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フィジカルアセスメント 訪問看護

「昨日転んじゃってね…」転倒した利用者に対するフィジカルアセスメント

2022年9月10日

”訪問看護における”フィジカルアセスメントの事例集。

今回、想定するシチュエーションは「昨日転んじゃってね…」と教えてくれた利用者に対するフィジカルアセスメントです。

今回想定するシチュエーション

「昨日転んじゃってね…」と教えてくれた(転倒したと教えてくれた)利用者に対するフィジカルアセスメント

転んだことを訪問時に教えてくれることは、訪問看護にあるあると言っても良いでしょう。

転倒は、「なぜ転んでしまったのか」を分析し、今後予測されるリスクをフィードバックしてあげることが重要になります。

また、今後の転倒防止対策まで講じられると理想的です。

この記事では、転倒した利用者に対するアセスメントの方法をお伝えするとともに、報告のポイントまでご紹介してまいります。

このような事例をもっと知りたい!という方は、記事の最後に12事例をまとめたリンクを記載しておくので、ぜひ日々の業務にご活用ください。

転倒した利用者に対するアセスメントのポイント

転倒した利用者に対するアセスメントのポイントは、以下が考えられます。

アセスメントのポイント
・転倒した状況を誰か見ていたか
・転倒した直後はどのような状態だったのか
・なぜ転倒をしてしまったのか
・今現在、どのような状態なのか
・今後どのようなことが考えられるか

このポイントを頭に入れながら、フィジカルアセスメントをしていきましょう。

転倒した利用者に対するフィジカルアセスメントの方法

フィジカルアセスメントは、基本形(問診(主観的評価)→フィジカルイグザミネーション(客観的評価)→アセスメント(評価分析)→ケア・報告)に則って進めてまいります。

トコル
トコル

そもそもフィジカルアセスメントって何?どうやって進めていくの?と悩んでいる人は、まずはコチラの記事(訪問看護における"フィジカルアセスメントの目的と順番)を見てみよう!

"訪問看護における"フィジカルアセスメントの目的と順番【事例まとめ 】

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問診(主観的評価)

まずは問診をしていきましょう。

聞くべき内容は、以下が考えられます。

  • どのような状況で転倒をしたか
  • どこか打った場所はあるか
  • なぜ転倒をしたか思い当たる節があるか
  • 出血はしたか・続いているか
  • 痛みは残っているか
  • 動かしにくくなったところはあるか
  • できなくなった動作はあるか
  • めまいや嘔吐はしたか
  • 会話がしにくい感じがあったか

本人から聴取できない場合は、家族に聴取しましょう。

本人の訴えが曖昧、かつ家族がいない場合はフィジカルイグザミネーション(客観的評価)をもとに判断していきましょう。

フィジカルイグザミネーション(客観的評価)

問診の精度にかかわらず、フィジカルイグザミネーション(客観的評価)を行うことが重要です。

その際、共通して以下の点に留意をして評価していきましょう。

客観的評価をする時に気をつけること
・前回訪問時との変化
・左右差の有無
・できるだけ数値化をする

バイタルサイン・意識レベル

転倒により頭部を打った場合、急性硬膜下血腫などの影響で意識レベルが低下することがあります。

意識レベルは「Japan coma scale(JCS)」「Glasgow coma scale(GCS)」といった標準化されたもので評価しましょう。

Japan coma scale(JCS)の内容

Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態(1桁で表現)

delirium、confusion、senselessness

 

1.だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない

2.見当識障害がある

3.自分の名前・生年月日が言えない

Ⅱ.刺激により覚醒、刺激をやめると眠り込む状態(2桁で表現)

stupor、lethargy、hypersomnia、somnolence、drowsiness

10.普通の呼びかけで容易に開眼する.

20.大きな声または体を揺さぶることにより開眼する.簡単な命令に応ずる.

