理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、評価ポイント解説シリーズ。
今回は、「病態失認」です。
病態失認は、リハビリに対する意欲や予後予測にもつながる、臨床上とても大事な評価項目になります。
今回は、評価ポイントの解説に加えて、「病態失認」に最適な評価シートを用意したので、ダウンロードして実習に臨んでください。
もちろん、ダウンロードは無料です。
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病態失認とは
病態失認とは、「病識欠如」とも呼ばれ、自分でできなくなっていることを指摘されても自覚できない高次脳機能障害の一つです。
右(非優位)半球の頭頂葉損傷に合併しやすいと言われます。
病態失認の評価方法
もし、「本当に病気になったことをわかっているのか?」という患者を担当することになったら、病態失認が疑われるため、評価をしていきましょう。
病態失認の評価方法には、「一般質問」と「特定質問」があります。
【1】一般質問
1、ここはどんな所かわかりますか?(ここはどこですか?)
*既に入院中の自覚が確認されているならば省略。
2、(入院中であることを確認後)どこが悪くて、入院しているのですか?
*片麻痺以外の病気について答えた場合は3へ。
3、手足は、どこか悪いところはないですか?
*ないと答えた場合は4へ。
あると答えた場合は、更に具体的にどの程度かを聞き、日常生活上で困ったことがないかを聞く。
4、手足の力が弱くなった感じはありませんか?麻痺やしびれは無いですか?
*ないと答えた場合は【2】へ。
あると答えた場合は更に具体的にどの程度かを聞き、日常生活上で困ったことがないかを聞いてから【2】へ。
【2】特定質問
1、(麻痺側の腕を持ち上げて)これは何ですか?
*「これは主人の手です」などの麻痺側に対する異常な判断を訴えた場合はここで質問終了。
「私の手です」と答えた場合は2へ。
2、この手はどこか悪いところはありますか?
*「無い」と答えた場合は3へ。運動麻痺について具体的な説明ができるかどうかをチェック。
麻痺の程度と結びつかない場合は、更に困ったことはないかを聞く。答えが出難いようであれば、歩けるか?起き上がれるか?などと具体的に聞いていく。
3、この手を持ち上げられますか?
*反対側の手を挙げた場合は、再度触って「この手を挙げて下さい」と言う。挙げない場合は4へ。
4、両手を挙げて下さい。2つの手が同じ高さでない事がわかりますか?
*わからない場合は、質問終了。わかる場合は、「この手はどんな感じですか」と聞く。
病態失認の結果判断
0点(病態失認なし) :一般質問の2で具体的に片麻痺について答えられる。
1点(軽度病態失認) :最初は片麻痺に気がつかないが、一般質問の3か4で気づく。(言語的示唆による認知)
2点(中等度病態失認):言語示唆では気がつかないが、動作を通した特定質問で片麻痺について気がつく。(動作的示唆による認知)
3点(重度病態失認) :特定質問でも全く障害を認知できていない状態。
そのほかの高次脳機能障害の評価ポイント!
病態失認以外にも、高次脳機能障害には様々な症状があります。
描く症状に対する評価方法や評価シートは、こちらの記事(【実習】高次脳機能障害の評価ポイント!【無料評価シート多数】)でご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
【実習】高次脳機能障害の評価ポイント!【無料評価シート多数】
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病態失認の評価ポイントまとめ
病態失認を評価することは、リハビリに対する意欲や回復過程に直接的に関わるため、臨床上のとても重要な評価項目です。
しっかりとポイントを押さえて、ぜひ私がオススメする評価シートで実習に臨んでください。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師といった医療職には、病態失認(高次脳機能障害)以外にも様々な必須評価があります。
当サイトは、必要と思われる評価のほとんどを網羅しているので、ぜひ他の記事も参考にしてみてください。
実習の成功を心から応援しています。