理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、評価ポイント解説シリーズ。
今回は、「初回スクリーニング」です。
実習では、バイザーから「とりあえず全身の評価をしてみて!」と言われることがあります。
限られた時間の中で、最低限の必要と思われる評価を行わなければなりません。
今回は、評価ポイントの解説に加えて、「初回スクリーニング」に最適な評価シートを用意したので、ダウンロードして実習に臨んでください。
もちろん、ダウンロードは無料です。
実習に最適!「初回スクリーニング」の評価シート無料ダウンロード
初回スクリーニングのポイント
初回スクリーニングをするときのポイントは以下の通りです。
初回スクリーニングをするときのポイント
- 詳しい評価をしすぎない
- 広く浅く評価をする
- 評価の結果を伝えて今後の方向性を伝える
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1詳しい評価をしすぎない
まず、初回スクリーニングでは「詳しい評価をしすぎない」ことを意識しましょう。
どうしても、学生は教科書に載っている評価を一通りしたくなってしまいます。
しかし、初回スクリーニングの目的は、なんとなく患者の全体像を把握することです。
詳しい評価は、別日に時間を割けばいいので、この段階では良い意味で「簡単に評価をする」を心がけましょう。
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2広く浅く評価をする
初回スクリーニングでは、なんとなく患者の全体像を把握することが重要と言いました。
どのようなことかというと、患者に必要と思われる評価を「広く浅く」行うということです。
一つの評価に時間を割いてしまうと、他の評価に時間を割くことが出来ません。
それよりも、一つの評価の時間をできるだけ短くして、浅くでも良いので広く評価をすることが重要になります。
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3評価の結果を伝えて今後の方向性を伝える
初回スクリーニングは、患者の全体像を把握することで次回の評価や訓練内容を検討する目的もあります。
そのため、評価が終わった後は、患者に対して「評価の結果」「今後の方向性」をしっかりと伝えるようにしましょう。
評価だけではなく、患者に対してフィードバックをすることまでが初回スクリーニングです。
初回スクリーニングのやり方を徹底解説!
それでは、初回スクリーニングのやり方を具体例を用いて徹底解説してまいります。
今回は、私が提供している用紙に準じて各項目を説明してまいります。
①バイザーへの確認事項
②挨拶
③問診
④視診
⑤麻痺の有無(Br-stage)
⑥感覚
⑦反射
⑧自動・他動運動(MMT/ROM)
⑨動作確認
⑩評価後
①バイザーへの確認事項
まず、患者の情報をバイザーからもらいましょう。
最低限もらっておきたい情報は、以下の通りです。
バイザーへの確認事項
- 名前
- 性別
- 年齢
- 主病名
- 既往歴
- 禁忌事項
②挨拶
挨拶は基本中の基本です。
挨拶では、「名前」と「実習生であること」を伝えて、「検査の同意」を得るようにしましょう。
「初めまして。実習生の〇〇と申します。今から□□様の検査をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。」
③問診
問診の具体的な方法は、こちらの記事(【実習】患者への「問診」の方法を解説!【書式無料ダウンロード】)で詳しく解説しているのでご参照ください。
【実習】患者への「問診」の方法を解説!【書式無料ダウンロード】
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初回スクリーニングでは、「主訴」「体調」「痛みの有無」を確認できれば十分でしょう。
「体調はいかがですか」
「痛みはありませんか」
「どのようなことに困っていますか」
④視診
視診では、主に「表情(顔つき)」「来室時の方法・姿勢」を観察しましょう。
その際、「体幹が右に20度側屈していて…」など詳しく見る必要はありません。
「右側に傾いている」「右足が浮いている」など、簡単な情報を書きとどめておけば良いです。
⑤麻痺の有無(Br-stage)
患者が脳卒中など脳に障害がある場合、麻痺の有無を見ておきましょう。
「右半身に麻痺がある」といった簡単な情報だけでも構いませんが、Br-stage(ブルンストロームステージ)は、比較的短時間で評価できてしまうので、初回スクリーニング時に評価してしまっても良いと考えます。
⑥感覚
感覚の左右差を見ておきましょう。
両上肢・両下肢を同じ強さで触り、同じ強さに感じるか、どちらかが鈍いと感じるかを聞きましょう。
どちらかが鈍いと感じたら、正常に感じる側の強さを10とした場合の数値も聞いておきましょう。
⑦反射
反射も種類が多くありますが、その患者の疾患に適したものを選ぶようにしましょう。
わからない場合は、とりあえず膝蓋腱反射を測定しておくだけでも良いと考えます。
⑧自動・他動運動(MMT/ROM)
簡単に、四肢・体幹・頚部がどの程度動くかを把握しておきましょう。
このとき、同一姿勢で評価をするように心がけましょう。
例えば、「座位での評価→背臥位の評価→座位での評価→腹臥位での評価」は、患者への負担も大きくなりますし、時間の無駄です。
個人的な意見を申しますと、初回スクリーニングでの評価は「座位でできる検査」に絞っても良いと考えています。
座位は、車椅子に座っている人も、歩ける人も、両者が統一してとれる姿勢です。
他の姿勢で評価をしたい場合は、別日に時間を設けて評価をすれば良いのです。
初回スクリーニング時に、座位姿勢で評価をしておきたい項目を挙げておきます。
座位姿勢で評価をしておく項目
- 手指の自動運動・他動運動(握力検査)
- 肩関節屈曲・外転の自動運動・他動運動(MMT)
- 肘関節屈曲(MMT)
- 股関節屈曲・外転・内転(MMT)
- 膝間接伸展(MMT)
- 足関節背屈・底屈(MMT/ROM)
⑨動作確認
ここまで評価をして、何らかの動作ができそうと判断した場合は評価をしておきましょう。
しかし、この段階で難しい動作をさせる意味はないので、以下の項目が確認できれば十分と考えます。
確認しておくべき動作
- 移乗動作
- 端座位
- 立ち上がり・立位
- 歩行
今は動作分析までする必要がないため、各動作が自立でできるか、会場が必要か、ふらつきがあるか程度を確認しておきましょう。
⑩評価後
評価が一通り終了したら、「痛みはないか」「疲れたか」など体調を確認しましょう。
最後には「今回の評価の結果」と「今後の方向性」を伝えて終了です。
「これで検査は終了になります。痛みはないですか。疲れましたか。」
「本日検査をさせていただき、右半身に軽度の麻痺と筋力低下がありそうです。そのため、右半身に対するリハビリを中心に行い、歩行時の安定性をあげていこうと思っております。また明日よろしくお願いいたします。」
初回スクリーニングのポイント!まとめ
初回スクリーニングの時は、「詳しくなりすぎない」「広く浅く評価をする」ことを心がけましょう。
最後には、評価の結果、今後の方向性を示してあげることも重要です。
初回スクリーニングが終わったら、それぞれの詳しい評価をしていくことになると思います。
当サイトでは、実習に必要と思われる評価をほとんど網羅していますので、ぜひ参考にしてみてください。