訪問看護 フィジカルアセスメント

「皮膚が赤くなってる!」褥瘡がある利用者のフィジカルアセスメント

2022年9月19日

”訪問看護における”フィジカルアセスメントの事例集。

今回、想定するシチュエーションは、褥瘡(床ずれ)がある利用者に対するフィジカルアセスメントです。

今回想定するシチュエーション

「皮膚が赤くなってる…」
褥瘡がある利用者に対するフィジカルアセスメント

高齢者になると皮膚の脆弱化、離床時間の減少などで皮膚トラブルを生じる可能性が高くなります。

中でも褥瘡は感染症のリスクも高く、できるだけ未然に防ぐ事が求められます。

この記事では、褥瘡がある利用者に対するアセスメントの方法をお伝えするとともに、報告のポイントまでご紹介してまいります。

このような事例をもっと知りたい!という方は、記事の最後18事例をまとめたリンクを記載しておくので、ぜひ日々の業務にご活用ください。

褥瘡(床ずれ)がある利用者に対するアセスメントのポイント

褥瘡がある利用者に対するアセスメントのポイントは、以下が考えられます。

アセスメントのポイント
・褥瘡の場所から考えられる発生原因
・目標設定(創部治癒か現状維持か)
・感染症の有無
・すぐに医師に報告するのが望ましいか(緊急性の有無)

褥瘡はもちろん完全治癒をする事が望ましいですが、利用者の状態によっては現状維持ができていれば良いと判断することもあります。

また、状態によっては治癒が長期にわたる事があるので、利用者の思いや家族の協力度など、生活を総合的に見て介入する事が望まれます。

褥瘡(床ずれ)がある利用者に対するフィジカルアセスメントの方法

フィジカルアセスメントは、基本形(問診(主観的評価)→フィジカルイグザミネーション(客観的評価)→アセスメント(評価分析)→ケア・報告)に則って進めてまいります。

トコル
トコル

そもそもフィジカルアセスメントって何?どうやって進めていくの?と悩んでいる人は、まずはコチラの記事(訪問看護における"フィジカルアセスメントの目的と順番)を見てみよう!

"訪問看護における"フィジカルアセスメントの目的と順番【事例まとめ 】

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問診(主観的評価)

まずは問診をしていきましょう。

聞くべき内容は、以下が考えられます。

  • 痛みはあるか
    (→痛みに気づいているか、感覚の有無など)
  • どのくらい痛いのか
    (→*VASなどで数値化をする)
  • 転倒をしたか
  • どのような生活をしていたか
    (→ずっと寝たきりでいた、ずっと座っていたなど)
  • 痛み以外の症状はあるか
    (→倦怠感、呼吸苦など)
  • 日常生活の様子
    (→食事は取れているか、トイレに行けているかなど)

*VASとは

VAS(Visual Analogue Scale):視覚的アナログスケール

10㎝の直線を引き、0㎝が全く痛みがない場合、10㎝が今まで経験した中で最も激しい痛みとして、現在の痛みを直線上にプロットさせる方法。

痛みの強さは0からの距離を測って評価する。

 

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褥瘡は、問診によりある程度の発生要因を推察できる事があります。

予防対策のため、発生原因はしっかりと把握しておく必要があります。

褥瘡の発生要因は、「局所的」「全身的」「社会的」に分けて考えるとわかりやすいです。

局所的同一部位の持続的圧迫、摩擦など
全身的低栄養、疾患によるもの(糖尿病、心不全など)、薬剤によるもの(抗がん剤、ステロイドなど)
社会的介護力不足、環境設定など

褥瘡の発生には基礎疾患や全身状態も深く関わってきます。

例えば、糖尿病や下肢の血行障害(閉塞性動脈硬化症など)があると、創部は治りにくく難治性となります。

また、糖尿病や脳血管疾患を有する利用者は神経障害も合併しやすいため、褥瘡に気づいていない人もいます。

やはり、問診だけを信じるのではなく、私たちの目で確認していく事が重要になるでしょう。

ただし、痛みが強い場合、長引く問診は負担になってしまいます。

状況に合わせて、必要最低限の問診にすることが望ましいでしょう。

本人から聞けない情報は、家族から聴取するようにしましょう。

フィジカルイグザミネーション(客観的評価)

問診の精度にかかわらず、フィジカルイグザミネーション(客観的評価)を行うことが重要です。

その際、共通して以下の点に留意をして評価していきましょう。

客観的評価をする時に気をつけること
・前回訪問時との変化
・左右差の有無
・できるだけ数値化をする

バイタルサイン・意識レベル

特に気をつけなければならないのは、褥瘡からの感染による敗血性ショックです。

ショック徴候があれば、生命に直結する緊急度が高い状態であると判断できます。

すぐに医師に連絡、もしくは救急要請を選択肢に入れましょう。

ショック徴候(ショックの5P)

1.皮膚・顔面蒼白(Pallor)
2.発汗・冷汗(Perspiration)
3.虚脱(Prostration)
4.脈拍微弱・触知不能(Pulselessness)
5.呼吸不全(Pulmonary insufficiency)

