理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、評価ポイント解説シリーズ。
今回は、「運動発達検査」のまとめです。
実習では小児を担当することも少なくありません。
小児を担当する際は、「どのような反応・反射が出ている段階か」を日々追っていく必要があります。
今回は、解説に加えて、まとめたシート(図入り)も用意しているので、ダウンロードして実習に臨んでください。
もちろん、ダウンロードは無料です。
Milani-Comparettiの運動発達評価
まずは、運動発達の評価です。
「Miani-Comparetti」の運動発達評価をご紹介します。
自発行動
項目 | 成熟過程 |
体幹垂直保持時の頭の状態(垂直位) body held vertical | ☆1ヶ月過ぎから頭のコントロールができるようになってくる。 |
腹臥位での頭の状態(腹臥位) body lying prone | ☆1カ月まではProneで顔を左右どちらかに向けたままであるが、1ヶ月半頃からしだいに頭を持ち上げ、重力に抗して頭の後屈(Ext)ができるようになる。 |
背臥位での頭の状態(背臥位) body lying supine | ☆5ヶ月頃より頭を持ち上げ、重力に抗して頭を前屈(Flex)ができるようになる。 |
背臥位からの引き起こし時の頭の状態 (引き起こし) body pulled up from supine | ☆生後4ヶ月目までの乳児はSupineから腕を軽く引き起こそうとすると、頭は体幹について来ないで後方に落ちてしまう。 ☆4ヶ月頃から頭が体幹に付いて来て、頭と体幹のアライメントが維持される。 ☆5ヶ月になると、腕を引くとすぐに頭を前に曲げ、肩と肘を引っ張るように反応し、積極的に起き上がろうとする。 |
坐位時の体幹の状態(坐位) sitting | ☆1ヶ月未満では脊柱が丸くカーブをしているが、4ヶ月で上部脊柱より第3腰椎(L3)までExtする。 ☆6ヶ月で両手を支持して坐位ができるようになる。 ☆7ヶ月で手の支持ななくても坐れるようになる。 ☆8ヶ月で脊柱がS字状になってくる。 |
四肢での体重支持姿勢(四つ這い) all fours | ☆3ヶ月半では前腕体重支持でProne(腹這い位)となる。 ☆5ヶ月で肘を伸ばし両手掌で体重を支持してProne(腹這い位)をとる。 ☆7ヶ月でProne Kneelingをとることができるようになる。 ☆10ヶ月になると手掌と足底を接地させfollout standing(高四つ這い)をとる事ができる。 |
立位の状態(起立) standing | ☆2ヶ月半まで支持反応(supporting reactions)によって反射的に下肢を支持できるが、3ヶ月に入ると抗重力機構の働きが不十分となり、下肢の支持が不能となり、その後、支持性が回復し、8ヶ月では体前屈位であるが、体の支持ができるようになる。 ☆10ヶ月で腰椎前彎が現れ、正常な脊柱の彎曲となる。 |
背臥位からの立ち上がり (背臥位からの起立) standing up from supine | 支持なしでの立ち上がりには2つの異なる方法がある。 ☆9ヶ月ではSupineからProneになり、さらにProne Kneelingになって、それから手で支えてよじ登るように立ち上がる。 ☆12ヶ月ではProne Kneelingからfollout standingとなり立ち上がる。 ☆3歳半になると体幹の部分Rotationをして立ち上がる。 ☆5歳では体幹のRotationなしで立ち上がる事が可能となる。 |
移動動作(移動) locomotion | ☆2ヶ月近くまでは原始反射の自動的足踏み(automatic stepping)がみられる。 ☆4ヶ月になると寝返りができるようになる。 ☆8ヶ月ではProne Kneelingができる。 ☆12ヶ月で歩き始め、両上肢を高く挙げてバランスをとる(high guard)。 ☆15ヶ月で腰の高さ(medium guard)でバランスをとる。 ☆19ヶ月で体側(no guard)に付けて歩く。 ☆18ヶ月頃より腕を交互に振って(reciprocal)歩く。 ☆21ヶ月で走れるようになる。 |
誘発応答
原始反射(Primitive reflexes)
反射名 | 検査手技 | 反応 | 判定方法 |
手掌把握反射 hand grasp | Proneで手掌を指で強く押す。 | <陽性> 手掌を硬く閉じて指を握る。 <陰性> 反応なし。 | 3ヶ月半まで陽性で、その頃から肘での支えが可能になる。 |
