訪問看護 加算・制度解説

訪問看護指示書のあるあるトラブルと対処法を完全解説!

2021年1月16日

訪問看護ステーションからの訪問看護業務は、医師が発行する訪問看護指示書が必須です。
この「訪問看護指示書」がなければ、私たちは仕事をすることができません。

しかし、この訪問看護指示書の発行をめぐり、様々なトラブルが頻発しているのも事実です。

今回は、訪問看護指示書にまつわる「あるあるトラブル」とその対処法をお伝えしてまいります。

この記事を読めば、訪問看護指示書のトラブルを未然に防ぐことができるようになるでしょう。

最後には、訪問看護指示書の依頼に抜群な魔法のシートを無料プレゼントしているので、ぜひご活用ください。

訪問看護指示書の様式

令和3年の介護報酬改定・令和4年の診療報酬改定にて、リハビリテーションに対する指示内容・訪問頻度の明記が必要となりました。

訪問看護指示書のあるあるトラブルと対処法

それでは、訪問看護指示書のあるあるトラブルと対処法をお伝えしてまいります。

訪問看護指示書を書けないと言われた場合

ケアマネジャーから新規利用者の依頼がきて、正式にお受けすることになった時、訪問看護指示書の発行手続きをしなければなりません。

新人看護師
主治医の先生は訪問看護を希望していることは知っていますか?

おそらく利用者が受診の時に伝えていると思うんですが、不明なのでそちらから確認してもらっていいですか?
ケアマネ

新人看護師
承知しました。では、こちらで確認して訪問看護指示書発行の手続きをしておきますね。

ケアマネジャーが指示書依頼をかけてくれることもありますが、基本的には訪問看護ステーション側から先生に指示書依頼をします

この際、主治医の先生から訪問看護導入の確認が取れていれば比較的スムーズに進むのですが、確認が取れていない場合は、指示書を書いてもらえるかどうかの確認をしなければなりません。

確認を取ると、ほぼほぼ「書きます」と返答してくれるのですが、中には「書けません」と断られるケースもあります。

主疾患を見ていないから書けない

訪問看護指示書は、保険医療機関の保険医であれば誰でも記入することができます

しかし、主疾患を担当していない医師の場合、断られるケースがあります

例えば、主疾患が脳梗塞で、既往に肺炎があるケース。
脳梗塞と肺炎は別々の病院にかかっている場合、肺炎を診察している医師は主疾患の脳梗塞を診察していないので、訪問看護指示書は書けないというものです。

たとえ、脳梗塞の病院に行くのが半年に1回、肺炎の病院に行くのが1ヶ月に1回で、肺炎の方が頻度が高いとしても、「主疾患を見てもらってる先生に書いてもらうべきだ」という先生が一定数います。

確かに、先生の言い分はごもっともです。

なのでこのようなケースの場合は、受診の頻度に関わらず、主疾患を診察している医師に再依頼をするようにしましょう。

ココがポイント

主疾患を見ていないから書けないと言う医師の場合は、主疾患を見ている医師に確認&再依頼をしよう。

必要ないと判断された

主治医に、「先生にかかってる〇〇様から訪問看護の希望があり、指示書の依頼をしたい」と伝えたところ、「いや、あの人必要ないでしょ?書かないよ」という主治医もいます。

