今回ご紹介する加算は、「緊急時訪問看護加算」です。
・看護師が訪問していない月に緊急時訪問看護加算は算定できる?
・緊急訪問していない月でも緊急時訪問看護加算は算定できる?
・緊急の電話が来たら必ず訪問しなければならない?
この記事では、「緊急時訪問看護加算」に関する現場の悩みを解決していきます。

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緊急時訪問看護加算とは

緊急時訪問看護加算とは、24時間365日緊急の連絡や緊急の相談、緊急時の訪問依頼等に対応する時に算定することができる加算です。

つまり、利用者からすると365日24時間いつでも相談ができて、必要時にはいつでも訪問してくれる加算です。
要介護状態の人が安心して在宅生活を送れる加算といって良いでしょう。
ただ、裏を返せばその電話を受ける看護師がいなければなりません。
確かに、看護師の負担が大きくなることは容易に想像できます。
ちなみに、「緊急時訪問看護加算」は介護保険の加算であり、医療保険の場合は「24時間対応体制加算」と呼びます。
実際、オンコールの辛さに悩む看護師は一定数いるようです。
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2022年診療報酬改定における24時間対応体制加算の変更点

2022年の診療報酬改定において、24時間対応体制加算の算定要件が一部変更になりました。
利用者が安心して24時間対応を受けられる体制の整備を促進する観点から、複数の訪問看護ステーションが連携することで24時間対応体制加算を算定できる場合の要件について、自治体や医療関係団体等が整備する地域の連絡体制に参画している場合を追加する。
参考:厚生労働省「令和4年度診療報酬改定 Ⅰ-6 質の高い在宅医療・訪問看護の確保-⑫」
2022年診療報酬改定以前の、「2つの訪問看護ステーションが連携することによって24時間対応体制加算を算定できる場合」は、以下の通りでした。
・特別地域に所在する訪問看護ステーション
・医療を提供しているが医療資源の少ない地域に所在する訪問看護ステーション
上記に加えて、2022年の診療報酬改定により以下の場合も対象となります。
・医療継続計画を策定した上で*自然災害等の発生に備えた地域の相互支援ネットワークに参画している訪問看護ステーション
*自然発生等の発生に備えた地域の相互支援ネットワークは、以下のいずれかに該当するものを指します。
- 都道府県、市区町村又は医療関係団体等が主催する事業
- 自然災害や感染症等の発生により業務継続が困難な事態を想定して整備された事業
- 都道府県、市区町村又は医療関係団体等が当該事業の調整等を行う事務局を設置し、当該事業に参画する訪問看護ステーション等の連絡先を管理している
緊急時訪問看護加算の料金
以下が、緊急時訪問看護加算の料金です。
緊急時訪問看護加算(介護保険) | 24時間対応体制加算(医療保険) |
574単位/月 | 6,400円/月 |
緊急時訪問看護加算のQ&A

それでは、緊急時訪問看護加算にまつわる、現場の悩みにQ&A形式でお答えしてまいります。
「緊急時訪問看護加算」で話を進めていきますが、「24時間対応体制加算」も同様の考えです。
緊急時訪問看護加算は必ず訪問しなければならない?
私だってプライベートあるし、お酒も飲みたいし。。
看護師にとってはやっぱり不安ですよ!


訪問看護ステーションごとで解釈が異なるかもしれませんが、電話内容を聞いて、緊急性がなさそうな内容だったり、利用者本人や家族で対応できそうな内容なら、電話で対応を終わりにしても問題はないと思います。
ただ、次の日に訪問を朝一に入れるなどのフォローは必要かもしれません。
とはいっても、緊急訪問はあり得る事なのでお酒は控えた方が良いでしょう。
ポイント
・緊急時訪問看護加算を算定している利用者から緊急連絡が入ったとしても、必ずしも訪問する必要はない。
緊急訪問をしなくても緊急時訪問看護加算を算定できる?

ポイント
緊急時訪問看護加算を算定している利用者から緊急連絡がなかった場合も、緊急時訪問看護加算は算定することができる。
当該月に看護師の定期訪問がなくても緊急時訪問看護加算を算定できる?

