理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、評価ポイント解説シリーズ。
今回は、「バイタルサイン」です。
患者のリスク管理をするため、バイタルサインの測定は必須項目です。
正常値から逸脱をしていたら、リハビリを実施することは出来ないかもしれません。
もし、バイタルサインが異常を示しているにも関わらず負荷をかけてしまったら、病状を助長させてしまう恐れもあります。
今回は、評価ポイントの解説に加えて、「バイタルサイン」の記載に最適な評価シートを用意したので、ダウンロードして実習に臨んでください。
もちろん、ダウンロードは無料です。
実習に最適!「バイタルサイン」の記録用紙(評価シート)無料ダウンロード
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バイタルサイン(カンペあり)は、各測定の正常値とアンダーソン・土肥の運動基準を載せています。
一方、バイタルサイン(カンペなし)は、各測定の正常値のみを記載しており、その分書き込み欄を多く設けています。
カンペを見なくても運動基準が頭に入っている人は、経過を追うことができるバイタルサイン(カンペなし)の活用をオススメします。
バイタルサインを測定するときのポイント!
バイタルサインを測定するときのポイントは以下の通りです。
バイタルサインを測定するときのポイント
- その患者に必要なバイタルサインを測定する
- できるだけ素早く、正確に測定する
- 測定する場所に気をつける
step
1その患者に必要なバイタルサインを測定する
教科書に載っているバイタルサインを、すべて測定しようとする学生が一定数います。
学生なら仕方ない、評価実習なら仕方ないという見方もあるかと思いますが、「その患者に必要なバイタルサインを測定する」ということは、常に頭に置いておきましょう。
おそらく、「血圧」「脈拍(心拍数)」「体温」「SpO2」は、どの患者にとっても必須項目かと思われます。
しかし、明らかに意識が生命な患者に対して毎回「GCS」を評価していたり、呼吸疾患がない、かつ体力にも優れている患者の呼吸数を60秒間しっかりと測定していることも良く見かけます。
バイタルサインは、患者のリスク管理を目的としています。
教科書に載っていることをすべて測定するのではなく、あなたの目の前にいる患者に必要な項目を選ぶようにしましょう。
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2できるだけ素早く、正確に測定する
バイタルサインの測定は、素早くできるに越したことはありません。
リハビリの時間は有限です。
あなたの役割はリハビリを提供することなので、バイタルサインの測定はできるだけ素早くできるように訓練しておきましょう。
しかし、素早く出来たとしても正確性に欠けていたら意味がありません。
「できるだけ素早く、そして正確に測定する」ことを心がけましょう。
実習前に、学生同士で練習を重ねておくのもいいかもしれませんね。
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3測定する場所に気をつける
バイタルサインは、測定する場所にも気をつけましょう。
以前、私が担当した学生から「左右差を図りたいので、両腕で血圧を測っても良いでしょうか」と質問を受けました。
私が、「あの患者さん、左手にシャント入ってるよ?」と伝えると、「学校で左右差は大事と言われたので…」と答えました。
ご存知かと思いますが、シャントが入っている側での血圧測定は避けるべきです。
この会話は、患者ではなく教科書、または学校で習ったことを優先していることを表しています。
我々は、患者の状態を最優先にして、臨機応変に物事を考えていく必要があります。
バイタルサインを測定する場所に気をつけること、そして患者の状態によって柔軟に測定方法を変えるようにしましょう。
実習に必須!よく用いられているバイタルサインの基準値
ここからは、現場でよく用いられているバイタルサインを測定する上での基準値をご紹介してまいります。
ダウンロード(pdf)も無料でできるので、必要な方はぜひご活用ください。
アンダーソン・土肥の運動基準
アンダーソン・土肥の運動基準は、リハビリにおける運動療法のリスク管理に使用されます。
Ⅰ.訓練を行わないほうが良い場合 | |||||||||
1.安静時脈拍120/分以上 | |||||||||
2.拡張期血圧120mmHg以上 | |||||||||
3.収縮期血圧200mmHg以上 | |||||||||
4.労作狭心症を現在有するもの | |||||||||
5.新鮮な心筋梗塞が1ヶ月以内のもの | |||||||||
6.うっ血性心不全の所見が明らかなもの | |||||||||
7.心房細動以外の著しい不整脈 | |||||||||