非対称性緊張性頸反射 asymmetric tonic neck reflex(=ATNR) | Supineで頭部をFlexさせずにRotationさせる。 | <陽性> 顔の向いた側の上下肢がExtし、反対側の上下肢はFlexする。 <陰性> 上下肢に目立った動きは現れない。 | 1ヶ月~3ヶ月までは陽性となる。 |
モロー反射 Moro reflex | Sittingにして体幹を後に傾斜させ、頭部が後方に落ちるようにする。 この時、後頭部と肩を支えて受け止める。 | <陽性> 両上肢のAbd、Extが起こる。(最小の反応としては、指先が僅かにExtを示す。) <陰性> 反応なし。 | 4ヶ月までは陽性となる。 ★この反射が消失しないとパラシュート反応も傾斜反応も出現しない。 |
対称性緊張性頸反射 symmetric tonic neck reflex(=STNR) | Prone kneelingで頭をpassiveでExtさせる。 | <陽性> 股関節のFlexが起こる。
<陰性> 反応なし。 | 6ヶ月~8ヶ月までは陽性となる。 ★この反射の消失は、頭部や上肢をFlexさせなくても殿部を踵から離す事ができるようになった時である。 ★この反射が消失しないとProne kneelingはできない。 |
足底把握反射 foot grasp | Standingで足底を検査台面や床に接触させる。 | <陽性> 足趾がFlexする。 <陰性> 反応なし。 | 9ヶ月までは陽性となる。 |
立ち直り反応(Righting reactions)
反射名 | 検査手技 | 反応 | 判定方法 |
空間での頭の立ち直り反応 head righting reaction in space | Proneの肢位で頭部を持ち上げる事ができるか。 また垂直にした状態から傾けた時に頭部が垂直に立ち直るか。 | <陽性> できる。 <陰性> できない。 | 1ヶ月半以後は陽性となる。 |
矢状面での体幹の立ち直り反応 (ランドー反射) body righting reaction in sagittal plane (Landau reflex) | Proneの状態から上腹部の辺りを持って持ち上げる。 | <陽性> 頭部をExtすると、体幹が反り、股関節と膝関節がExtする。 (ランドー反応の第1相) <陰性> 頭部も下肢も垂れ下がる。 | 2ヶ月半以後は陽性となる。 |
反回旋による体幹の立ち直り反応 body derotative righting reaction | ①Supineで片側の下肢をFlexさせ、その下肢をクランクにして骨盤をRotationさせる。 ②Supineで頭部をFlex位にしてRotationさせる。 | <陽性> ①下肢のFlex側の肩と上肢がFlexする。 ②下肢のFlex側の大腿部がFlexする。 <陰性> 反応なし。 | 4ヶ月以後は陽性となる。 ★この反射が出現すると、体幹のRotationができ、寝返りが一人でできるようになる。 ★この反応の出現には、ATNRの消失が必要となる。 |
回旋による立ち直り反応 body rotative righting reaction | Supineに置かれた状態から体幹のRotationと上肢の支えによって起き上がる事ができるかどうか。 | <陽性> できる。 <陰性> できない。 | 9ヶ月で陽性となる。 *できるかどうかを母親に聞いてもよい。 |
パラシュート反応(Parachute reactions)
反射名 | 検査手技 | 反応 | 判定方法 |
下方運動 downwards | 患者を垂直にして脇に抱えた状態から、急激に下方に下ろす。 | <正常> 下肢がExt、Abd、OutRotする。 <異常> その状態を記載する。 | 4ヶ月以後は陽性となる。 *この方法では上肢の反応は出づらい。 |
側方運動 sideways | Sittingから片側の肩を軽く押して、バランスを崩させる。 | <陽性> 反対側の上肢がAbdし、肘・手首・手指がExtする。 <陰性> 反応なし。 | 6ヶ月以後は陽性となる。 |
前方運動 forwards | 頭部と体幹を垂直にしてSittingをとらせ、前方に倒すように押す。 | <陽性> 両手を前方に着くか、肘・手首・手指をExtする。 <陰性> 反応なし。 | 7ヶ月以後は陽性となる。 |
後方運動 backwards | Sittingから後方に押す。 | <陽性> ①両上肢を後方に着げば、完全な反応である。 ②体幹のRotationを起こし、片側の上肢を着く。 <陰性> 反応なし。 | 9ヶ月になって出現する。 *前腕のPron運動よりも後に出現する。 |
傾斜反応(Tilting reactions)
反射名 | 検査手技 | 反応 | 判定方法 |
