「明日から使える!訪問看護報告書の記載例・文例集」シリーズ。
今回は、「皮膚トラブル・褥瘡」の利用者に対する訪問看護報告書の記載例のご紹介です。
皮膚トラブルは褥瘡を代表に、感染が進行すると生死に関わってしまう恐れがあります。
皮膚トラブルの発生には何らかの原因があると考えられるので、その原因がどのような状態かという視点も取り入れた報告書を作成すると良いでしょう。
メモ
*「(別添)理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護の詳細」の記載例はコチラ→(訪問看護報告書「別添」の書き方を完全解説【記載例多数】)
本記事で書いてあるリハビリの報告部分(リハビリ職も使える)は、別添の「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が行った訪問看護、家族等への指導、リスク管理等の内容」項目部分に転用可能です。
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今回ご紹介する記載例は、訪問看護報告書の「病状の経過」「看護の内容」部分です。
トコル
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皮膚トラブル(褥瘡)がある利用者の訪問看護報告書の記載例
それでは、皮膚トラブル(褥瘡)がある利用者の訪問看護報告書の記載例をご紹介します。
皮膚の外傷がある利用者の記載例
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 脳梗塞後遺症により右片麻痺を呈していることから、歩行時にふらつきがあり転倒リスクが高い状態。今月は転倒認めないものの、○日訪問日に右肘関節に3cm程度の外傷があることを発見。歩行時にバランスを崩してタンスの角にぶつけたとのこと。訪問時は出血していないものの、ぶつけた時は出血あり絆創膏で対応したとのことである。創部は清潔保たれており、瘡蓋になっている事から保護せずに経過観察とする。ふらつきが強い状況なので、今後もリハビリスタッフと情報共有しながら転倒なく在宅生活が送れるよう支援継続していく。 【リハビリ】 右片麻痺ありバランス能力が低下しているため、歩行時に見守りを要する。屋内であれば手すりを使用して歩行可能だが、屋外はT字杖を使用して軽介助が必要である。また、易疲労性により最大歩行距離は50mほどで頻回な休憩を要すことから、受診など外出時は奥様介助のもと車椅子移動をしている。リハビリでは関節可動域練習、筋力トレーニング、屋内外歩行練習を中心に行い、転倒なく生活ができるよう支援継続していく。 参考「昨日転んじゃってね…」転倒した利用者に対するフィジカルアセスメント |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、皮膚状態の観察、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、ADL状況の確認、リハビリスタッフとの情報共有 |
発赤はあるも褥瘡には至っていない利用者の記載例①
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% ベッド上主体の生活。ADL全介助状態である。今月、左大転子・仙骨付近に直径3cmの発赤あり。洗浄により清潔保持とガーゼ保護にて対応。クッションを使用したポジショニングにて除圧も実施。今月の検査データで栄養状態は良好。排便はマグミットの内服、週3回(月・水・金)の浣腸・摘便にて排便コントロール図れている。発赤が褥瘡にならないよう、皮膚トラブルに留意して介入継続していく。 【リハビリ】 ADL全介助状態からベッド上でいることが長いため、リハビリでは車椅子への離床と関節可動域練習中心に介入している。今月は左大転子、仙骨部の除圧が図れるよう、カットテーブルを使用して体幹前傾を促した状態で離床を行う。離床をすると若干ではあるが覚醒向上する。離床によるバイタル反応は良好である。呼吸状態の変化なし。臥床状態が長い事から、両足関節の筋緊張が進行している段階。拘縮注意のため、介入継続していく。 参考「皮膚が赤くなってる!」褥瘡がある利用者のフィジカルアセスメント |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、皮膚状態の確認、清潔ケア、ポジショニング、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、血液検査データの確認、排便コントロール、リハビリスタッフとの情報共有 |
発赤はあるも褥瘡には至っていない利用者の記載例②
