訪問看護で仕事をしていると、利用者または家族からお菓子を出してもらうことがあります。
相手は親切心で出しているのですが、状況によってはそのお菓子を断りたいことも正直あります。
「次の訪問の時間が迫っているんだけどな…」
「このお菓子本当に食べていいのだろうか…」
私は長年、訪問看護ステーションで部門管理・エリア統括をしていました。
今回は、多くのお家に訪問をしてきた私の経験をもとに、「訪問看護でお菓子を出された時の断り方」をお伝えします。
少々グレーな方法も紹介していますが、どこにも書かれていない、より実戦向きの方法だと思います。
この記事を読めば、明日からスムーズにお菓子を断ることができるでしょう。
訪問看護でお菓子はもらうべきではない
本題に入る前に、介護保険など保険を利用して介入する訪問サービス従事者は、基本的にサービス以外の御料金やおもてなしは受けるべきではありません。
金銭はもちろん、プレゼントや、もっと細かいところで言えばお茶も手をつけるべきではありません。
なぜなら、私たちは保険という税金を利用したサービスをしていて、あくまでもサービスの料金しか受け取ることができないからです。
ただ、中にはどうしてもお茶を断れなかったり、断ってしまうと逆に失礼にあたるシチュエーションもあります。
私も極力避けるのですが、貰わないと関係性構築に支障が出る場合は、お茶などのドリンク程度であれば、ありがたく頂いてしまうことがあります。
批判受け付けますが、実際断れずに頂いているスタッフは多いと思いのではないでしょうか。
これは良い悪いに限らずです。
知り合いにご利用者様の奥様がお昼ご飯を作ってくれて、食べないと怒られるという訳の分からないシチュエーションに陥っていたことがありました。
奥様にとっては、孫のように可愛かったんでしょう。
大切な旦那様を一生懸命ケアしてくれるのを見て、何かお礼がしたいと思ったんでしょうね。
で、スタッフは出されたら「ありがとうございます!」って食べていました。
もちろん悪気はありません。
人として、性格として断れない人多いと思います。
訪問看護でダイエットは可能?いえ、毎日自転車に乗っても太る仕事です
続きを見る
賞味期限10年前のお菓子を出された実体験
それでは、訪問看護でお菓子を出された時の断り方を、私の実体験からお伝えしていきます。
訪問看護ステーションは、ケアマネジャーからご利用者様の依頼がきます。
今回、ご紹介するご利用者様の依頼内容としては、
「認知症の利用者様で独居をしているんですが、最近足腰が悪くなっているのでリハビリ入れますか?」
といった具合でした。
そのあと、申し訳なさそうに
「癖がある利用者さんで、いくつも事業所変更をしているんです。。」
と教えてくれました。
大きな理由としては、「スタッフが私のいうことを聞いてくれない!」の趣旨で変更をしているとのことでした。
まぁ、なんか事業所として出来かねる事を要求してくるんだろうなぁ〜と思いましたが、そのようなケースは結構あるあるといいますか、過去にも見てきたので
「大丈夫ですよ、お引き受けます」
とお伝えしました。
訪問看護の新規依頼がきた時の流れを完全解説!【チェックリストプレゼント】
続きを見る
その時、私は部門の管理をしていたので、まずこのような難がありそうなケースは私が担当することにしていました。
そしていざ、実際に介入してみると、全然そんなことないんです。
私の提案するリハビリも受け入れてくれますし、変な要求することもないですし、
「え?俺って天才?」
と、心の中でまたひとつステータスが上がった感じがしました。
スムーズに終わって、「じゃあまた来週来ますね〜」と帰ろうとしたところ・・・
時は来ました。
「あ、ちょっと待って。これ食べていってよ!」
・・・ん!?