傾斜反応 腹臥位 | 傾斜台上にProneで寝かせ、台をゆっくりと傾斜させる。
| <陽性> 頭部と胸郭に立ち直りが起こり、Elevした側の上・下肢がAbdとExtし、降下した側に保護的反応が観られる。 <陰性> 頭部や胸郭の立ち直りは無く、平衡反応や保護的反応は起こらない。 | 約6ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が6ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患や反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 *頭部と胸郭以外の部位に陽性反応が出る事はある。 |
傾斜反応 背臥位 | 傾斜台上にSupineで寝かせ、台をゆっくりと傾斜させる。
| <陽性> 頭部と胸郭に立ち直りが起こり、Elevした側の上・下肢がAbdとExtし、降下した側に保護的反応が観られる。 <陰性> 頭部や胸郭の立ち直りは無く、平衡反応や保護的反応は起こらない。 | 約6ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が6ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患や反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 *頭部と胸郭以外の部位に陽性反応が出る事はある。 |
傾斜反応 坐位 | Sitting(椅子坐位)から片側に引っ張るか、傾ける。 | <陽性> 引っ張った側と反対側の上・下肢がAbdとExtする。 <陰性> 立ち直り反応、平衡反応、保護的反応が起こらない。 | 約10~12ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が12ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患や反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
傾斜反応 四つ這い | Prone kneelingの状態から体幹を片側に押しつけて傾けさせる。 | <陽性> 体幹の傾斜側と反対の上・下肢がAbd、Extする。 <陰性> 立ち直り反応、平衡反応、保護的反応が起こらない。 | 約8ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆8ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患や反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
傾斜反応 立位 | Standingの状態から片側に引っ張るか、傾ける。 | <陽性> 引っ張った側と反対側の上・下肢がAbdとExtする。 <陰性> 立ち直り反応、平衡反応、保護的反応が起こらない。 | 約15ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆15ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患や反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
小児の姿勢反射テスト
次に、姿勢反射テストをご紹介します。
脊髄レベルの姿勢反射
反射名 | 検査手技 | 反応 | 判定方法 |
屈曲収引反射 flexor withdrawal reflex | Supineで頭部は中間位、両下肢はExtした状態から足底を刺激する。 | <陽性> コントロールを離れて、刺激された下肢にFlex反応が出現する。 <陰性> 刺激された下肢をExt位に堅持するか、自発的に足を引っ込める。 | 陽性反応は2ヶ月までは正常である。 ☆2ヶ月以降も陽性反応が出るようであれば、脊髄レベル(中枢神経系)の疾患による反射性成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 *くすぐり反応と誤認しない事。 |
伸筋突張反射 extensor thrust reflex | Supineで頭部は中間位、片側の下肢をExtし、他方はFlexさせた状態から足底を刺激する。 | <陽性> コントロールを離れて、刺激された下肢にExt反応が出現する。 <陰性> 刺激を受けた下肢をFlex位に堅持する。 | 陽性反応は2ヶ月までは正常である。 ☆2ヶ月以降も陽性反応が出るようであれば、脊髄レベル(中枢神経系)の疾患による反射性成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 *くすぐり反応と誤認しない事。 |