病状の経過 | KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 主疾患により四肢の失調を認め、移動は四つ這い自立、ADLには概ね介助が必要である。床での生活が中心のため転倒のリスクは少ないが、臥床状態でいることが多く、今月は直径2cmの発赤が右大転子周囲にあり。保護するレベルではないため圧迫を避けるよう本人に指導して経過観察としている。ADLに介助が必要な事から、主介護者の旦那様の介護負担が大きく、来月より月1回ショートステイ追加となる。今後もご夫婦で在宅生活が送れるよう支援していく。 |
看護の内容 | バイタルサイン、全身状態の観察、皮膚状態の確認、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、ADL状況の確認 |
トコル
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褥瘡あり処置が必要な利用者の記載例①
病状の経過 | KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% るい痩強く、骨突出部に以下の褥瘡を認める。 ・仙骨部右側に真皮に至る褥瘡:最終サイズ1.6×2.5㎝(ゲーベン+ガーゼ+フィルム保護) ・右臀部に表皮剥離:最終サイズ1.0×0.6㎝(アズノール+ガーゼ+フィルム保護) 仙骨部褥瘡は前月に比べて縮小傾向だが、右臀部の表皮剥離は著変なく経過している。関節拘縮と筋緊張亢進により右側臥位でいる事が多いことから、訪問時はポジショニング(体交)と除圧を行なっている。主介護者の奥様も積極的に寝返りなど介護を行なっているが、褥瘡の状態からより頻回な体交が必要なため、週3回訪問介護の導入と訪問看護を増回して来月より対応していく。 |
看護の内容 | バイタルサイン、全身状態の観察、褥瘡評価・処置、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、体位交換、ポジショニング |
褥瘡あり処置が必要な利用者の記載例②
病状の経過 リハビリ職も使える | 【看護】 KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% るい痩強く、骨突出部に以下の褥瘡を認める。 ・左肩関節:表皮剥離あるも浸出なし。イソジンシュガー塗布にて創部縮小・痂疲化傾向。ガーゼ保護のみで対応。 ・左膝関節:サイズ3.0×2.0㎝(前月)→1.0×1.0cm(今月○日) 縮小認め上皮化しているためガーゼOFF。 ・左大転子部:サイズ3.0×7.5㎝(前月)→2.0×5.7cm(今月○日)アズノール+ガーゼ+フィルム保護継続。 訪問看護、訪問介護に加えて主介護者の奥様の協力もあり、全体的に縮小傾向である。しかし、関節拘縮と常にベッド上にいる事で除圧ができていない事から、今後も褥瘡悪化の危険あり。そのため、今月より訪問リハビリ導入となる。褥瘡の経過を共有しながら支援継続していく。 【リハビリ】 今月より訪問リハビリ週2回で介入開始している。既往の脳梗塞により重度左片麻痺、感覚障害認め随意運動はほとんど認めない。基本動作も介助が必要で、常に同一肢位でいることが多い。全介助で車椅子移乗をすれば、車椅子座位を保つことは可能。バイタル反応は良好である。離床により褥瘡改善を促せるよう支援継続していく。 |
看護の内容 | 【看護】 バイタルサイン、全身状態の観察、褥瘡評価・処置、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、体位交換、ポジショニング、リハビリスタッフ・訪問介護スタッフと情報共有 |
介助量が大きく家族の介護負担が大きい利用者の記載例
病状の経過 | KT:○○℃ P:〇〇/分 BP:〇〇mmHg SpO2:〇〇% 主疾患により四肢の随意運動不可、ベッド上主体の生活。ADL全介助状態である。仙骨部に直径5.0cmの褥瘡あり、アズノールとガーゼ、フィルム保護似て対応している。頻回に体位交換が必要な状態から、主介護者の奥様の介護負担が大きい状態である。○日訪問時に、奥様より涙ぐみながら「介護が辛い」とお話あり。翌週より訪問看護増回して対応している。夜間眠れていない事も負担が大きく、現在レスパイト入院も調整している。介護負担が大きい状態ではあるが、奥様は在宅介護を続けていきたいという希望が強いため、他サービスを併用しながら安全に介護が継続できるよう支援していく。 |
看護の内容 | バイタルサイン、全身状態の観察、褥瘡評価・処置、内服状況の確認(量/回数/残量)・管理・指導、体位交換、ポジショニング、他サービスの調整、介護状況の把握 |
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