ちょっと背中がピッとなった感じを今でも覚えています。
大きいダンボールの中から出して来たのは、某カルビー社のカッパえびせんでした。
この時の心情は、
「まぁ、難がある人みたいでどこに地雷があるかわからないし・・ここは食べておくか」
と思い、食べるのを決めた矢先・・・
なんか変な匂いがするんですよ。
恐る恐る賞味期限を見てみると、、、
「1996年12月」
この話は2017年くらいの話なので、約10年前の賞味期限です。
すごいですよ、まず封を開けていないのに異様な匂いがするんです。
なんか銀紙をこすった匂いというか。
う〜ん、まぁ腐った匂いですね。
次にびっくりしたのが、
カッパえびせんのパッケージが10年前からそんなに変わっていないことです。
スゲェな、カッパえびせん!って思ったのは後のはなし。
その時はそんな余裕はありません。
訪問看護でお菓子を出された時の断り方
では、ここから私がどう対処をしたのかお伝えしていきます。
まず、腐ってる腐ってない関係なく、訪問看護ではお菓子を受け取るべきではありません。
そのため、一般的な対応としては、「お菓子はもらえません」と伝えるのがベストです。
ハッキリと言えないシチュエーションでは、「会社に止められている」「制度上もらってはいけないことになっている」と、自分の意思ではないところで止められていることを伝えれば、大きなトラブルにはならないと思います。
また、「次の訪問が迫っている」と時間がないことをアピールすることも有効でしょう。
もちろん、今回のケースでもお伝えしました。
しかし、「そんなのはどうでもいいでしょ」と一蹴。
その次にとった私の作戦を2つお伝えします。
「お菓子を口に入れるフリ」作戦
賞味期限10年前とはいかないものの、怪しいペットボトルから出したお茶などを出されることは、訪問看護のあるあると言ってもいいでしょう。
私も何度か経験をしており、気持ちはありがたいものの自分の体が第一なので、飲んだふりをした後、台所に流したりして対応してきました。
なので、今回も「食べる」という選択肢はもちろんなく、「持ち帰る」という選択をしました。
「ありがとうございます!では次もあるのでありがたく頂いていきますね」
の、「ありがたく・・・」あたりで食い気味に、
「ここで食べていって!!」
と、声を荒げたんです。
おぉ、これかと思いました。
続けて、
「私のいう事を聞いてくれないんですね・・・」
と言います。
さぁ、どうする。この状況をどうする。
やっぱ私でも対応できなかったかとケアマネに思われちゃう。
そして思い浮かんだのは、
「口に入れると見せかけてポロシャツの下に落とそう作戦」
でした。
ただ、これでは一時的すぎて、毎週これをすることになります。
特にこの方の介入時間は午前10時とかだったので、午前10時から胸が油ギットギトになるのは嫌だなぁと思いました。
・・・油がまだあるかもわかんないんですけどね。
持ってないとヤバイ!?訪問看護の便利グッズ5選!【裏版】
続きを見る
「お菓子を一緒に確認する」作戦
その次に思ったのは、
「それやってもこの利用者のためにならんよね。」
ってことです。
賞味期限を分かってなくて本当に好意でやっているのか、スタッフいじりじゃないですけど試すような行動をとっているのか。
この方にとって、サービスが継続して必要なのは明らかなんです。
なのに、この行動を続けていると、今後介入してくれる事業所がなくなってしまう可能性があります。
私は、もう意を決していう事にしました。
「○○さん、これ賞味期限がちょっと切れてるみたいで、○○さんも食べてお腹壊しちゃうとアレなんで、あの一緒に調べて見ましょうよ。」
多分、こんな感じのニュアンスを言ったと思います。
そしたら○○さんはですね、
「え、そうなんだ。。知らなかったわ。」
といい、ダンボールを出してきました。
昔のお菓子がたくさん入っていました。
おそらく、○○さんは新しいお菓子だと思ってスタッフに出していたんでしょう。
それを頑なに、理由も曖昧にして断り続けていたら、「どういうこと!?」ってなりますよね。
認知症の方は、賞味期限云々は分からないかもですが、その時に「嫌な事をされた」という感情は残ります。
それは利用者さんにとっても辛いことですよね。
その後、カレンダーを何度も一緒に確認して、今日の日付を何度も一緒に確認して、やっとご了承を得てダンボールに入っていたお菓子をすべて捨てることができました。
訪問看護でお菓子を出された時の断り方まとめ
訪問看護でお菓子を出された時の断り方
- 会社から貰ってはいけないと言われていることを伝える
- 制度上、貰ってはいけないことになっていると伝える
- 「次の訪問がある」と時間に余裕がないことを伝える
訪問看護で腐ったお菓子を出された時の対処法
- 食べたふり(飲んだふり)をする
- 持ち帰る
- 賞味期限を一緒に確認する
今回は、賞味期限が10年前というイレギュラーのケースを例にしましたが、一般的には「訪問看護でお菓子を出された時の断り方」を実践してもらえれば大きなトラブルにならないでしょう。
それでも断れなかった場合、かつ食べるのに抵抗がある物の場合は、「訪問看護で腐ったお菓子を出された時の対処法」を実践してみてください。
訪問看護って色々な体験ができて楽しいですよね…。
訪問看護のあるある!?衝撃の実体験3選【う○ち・覚○剤・自○】
続きを見る