理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、評価ポイント解説シリーズ。
今回は、「歩ける患者に対する評価手順」です。
患者が車椅子を使用しているか、歩けることができるかで評価手順はガラッと変わってきます。
今回は、評価ポイントの解説に加えて、歩ける患者に最適な評価シートを用意したので、ダウンロードして実習に臨んでください。
もちろん、ダウンロードは無料です。
歩ける患者に対する評価手順のポイント!
歩ける患者に対する評価手順のポイントは以下の通りです。
車椅子の患者に対する評価手順のポイント
- 評価の難易度に気をつける
- バイタルサインをチェックする
- 歩行評価(分析)に重点を置く
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1評価の難易度に気をつける
歩行ができる患者の評価は、「難易度」に気をつけましょう。
というのも、歩行ができるということは、それなりの筋力や関節可動域を有していることが推察されます。
そのような患者に対して、座位姿勢の観察など、座位中心の評価に時間を割いているのは適切ではないでしょう。
バランスや歩行観察(分析)、耐久性の評価など難易度が高い評価を選択していくようにしましょう。
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2バイタルサインをチェックする
歩行ができる患者に限ったことではありませんが、歩行ができる患者に対してはよりバイタルサインに留意するようにしましょう。
高齢者や障害を負った患者にとって、歩行はかなり強い負荷になりえます。
患者本人は自覚症状がなくとも、バイタルサインに異常があるということは臨床上よく見られます。
評価前後はもちろん、患者が疲労感を表した時や表情が優れないときは、適宜測定するようにしましょう。
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3歩行評価(分析)に重点を置く
「評価の難易度に気をつける」に通じますが、歩行ができる患者に対しては、「歩行評価(分析)」に重点を置くようにしましょう。
歩行ができる患者の目標が、「座位の耐久性向上」になることは考えにくいです。
ほとんどの患者が、「歩行を安定させる」「バランス能力を向上させる」と言った、難易度が高い部分を目指すことになると思います。
そのため、限られた評価時間の中では、歩行に関連する部分の評価に時間を割くと良いでしょう。
歩ける患者に対する評価手順の一例
それでは、歩ける患者に対する評価手順の一例をご紹介します。
まず、一般的に歩行ができる患者に対しては以下の評価を実施します。
歩行ができる患者に対して実施する評価
- 会話・指示に対する反応をチェックする
- 起居動作をチェックする
- バイタルサインを常時チェックする
- 身長/体重など
会話・指示に対する反応をチェックする
会話や簡単な指示に対する応答で、認知症や高次脳機能障害の疑いを評価していきましょう。
「右手を挙げてください」
「上を向いてください」
会話がスムーズに進まない場合や、指示がうまく入らない場合は、「認知症」「失語」「失行」「失認」などの評価をするようにしましょう。
起居動作のチェックをする
起居動作をチェックする中で、どのような評価が必要かを考えます。
一般的には、以下の評価が思いつくところでしょう。
評価項目
- 関節可動域(ROM)
- 麻痺の程度(Br-stage)
- 感覚障害の有無
- 筋力(MMT)
- 深部腱反射・筋トーヌス
- 病的反射検査
- SIAS
- 筋萎縮
- 平衡反応
- FIM/Barthel index
- 歩行評価
バイタルサインを常時チェックする
評価前後はもちろん、疲労感が強く現れている時や、表情が険しい時など、患者に何かしらの変化が見られた時は、常時チェックするようにしましょう。
身長・体重など
定期的に体重をチェックすることで、筋肉量や心不全兆候の有無など、あらゆる評価の一助になります。
実習に最適!「歩ける患者に対する評価手順」無料ダウンロード
歩ける患者に対する評価手順を図式化しました。
歩ける患者を担当に持ったら、ぜひこの手順で評価をしてみてください。
ダウンロードはもちろん無料です。
ダウンロード:歩行ができる患者に対する評価手順(pdf)
歩ける患者に対して行う評価手順まとめ
今回は、「歩ける患者に対して行う評価手順」をお伝えしました。
歩ける患者は、それ相応の筋力や可動域を有していることが推察されます。
より難易度の高い動作が不安なく獲得できるよう、最適な評価方法を選ぶようにしましょう。
車椅子の患者に対して行う評価手順は、こちらの記事(【実習】車椅子の患者に対して行う評価手順を解説!【評価シート】)でまとめているので、あわせてご活用ください。
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