「明日から使える!訪問看護報告書の記載例・文例集」シリーズ。
今回は、「脳血管疾患」の利用者に対する訪問看護報告書の記載例のご紹介です。
我が国における脳血管疾患の患者数は毎年100万人を超えており、訪問看護を利用している人も多くいます。
脳血管疾患は後遺症が残存しやすいという特徴があるため、「障害を抱えながらもその人らしく在宅生活を送れているか」という視点を取り入れた報告書を作成すると良いでしょう。
メモ
*「(別添)理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護の詳細」の記載例はコチラ→(訪問看護報告書「別添」の書き方を完全解説【記載例多数】)
本記事で書いてあるリハビリの報告部分(リハビリ職も使える)は、別添の「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行った訪問看護、家族等への指導、リスク管理等の内容」項目部分に転用可能です。
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今回ご紹介する記載例は、訪問看護報告書の「病状の経過」「看護の内容」部分です。
トコル
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新人看護師
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脳血管疾患の訪問看護報告書の記載例・文例集
それでは、脳血管疾患の訪問看護報告書の記載例・文例集をご紹介します。
体調変化をきたす可能性がある利用者の記載例
病状の経過 モニタリングにも使える | KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 脳梗塞後遺症により、左片麻痺を呈しているが屋内歩行は伝い歩きにて自立、屋外歩行はT字杖を使用して自立している。ADLも概ね自立しているが、階段昇降、入浴時の浴槽またぎでふらつきを要するため、ご家族様の見守りのもと行なっている。内服薬は飲み忘れなく服用できているが、朝方収縮期血圧150台示すことあり。今月受診の際、自覚症状がないことから内服変更なく経過観察となる。今後もバイタル留意しながら体調変化なく在宅生活が送れるよう介入継続していく。 |
看護の内容 | バイタルサイン、全身状態の観察、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、ADL状況の確認、血液検査データの確認 |
内服飲めていないことから再発の恐れある利用者の記載例
病状の経過 モニタリングにも使える | KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 過去に脳出血の既往があるも、内服の飲み忘れが多い。今月は、10日分飲み忘れあり。脳神経症状の悪化は認めないが、収縮期血圧130~170台と変動あり。内服カレンダーを使用しているが、本人の内服に対する意識の低さから定期的な内服には繋がっていない。今月の受診時に上記状況を医師に伝達したところ、内服が一方化となる。訪問看護介入時に内服セット、内服促しを行い飲み忘れの頻度を減らせるよう、介入継続していく。 参考「なんかぼんやりしてる…?」意識レベルが低い利用者のフィジカルアセスメント |
看護の内容 | バイタルサイン、全身状態の観察、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、ADL状況の確認、血液検査データの確認 |
ふらつきあることから転倒のリスクが高い利用者の記載例
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 脳梗塞後遺症により右片麻痺を呈していることから、歩行時にふらつきがあり転倒リスクが高い状態。今月は転倒なし。皮膚の外傷なく経過していることを確認。内服は飲み忘れなく飲めており、バイタルも安定している。看護訪問時にリハビリスタッフに処方された自主トレーニングを一緒に行っているが、大変意欲的で効果的に出来ていると評価している。引き続き、リハビリスタッフと情報共有しながら転倒なく在宅生活が送れるよう支援継続していく。 【リハビリ】 右片麻痺ありバランス能力が低下しているため、歩行時に見守りを要する。屋内であれば手すりを使用して歩行可能だが、屋外はT字杖を使用して軽介助が必要である。また、易疲労性により最大歩行距離は50mほどで頻回な休憩を要すことから、受診など外出時は奥様介助のもと車椅子移動をしている。リハビリでは関節可動域練習、筋力トレーニング、屋内外歩行練習を中心に行い、転倒なく生活ができるよう支援継続していく。 参考「昨日転んじゃってね…」転倒した利用者に対するフィジカルアセスメント |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、ADL状況の確認、自主トレーニングの確認、リハビリスタッフとの情報共有 |
トコル
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ADLに介助が必要な利用者の記載例
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 脳梗塞後遺症により左片麻痺、左上下肢の関節拘縮を呈していることから、ADL全般に介助を要す。着替え、トイレ動作時の介助量が大きく、夜間はオムツ対応をしているが皮膚トラブルなく経過している。今月は日中の失禁なし。内服は奥様介助のもと飲み忘れなし。バイタル安定、体調の変化なく経過している。 【リハビリ】 重度左片麻痺、左上下肢の拘縮を認め歩行は不可である。トイレ動作は、車椅子を使用してトイレまで移動、立位保持は手すりを使用して可能だが下衣の着脱は介助を要する。奥様よりトイレ介助が一番大変とのことで、リハビリでは関節可動域練習、筋力トレーニング、移乗練習、立位保持練習、トイレ動作練習を中心に行なっている。徐々に立位保持の能力が向上しておりふらつきが軽減していることから、安定してトイレ動作介助ができるようになっている。 |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、ADL状況の確認、清潔ケア、着替え介助、リハビリスタッフとの情報共有 |
活動性低く廃用症候群の恐れがある利用者の記載例
