”訪問看護における”フィジカルアセスメントの事例集。
今回、想定するシチュエーションは、「あれ、言ってることがおかしい…」認知症が疑われる利用者に対するフィジカルアセスメントです。
今回想定するシチュエーション
「あれ?言ってることがなんかおかしい…」
認知症が疑われる利用者に対するフィジカルアセスメント
我が国では、65歳以上の約15%が認知症を患っていると言われています。
認知症は完治する病気ではないため、いかに早く予兆を発見し、早期治療のきっかけを作ることが重要になります。
この記事では、認知症が疑われる利用者に対するアセスメントの方法をお伝えするとともに、報告のポイントまでご紹介してまいります。
このような事例をもっと知りたい!という方は、記事の最後に18事例をまとめたリンクを記載しておくので、ぜひ日々の業務にご活用ください。
目次[非表示]
認知症が疑われる利用者に対するアセスメントのポイント

認知症が疑われる利用者に対するアセスメントのポイントは、以下が考えられます。
- アセスメントのポイント
- ・どのような症状がみられているか
・日常生活への影響
・家族の理解度・疲労度
・今後どのような対策をするのが望ましいか
このポイントを頭に入れながら、フィジカルアセスメントをしていきましょう。
認知症が疑われる利用者に対するフィジカルアセスメントの方法
フィジカルアセスメントは、基本形(問診(主観的評価)→フィジカルイグザミネーション(客観的評価)→アセスメント(評価分析)→ケア・報告)に則って進めてまいります。


