましょう。最低でも年に一度は全体を確認し、必要に応じて更新することが望ましいです。
  • 利用者さんとの情報共有: 利用者さんにも災害時の対応について説明し、アクションカードの内容の一部(例えば、医療機器のバッテリー切り替え手順など)を共有しておくことで、いざという時の連携がスムーズになります。また、利用者さんの緊急連絡先や、避難経路、地域の避難場所などを事前に把握しておくことも非常に重要です。

【訪問看護専用】災害時におけるアクションカードのダウンロード

訪問看護専用アクションカード(Excel)→とあるコメディカル【premium】でダウンロード可

訪問看護で使える書類300種類以上ダウンロードし放題

まとめ

訪問看護における災害時アクションカードは、単なる紙切れではありません。

アクションカードは、非常時においてスタッフ一人ひとりが冷静かつ的確に判断し行動するための「羅針盤」であり、利用者さんの命と生活を守るための「命綱」とも言える、かけがえのないツールです。

この記事でご紹介した作成方法と運用ポイントを参考に、ぜひ貴事業所にぴったりの、そして本当に役立つ災害時アクションカードを作成して、日々の業務の中で活用していただけたらと思います!

-訪問看護, 無料ダウンロード

error: 記載例のコピペは「とあるコメディカル【premium】」へ!
AIで記載例作成&300種類以上の書類ダウンロードし放題!
とあるコメディカル【premium】の詳細はコチラ
とあるコメディカル【premium】の詳細はコチラ