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 脳梗塞後遺症により左片麻痺あり。日中はほとんどベッドで横になっている。今月介入時(○日)の体重は、○kgで前月比-2kg。見た目もやせ細ってきた印象。皮膚トラブルはなく経過。食事は1日2食でコンビニ弁当やカップラーメン中心。今月受診時の検査データでは、栄養値正常範囲内ではあるものの、今後はさらなる筋力低下、栄養不良による全身状態の悪化の危険性あり。デイサービスは拒否が強いことから、今後はリハビリ頻度を増やすこと、宅食サービスの導入を視野に介入継続していく。 【リハビリ】 左片麻痺は軽度で歩行、ADLともに自立レベルの能力は有している。しかし、易疲労性と本人のモチベーションの低さから、活動範囲は狭小しており、歩行はベッドとトイレ間のみである。体重減少に伴い、筋力低下も進行している。リハビリでは、筋力トレーニング、屋外歩行練習中心に介入をしている。自主トレーニングも処方しているが定着は難しく、運動機会はリハビリ介入時のみになっている事から、今後はリハビリの頻度増回を視野に廃用症候群が進行しないよう、介入継続していく。 |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、食事指導、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、ADL状況の確認、血液検査データの確認、リハビリスタッフとの情報共有 |
寝たきりのため褥瘡発生のリスクがある利用者の記載例
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 脳梗塞後遺症により重度意識障害、左片麻痺ありベッド上主体の生活。ADL全介助状態である。今月、左大転子・仙骨付近に直径3cmの発赤あり。洗浄により清潔保持とガーゼ保護にて対応。クッションを使用したポジショニングにて除圧も実施。今月の検査データで栄養状態は良好。排便はマグミットの内服、週3回(月・水・金)の浣腸・摘便にて排便コントロール図れている。発赤が褥瘡にならないよう、皮膚トラブルに留意して介入継続していく。 【リハビリ】 重度意識障害でADL全介助状態からベッド上でいることが長いため、リハビリでは車椅子への離床と関節可動域練習中心に介入している。今月は左大転子、仙骨部の除圧が図れるよう、カットテーブルを使用して体幹前傾を促した状態で離床を行う。離床をすると若干ではあるが覚醒向上。○日の訪問時は、「お花・・」との発言あり。ご家族様より、観葉植物を育てることが趣味だったとの情報あり、車椅子乗車してベランダへ移動したところ笑顔あり。ご家族様も「笑えるんだね」と嬉しそうな表情。今後も褥瘡発生のリスクを軽減できるよう、離床と少しでも本人の表情や感情を表出できるよう介入継続していく。 参考「皮膚が赤くなってる!」褥瘡がある利用者のフィジカルアセスメント |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、清潔ケア、ポジショニング、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、血液検査データの確認、排便コントロール、リハビリスタッフとの情報共有 |
介助量が大きく家族の介護負担が大きい利用者の記載例
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 脳出血後遺症により重度意識障害、左片麻痺ありベッド上主体の生活。ADL全介助状態である。皮膚トラブルなく、今月の採血データでは栄養状態良好、バイタルも安定して経過している。全介助状態から、オムツ交換と着替え時に主介護者奥様の介護負担が大きい。今月、○日の訪問日に奥様が腰痛コルセット着用していた。オムツ交換時の体交時に腰痛が出現したとのこと。2日ほどで痛みは消失したが、今後も出現リスクあり。リハビリスタッフに状況共有して、腰部に負担がかからない体交の方法を伝えてもらった。今後もご夫婦で安全に生活ができるよう、支援継続していく。 【リハビリ】 重度意識障害でADL全介助状態からベッド上でいることが長いため、リハビリでは車椅子への離床と関節可動域練習中心に介入している。関節拘縮の悪化、皮膚トラブルの出現なく経過している。看護師より、奥様が介助時に腰痛出現したと情報あり。中腰姿勢で体交を行なっていたため、介護の内容によってベッドの高さを変えること、腕の力だけで体交するのではなく、体全体を使って(体重を利用して)体交を行うよう伝えた。その後の腰痛出現はなく経過している。 |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、清潔ケア、着替え介助、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、血液検査データの確認、介護状況の確認、リハビリスタッフとの情報共有 |
高次脳機能障害・嚥下障害がある利用者の記載例
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 脳出血後遺症により失語症を認める。脳神経症状の悪化、皮膚トラブルなく状態は安定して経過している。リハビリでしていることを楽しそうに話しており、問題なく介入できていると評価をしている。失語に関しては、徐々に話す単語も増えてきている印象。今後も体調変化がなくリハビリできるよう、支援継続していく。 【リハビリ】 中等度の失語症と嚥下障害あり。単語理解は良好だが文字を使用してのコミュニケーションは確立していない。自発後はほとんどないものの、挨拶言葉、YES/NOでのコミュニケーションは可能。日常生活は状況理解に頼っている。徐々に2文語の発話も認められている段階。文字理解は良好なことから、文字チップを使用し訓練継続していく。摂食に関して、○日に病院でVF実施。口腔内残渣による咽頭侵入あり。食形態変更の指示あるも、本人の趣向により変更は拒否。そのため食形態は変更しないものの、一気に詰め込む様子あるため一口ずつゆっくり食べるよう指導を受けている。今後も誤嚥症状留意しつつ、間接的訓練中心に介入していく。 |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、リハビリスタッフとの情報共有 |
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