訪問看護ステーションで働く上で、訪問看護指示書にまつわるトラブルはつきません。
・指示期間がめちゃくちゃ…
・医師の捺印がない…
・リハビリの頻度の記載がない…
・ホーンヤールの記載がない…
このような悩みを抱えている方が多いのではないでしょうか。
私も長年、訪問看護ステーションで所長をしていましたが、数多くのトラブルに見舞われました。
この記事では、私の経験をもとに、「トラブルにならない訪問看護指示書の依頼方法」をお伝えします。
訪問看護指示書の依頼時に同封をすることで、圧倒的にトラブルを減らせる書類も紹介しています。
ダウンロードは無料なので、ぜひみなさまの業務にご活用くださいませ。
また、令和3年の介護報酬改定・令和4年の診療報酬改定により、リハビリ専門職が介入する場合、具体的な指示内容と頻度の記載が必須となりました。
その点に関するトラブルも減らせるよう解説してまいります。
訪問看護指示書の依頼にまつわるトラブルと解決方法
訪問看護指示書にまつわる、あるあるのトラブルを大きく分けると、以下のようになります。
・訪問看護指示書の「指示期間」に関するトラブル
・訪問看護指示書の「指示内容」に関するトラブル
それでは、各トラブルの解決方法を具体的にお伝えしていきましょう。
訪問看護指示書の指示期間に関するトラブル
まずは、訪問看護指示書の「指示期間」に関するトラブルです。
みなさまご存知の通り、訪問看護指示期間は最長6ヶ月と決められています。
しかし、知らない医師は意外と多いのです。
ただ単に、「指示書記載をお願いします」とお願いするだけでは、6ヶ月以上の期間を設定してくる事がよくあります。
このような指示書が届いた場合は、再依頼をしなければなりません。
また、指示書の開始日に関しても、訪問看護ステーションの思い通りにならない事があります。
例えば、新規利用者の指示書依頼をするケースです。
ケアマネジャーから早急な介入をお願いされている場合や、家族の介護放棄があって早急な介入が必要と判断している場合でも、医師が訪問看護指示書を書いてくれなければ介入する事ができません。
4月1日に指示書依頼をしたとしても、届いた指示書を確認したら開始日が5月1日になっていることもよくあります。
その点、こちらから指示書の開始希望日を提示してしまうことはかなり有効です。
「令和〇年〇月〇〇日〜の開始日でお願いいたします」
この一筆を添えるだけで、現場のスピード感と乖離のない指示書依頼をする事ができます。
この方法は、継続時の依頼にも効果的です。
例えば、既存の訪問看護指示書が「令和3年4月1日〜9月30日」だった場合、「令和3年10月1日〜」の指示書を継続依頼することとなります。
しかし、こちらから開始日を指定しない場合、「令和3年10月15日〜」など、おそらく医師が記載したであろう日付を開始日にされてしまう事があります。
この場合、10月1日〜10月14日まで訪問看護業務はする事ができなくなってしまいます。
このようなトラブルを減らすためにも、新規利用者の依頼、既存利用者の継続依頼は関係なく、開始日を指定(お願い)するようにしましょう。
ちなみに、期限(終了日)は医師の判断を尊重するべきですので、こちらからお願いをするのは控えるべきだと考えます。
6ヶ月の期限が超えてしまうのを防ぐために、
「令和〇年〇月〇〇日が最長です」
と、最長期限を伝えてあげるのも親切で良いかもしれませんね。
訪問看護指示書の「指示期間」に関するトラブルを減らす依頼方法①
それでは、訪問看護指示書の「指示の開始日」をお願いする書類をご紹介します。
この書類を指示書依頼時に同封することで、こちらの希望期間を提示することができます。
普通の訪問看護指示書はもちろん、「精神訪問看護指示書」「特別訪問看護指示書」「在宅患者訪問点滴注射指示書」バージョンも載せておくので、必要に応じてダウンロードしてください。
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訪問看護指示書の「指示期間」に関するトラブルを減らす依頼方法②
次に、「訪問看護指示書の管理方法」をご紹介します。
「指示期間が過ぎていたのに継続依頼をかけていなかった!」
というトラブルを減らすためには、「訪問看護指示書の管理表」の活用をオススメします。
私が独自に作成したものなのですが、訪問看護指示書の期日が迫ってくるとお知らせをしてくれます(期日設定は変更可)。
また、特定の数字を打ち込むだけで、上記で紹介した「訪問看護指示書の指示の開始日をお願いする書類」を一発で作成することができます。
もちろんダウンロードは無料です。
こちらの記事からダウンロード可能です。