30.痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する

Ⅲ.刺激をしても覚醒しない状態(3桁で表現)

deep coma、coma、semicoma

100.痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする

200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる

300.痛み刺激に反応しない

覚醒状態により3群に分類、次に各群を各種刺激に対する反応で3段階に分類、全体で9段階に分類されています。

不穏状態があればR(restlessness)、失禁があればI(incontinence)、無動性無言があればA(akinetic mutism、apallic state)をそれぞれ数字の後につけます(100-I、20-RIなど)。

 

Glasgow coma scale(GCS)の内容

観察項目

反応

スコア

開眼 eye opening

自発的に開眼 spontaneous

4

音声により開眼 to speech

3

疼痛により開眼 to pain

2

開眼しない nil

1

最良言語反応 verbal response

見当識あり orientated

5

錯乱状態、会話混乱 confused conversation

4

不適当な言葉、言語混乱 inappropriate words

3

理解不能な声 incomprehensible sounds

2

発語しない nil

1

最良運動反応 motor response

命令に従う obeys

6

疼痛部認識可能 localises

5

四肢の逃避反応 flexes withdraws

4

四肢の異常屈曲反応 abnormal flexion

3

四肢の伸展反応 extends

2

全く動かない nil

1

言語や疼痛刺激に対する開眼反応・言語反応・運動反応の3項目について、その反応性をスコアの合計(E+V+M)により評価をします(15点満点、最低3点)。

 

視診

視診では、皮膚に創傷や皮下出血、発赤や腫脹などがないかをみましょう。

特に頭部は注意をして観察しましょう。

頭部に創傷や出血があった場合は、頭部を打った可能性が高いので、脳神経症状をチェックする必要が出てきます。

また、創傷の場所を見ることによって、転倒した状況を推察することもできます。

例:右肘に創傷と左手首に腫脹がある→右肘を打って転んだ際に左手をついたのではないかなど

触診

まずは、転んだ際に打ったと思われる場所を中心に触診します。

圧迫や関節を動かした時に痛みがある場合は、打撲や最悪の場合は骨折を疑うべきです。

痛みはVASなどを利用して、数値化しておくと継時的変化を追いやすくなります。

VASとは

VAS(Visual Analogue Scale):視覚的アナログスケール

10㎝の直線を引き、0㎝が全く痛みがない場合、10㎝が今まで経験した中で最も激しい痛みとして、現在の痛みを直線上にプロットさせる方法。

痛みの強さは0からの距離を測って評価する。

 

関節を動かすときは、こちらが動かすだけではなく、自分で動かせるかどうかもみるようにしましょう。

炎症の程度を把握するためにも熱感を評価しておくことも重要になります。

また、感覚の左右差を評価しておくことも重要です。

脊髄系の損傷が起こっていれば、痺れや感覚障害を伴うことがあります。

左右同じ場所を同じ強さで触り、左右差があるかどうかを確認しましょう。

打診

転倒した利用者に対する打診は、骨折の判定に用いられることが多いです。

例えば転倒により尻もちをついた場合、背骨を叩いた時に「ピキーッ」と痛みが走ったら脊椎関連の骨折が疑われます。

もちろん、痛みは利用者にとって負担が強いので、最小限の検査に留めておくべきでしょう。

聴診

もし、胸を打った場合や呼吸がしにくくなったとの訴えがあった場合は呼吸音を聴診する必要があります。

空気の入りはどうなのか、左右差はあるのか、雑音はあるのか、転倒前の呼吸音と違うかなどをみましょう。

四肢の動き

頭部を打った場合は、四肢に麻痺が生じる可能性があります。

一目でわかるくらいに動きが悪ければ判定に迷うことはありませんが、私たちが見逃してはいけないのは「軽微な麻痺」です。

軽微な麻痺は、バレー徴候を用いて判断すると良いでしょう。

バレー徴候(上肢)の方法

立位または座位で両上肢を手掌面を上に向けたまま肩関節90度前方挙上位に保持しておくように指示をします。

この時、麻痺側の上肢は下降しながら回内してきます。

 

バレー徴候(下肢)の方法

腹臥位において両側の膝関節を45度屈曲位に保持しておくように指示をします。

この時、麻痺の下肢は落下してきます。

 