そもそもフィジカルアセスメントって何?どうやって進めていくの?と悩んでいる人は、まずはコチラの記事(訪問看護における"フィジカルアセスメントの目的と順番)を見てみよう!
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"訪問看護における"フィジカルアセスメントの目的と順番【事例まとめ 】
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問診(主観的評価)
まずは問診をしていきましょう。
ただし、認知症が疑われる場合は、一般的な問診というよりもコミュニケーションの中から「あれ?何かおかしいな」と気付くことが重要になります。
以下の点に留意しながらコミュニケーションを取りましょう。
- 言葉遣い(例:怒りっぽくなった)
- 口調の変化(例:頑固っぽくなった)
- 表情(例:変化が乏しくなった)
- 話している内容(例:同じことを何度もいう)
- 会話の明瞭度(例:聞き取りにくくなった)
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問診をしていて、少しでもおかしいなと思ったら、認知症検査バッテリーを用いて数値化することをオススメします。
数値化をすることで、継時的変化を追いやすくなったり、各関係機関への報告をスムーズにすることができます。
認知症の検査は、長谷川式簡易知能評価スケール(HDS‐R)かmini-mental state examination(MMSE)を用いることが多いです。
日々の生活の様子は家族に聞いて裏付けを取ると良いでしょう。
本人と家族が言っていることに乖離があるかを判断します。
フィジカルイグザミネーション(客観的評価)
問診の精度にかかわらず、フィジカルイグザミネーション(客観的評価)を行うことが重要です。
その際、共通して以下の点に留意をして評価していきましょう。
- 客観的評価をする時に気をつけること
- ・前回訪問時との変化
・左右差の有無
・できるだけ数値化をする
バイタルサイン・意識レベル
認知症にかかわらず、バイタルサインは様々なことを教えてくれるため、どのような利用者にもまずは測定するべきです。
特に認知症は今までの生活と一変している可能性があるため、早期異常の発見のためにもより重要になります。
また、認知症治療薬による副作用の影響も考慮しなければなりません。
- 認知症によるバイタル変化の一例
- ・判断能力低下により暑い時期でも体温調整ができない→体温上昇、脈拍上昇、血圧低下
・食事動作を忘れてしまい脱水症状が起こっている→脈拍上昇、血圧低下
・認知症治療薬による副作用(下痢・食欲衰退など)→脈拍上昇、血圧低下
状態によっては意識レベルが低下していることもあります。
意識レベルは「Japan coma scale(JCS)」や「Glasgow coma scale(GCS)」といった標準化されたもので評価しましょう。
視診
認知症が疑われる利用者への視診で一番分かりやすいのが、表情の変化です。
コミュニケーションを通じて、以前と表情に変化があるかを評価しましょう。
- 認知症特有の表情
- ・無表情(笑わなくなった・まばたきをしなくなった・一点を見つめている)
・表情が暗い(悲しそう)
・顔色が悪い(白い・青白い)
また、身体面(皮膚に創傷や皮下出血、発赤や腫脹など)に変化がないかもチェックしましょう。
なぜなら、認知症になると身体機能も低下することが多く、転倒リスクが高まるからです。
特に、頭部は注意をして観察しましょう。
頭部に創傷や出血があった場合は、頭部を打った可能性が高いので、脳神経症状をチェックする必要が出てきます。
また、創傷の場所を見ることによって、転倒した状況を推察することもできます。
例:右肘に創傷と左手首に腫脹がある→右肘を打って転んだ際に左手をついたのではないかなど
触診
認知症における触診は、筋肉のこわばり(筋緊張)を中心としてみます。
なぜなら、認知症になると「パーキンソン病」のような症状が出現してくるからです。
関節を曲げたり伸ばしたりすると、抵抗感があったりカクカクと動く様子も観察されます。
筋緊張を評価する時の指標としては、「modified Ashworth Scale」が広く用いられています。
また、問診や視診で転倒の疑いがあると判断した場合は、転んだ際に打ったと思われる場所も触診しましょう。
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「昨日転んじゃってね…」転倒した利用者に対するフィジカルアセスメント
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打診
認知症になると食生活が変化をします。
食べ物を認識できず摂取が不十分だったり、逆に食べすぎてしまったり、はたまた食べ物ではないものを食べてしまったり(異食)するので、打診をして腸の様子を評価するのは重要でしょう。
また、転倒を疑う場合は骨を打診して骨折の有無を判断しましょう。
例えば転倒により尻もちをついた場合、背骨を叩いた時に「ピキーッ」と痛みが走ったら脊椎関連の骨折が疑われます。
もちろん、痛みは利用者にとって負担が強いので、最小限の検査に留めておくべきでしょう。
聴診
認知症では身体機能の低下から、誤嚥のリスクが高まります。
また、異食の可能性も考えられるため、呼吸音を聴診して異常がないかを確認しましょう。
四肢の動き
先ほども申し上げた通り、認知症になると「パーキンソン病」のような症状を来たすことがあります。
筋肉のこわばりによって関節可動域制限を生じることがあるため、肩を上げづらくなった、足をあげづらくなったということが観察できるかもしれません。
手をどのくらいの高さまであげられるか、足をどのくらいの高さまであげられるかなど、定期的に評価することが大切です。
日常生活動作・歩行
筋肉のこわばりにより関節可動域制限が起こると、今までできていた日常生活動作ができなくなります。
何かできないことが出てきた場合、なぜできなくなったかを評価するとともに、認知症の進行も加味する必要があるでしょう。
また、パーキンソン病の症状には歩行障害があります。
小刻み歩行やすくみ足(最初の一歩が出しづらい)という特徴があるため、認知症が進行しているときは転倒にも注意が必要になります。
認知症が疑われた場合の対処法

認知症は完治しない病気ですが、対応一つで症状を和らげることができます。
これら対応は、訪問スタッフだけではなく、ご家族様に共有してあげるのも良いでしょう。
報告の方法・ポイント

