訪問看護 加算・制度解説

訪問看護の保険制度をマスター!この利用者は介護保険?医療保険?【Q&A】

2021年1月15日

訪問看護ステーションからの訪問看護は、主に「介護保険」「医療保険」のどちらかを利用します。

しかし、どちらの保険を利用できるかは制度で決められており、訪問看護ステーション側や利用者側が選べるものではありません

「この利用者は医療保険適応だったのに介護保険で介入していた!今までの訪問分を全部処理し直さなければ。。」

こんなことも実際にあります。

この記事を読めば、「介護保険」と「医療保険」の違いが分かります。

後のトラブルにならないよう、しっかりと保険のルールを抑えておきましょう!

トコル
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訪問看護における介護保険・医療保険Q&A

介護保険と医療保険の両方を持っている利用者の場合

Q.介護保険と医療保険の両方を持っている場合はどっちが適用になりますか?
新人看護師

トコル
A.基本的に、両方を持っている場合は「介護保険が適応になる」と覚えてもらって構いません。
しかし、ある疾患やある状態の場合は医療保険の適応になります。

 

介護保険を持っていたとしても、下記の利用者は医療保険の適応になります。

介護保険を持っていても医療保険が優先になる利用者

1、厚生労働省が定める疾患などの者
2、急性増悪などにより特別訪問看護指示書が交付されている者
3、認知症を除く精神科訪問看護対象者

厚生労働省が定める疾患などの者とは

Q.「厚生労働省が定める疾患などの者」とは具体的にどのような疾患ですか?
新人看護師

トコル
A.以下の表を参考にして下さい。
以下の表に記載されている疾患の利用者は、優先的に医療保険の適応になります。

 

厚生労働省が定める疾患などの者

末期の悪性腫瘍、多発性硬化症、重症筋無力症、スモン、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、ハンチントン病、進行性筋ジストロフィー症、パーキンソン病関連疾患(進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、パーキンソン病(ホーン・ヤール重症度分類がステージⅢ以上であって生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度のものに限る))、多系統萎縮症(線条体黒質変性症、オリーブ橋小脳萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群)、プリオン病、亜急性硬化性全脳炎、ライソゾーム病、副腎白質ジストロフィー、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、後天性免疫不全症候群、頸髄損傷、人工呼吸器を使用している状態

間違いやすい病名①:パーキンソン病

トコル
「厚生労働省が定める疾患などの者」の中でも、最も出会う機会が多く、そして最もトラブルが多いのが「パーキンソン病」です。

 

パーキンソン病は、ホーン・ヤール重症度分類がステージⅢ以上であって生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度の人に限り、医療保険の対象になります。
そのため、ホーン・ヤール重症度分類がステージⅠやⅡの人は、介護保険の適応になります。

介護保険適応

ホーン・ヤール重症度分類ステージⅠ・生活機能障害度Ⅰ度

医療保険適応

ホーン・ヤール重症度分類ステージⅢ・生活機能障害度Ⅱ度

 

トコル
ちなみに、利用者のホーン・ヤール重症度と生活機能障害度は、「訪問看護指示書」の主傷病の項目で判断をします。

 

訪問看護指示書に、「パーキンソン病(ホーン・ヤール重症度分類ステージⅢ・生活機能障害度Ⅱ度)」の記載があれば、医療保険で介入することができます。
逆を言うと、訪問看護指示書にホーンヤール重症度と生活機能障害度が記載されていない場合は、医療保険で介入することはできません。介護保険での介入になります。

 

ポイント


訪問看護指示書にホーンヤール重症度と生活機能障害度が記載されていない場合は医療保険で介入できない
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間違いやすい病名②:パーキンソン症候群

Q.「パーキンソン症候群」も同じ解釈でいいですか?
新人看護師

トコル
A.いいえ。「パーキンソン症候群」の診断名だと、どのような記載があったとしても介護保険の適応になります。
「パーキンソン病」と「パーキンソン症候群」は保険の解釈をする点では、まったくの別物として捉えましょう。

 

ポイント


「パーキンソン症候群」は、介護保険の適応。

間違いやすい病名③:頚髄損傷

Q.「厚生労働省が定める疾病などの者」に、「頚髄損傷」ってありますが、頚椎損傷は医療保険じゃないんですか?
新人看護師

トコル
A.いい質問ですね!
「頚椎損傷」は介護保険適応になります。
あくまでも「頚髄損傷」の病名が医療保険の適応です。
そのため、「胸髄損傷」も介護保険の適応になります。

 

ポイント


「頚髄損傷」は医療保険
「頚椎損傷」は介護保険

間違いやすい病名④:末期の悪性腫瘍

Q.「厚生労働省が定める疾病などの者」に、「末期の悪性腫瘍」ってありますが、「末期」じゃなきゃダメなんですか?
新人看護師

トコル
A.その通りです!
「末期」ではない場合は、介護保険の適応になります。
この点も、パーキンソン病と同様、訪問看護指示書をしっかり確認しましょう。
医療保険で介入する場合は訪問看護指示書に「末期」の記載が必須になります。

 

ポイント


「末期の悪性腫瘍」は医療保険
「悪性腫瘍」は介護保険
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介護保険と医療保険の併用

Q.例えば、介護保険で介入している利用者が限度額を超えてしまった場合、超えた分を医療保険で補うことはできますか?
新人看護師

トコル
A.そのような使い方はできません。
限度額を超えてしまう分は、全額自己負担になります。
基本的には、1人の利用者に介護保険と医療保険で介入することは不可と思ってもらえば構いません。
ただし、医師が急性増悪などで特別訪問看護指示書を交付した場合は、医療保険で介入することができます。

訪問看護における介護保険・医療保険Q&Aまとめ

まとめ


・介護保険と医療保険の両方を持っている場合は、基本的に「介護保険」の適応になる。
・しかし、「厚生労働省が定める疾患などの者」「急性増悪などにより特別訪問看護指示書が交付されている者」「認知症を除く精神科訪問看護対象者」は、医療保険が優先される。
・パーキンソン病は、ホーン・ヤール重症度分類がステージⅢ以上・生活機能障害度がⅡ度またはⅢ度の人に限り医療保険適応になる。
・「パーキンソン症候群」は介護保険適応
・「頚髄損傷」は医療保険適応、「頚椎損傷」は介護保険適応
・「末期の悪性腫瘍」は医療保険適応、「悪性腫瘍」は介護保険適応
・介護保険と医療保険の併用はできない

 

トコル
基本的に、ほとんどの利用者が介護保険の適応になると思ってもらって構いません。
「この疾患にピンときたら医療保険」みたいに、ん?聞きなれない疾患だな?と感じることが大切です。
そしたら、資料を見て「お!医療保険適応じゃん!」って判断すれば良いと思います。

その他のポイントとしては、

・特別訪問看護指示書が発行されたら必ず医療保険適応
・精神科訪問看護指示書が発行されたら必ず医療保険適応

を抑えてもらえれば、よほどイレギュラーなことが起こらない限り、トラブルにはならないかと思いますよ!

 

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