そのため、バイタルサインを測定して緊急度の高さを推察することが重要になります。

バイタルサインの正常値・基準値

血圧

収縮期血圧:〜120mmHg

拡張期血圧:〜80mmHg

脈拍

50~80回/分

体温

36.0度~36.9度

呼吸数

12~20回/分

 

意識レベルに変化がないかもあわせて評価しましょう。

意識レベルは「Japan coma scale(JCS)」「Glasgow coma scale(GCS)」といった標準化されたもので評価します。

Japan coma scale(JCS)の内容

Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態(1桁で表現)

delirium、confusion、senselessness

1.だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない

2.見当識障害がある

3.自分の名前・生年月日が言えない

Ⅱ.刺激により覚醒、刺激をやめると眠り込む状態(2桁で表現)

stupor、lethargy、hypersomnia、somnolence、drowsiness

10.普通の呼びかけで容易に開眼する.

20.大きな声または体を揺さぶることにより開眼する.簡単な命令に応ずる.

30.痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する

Ⅲ.刺激をしても覚醒しない状態(3桁で表現)

deep coma、coma、semicoma

100.痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする

200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる

300.痛み刺激に反応しない

覚醒状態により3群に分類、次に各群を各種刺激に対する反応で3段階に分類、全体で9段階に分類されています。

不穏状態があればR(restlessness)、失禁があればI(incontinence)、無動性無言があればA(akinetic mutism、apallic state)をそれぞれ数字の後につけます(100-I、20-RIなど)。

 

Glasgow coma scale(GCS)の内容

観察項目

反応

スコア

開眼 eye opening

自発的に開眼 spontaneous

4

音声により開眼 to speech

3

疼痛により開眼 to pain

2

開眼しない nil

1

最良言語反応 verbal response

見当識あり orientated

5

錯乱状態、会話混乱 confused conversation

4

不適当な言葉、言語混乱 inappropriate words

3

理解不能な声 incomprehensible sounds

2

発語しない nil

1

最良運動反応 motor response

命令に従う obeys

6

疼痛部認識可能 localises

5

四肢の逃避反応 flexes withdraws

4

四肢の異常屈曲反応 abnormal flexion

3

四肢の伸展反応 extends

2

全く動かない nil

1

言語や疼痛刺激に対する開眼反応・言語反応・運動反応の3項目について、その反応性をスコアの合計(E+V+M)により評価をします(15点満点、最低3点)。

 

視診

まず、どこに褥瘡があるのかを確認しましょう。

一般的に、骨が出っ張っている部位が発生しやすいと言われています(好発部位)。

好発部位は、普段とっている姿勢によっても異なります。

背臥位仙骨、踵骨、後頭部、肩甲骨、肘関節
側臥位大転子、足関節外踝、膝関節外側、側胸部、肩峰、耳介
車椅子座位殿部、尾骨、背部(肩甲骨)、肘関節
姿勢による好発部位

褥瘡部位を確認できたら、大きさや深さを評価します。

褥瘡の評価には、「NPUAP分類」「DESIGN-R®️2020」が広く用いられています。

褥瘡は経過を追っていく事が重要になるので、点数化して定期的に評価していく事が求められます。

NPUAP分類の内容
ステージⅠ消退しない発赤
ステージⅡ部分欠損または水疱
ステージⅢ全層組織損傷(脂肪層の露出)
ステージⅣ全層組織欠損
判定不能皮膚または組織の全層欠損・深さ判定不能

DESIGN-R®️2020の内容
Depth:深さ
d0皮膚損傷・発赤なしD3皮下組織までの損傷
1持続する発赤4皮下組織を超える損傷
2真皮までの損傷5関節腔、体腔に至る損傷
 DTI深部損傷静脈(DTI)疑い
U壊死組織で覆われ、深さの判定が不能
 
Exudate:滲出液
e0なしE6多量:1日2回以上のドレッシング交換を要する
1少量:毎日のドレッシング交換をしない
3中等量:1日1回ドレッシング交換を要する
 
Size:大きさ(直径×短径)
s0皮膚損傷なしS15100以上
34未満
64以上 16未満
816以上 36未満
936以上 64未満
1264以上 100未満
 
Inflammation/Infection:炎症/感染
i0局所の炎症徴候なしI3C臨界的定着疑い
1局所の炎症徴候あり3局所の明らかな感染徴候あり
 9全身的影響あり
 
Granulation:肉芽組織
g0創が治癒した場合、創の浅い場合、深部損傷褥瘡(DTI)疑いの場合G4良性肉芽が創面の10%以上50%未満を占める
1良性肉芽が創面の90%以上を占める5良性肉芽が創面の10%未満を占める
3良性肉芽が創面の50%以上90%未満を占める6良性肉芽がまったく形成されていない
 
