この記事では、「訪問看護サマリー」の書き方を徹底解説していきます。
訪問看護に限らず、医療・介護職に就いている人は「サマリー」を記載する機会が多くあります。
しかし、サマリーは「文章を作成する」という特徴柄、
「どのように書けばいいか分からない」
「うまくまとまらなくて苦労している」
という人を多く見かけます。
私も長年、訪問看護ステーションで所長・エリア統括をしていたので、何十件にものぼるサマリーを書いてきました。
その経験をもとに、今回は「訪問看護サマリー」の書き方を徹底解説していきます。
イメージがしやすいように、記載例も多数紹介しています。
きっと日々の業務がスムーズになること間違いなしですので、ぜひ参考にしてください。

訪問看護サマリーとは

訪問看護サマリーとは、利用者の情報・状況が記載されている書類です。
訪問看護を利用していた利用者が、入院や施設に入所するときなどに記載して送付します。
訪問看護サマリーの様式
訪問看護サマリーに指定された様式はありません。
そのため、各訪問看護ステーションで独自の様式を使用しているかと思います。
もし、一定の様式がない訪問看護ステーションや、いま使用している様式に不満がある場合は、私がオススメする様式をご活用ください。
もちろん、ダウンロードは無料です。
訪問看護サマリーの記載内容

訪問看護サマリーの様式に指定はありませんが、最低限の記載すべき内容はあります。
①利用者氏名(性別・生年月日・年齢・住所・電話番号含む)
②介護者情報(主介護者・家族構成含む)
③主治医情報(医療機関名含む)
④介護保険情報(要介護度・居宅介護支援事業所・ケアマネジャー含む)
⑤疾患名・既往歴
⑥服薬中の薬
⑦ADL状況
⑧医療処置の有無
⑨病状・看護の経過(問題点や引き続き行って欲しいケアなど含む)
⑩その他(気をつけること、本人・家族が望んでいることなど)
上記の内容は必ず記載するようにしましょう。
訪問看護サマリーを記載するときのポイント

私がオススメする様式を使用すれば、重要なポイントを押さえて記載する事ができます。
しかし、「病状・看護の経過」など、どうしても文章を用いて記載しなければならない箇所があります。
この「文章で記載する部分」を苦手としている人が多いのではないでしょうか。
しかし、ポイントを押さえておけば決して難しいものではありません。
文章を記載するときのポイントは以下の3つです。
- 文章はできるだけ短くする
- 読み手が欲しい情報を考えて書く
- 内容が重複しないように注意する
文章はできるだけ短くする
「文章が短いと失礼」と思われがちですが、短ければ短いほど良いとされています。
もちろん、重要なポイントを押さえていることは大前提です。
重要な点を押さえて簡潔に書くことを意識しましょう。
読み手が欲しい情報を考えて記載する
重要な点を押さえて簡潔に書くポイントは、「読み手のことを意識する」ことです。
例えば、医療処置が多い場合、読み手が欲しい情報は「医療処置の内容・方法」です。
現在の医療処置が重要なのに、何十年前の既往歴を詳細に、そして何行にもわたって記載するのは望ましくありません。
この場合は、既往歴の項目に病名を書いておけば十分なのです。
重要ではない情報をダラダラと記載してしまうと、本当に伝えたい情報が伝えられません。
読み手が欲しいと思われる情報を中心に記載しましょう。
内容が重複しないように注意する
訪問看護サマリーには、看護師以外の人も記載する事が予想されます。
考えられるのが、理学療法士といったリハビリスタッフと協働して記載する事です。
「先に看護書いておくので、あとでリハも記載お願いします」
このようなことはあるあるではないでしょうか?
この場合、看護師が記載した部分と理学療法士などリハビリスタッフが記載した部分が重複してしまうのは望ましくありません。
例えば、看護師が「右片麻痺があり転倒が頻回」という旨を記載しているにも関わらず、リハビリスタッフが「右片麻痺、感覚障害、関節拘縮を認めバランス能力が低下しているため転倒が頻回」と記載するのは、重複している状態と考えます。
どちらかの文章に合わせるなり肉付けをするなどして、一文にまとめるよう工夫をしましょう。
これは一人で書いている時もあり得る事です。
そのため、最後に通しで読んでみて、重複がないことを確認する癖をつけるようにしましょう。
訪問看護サマリーの記載例

それでは、訪問看護サマリーの記載例を状態別でご紹介します。
あくまでも見本なので、それぞれの利用者に合わせてご活用するようお願いいたします。
救急要請にて入院をしたケース
病状・看護の経過など |
○月○日より状態観察・膀胱留置カテーテル処置対応目的で訪問看護介入開始している。 時折血尿を認め、その都度飲水を促して対応。パック内血尿認めるが管内スケール0~1程度で経過。浮遊物は多く、適宜ミルキング対応していた。 ○月○日訪問時、朝から動けなくなったと訴えあり。昼食後、徐々に動作改善して訪問時の身体機能・バイタルサイン著変なし。往診医に確認して経過観察となる。 翌日、腰背部痛により体動困難と事務所コールあり緊急訪問。朝から痛み強く頓服の痛み止め内服するも軽減認めず。NRS7~8。転倒はしていない。飲水量少なく尿量低下している事もあり、往診医指示にて救急要請、入院の運びとなる。 |
加療目的で入院をしたケース
病状・看護の経過など |
アルツハイマー型認知症(直近HDS-R 10点)、糖尿病の内服加療中。状態管理・内服管理目的で訪問看護介入。 ○月○日の訪問時、左咽頭部に膿栓あり。往診医より膿瘍疑いとの診断、抗生剤内服開始。また、近所の耳鼻科で排膿するも改善には至らず。往診医より精査勧められ、○月○日に〇〇病院受診。精査の結果、悪性リンパ腫と診断。加療目的で貴院へ入院となる。 |
精神疾患により入院が必要になったケース
病状・看護の経過など |
○月○日より精神科訪問看護介入。過去に数回の自殺企図あり(最終○月○日)。 症状が落ち着いている時は単独で外出したり積極的に家事も行っているが、息子様と喧嘩などを契機に自殺企図となる。契機はほとんど息子様関係である。 ○月○日○時○分、息子様より自殺企図をしたと緊急連絡あり。電話にて、息子様と喧嘩をした際に左手首をカッターで切ったこと、意識はあるが出血多量であることを聴取。かかりつけの医師より、自殺企図の際は遠隔で救急要請するよう指示を受けていたため弊社より救急要請、入院の運びとなる。 |

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