今回は、訪問看護に転職を考えている看護師・リハビリスタッフ(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)に、訪問看護ステーションの選び方をお伝えしてまいります。
訪問看護は、在宅にお伺いしてケアやリハビリなどを提供します。
しかし、一口に「訪問看護」といっても、訪問看護ステーションの特徴によって、働き方はまったく異なります。
「会社の雰囲気が合わない…。」
「事務仕事が多すぎる…。」
「訪問1日8件はキツイよ…。」
私は訪問看護ステーションで人事をしており、今まで200名以上のスタッフを面接してきました。
転職に失敗したくない! そんな方は、ぜひ最後まで読んでみてください。
訪問看護ステーションの選び方【21のチェックポイント】
訪問看護ステーションに転職をするとき、以下のチェックポイントを確認しましょう。
チェックポイント
- 通勤時間
- 給料
- 前年度の賞与実績
- 福利厚生
- 理念
- 訪問エリア
- 訪問の移動手段
- 平均訪問件数
- 1ヶ月の新規利用者数
- 同行の有無・期間
- スタッフの人数
- スタッフの年齢層
- リハビリスタッフの割合
- 事務員の人数
- サテライト(支店)の数
- 要介護・要支援の割合
- 社長は医療関係者か
- ステーションの清潔感
- 面談室の有無
- オンコールの有無
- 精神科訪問看護の有無
通勤時間
重要度:
訪問看護ステーションへの転職に限らず、通勤時間は必須ポイントです。
都内の通勤時間は平均90分なんて言われていますが、「近ければ近いほど良い」ということは抑えておきましょう。
理想は30分以内です。
よく、「家が近すぎるとオンコールを持たされやすくなるんじゃない?」とご質問をいただきますが、ほとんどの訪問看護ステーションにおいて関係ないと言えるでしょう。
なぜなら、オンコールは必ずしも出動しなければならないという訳ではありません。電話対応のみで済むパターンが多いからです。
それでも、オンコールに対する抵抗があるのであれば、「オンコールのない訪問看護ステーション」に絞って転職活動をしましょう。
給料
重要度:
もちろん、転職するにあたって給料アップは目指したいところです。
地域差があるので一概には言えませんが、都内や大都市と呼ばれる地域(神奈川県・埼玉県・大阪府・兵庫県など)であれば、最低30万円〜は欲しいところです。
ただ、訪問看護には「インセンティブ」という訪問に行った分だけ給料が高くなる制度を導入しているところも多いので、ボーナスを含めた「年収」で考えることが重要でしょう(参考記事:インセンティブで稼ぎたい人が転職すべき訪問看護ステーションの特徴5選)。
インセンティブで稼ぎたい人が転職すべき訪問看護ステーションの特徴5選
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どちらにしろ、通勤範囲内にある訪問看護ステーションを徹底的に比較検討することが重要です。
比較検討は、求人数が多い転職サイトに登録をすると楽にできます。
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前年度の賞与実績
重要度:
賞与が多ければ多いほど良いと考えがちですが、その分基本給を下げている場合もあります。
「年収で考えたときにどのくらいになるか」という視点で比較をしてみてください。
また、多くの訪問看護ステーションの賞与は、「業績に応じる」と記載されています。
「実は今まで一度も支払われたことがなかった!」という訪問看護ステーションも良くあるので、「前年度の賞与実績」は確認しておきましょう。
この点、直接聞きにくい部分だと思うので、転職サイトのコンサルタント経由で聞いてもらえば良いでしょう。
福利厚生
重要度:
交通費・家族手当・住宅手当(家賃補助)・資格取得手当などが代表的な福利厚生です。
給料・賞与の部分で「年収ベースで考える」とお伝えしましたが、福利厚生も大きく関わります。
例えば、家賃補助が3万円まで出る訪問看護ステーションと、家賃補助がない訪問看護ステーションだと、単純計算で36万円/年の差が生じてしまいます。
福利厚生は求人情報に載っていますが、不明な場合はコンサルタントに聞いてもらいましょう。
理念
重要度:
訪問看護ステーションのホームページを覗くと、その会社の理念が記載されています。
理念とは、会社の根底にある考え方です。
正直、私が転職活動をしていたとき、理念なんてほとんど見ていませんでした(面接対策でチェックするくらい)。
ただ、人事で何人も面接をする中、「理念に合わない人ほどすぐに辞める」ことがわかりました。