Necrotic tissue:壊死組織
n0壊死組織なしN3柔らかい壊死組織あり
6硬く厚い密着した壊死組織あり
 
Pocket:ポケット(直径×短径)から潰瘍の大きさを差し引いたもの
p0ポケットなしP64未満
94以上16未満
1216以上36未満
2436以上

この際、感染の4徴候があるかどうかも評価しておきましょう。

感染の4徴候
・発赤
・腫脹
・熱感
・疼痛

発赤に加えて腫脹など、もう一つの感染徴候が確認されれば創感染と判断する事ができます。

また、創部から膿が出ていて悪臭がしていれば、創感染と判断して良いでしょう。

壊死組織がみられた場合は、色(白か黒か)をみます。

黒色だった場合(黒色壊死組織=表皮〜真皮層が死んで乾燥した状態)、その周囲に感染の4徴候がみられたら緊急度が高いと判断します。

一方、白色壊死組織の場合は、皮下組織が死んだものが主体となるため、全身状態が安定していれば感染の可能性は低いと考えます。

褥瘡の状態以外にも、創部周囲は清潔が保たれているかなどにも注意して視診する事が重要になります。

触診

触診では、主に感染の4徴候である「熱感」をみます。

検査者の手背で熱感を評価しましょう。

現場では、「一時的な発赤なのか」「初期の褥瘡なのか」に迷う事があります。

その点、赤みがある部分を触診すると判断できる事があります。

一時的な発赤の場合指で押すと白くなり、離すと赤みが戻る
初期の褥瘡の場合指で押しても白くならない
または赤みに戻るスピードが早い

初期の褥瘡がみられている場合は、すでにⅠ度の褥瘡になっていると考えられます。

どちらにしろ、その状態を放置しておくと褥瘡への移行・進行する可能性が高いため、予防対策が必要であるのは言うまでもありません。

褥瘡のリスクを予測するスケールとしては、「OHスケール」が広く用いられています。

OHスケールの内容
自力体位変換できる0点
どちらでもない1.5点
できない3点
病的骨突出(仙骨)なし0点
軽度・中等度1.5点
高度3点
浮腫なし0点
あり3点
関節拘縮なし0点
あり1点

OHスコアの合計点により、今後どのくらいの確率で褥瘡が発生するかを推察する事ができます。

点数危険レベル褥瘡発生確率平均治癒期間
1〜3点軽度約25%以下40日
4〜6点中等度約26〜65%57日
7〜10点高度約66%以上173日

打診・聴診

基本的に、褥瘡そのものに対して打診・聴診で評価することはありません。

付随する症状(呼吸苦、腹痛、胸痛など)を認める場合は、それらの状態を評価しましょう。

「ちょっと苦しい…」呼吸苦を訴える利用者のフィジカルアセスメント

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「お腹が痛い…」腹痛を訴える利用者のフィジカルアセスメント【訪問看護】

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「うっ……胸が痛い…」胸痛を訴える利用者のフィジカルアセスメント

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褥瘡がある利用者に対する訪問看護計画書・訪問看護報告書の記載例

褥瘡がある利用者に対する訪問看護計画書・訪問看護報告書の記載例は、以下にまとめているのでぜひ参考にしてください。

計画書
皮膚トラブル・訪問看護計画書記載例・文例集
【皮膚トラブル・褥瘡】訪問看護計画書の記載例・文例集【コピペ可あり】

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報告書
訪問看護報告書の記載例・皮膚トラブル
【皮膚トラブル・褥瘡】訪問看護報告書の記載例・文例集【コピペ可あり】

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報告の方法・ポイント

一般的に、普段と違うことが起こったらケアマネジャー・主治医に報告します。

ケアマネジャーには、どのような些細なことであれ報告をしておくと後のトラブル回避に繋がります。

主治医にも報告をすることが望ましいですが、往診かその他か、または訪問看護との関係性によっても変わってくるかと思います。

もちろん、緊急度が高いと判断した場合は、その場で報告をして指示を仰ぐ事が求められます。

褥瘡における緊急度が高い(入院加療が必要)と判断する基準は以下の通りです。

  • 感染徴候を認めた場合
  • 外科的治療の適応があると判断した場合
  • 基礎疾患のコントロールが不良で、全身状態が低下している場合
  • 家族の協力が得られないと判断した場合

もし、緊急性が低いと判断した場合は、FAXで報告するのも良いでしょう。

報告の一例は以下の通りです(緊急性が高い状態で、訪問中に指示をいただいたと仮定をします)。

  • 本日の訪問の様子
    (→例:本日訪問時、右殿部に3cm×2cmの発赤を認めました。)
  • 評価した結果
    (→例:若干、創部に痛み(NRS1)がありますが、腫脹・熱感はなく感染症の症状は認めません。バイタルサインは-------で正常です。昨日、家族と出かけて連続6時間車椅子座位をとっていたとのことから、圧迫による局所性の褥瘡かと思われます。)
  • その後の対応
    (→例:立ち上がりができる事、ベッド上では寝返りができることから経過観察としています。発赤が悪化するようなら、弊社の緊急連絡先に電話をするようお伝えしております。)

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訪問看護におけるフィジカルアセスメント18事例まとめ

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今回ご紹介した事例以外にも、当サイトでは訪問看護におけるフィジカルアセスメントを18事例掲載しています。

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