認知症の治療で大切なことは、早期発見と早期治療です。
定期的に訪問をしている私たちは、その変化にいち早く気づいて報告をしなければなりません。
一般的に、普段と違うことが起こったらケアマネジャー・主治医に報告します。
ケアマネジャーには、どのような些細なことであれ報告をしておくと後のトラブル回避に繋がります。
主治医にも報告をすることが望ましいですが、往診かその他か、または訪問看護との関係性によっても変わってくるかと思います。
基本的に、往診であれば些細なことでも報告した方が良いでしょう。
その他の医療機関(病院など)は、「そんなことでいちいち電話してくるな!」と言われてしまうかもしれません。
緊急度・重要度に合わせて判断しましょう。
電話するほどではないかな…という場合は、FAXで報告するのも一つです。
医療機関への報告の際は、以下の点を踏まえると良いでしょう。
- 認知症の症状を認めたこと(→例:本日訪問時、何度も同じことを言うことを確認しました)
- 認知症の評価結果(→例:HDS-Rを評価したところ12点でした。退院時の点数が24点なので大幅な低下を認めます)
- 日常生活の様子(→例:日常生活では、失禁や介護・食事拒否を認めています)
- お願いしたいこと(→例:○日に受診予定です。御高診のほどよろしくお願い申し上げます。)
ケアマネジャーに対しては、上記の報告とともに今後のサービス内容を相談しましょう。
日中、家に閉じこもっている人であればデイサービスに行って人と触れ合うのも良いかもしれません。
身体機能の低下が著しい人は理学療法士や作業療法士の導入、嚥下障害や構音障害がある人は言語聴覚士の導入を検討しましょう。
家族の介護疲れが見られている場合は、訪問介護の導入・増回、ショートステイの検討をしても良いでしょう。
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認知症の利用者に対する訪問看護計画書・訪問看護報告書の記載例
認知症の利用者に対する訪問看護計画書・訪問看護報告書の記載例は、以下にまとめているのでぜひ参考にしてください。
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【認知症】訪問看護計画書の記載例・文例集【コピペ可あり】
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【認知症】訪問看護報告書の記載例・文例集【コピペ可あり】
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訪問看護におけるフィジカルアセスメント18事例まとめ

今回ご紹介した事例以外にも、当サイトでは訪問看護におけるフィジカルアセスメントを18事例掲載しています。
どれも訪問看護ではあるあるの事例なので、ぜひ日々の業務にご活用ください!
- 「昨日転んじゃってね…」転倒した利用者に対するフィジカルアセスメント
- 「あれ、言ってることがおかしい…」認知症が疑われる利用者のフィジカルアセスメント
- 「ちょっと苦しい…」呼吸苦を訴える利用者のフィジカルアセスメント
- 「うわ!むくみが強くなってる!」浮腫がある利用者に対するフィジカルアセスメント
- 「いきなり吐いた!」嘔吐した利用者のフィジカルアセスメント
- 「ぐるぐる回ってる感じがする…」めまいがある利用者のフィジカルアセスメント
- 「体温が高い!」発熱している利用者のフィジカルアセスメント
- 「お腹が痛い…」腹痛を訴える利用者のフィジカルアセスメント
- 「うっ……胸が痛い…」胸痛を訴える利用者のフィジカルアセスメント
- 「皮膚が赤くなってる!」褥瘡がある利用者のフィジカルアセスメント
- 「なんかぼんやりしてる…?」意識レベルが低い利用者のフィジカルアセスメント
- 「ん…?骨折れてない…?」骨折が疑われる利用者のフィジカルアセスメント
- *「なんかダルいんだよな…」倦怠感を訴える利用者のフィジカルアセスメント
- *「あれ?動きが悪い…」身体機能が低下した利用者のフィジカルアセスメント
- *「手がかじかむわね…」手指の冷感がある利用者のフィジカルアセスメント
- *「おしっこ出てない…」排尿がない利用者のフィジカルアセスメント
- *「ウンチが出ない…」排便がない利用者のフィジカルアセスメント
- *「血糖値が低い…!」低血糖の利用者に対するフィジカルアセスメント
*とあるコメディカル【premium】のみで公開
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