例えば、理学療法士などのリハビリ提供(訪問看護(Ⅰ-5))のみの訪問実績で、看護師による訪問実績が何らかの理由で当該月に無かった場合は、計画された訪問看護が実施されていたとはいえず、当該加算は取れないと考えます。
もし、定期の訪問看護が無かった場合でも、緊急時に訪問看護を実施した場合は、訪問日に緊急時訪問看護加算を算定できます。
ポイント
・看護師による定期的な訪問看護が実施されていない月は、緊急時訪問看護加算を算定することはできない。
・定期の訪問看護がなかった場合も、緊急訪問した際は緊急時訪問看護加算を算定できる。
緊急訪問時の算定は?

ポイント
①特別管理加算を算定している利用者の場合
1回目の緊急訪問:所要時間に応じた所定単位数のみ算定
2回目以降の緊急訪問(1ヶ月間に):所要時間に応じた所定単位数+夜間・早朝加算(所定単位数の100分の1)もしくは深夜加算(所定単位数の100分の50)
②上記①以外の場合は所要時間に応じた所定単位数のみ算定

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緊急時訪問看護加算は准看護師でも算定できる?

看護師または保健師が連絡対応をした後、准看護師に指示をして緊急訪問を行った際は所定単位数の90/100を算定できます。
緊急時訪問看護加算は知らない利用者の対応もしないといけない?
私にできるかしら・・・。


そのため、ステーションの対応として、
・電子カルテ上で利用者の情報が見れるようにしておく
・電話がきそうな利用者は事前に申し送りをもらっておく
このような仕組みを構築しておく必要があります。
ポイント
・オンコール担当の看護師は、担当以外の利用者の対応を求められることもある。
緊急時訪問看護加算は精神疾患の利用者を対応することも多い?

ただ、夜中に長時間相手の相談を聞くということは、お互いにとって健全ではありません。
そのため、「できるだけ早く電話を終わらせて、日中の訪問で対応をする」という方向に流れを持っていく技術も必要かと思います。
対応策として、精神科訪問看護に力を入れているステーションは、契約時に「オンコールは○○分まで」と提示するところもあります。
この点は、各訪問看護ステーションの方針、地域の実情に合わせて決めていくことが望ましいと考えます。


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緊急時訪問看護加算算定時の注意点は?

訪問看護ステーションによっては、緊急時訪問看護加算を「魔法の加算」かのように説明してしまうことがあります。
利用者に安心してもらいたいがために、
「24時間いつでも行きますよ〜」
「なんかあったらすぐに電話くださいね〜」
など、本当にその体制が整えられるのであればいいんですが、実際働いているスタッフの現状とはかけ離れていることがあります。
「オンコール契約しているのに看護師が来てくれなかった!」
「電話をすぐ切られた!」
など、後々のトラブルにつながらないよう、契約の段階で「私たちのステーションができるのはここまでです」と、内容を提示した方が良いでしょう。

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ただ、これはあってはならないことです。
まず、緊急時訪問看護加算を算定していない人が緊急連絡先を知っているのはおかしいです。
なぜなら、緊急時訪問看護加算は、利用者もお金を払って契約をしています。
それが、契約をしていない人、つまりお金を払っていない人も夜間に看護師と電話ができるというのは望ましくありません。
そのため、、緊急時訪問看護加算を算定している人のみ緊急連絡先を知れるという仕組みを整えるべきです。
もし、夜間に代表電話に緊急時訪問看護加算を契約していない人の留守電が入ったとしても、次の日に掛け直すくらいに徹底してもいいかもしれません。
このようなことが続くようなら、ケアマネジャーと相談して翌月から緊急時訪問看護加算を追加するのが良いと思います。

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緊急時訪問看護加算のまとめ



緊急時訪問看護加算に関しては、会社がどうフォロー体制を整えているかで変わります。
中には1ヶ月2~3人の看護師で回しているステーションもありますし、オンコールがかかってきた時に上司への相談ができず1人で悩み抱えてしまうケースもあります。
実際、オンコールが辛くて訪問看護を辞める人も多くいます。
この点、不安が大きいようでしたら、入職する時に面接で聞いてしまう方が良いと思います。
「夜間のオンコールは必須ですか?」
「夜、困った時でも上司に相談しても良いですか?」
など、確かに聞きにくいことですが、就職した後に気づいても遅いです。
この点、転職サイトを使って仲介会社の担当の人に聞いてもらっても良いかもしれません。
*管理人が実際に働く中で都道府県や市区町村に聴取した内容も含まれています。住んでいる場所によっても捉え方が異なる場合がありますので、各々関係各所に確認を取るようにしましょう。
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以下にまとめておくので、ぜひ参考にしてみてください。