交叉性伸展反射 crossed extension reflex | ①Supineで頭部は中間位、片側の下肢をFlexさせ、他方はExtさせた状態からExtしている下肢(足底)をpassiveでFlexさせる。 ②Supineで頭部は中間位、両下肢はExtさせた状態から片側の下肢の内側を軽打して刺激を与える。 | <陽性> ①最初にFlexしていた側の下肢がExtする。 ②刺激を加えた下肢と反対の下肢がAdd、InRotし、足関節がPFlexする。(典型的鋏状肢位) <陰性> 反応なし。
| 陽性反応は2ヶ月までは正常である。 ☆2ヶ月以降も陽性反応が出るようであれば、脊髄レベル(中枢神経系)の疾患による反射性成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 |
側彎反射(=背反射) Galant reflex | 脊柱の側方(脊柱の外側約3㎝付近)を縦方向に強く刺激する。 | <陽性> 刺激側に体幹を側屈させる。 <陰性> 反応なし。 | 陽性反応は2ヶ月までは正常である。 ☆2ヶ月以降も陽性反応が出るようであれば、脊髄レベル(中枢神経系)の疾患による反射性成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 ★この反射が長期残存すると、側彎の原因となったり、自力でのSitting、Standing、歩行に必要な体幹の安定性や独立した頭部の運動を遅らせる。 |
脳幹レベルの姿勢反射
反射名 | 検査手技 | 反応 | 判定方法 |
汎在性静的反応 general static reactions 非対称性緊張性頸反射 asymmetric tonic neck reflex(=ATNR) | Supineで頭部は中間位、上・下肢はExtさせた状態から、頭部をpassiveで片側を向かせる。 | <陽性> 顔を向けた側のExt筋のmuscle tonusが増す為、上・下肢をExtさせる。また反対側ではFlex筋のmuscle tonusが増す為、上・下肢がFlexする。 <陰性> 反応なし。 | 陽性反応は4~6ヶ月までは正常である。 ☆6ヶ月以降も陽性反応が出るようであれば、脳幹レベル(中枢神経系)の疾患による反射成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 ★ATNRが必発する場合は、いかなる年齢であっても病的と診る。 |
汎在性静的反応 general static reactions 対称性緊張性頸反射 symmetric tonic neck reflex(=STNR) | ①Prone kneeling又は検査者の両膝の上にProneで乗せ、頭部を前屈させる。 ②Prone kneeling又は検査者の両膝の上にProneで乗せ、頭部を後屈させる。 | <陽性> ①上肢をFlexさせるなど、上肢のFlex筋群のmuscle tonusが優位となり、下肢はExtのmuscle tonusが優位となる。 ②上肢をExtさせるか、上肢のExt筋群のmuscle tonusを優位にさせる。また下肢ではFlexさせるか、Flex筋群のmuscle tonusを優位にさせる。 <陰性> 反応なし。 | 陽性反応は4~6ヶ月までは正常である。 ☆6ヶ月以降も陽性反応が出るようであれば、脳幹レベル(中枢神経系)の疾患による反射成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 |
汎在性静的反応 general static reactions 緊張性迷路反射 tonic labyrinthine reflex (=TLR) ①supine ②Prone | ①Supineで頭部は中間位、両上・下肢をExtした状態から、passive的に四肢をFlexさせる。 ②Proneで頭部を中間位においた状態にさせる。 | <陽性> ①四肢をFlexさせようとしても、Ext筋群のmuscle tonusが優位となり、Flexし辛い。 ②頭部をDFlexし、肩を下げて体幹、上・下肢をExtさせる事ができずに股関節をFlexさせるなどのFlex筋群のmuscle tonusが優位になる。 <陰性> ①四肢を容易にFlexさせられる。 ②頭部、体幹、上・下肢をExt位に保持する事ができる。 | 陽性反応は4ヶ月までは正常である。 ☆4ヶ月以降も陽性反応が出るようであれば、脳幹レベル(中枢神経系)の疾患による反射成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 |