理念を読んで、「あ!私が大切にしてることと同じだ!」と思える場所に出会えるとベストですね。
具体的かつ分かりやすい理念の訪問看護ステーションを選ぶと良いでしょう。
特に、訪問看護ステーションで役職に就きたいと考えている人にとってはかなり重要なポイントです。(参考記事:役職に就きたい人が転職すべき訪問看護ステーションの特徴3選)。
役職に就きたい人が転職すべき訪問看護ステーションの特徴3選
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訪問エリア
重要度:
訪問看護ステーションで働くにあたり、「移動が疲れる」という悩みは尽きません。
特に自転車移動の訪問看護ステーションでは、体力勝負の側面もあるでしょう。
その点、訪問エリアが狭ければ、移動距離は少ないことが想定できます。
体力に自信がない人は、訪問エリアが狭い訪問看護ステーションを選びましょう。
あくまでも都内で働いている私の肌感を申しますと、「事務所から半径4km以内」の訪問エリアでしたら無理なく働けるのではないかと思っております。
また、訪問エリアが狭ければ訪問する件数も増やせるので、インセンティブで稼ぎたい人にとっても重要なポイントとなります。
訪問の移動手段
重要度:
体力に自信がない人は訪問エリアに加えて、訪問の移動手段もチェックしましょう。
自転車だけなのか、車や原付バイクも用意されているのか。
車が用意されていれば、体調が優れない日でも無理なく安心して働くことができます。
妊娠を考えている人にとっても重要なポイントです(参考記事:【訪問看護の選び方】体力に自信がない人が転職すべき訪問看護ステーションの特徴は?)。
【訪問看護の選び方】体力に自信がない人が転職すべき訪問看護ステーションの特徴は?
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意外と求人には掲載されていない情報なので、転職サイトのコンサルタントに聞くのが一番早いでしょう。
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リハ職にオススメ転職サイトまとめ平均訪問件数
重要度:
無理なく働くためには、移動手段に加えて訪問件数も重要です。
訪問看護ステーションの中には、訪問件数をノルマ化している場所もあります(参考記事:看護師の残業は当たり前!?そんな古い考えの職場は今すぐ転職を!)。
看護師の残業は当たり前!?そんな古い考えの職場は今すぐ転職を!
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実際、多すぎる訪問件数に体力がついていかず、転職を決意した人もいます。
理想は個人の体力に合わせて件数を調整してくれることですが、「平均5件/日」くらいでしたら無理なく働けるのではと思います。
逆に、インセンティブで稼ぎたい人は数多く訪問に回ることが重要なので、平均ではなく「一番訪問をしているスタッフの件数」を聞くようにしましょう。
1ヶ月の新規利用者数
重要度:
たくさん訪問に回って稼ぎたい人にとっても、無理なく働きたい人にとっても、「1ヶ月の新規利用者数」は重要です。
基本的に、1ヶ月の新規利用者数が多い訪問看護ステーションを選ぶようにしましょう。
なぜなら、訪問は利用者がいなければ成り立たないので、定期的に新規が来ないとあなたは仕事をすることができません。
特に転職したばかりは何もすることなく、事務所でひたすらボーッとする時間が増え、徐々に居心地が悪くなってしまいます。
「こんなはずじゃなかった」と、すぐに再転職する人が多いステーションの特徴でもあります。
正直失敗した!すぐに再転職した訪問看護ステーションの特徴9選
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インセンティブで稼ぎたい人も同様です。
1ヶ月の新規利用者数は10名以上いれば安心でしょう。
同行の有無・期間
重要度:
昨今は、多くの20代の看護師・リハビリスタッフが訪問看護ステーションで活躍をしています。
新卒で入職する人も珍しくはありません。
しかし、業界的にはまだまだ未熟と言われる年齢であり、不安を抱えている人もいるでしょう。
その際、「同行があるかないか」と、ある場合は期間を聞いておけば安心です。
中には、「何もわからない中、初日から一人で訪問に行かされた!」というケースも存在します。
同行があれば、先輩のスタッフが直接指導をしてくれます。
期間は経験年数にもよりますが、1ヶ月〜3ヶ月程度設けてくれれば安心でしょう。
一人で訪問することに不安がある人のためは、フィジカルアセスメント集を参考にしてください!現場であるあるの事例を18つも収録しています!