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訪問看護指示書の指示内容に関するトラブル
次に、訪問看護指示書の「指示内容」に関するトラブルと解決方法をお伝えします。
指示内容でトラブルになりやすいのが、「主たる傷病名」「褥瘡の深さ」「リハビリテーション」「医師の捺印」です。
主たる傷病名
訪問看護指示書の一項目、「主たる傷病名」の記載一つで、介護保険で介入するのか、医療保険で介入するかが決まります。
例えば、日常的に介護が必要なパーキンソン病の利用者がいたとします。
この利用者は、特定医療費(指定難病)受給者証を持っており、受給者証を利用すれば訪問看護の自己負担を抑える事ができます。
しかし、この受給者証を利用して医療保険で介入するには、訪問看護指示書の主たる傷病名に、パーキンソン病であることに加えて、「ホーンヤールの重症度分類がⅢ度以上である旨」と「生活機能障害度がⅡ度以上である旨」が必須となります。
「パーキンソン病」の記載だけではダメなのです。
*特定医療費(指定難病)受給者証:厚生労働省が定める難病の利用者に発行される受給者証。医療負担の上限が設定されており、医療依存度が高い利用者でも、ある一定の料金以上は徴収されない。訪問看護ステーションからの看護・リハビリ業務も適応となる。
このようなトラブルにならないよう、
「ホーンヤールの重症度分類と生活機能障害度の記載をお願いします」
と一筆を添えるのはかなり有効的でしょう。
パーキンソン病以外にも、主たる傷病名の記載一つで保険の種類が変わってしまう病名があります。
●悪性腫瘍の場合 「末期」の記載があれば医療保険適応、記載がなければ介護保険適応 例)末期の皮膚癌→医療保険適応 皮膚癌→介護保険適応 |
●脊椎・脊髄疾患の場合 例)頚髄損傷→医療保険適応 頚椎損傷→介護保険適応 |
訪問看護の保険制度をマスター!この利用者は介護保険?医療保険?【Q&A】
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褥瘡の深さ
「褥瘡の深さ」の項目にも留意が必要です。
対象利用者が、「真皮を超える褥瘡の状態」で特別管理加算を算定している場合、または特別訪問看護指示書を月に2回交付されている場合は、NPUAP分類(Ⅲ度またはⅣ度)、DESIGH分類(D3、D4またはD5)に○印が必要です。
多々抜けてしまう事が多い項目ですので、こちらから記載をお願いをするように働きかけましょう。
リハビリテーション
リハビリテーションの項目に○印、指示内容の記載がなければ、理学療法士などリハビリ専門職が訪問することはできません。
”新規利用者はリハビリ希望だったのに指示書には記載がなかった。再依頼をして修正された指示書が到着するまでかなり時間を要してしまい、筋力低下が進行してしまった。”
このようなケースも実際にあります。
書類のミス一つで、利用者の身体に影響を及ぼしてしまうのです。
さらに、令和3年の介護報酬改定・令和4年の診療報酬改定により、リハビリの頻度に関する記載も必須となりました。
リハビリテーションの項目に、頻度の記載があるか確認しましょう。
介護保険におけるリハビリテーションのルール
ちなみに、介護保険におけるリハビリは20分・40分・60分の20分単位で区切られていますので、この中から指示が出されているかも確認しましょう。
また、介護保険におけるリハビリは、「週に120分を超えてはならない」というルールがあります。
例えば、週3回60分のリハビリは週180分になり、120分を超えてしまうので不可です。
もし、利用者や家族から希望回数がある場合は、
「ご本人様は週○回のリハビリを希望している。ご判断のほどお願いしたい。」
という旨を伝えておくと現場の希望との乖離を減らせるでしょう。
医療保険におけるリハビリテーションのルール
医療保険におけるリハビリテーションは、「30分〜90分間」で提供されます。
介護保険のように途中の区切りはありません。
また、頻度は「1日1回、週3回まで」というルールがあります。
ただし、「特別訪問看護指示書が発行されている場合」「厚生労働省が定める疾病等の場合」「特別管理加算を算定している場合」は、同日複数回・週4回以上の訪問が可能なので、利用者の状況と照らし合わせて内容が合っているかを確認しましょう。
また、介護・医療ともに屋外歩行など自宅外でリハビリをしたい場合は、医師からの許可が必要になります。
訪問看護指示書は、あくまでも自宅内で看護やリハビリをするための指示なので、「屋外歩行可能」など外に出ていい旨が指示書になければ、外でリハビリをする事はできません。
