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今回ご紹介する加算は、「ターミナルケア加算」です。
・エンゼルケアをしていないとターミナルケア加算は算定できない?
・医療保険と介護保険で介入した場合はどちらで算定したら良い?
・要支援者はターミナルケア加算の対象者ではない?
この記事では、「ターミナルケア加算」に関する現場の悩みを解決していきます。
ターミナルケア加算とは
ターミナルケア加算は、厚生労働省が定める基準を満たしている事業所において、在宅で死亡した利用者の死亡日および死亡日前14日以内に2回以上ターミナルケアを行った場合に算定できる加算です。
介護保険では「ターミナルケア加算」、医療保険では「訪問看護ターミナルケア療養費」と呼びます。
ターミナル加算の算定要件
ターミナルケア加算の算定要件は以下の通りです。
・24時間対応できる体制を整えていること
・利用者本人および家族の合意を得てターミナルケアを実施すること
・ターミナルケアの提供について必要事項を記録すること
ターミナルケア加算の料金
ターミナルケア加算の料金は以下の通りです。
ターミナルケア加算(介護保険) | 訪問看護ターミナルケア療養費(医療保険) |
---|---|
2,500単位(支給限度額管理対象外) | 療養費1:25,000円 療養費2:10,000円 |
ターミナルケア加算のQ&A
それでは、ターミナルケア加算にまつわる、現場の悩みにQ&A形式でお答えしてまいります。
2022年の診療報酬改定における訪問看護ターミナルケア療養費の変更点とは?
2022年の診療報酬改定により、「死亡日及び死亡日前14日以内に2回以上実施することとしている訪問看護について、退院日の退院指導を含めて判断できることとする」と変更になりました。
2022年の診療報酬改定以前は、「2回の訪問看護基本療養費」の算定が必要でした。
しかし、以下に示す問題点が常に議論されていました。
①退院日の訪問:退院支援指導加算のみ算定可能で、訪問看護基本療養費は算定できない
②退院翌日の訪問:訪問看護基本療養費を算定する
つまり、上記の場合だと、「2回の訪問看護基本療養費」が算定されていないことになるので、訪問看護ターミナルケア療養費の算定はできません。
この点、2022年の診療報酬改定により、「退院日に退院指導加算のみを算定した場合でも訪問看護を提供したと見なす」ことができるようになりました。
そのため、上記に挙げた場合でも訪問看護ターミナル療養費を算定することができるようになります。
現場のニーズに近づいた結果と言えるでしょう。
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ターミナルケア加算の算定要件に「24時間対応できる体制」とあるが、「緊急時訪問看護加算」を算定していなければターミナルケア加算は算定できないのか?
ターミナルケア加算の算定は、必ずしも対象利用者が「緊急時訪問看護加算」を算定している必要はありません。
あくまでも事業所として、緊急時訪問看護加算を算定できる体制を整えているかが求められています。
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エンゼルケアをしていないが、ターミナルケア加算は算定できるか?
エンゼルケアをしていなくても、ターミナルケア加算は算定できます。
エンゼルケアをターミナルケアと捉えている人もいますが、死後の処置をすることはターミナルケア加算の算定要件ではありません。
逆に、たとえエンゼルケアをしたところで、死亡日前14日以内に2日以上ターミナルケアをしていなければ、ターミナルケア加算は算定できません。
ちなみにエンゼルケアは介護保険・医療保険の対象外なので、それぞれの訪問看護ステーションが独自で値段設定をしています。
ターミナルケア加算の算定要件に「利用者および家族などに合意を得て」とあるが、どのような説明をすればいいか?
ターミナルケアは本人や家族の意思決定のもと実施されるべきなので、その点をしっかり話し合うことが大切ですね。
厚生労働省は、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」の内容を踏まえて話し合うよう推奨していますが、正直文字ばかりでわかりにくいです。
そのため、私は、「ガイドラインの周知リーフレット」で理解することを推奨しています。
こちらの方が図が多用されており分かりやすいでしょう。
また、「エンディングノート」を用いるのもオススメです。
エンディングノートを使用すると、「利用者がどのように看取られたいか」ということが分かってきます。
家族や訪問看護がどのように関わるべきかという面が見えてくるでしょう。
ターミナルケア加算の算定要件に、「必要事項を記録すること」とあるが、具体的にはどのようなことを記録すればいいのか?
以下の3点を抑えて、カルテに経過を記録しておきましょう。
・終末期の身体症状の変化およびこれに対する看護についての記録
・療養や死別に関する利用者および家族の精神的な状態の変化、およびこれに対するケアの経過についての記録
・看取りを含めたターミナルケアの各プロセスにおいて、利用者および家族の意向を把握し、それに基づくアセスメントおよび対応の経過の記録
ターミナルケアは「身体的ケア(=投薬などで痛みの緩和をするなど)」、「精神的ケア(=リラックスできる環境設定など)」、「社会的ケア(=経済的負担を考慮するなど)」の3つに分けられています。
利用者が残された時間をどう充実して過ごせるかを、あらゆる側面から考えなければなりません。
身体面だけではなく精神面の変化、そして家族の変化もしっかりとカルテに記載しておくと良いでしょう。
ターミナルケア加算は最終訪問日に算定するか、死亡月に算定するか?
死亡月に算定します。
例えば、最終訪問日が月末で死亡日が翌月の場合は、加算のみ死亡月に算定をします。
要支援1の人にもターミナルケア加算は算定できるか?
できません。
ターミナルケア加算は、要介護1〜5の人が対象のため、要支援1・2の人は対象外になります。
特別訪問看護指示書が発行されて医療保険で介入していたが14日間の期間が終了した。終了後、介護保険で介入になったが1日訪問して死亡となった。この場合、ターミナルケア加算は算定できるか、できるとしたらどちらの保険で算定するのか?
この場合は、介護保険で算定できます。
死亡日前14日以内に、医療保険・介護保険かかわらず合計2日以上訪問すれば算定することが可能です。
算定は、最後に訪問した保険で算定をします。
ターミナルケアを行なっていたが病院の搬送されて死亡が確認された。この場合もターミナルケア加算は算定できるのか?
算定できます。
ターミナルケア加算のまとめ
利用者さんやご家族様の意思をもとに実施されるのがターミナルケアだと思うので、話し合いは時間をかけてでも密にしていきたいって思いました。
そうですね。
1回決めても途中で考えが変わることは全然悪いことではありません。
その時の意思決定に応じて、臨機応変に対応していくことが大切ですね。
また、サービス担当者会議などで他職種と十分に情報共有を行うことも重要です。
担当者会議を取り仕切るのはケアマネジャーですが、利用者の状態を一番把握しているのは私たち訪問看護です。
必要に応じて、訪問看護ステーション側からケアマネジャーに担当者会議の実施を促すのも良いでしょう。
もちろん、この担当者会議の記録もしっかり残しておく必要があります。
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以下にまとめておくので、ぜひ参考にしてみてください。