参考記事:フィジカルアセスメント事例集販売ページ
スタッフの人数
重要度:
訪問看護ステーションは基本的に外回りが多いので、事務所にいる時間は多くありません。
しかしその分、事務所にいる時間はより密になる傾向があります。
スタッフが多い訪問看護ステーションと少ない訪問看護ステーションでは事務所の雰囲気がガラッと変わるので、あなたの性格などを考慮して決めてください(参考記事:【訪問看護の選び方】スタッフの人数は多いほうが良い?少ないほうが良い?【転職】)。
スタッフの年齢層
重要度:
基本的に、スタッフの年齢層は自分の年齢に近い方が良いでしょう。
ただ、「先輩が多い方が落ち着く」など、人それぞれ感覚は異なると思うので一概には言えません。
一点、上司が年上か年下かは確認しておきましょう。
昨今の訪問看護ステーションは、20代〜30代の管理者が急増しています。
年下の上司でも学べる部分は多くあると思いますが、「年下に敬語を使うのは無理!」という人は避けた方が良いでしょう(参考記事:【訪問看護の選び方】年下上司の訪問看護ステーションに転職はあり?)。
【訪問看護の選び方】年下上司の訪問看護ステーションに転職はあり?
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リハビリスタッフの割合
重要度:
令和3年の介護報酬改定以降、かなり重要なポイントとなりました。
上記改定で、訪問看護ステーションは「看護師:リハビリスタッフ=6:4」の割合が望ましいと方針を打ち出しました。
そのため、リハビリスタッフがあまりにも多すぎる訪問看護ステーションは国の方針に反していると捉えて良いでしょう。
何処かのタイミングで、リハビリスタッフを一斉に解雇することも十分に考えられます。
事務員の人数
重要度:
看護師・リハビリスタッフの人数に加えて、事務員の人数も重要です。
訪問看護ステーションで働く悩みの一つに、「事務仕事が多すぎる」というものがあります。
月末月初に作成する「訪問看護計画書」と「訪問看護報告書」が代表です。
もちろん、作成は訪問をしているスタッフにしかできませんが、そのあとの「印刷〜封入〜郵送」が意外とめんどくさくて時間を取られます。
その点、事務員がいる訪問看護ステーションは、この一連の流れを行ってくれます(訪問看護ステーションによる)。
看護師・リハビリスタッフの負担が軽減できて、残業が少なくなることも予想されます。
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サテライト(支店)の数
重要度:
訪問看護ステーションには、「指定」と「サテライト(支店)」があります。
サテライト(支店)は、名称の語尾に「〇〇支店」や「〇〇サテライト」と記載されているのが特徴です。
個人的に、サテライト(支店)の数が多すぎる訪問看護ステーションはオススメしません。
なぜなら、「職員のほとんどがリハビリスタッフ」である確率が高いからです。
リハビリスタッフが多すぎると良くない理由は前述した通りです。
看護師が在籍していたとしても、サテライトは「売上が乏しくなったらすぐ潰す」傾向にもあるため、安定して働ける確証もありません。
個人的には、1つの指定訪問看護ステーションに1〜2つ程度のサテライトなら良しと判断します。
サテライト(支店)が多い訪問看護ステーションへの転職はダメって本当?【選び方】
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要介護・要支援の割合
重要度:
「リハビリスタッフの割合が多すぎる」「サテライト(支店)の数が多い」に通じますが、このような訪問看護ステーションの特徴として、「要支援の割合が多い(軽症者が多い)」ことが挙げられます。
なぜなら、看護師が少ない・もしくはいないので、医療的なフォローができないのです。
この点にも国から指摘が入り、訪問看護ステーションにおける要支援者への訪問は減算処置が取られました。
要支援が多い訪問看護ステーションは売り上げも落ちていくので、賞与が出ないことも十分に考えられます。
社長は医療関係者か
重要度:
訪問看護ステーションに関わらず、会社には社長の意向や考えが染み渡っています。
その点、訪問看護ステーションにとって、社長が医療関係者かどうかは重要なポイントです。
社長が医療関係者の場合は現場の理解に強い、医療関係者ではない場合は新しいことにチャレンジできるといった特徴が表れやすくなります。
どちらにもメリット・デメリットがあるので、自分の求めている働き方と照らし合わせてみてください(参考記事:【訪問看護の選び方】社長は医療関係者(看護師・リハ職)が良いって本当?【転職】)。