会話の明瞭度

四肢の動きと同様、頭部を打った可能性がある場合は、会話の明瞭度が低下することがあります(構音障害)。

いつもと比べて会話がしにくくないか、喋りにくそうではないかをチェックしましょう。

また、顔面麻痺を伴う場合は、流涎や口角の左右差を生じることがあります。

口を大きく開けてもらったり、口角を上げてもらうなどをして、左右差の有無をチェックしましょう。

加えて、会話の内容にも注意が必要です。

話の辻褄が合わない、いっていることがおかしい場合は、何かしら脳に影響が出ているのではないかと推察できます。

日常生活動作・歩行

最も簡易的かつ重要なのが、いつも行っている動作をしてもらうことです。

転倒を機にできない動作が出てきたとすれば、何かしら影響が生じていることが推察されます。

一見、問題がなさそうに見える利用者には、その利用者にとって最も難易度が高い動作を評価するのが良いでしょう。

例えば、普段はベッドで過ごしているものの、何とか伝い歩きでトイレに行ける利用者であれば、歩行状態を確認します。

いつもよりふらつきが強い、伝い歩きができなくなっているのであれば、フィジカルイグザミネーションを行い原因を探っていきましょう。

問題なく歩行ができている利用者に対しては、バランス能力を評価すると良いでしょう。

片足立ちの時間やタンデム肢位(両足を前後に配置し一方の踵部と他方の足尖とを接触させた姿勢)の時間を測定します。

タンデム肢位

しかし、元々出来ない可能性があるのと、そもそも転倒前の時間を知らなければ比較ができないため、定期的に評価をしておく必要があります。

報告の方法・ポイント

一般的に、普段と違うことが起こったらケアマネジャー・主治医に報告します。

ケアマネジャーには、どのような些細なことであれ報告をしておくと後のトラブル回避に繋がります。

主治医にも報告をすることが望ましいですが、往診かその他か、または訪問看護との関係性によっても変わってくるかと思います。

基本的に、往診であれば些細なことでも報告した方が良いでしょう。

その他の医療機関(病院など)は、「そんなことでいちいち電話してくるな!」と言われてしまうかもしれません。

緊急度・重要度に合わせて判断しましょう。

電話するほどではないかな…という場合は、FAXで報告するのも一つです。

報告の際は、以下の点を踏まえると良いでしょう。

  • 転倒したという事実(→例:本日訪問時、利用者様より昨夜転倒したとお伺いしました)
  • 問診から得た情報(→例:夜間、トイレに行くときに転倒したそうです)
  • フィジカルイグザミネーションから得た情報(→例:評価をしたところ、普段とお変わりないことを確認しました)

また、主介護者(キーパーソン)にも評価した内容を報告をしてあげると親切です。

  • 本日の状況(→例:昨夜転倒したとお伺いしましたが、本日みさせていただいた限りですと普段とお変わりはないようです)
  • 今後の対応(→例:1ヶ月後に症状が出現することがあります。私たちも気をつけていきますが、何か変化がありましたら教えてください)
  • 情報共有(→例:今回のご様子はケアマネジャー、主治医にご報告させていただいております)

トコル
トコル

今回のようなケースでは、書面を渡してあげると親切かもしれません!(参考記事:【訪問看護用】「頭部外傷後の注意点」のご案内【利用者配布用資料】

【訪問看護用】「頭部外傷後の注意点」のご案内【利用者配布用資料】

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訪問看護におけるフィジカルアセスメント12事例まとめ

今回ご紹介した事例以外にも、当サイトでは訪問看護におけるフィジカルアセスメントを12事例掲載しています。

どれも訪問看護ではあるあるの事例なので、ぜひ日々の業務にご活用ください!

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追加事例集
・「なんかダルいんだよな…」倦怠感を訴える利用者のフィジカルアセスメント
・「あれ?動きが悪い…」身体機能が低下した利用者のフィジカルアセスメント
・「手がかじかむわね…」手指の冷感がある利用者のフィジカルアセスメント
・「おしっこ出てない…」排尿がない利用者のフィジカルアセスメント
・「ウンチが出ない…」排便がない利用者のフィジカルアセスメント
・「血糖値が低い…!」低血糖の利用者に対するフィジカルアセスメント

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