汎在性静的反応 general static reactions 連合反応 associated reaction | Supineで片側の手で何か物を強く握らせる。 | <陽性> 反対側の手に同様の動作(mirroring)が出現したり、muscle tonusの増強が診られる。 <陰性> 反応なし。又は身体に軽微なmuscle tonusが増加する。 | ☆他の異常反射を伴う患者に陽性反応が出現するさいには、脳幹レベル(中枢神経系)の疾患による反射成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 *片麻痺の場合には健側の手で行う。 |
汎在性静的反応 general static reactions 引き起こし反射 traction reflex | 前腕部を持って、SupineからSittingに引き起こして、肩関節Add筋群とFlex筋群にExt刺激を与える。 | <陽性> 肩・肘・手首・手指などの上肢全体のFlexが起こる。 <陰性> 目立った反応はない。 (Flexが起こらない!?) | 2~5ヶ月までは正常で陽性反応を示す。 ☆この反射は反射が統合されて行く時に手掌への触覚刺激によっても上肢の全Flexパターンが観られる。 *測定の際に玩具etcを持たせた状態で引き起こしを行えば、一瞬それを握る事ができる。 |
局在性静的反応 local static reactions 陽性支持反応 positive supporting reaction | Standingで体幹を支えて持ち、足底で数回跳ね上げさせる。 | <陽性> 下肢におけるExt筋群のmuscle tonusが増強する。 足関節のPFlex、膝反張、内反尖足が起こる事もある。 <陰性> 下肢を自発的にFlexさせ、特にmuscle tonusが増加する事はない。 | 陽性反応は3~8ヶ月迄は正常である。 ☆8ヶ月以降も陽性反応が出るようであれば、脳幹レベル(中枢神経系)の疾患による反射成熟遅滞を示す一徴候かもしれない。 |
局在性静的反応 local static reactions 陰性支持反応 negative supporting reaction | Standingから片脚立ちをさせて見る。 | <陽性> Ext筋群のmuscle tonusの解放が起こらず、陽性支持反応が存続する。 <陰性> 陽性支持反応によるExt筋群のmuscle tonusから解放され、足関節の直角位保持と足のFlexが可能となる。 | ☆陽性支持反応が8ヶ月以上続く場合は異常反応である。 ☆4ヶ月以上であって体重を負荷とした際に過度のFlex反応がでる場合は異常である。 *Flexができ、交互運動ができるようにExt筋群のmuscle tonusが解放される場合は正常反応である。 |
中脳レベルの姿勢反射
反射名 | 検査手技 | 反応 | 判定方法 |
頸の立ち直り反応 neck righting | Supineで頭部は中間位、上・下肢はExtさせた状態から、頭部をpassive(又はactive)で片側にRotationさせる。
| <陽性> 頭部のRotationに続き、身体全体が頭部と同様の方向に向かってRotationする。 <陰性> 体幹はRotationしない。 | 陽性反応は6ヶ月までは正常である。 ☆6ヶ月以降に陽性反応が診られる場合、中脳レベル(赤核から上部の中脳レベル)の疾患による反射発達遅滞の一徴候かもしれない。 ☆陰性反応が1ヶ月以上に診られる場合、中脳レベル(赤核から上部の中脳レベル)の疾患による反射発達遅滞の一徴候かもしれない。 ★分節的な寝返りが不可能となる。 |
身体に対する身体の立ち直り反応 body righting acting on the body | Supineで頭部は中間位、上・下肢はExtさせた状態から、頭部をpassive(又はactive)で片側にRotationさせる。 *骨盤を動かして反応させる事もある。 | <陽性> 頭部のRotationに続き、両肩のRotationが起こり、最後に骨盤がRotationし身体を分節的に動かす。 <陰性> “neck righting”が起こり、分節的には動かない。 | 陽性反応は約6ヶ月で発現し、その後18ヶ月まで存続する。 ☆陰性反応が6ヶ月以上にわたって診られる場合は、中脳レベル(赤核から上部の中脳レベル)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