【訪問看護の選び方】社長は医療関係者(看護師・リハ職)が良いって本当?【転職】
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ステーションの清潔感
重要度:
意外に思われるかもしれませんが、個人的にはかなり重要視しています。
なぜなら、ステーションの清潔感を見るだけで「指揮統一ができているか」「個人個人で動いていないか」など、様々な要素を推察することができるからです。
そのため、私はまずは面接の前に見学することをオススメしています。
見学をすれば清潔感以外にもスタッフの対応や職場の雰囲気もわかるため、失敗の確率をグッと減らすことができます(参考記事:【訪問看護に転職】いきなり面接は行かないで!まずはステーションの見学に行こう。)。
【訪問看護に転職】いきなり面接は行かないで!まずはステーションの見学に行こう。
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面談室の有無
重要度:
訪問看護は基本的に一人で行動するため、悩みも一人で抱えがちになります。
その日のうちに悩みを解決できず、家に持ち帰ってしまうことも少なくありません。
これは面談室のない訪問看護ステーションでよく見られる現象です。
面談室があれば、「ちょっと話があるんですけど」と上司を誘うことができます。
また、上司から「ちょっと話そうか」と声をかけてもらうこともできます。
悩みを小出しにすることができるので、精神衛生を良好に保ったまま仕事を続けることができます。
この点もステーションを見学した時にチェックすれば良いでしょう。
オンコールの有無(看護師専用)
重要度:
事実、訪問看護のオンコールに悩む看護師は数多くいらっしゃいます(参考記事:訪問看護のオンコールがつらい!明日からゆっくり眠れる解決策と転職方法)。
訪問看護のオンコールがつらい!明日からゆっくり眠れる解決策と転職方法
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オンコールがきっかけで退職・転職を決意した人も少なくありません。
訪問看護のオンコールは深夜・早朝・休日関わらず利用者から直接かかってくるため、看護師の負担はかなり大きいです。
人それぞれの考えによりますが、あまりにもオンコールの頻度が高い訪問看護ステーションは避けたほうが無難でしょう。
自信がない人は「オンコールのない訪問看護ステーション」に絞って転職活動をするのもアリだと思います。
外目からは分かりにくい部分なので、転職サイトのコンサルタントにピックアップしてもらうと良いでしょう。
精神科訪問看護の有無(看護師・作業療法士専用)
重要度:
精神疾患を抱えた利用者に対して訪問看護をすることを、精神科訪問看護と呼びます。
精神科訪問看護は、看護師か作業療法士しか訪問できません。
精神科訪問看護の特徴は、「合わない人にはとことん合わない」ということです。
自分の精神まで病んでしまうスタッフも多くみてきました(参考記事:精神科の訪問看護が怖い…。うつ病一歩手前まで陥った看護師が実践した3つの解決策)。
精神科の訪問看護が怖い…。うつ病一歩手前まで陥った看護師が実践した3つの解決策
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過去にトラウマがある人や、そもそも精神疾患を見るのが苦手という人は、精神科訪問看護をしていない訪問看護ステーションを選ぶと良いでしょう。
オンコール同様、転職サイトのコンサルタントにピックアップしてもらうと手間が省けます。
【21のチェックポイント】無料ダウンロード
ご紹介した21のチェックポイントを一覧にしてまとめました。
もちろん、ダウンロードは無料なのでぜひご活用ください。
まとめ | すべてのチェックポイントを満たさないとダメなの?
以上、訪問看護ステーションの選び方として21つのチェックポイントをご紹介しました。
正直、すべてのチェックポイントをクリアできる訪問看護ステーションと出会うのは至難の業でしょう。
自分の中で優先度をつけて、多くの訪問看護ステーションを比較することが重要です。
訪問看護ステーションの比較は、転職サイトを利用すると楽にできます。
優先度が高いチェックポイントを転職サイトのコンサルタントに伝えれば、該当する訪問看護ステーションを代わりにピックアップしてくれます。
給料交渉や面接日程の調整も行ってくれるので、失敗の確率をグッと下げることができます。
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