8.訓練前にすでに動悸,息切れがあるもの | |||||||||
Ⅱ.途中で訓練を中止する場合 | |||||||||
1.訓練中,中等度の呼吸困難,めまい,吐気,狭心痛などが出現した場合 | |||||||||
2.訓練中,脈拍140/分を超えた場合 | |||||||||
3.訓練中,1分間10個以上の期外収縮が出現するか,頻脈性不整脈(心房細動,上室性または心室性頻脈など)あるいは徐脈が出現した場合 | |||||||||
4.訓練中,収縮期血圧40mmHg以上または拡張期血圧20mmHg以上上昇した場合 | |||||||||
Ⅲ.次の場合は訓練を一時中止し,回復を待って再開する | |||||||||
1.脈拍数が運動前の30%を越えた場合,ただし2分間の安静で10%以下に戻らない場合は,以後の訓練は中止するか,または極めて軽労作のものに切り替える | |||||||||
2.脈拍が120/分を越えたとき | |||||||||
3. 1分間に10回以下の期外収縮が出現した場合 | |||||||||
4.軽い動悸,息切れを訴えた場合 |
アンダーソン・土肥の運動基準のダウンロード
Fletcher-Hugh-Jones分類(ヒュー・ジョーンズの基準)
Fletcher-Hugh-Jones分類(ヒュー・ジョーンズの基準)は、呼吸器疾患患者に対する運動機能と呼吸困難からみた重症度評価基準です。
重症度 | 症状 | ||||||||
Ⅰ度:息切れなし | 同年齢の健常人と同様の歩行ができ,歩行,階段昇降も健常人並にできる. | ||||||||
Ⅱ度:軽度の息切れ | 同年齢の健常人と同様に歩行できるが,坂,階段は健常人並にできない. | ||||||||
Ⅲ度:中程度の息切れ | 平地さえ健常人並に歩けないが自分のペースなら1.6km以上歩ける. | ||||||||
Ⅳ度:高度の息切れ | 休みながらでなければ50ヤード(約46m)以上歩けない. | ||||||||
Ⅴ度:きわめて高度の息切れ | 会話,着物の着脱も息切れする.息切れのため外出できない. |
Fletcher-Hugh-Jones分類(ヒュー・ジョーンズの基準)のダウンロード
Fletcher-Hugh-Jones分類(ヒュー・ジョーンズの基準)(pdf)
Japan Coma Scale(JCS)による意識障害の分類
Japan Coma Scale(JCS)は、意識障害の分類に用いられる評価基準の一つです。
Ⅰ.刺激しないでも覚醒している状態 | |||||||||
0.意識清明 | |||||||||
1.意識鮮明だが,今一つはっきりしない | |||||||||
2.見当識障害がある | |||||||||
3.自分の名前,生年月日がいえない | |||||||||
Ⅱ.刺激すると覚醒する状態 | |||||||||
10.普通の呼びかけで容易に開眼する | |||||||||
20.大きな声または体を揺さぶることで開眼する | |||||||||
30.痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼する | |||||||||
Ⅲ.刺激しても覚醒しない状態 | |||||||||
100.痛み刺激に対し払いのけるような動作をする | |||||||||
200.痛み刺激に対して足を動かしたり顔をしかめる | |||||||||
300.痛み刺激に反応しない |
Glasgow Coma Scale(GCS)による意識障害の分類
Glasgow Coma Scale(GCS)は、意識障害の分類に用いられる評価基準の一つです。
分類 | スコア | ||||||||
開眼(E) | ・自発的に開眼 | 4 | |||||||
・呼びかけにより開眼 | 3 | ||||||||
・痛み刺激により開眼 | 2 | ||||||||
・開眼なし | 1 | ||||||||
言葉による最良の返答(V) | ・見当識あり | 5 | |||||||
・錯乱した状態 | 4 | ||||||||
・不適当な言葉 | 3 | ||||||||
・理解できない言葉 | 2 | ||||||||
・発語なし | 1 | ||||||||
運動による最良の応答(M) | ・命令に従う | 6 | |||||||
・痛み刺激に対して手で払いのける | 5 | ||||||||
・痛み刺激に対して四肢を引っ込める | 4 | ||||||||
・痛み刺激に対して以上な屈曲運動 | 3 | ||||||||
・痛み刺激に対して以上な進展運動 | 2 | ||||||||
・全く動かさない | 1 |
JCS・GCSによる意識分類のダウンロード
【実習】意識障害の評価ポイント!【評価用紙ダウンロード可】
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