頭部に対する迷路性立ち直り反応 labyrinthine righting acting on the head
| ①閉眼でProneにした状態を空間で保持する。 (空中に持ち上げる) ②閉眼でSupineにした状態を空間で保持する。 (空中に持ち上げる) ③Standingで閉眼にした状態から、骨盤付近を支えて持ち上げ、そのまま左右に傾ける。
| <陽性> 頭部を正常の体位に上げ、顔面は垂直にし、口は水平に保つ。 <陰性> 頭部をactiveでは正常の位置に上げて来ない。
| ①陽性反応は正常で、約1~2ヶ月に出現、以後、生涯継続する。 ②陽性反応は正常で、約6ヶ月で発現、以後生涯を通じて診られる。 ③陽性反応はで、約6~8ヶ月に発現、以後、生涯持続する。 ☆陰性反応が ①では2ヶ月 ②では6ヶ月 ③では8ヶ月 以上に及ぶ場合は、中脳レベル(赤核から上部の中脳レベル)の疾患による反射発達遅滞の一徴候かもしれない。 |
両棲動物的反応 amphibian reaction | Proneで頭部は中間位、下肢はExt位、上肢を頭部の方向にExtさせた状態から、骨盤の片側を持ち上げる。 *身体をひっくり返すかのように動かす | <陽性> 同側の上肢、股関節、膝関節がactiveでFlexする。 <陰性> 反応なし。 | 陽性反応は6ヶ月に出現し、以後、生涯持続する。 ☆陰性反応が6ヶ月以降も診られるような場合は、中脳レベル(赤核から上部の中脳レベル)の疾患による反射発達遅滞の一徴候かもしれない。 |
頭部に対する視覚性立ち直り反応 optical righting *あらゆる体位における視覚的立ち直り反射は迷路性立ち直り反射が存在しない場合にのみ有効である。 | ①開眼でProneにした状態を空間で保持する。 (空中に持ち上げる) ②開眼でSupineにした状態を空間で保持する。 (空中に持ち上げる) ③Standingで開眼にした状態から、骨盤付近を支えて持ち上げ、そのまま左右に傾ける。 | <陽性> 頭部を正常の体位に上げ、顔面は垂直にし、口は水平に保つ。 <陰性> 頭部をactiveでは正常の位置に上げて来ない。
| ①陽性反応は正常の場合には、“頭部に対する迷路性立ち直り反射”のすぐ後(1~2ヶ月)に出現し、以後生涯持続する。 ②陽性反応は正常の場合は6ヶ月頃に発現し、その後生涯持続する。 ③陽性反応は正常には約6~8ヶ月に発現し、その後生涯持続する。
☆陰性反応が ①では2ヶ月 ②では6ヶ月 ③では8ヶ月 上記の時期以後になってもみられる場合は、中脳レベル(赤核から上部の中脳レベル)の疾患による反射発達遅滞の一徴候かもしれない。 |
自動運動反応 automatic movement reaction モロー反射 Moro reflex | Long sittingで上肢を支え、その状態から頭部を後方に落とす。
| <陽性> 上肢のAbd、Ext(Flex)、OutRot、各指のExtとAbdが起こる。 <陰性> 驚愕反応は軽微または全く起こらない。 | 陽性反応は出生から4ヶ月までは正常である。 4ヶ月以降の陰性反応は正常である。 ☆4ヶ月以降になっても陽性反応が出現する場合には、反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
自動運動反応 automatic movement reaction ランドー反射 Landau reflex | Proneを胸郭部分で支え、そのまま空間に保持した状態からpassive(もしくはactive)で頭部をElevさせる。 | <陽性> 脊椎と下肢はExtする。 *頭部を前屈させると、脊柱と下肢はFlexする。 <陰性> 脊椎と下肢はFlexする。 | 陽性反応は6ヶ月~2年半までは正常である。 また陰性反応が出生から6ヶ月まで及び2年半以降生涯に渡って発現する場合は正常である。 ☆2年半以降に陽性反応がでる場合には、反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
自動運動反応 automatic movement reaction 保護伸展反射 (パラシュート反射) protective extension reflex of the arm 下方保護伸展反射 downwarda protective extension reflex of the arm | Proneで上肢は頭の方向にExtした状態から、足部または骨盤を持って空中に吊るし、突然に頭部を床に向かって落とすように動かす。 | <陽性> ただちに上肢をExtし、かつ手指をAbd、Extさせて頭部を保護し様とする。 <陰性> 上肢で頭部を保護しようとしないで、ATNRやSTNRのような原始的反射を示す。