もし、外でのリハビリが必要な利用者の場合は、
「家に引きこもりがちのため、屋外歩行の許可をお願いしたい」
など、こちらからの希望を伝えておくとスムーズに進むでしょう。
医師の捺印
訪問看護指示書は、医師の捺印がないと効力がありません。
にも関わらず、捺印がされていない指示書はよく目にしますよね。。
私が関わっているステーションでは、「最後に捺印の確認をお願いします」と一言添えただけでかなり抜けがなくなりました。
単純なことではありますが、その効果は大きいでしょう。
訪問看護指示書の「指示内容」に関するトラブルを減らす依頼方法(魔法の書類プレゼント)
それでは、訪問看護指示書の「指示内容」に関するトラブル(主たる傷病名・褥瘡の深さ・リハビリテーション・医師の捺印)を解決する書類をご紹介します。
「訪問看護指示書記載時のお願い」と題して、トラブルにつながりやすい項目に注釈を入れています。
ぜひ、指示書依頼時に同封してご活用ください。
2021年(令和3年)介護報酬改定に対応(介護保険)
訪問看護指示期間 |
①指示期間は1ヶ月~6ヶ月の間でお願いいたします。 |
主たる傷病名 |
②主たる傷病名によって訪問看護が介入する保険の優先度が変わります。 特に以下の傷病名は注意をお願いいたします。 ・末期の悪性腫瘍の場合は「末期」を記載 ・パーキンソン病の場合は「ヤールの重症度分類」と「生活機能障害度」を記載 |
褥瘡の深さ |
③「真皮を越える褥瘡の状態」である場合、NPUAP分類でIII度・IV度、DESIGH分類でD3・D4・D5のいづれかに○印をお願いいたします。 |
リハビリテーション |
④理学療法士などリハビリの専門職が訪問する場合、 「1.リハビリテーション」に○印、指示内容、訪問頻度の記載が必須となります。リハビリの合計時間が週120分を超えないようご指示をお願いいたします。 また、屋外歩行練習が可能な場合は、「屋外歩行可能」の記載をお願いいたします。 |
医師の捺印 |
⑤医師氏名に加えて捺印も必須となります。ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。 |
2022年(令和4年)診療報酬改定に対応(医療保険)
訪問看護指示期間 |
①指示期間は1ヶ月~6ヶ月の間でお願いいたします。 |
主たる傷病名 |
②主たる傷病名によって訪問看護が介入する保険の優先度が変わります。 特に以下の傷病名は注意をお願いいたします。 ・末期の悪性腫瘍の場合は「末期」を記載 ・パーキンソン病の場合は「ヤールの重症度分類」と「生活機能障害度」を記載 |
褥瘡の深さ |
③「真皮を越える褥瘡の状態」である場合、NPUAP分類でIII度・IV度、DESIGH分類でD3・D4・D5のいづれかに○印をお願いいたします。 |
リハビリテーション |
④理学療法士などリハビリの専門職が訪問する場合、 「1.リハビリテーション」に○印、指示内容、訪問頻度の記載が必須となります。 リハビリは1日あたり( )分を週( )回でご記載いただけると幸いです。 また、屋外歩行練習が可能な場合は、「屋外歩行可能」の記載をお願いいたします。 |
医師の捺印 |
⑤医師氏名に加えて捺印も必須となります。ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。 |
訪問看護指示書のあるあるトラブルと対処法を完全解説!
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「訪問看護指示書の記載例(見本)を教えて」と言われた場合
紹介した方法で指示書の依頼をすれば、圧倒的にトラブルを少なくすることができるでしょう。
しかし、私たちがどれだけ工夫をしたとしても、一定数のトラブルは付いてくるでしょう。
よくある相談として、
「今まで訪問看護指示書を一度も書いたことないから見本を教えて欲しい」
というものがあります。
他の利用者の訪問看護指示書を提示するのはプライバシーに引っかかるし、対応に難しい問題ですよね。
その点、当サイトでは訪問看護指示書の書き方を各項目ごと詳しく解説しています。
また、記載例(見本)も多数紹介しているので、
「とあるコメディカル 訪問看護指示書の書き方」で検索してください。
とお伝えしてみてください。
ありがたいことに、「分かりやすい!助かりました!」というお声をたくさんいただいております。
あなたの業務負担軽減の一助になれれば幸いです。
【2024年改定】訪問看護指示書の書き方を完全解説!【記載例多数】
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