| 陽性反応が正常では6ヶ月に発現し、その後は生涯診うけられる。 ☆陰性反応が6ヶ月以降になっても診られる場合は、反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
自動運動反応 automatic movement reaction 保護伸展反射 (パラシュート反射) protective extension reflex of the arm 前方保護伸展反射 forwards protective extension reflex of the arm | 胸部で支えHhorizontal Proneを保持し、その状態から頭部と上半身を急激に落とすように動かす。 | <陽性> 肩関節をFlexし、肘関節をExtして体幹を支えようとする。 <陰性> 落下に対して体幹を支えようとする反応はない。 | 陽性反応は正常では、生後6~7ヶ月で発現し、その後は生涯継続する。 ☆陰性反応が7ヶ月以降に出現するようであれば、反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
自動運動反応 automatic movement reaction 保護伸展反射 (パラシュート反射) protective extension reflex of the arm 側方保護伸展反射 sideways protective extension reflex of the arm | Long sittingまたはあぐら坐位に対して、肩または側胸部を側方に押して体幹のバランスを崩させる。 | <陽性> 押した方とは反対側の肩関節Abd、肘関節Ext、手指Abd、Extが起こり、体幹を支える。 <陰性> バランスを崩しても、体幹を支える反応は診られない。 | 陽性反応は正常では7ヶ月で出現し、その後は生涯継続する。 ☆陰性反応が7ヶ月以降に出現する場合には、反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
自動運動反応 automatic movement reaction 保護伸展反射 (パラシュート反射) protective extension reflex of the arm 後方保護伸展反射 backwards protective extension reflex of the arm | Long sittingまたはあぐら坐位に対して、肩または前胸部を後方に押して体幹のバランスを崩させる。 | <陽性> 両上肢を後方にExtさせて体幹を支える。 <陰性> バランスを崩しても、体幹を支える反応は診られない。 | 陽性反応は正常では9~10ヶ月で出現し、その後は生涯継続する。 ☆陰性反応が10ヶ月以降に出現する場合には、反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
脳皮質レベルの姿勢反射
反射名 | 検査手技 | 反応 | 判定方法 |
傾斜反応 tilting reaction 背臥位傾斜反応 Supine | 傾斜台上にSupineで寝かせ、台をゆっくりと傾斜させる。
| <陽性> 頭部と胸郭に立ち直りが起こり、Elevした側の上・下肢がAbdとExtし、降下した側に保護的反応が観られる。 <陰性> 頭部や胸郭の立ち直りは無く、平衡反応や保護的反応は起こらない。 | 約6ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が6ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 *頭部と胸郭以外の部位に陽性反応が出る事はある。 |
傾斜反応 tilting reaction 腹臥位傾斜反応 Prone | 傾斜台上にProneで寝かせ、台をゆっくりと傾斜させる。
| <陽性> 頭部と胸郭に立ち直りが起こり、Elevした側の上・下肢がAbdとExtし、降下した側に保護的反応が観られる。 <陰性> 頭部や胸郭の立ち直りは無く、平衡反応や保護的反応は起こらない。 | 約6ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が6ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 *頭部と胸郭以外の部位に陽性反応が出る事はある。 |
傾斜反応 tilting reaction 四つ這い反応 Prone kneeling (Four foot Kneeling) | Prone kneelingの状態から体幹を片側に押しつけて傾けさせる。 | <陽性> 体幹の傾斜側と反対の上・下肢がAbd、Extする。 <陰性> 立ち直り反応、平衡反応、保護的反応が起こらない。 | 約8ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆8ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
傾斜反応 tilting reaction 坐位反応 Sitting | Sitting(椅子坐位)から片側に引っ張るか、傾ける。
| <陽性> 引っ張った側と反対側の上・下肢がAbdとExtする。 <陰性> 立ち直り反応、平衡反応、保護的反応が起こらない。 | 約10~12ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が12ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
傾斜反応 tilting reaction 膝立ち反応 kneel standing | kneel standingの状態から片側に引っ張るか、傾ける。 | <陽性> 引っ張った側と反対側の上・下肢がAbdとExtする。 <陰性> 立ち直り反応、平衡反応、保護的反応が起こらない。 | 約15ヶ月から陽性反応が出現し、その後は生涯持続する。 ☆15ヶ月以降にも観られる場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
ポップ反射 hopping reflexes ①左右方向 ②前後方向 | ①Standingで両上肢(両肩)を支えた状態から身体を急激に左右にどちらかに振るように動かす。 ②Standingで両上肢(両肩)を支えた状態から身体を急激に前後にどちらかに振るように動かす。
| <陽性> ①平衡を維持する為に傾けた側に足を踏み出して、頭部と胸郭部を立ち直らせる。 ②平衡を維持する為に前または後方向に足を踏み出して、頭部と胸郭部を立ち直らせる。 <陰性> 頭部と胸郭部の立ち直りは起こらず、傾けたままの状態になる。 | 陽性反応は正常では約15~18ヶ月に発現し、その後は生涯持続する。
☆陰性反応が18ヶ月以降にも診られるような場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
背屈反射 Dorsiflexion reflex | Standingで身体を腋窩部分で支え、そのまま後方に傾ける。 | <陽性> 頭部と胸郭部に立ち直りが起こり、足関節のDFlexが起こる。 (つま先が上がる。) <陰性> 頭部と胸部の立ち直りが起こらず、傾けたままの状態となりDFlexも見られない。 | 陽性反応は正常で約15~18ヶ月に出現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が18ヶ月以降にも診られるような場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
シーソー反射 See-Saw reflex | Standingで同片側の手と足を握り、股関節と膝関節をFlexさせた状態から、前方に静かに引っ張り、更に側方にも静かに引っ張る。 | <陽性> 頭部と胸郭部が立ち直りを示し、平衡を維持する為に検査者に捕まれている側の足部に軽度Abdと全Extが起こる。 <陰性> 頭部と胸郭部の立ち直りが起こらず、Standingを保持する事が不可能となる。 | 陽性反応は正常では約15ヶ月に発現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が15ヶ月以降にも診られるような場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
サルの体位反射 Simian Position reflex | 両手を床に着けて、うずくまった様な姿勢から一側に向けて傾ける。 | <陽性> 頭部と胸郭部に立ち直りが起こり、傾けた側と反対側の上・下肢のAbdとExtによって平衡を保とうとする。 <陰性> 立ち直りが起こらず、体位を整えたり、その状態を維持する事が不可能となる。また平衡反応や保護的反応も観られない。 | 陽性反応は正常で約15~18ヶ月に出現し、その後は生涯持続する。 ☆陰性反応が18ヶ月以降にも診られるような場合には、脳皮質レベル(脳皮質、基底神経節、小脳etc)の疾患による反射性成熟遅滞の一徴候かもしれない。 |
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