「いや、最近めちゃくちゃ家で転倒しててほとんど寝たきりになってるらしいんだけど・・・」

と私たちは必要性を感じるんですが、医師の判断は絶対です。

利用者に聞くと、3ヶ月に1回の受診で、話も聞いてくれない、薬を出すことしかしてくれない医師らしいのですが、だとしても絶対です。

ただ、主治医がそのような判断を下しても、利用者や家族が訪問看護を強く望む場合、他の疾患でかかっている医師にお願いしたり、場合によっては主治医の変更をします

主治医変更に関しては、私たちから強く勧めるとトラブルに発展してしまうので、あくまでも本人や家族の希望に添うようにしましょう。

ココがポイント

訪問看護指示書を書いてくれない時は、他の疾患でかかっている医師に依頼をしたり、場合によっては主治医の変更も視野に入れよう。

訪問看護指示書の返送がない場合

主治医に確認して、発行してもらえる了承を得たら、依頼をかけて返送を待ちます。

訪問看護の必要性や緊急性を理解している主治医は、比較的早く発行をしてくれます。

依頼から1週間以内に発行してくれる主治医は早いと捉えていいでしょう。

しかし、2週間、3週間、1ヶ月経っても音沙汰がない主治医もいます。

その場合は、依頼をかけた医療機関に近況確認の電話を入れます。

主治医が非常勤

あるあるなのが、「先生が非常勤だから書くのに時間がかかる」というものです。

週に1日しか勤務していない医師に頼んだ場合、その1日で書いてくれればいいのですが、診察業務が忙しく書類関係まで手を回してもらえないことはよくあります。

その1日のチャンスを逃せばまた来週、そしてそのチャンスも逃せばまたまた来週・・・。

この繰り返しで、気づけば依頼してから1ヶ月以上経っても記載してくれないというケースも多々あります。

その間、訪問看護を希望している利用者は待ちぼうけです。

この場合はもう依頼をかけてしまっているので、依頼を取り下げることは現実的ではありません。

返送を待つしかないのですが、それでもできるだけ早く介入するコツとして、「書いてもらったらすぐFAXを送ってもらう」ことは有効です。

このことによって、「郵送して届くまで時間」を省くことができます。

医療機関によっては、個人情報なのでFAXはできないと断られることもありますが、お願いしてみる価値はあります。

ココがポイント

訪問看護指示書の返送が遅い場合は、書いたらすぐFAXを送ってもらうようお願いしよう。

事務で止まっている

これもあるあるです。

そもそも、主治医の手元に私たちからの依頼書が届いておらず、医療機関の事務で止まってしまっていたというものです。

近況確認の電話をすると、「確認しますのでお待ちください」といい、何分間も保留音を聞かされた挙句、「ありましたので先生にお願いしておきます」と…。

こういう病院は連携したくないな、管理体制がずさんなんだなと正直思ってしまいます。

大きな声で言えないんですが、書類を無くしたので再依頼してくださいという病院も経験したことがあります。

この点に関しても、できるだけ早く訪問看護指示書を確認するために、書き終わったらすぐにFAXをしてもらうようお願いするのは有効でしょう。

ココがポイント

訪問看護指示書の返送が遅い場合は、書いたらすぐFAXを送ってもらうようお願いしよう。

訪問看護指示書に記載不備があった場合

無事、訪問看護指示書が発行された後も気を抜いてはなりません。

訪問看護指示書が問題なく記載されているかをチェックする必要があります。

訪問看護指示期間に間違い

訪問看護指示書の指示期間は1ヶ月〜6ヶ月の間です。

それなのに、1年の期間や、ビックリしたのが5年の期間で発行してきた主治医も経験しました。

これは無効になってしまいます。

せっかく届いたのに再依頼をしなければなりません。

ココがポイント

訪問看護指示書の指示期間に間違いがあった場合は、再依頼をかけよう。

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主治医の印鑑がない

訪問看護指示書には、記載した医師の名前に加えて、印鑑を押してあることが必須です。

この印鑑忘れが結構な頻度で起きます。

こちらも、印鑑を押してもらうよう再依頼しなければなりません。

ココがポイント

医師の印鑑がなかった場合は、再依頼をかけよう。

必要な事項に記載がない

訪問看護指示書に必要な事項が記載されていない場合、追記のお願いをしなければなりません。

例1:訪問看護ステーションから理学療法士などのリハビリスタッフが訪問する際も、訪問看護指示書が必要になります。その際、指示書に「リハビリテーションの指示内容・訪問頻度」の記載がないと、介入することができません。

 

例2:医療保険で介入する場合、記載ルールが存在する疾患があります。例えば、悪性腫瘍の場合「末期」の記載が必要、パーキンソン病の場合「ヤールの分類Ⅲ以上」の記載が必要というものです。

特に訪問看護指示書の主病名は、書き方ひとつで介入する保険の種類が変わってしまうことがあるので、しっかりとアンテナを張っておきましょう。
こちらの記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。

あわせて読む
訪問看護・医療保険と介護保険の違い
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その他

訪問看護指示書の郵送はNG

指示書は書類なので、基本的には郵送にてやりとりできる方が現場としてはありがたいです。

しかし、昨今はプライバシー保護の観点から郵送はNGで、直接書類を持ってきてもらわないとやりとりできないという病院も増えてきています。

素晴らしいお考えだとは思うんですが、ステーション側からするとこれほど面倒臭いものはありません。

訪問看護の導入が遅れてしまったり、利用者にしわ寄せがいってしまうことがあります。

ただ、これは郵送をNGとしている病院が悪いわけではなく、いまだに郵送やFAXを多用している医療・介護業界に問題があると思います。

このような場合は、利用者の受診の時に訪問看護指示書の依頼書を持っていってもらうなど、ステーション側で臨機応変に対応を講じるのが望ましいでしょう。

ココがポイント

訪問看護指示書の郵送がNGの場合は、利用者の受診時に合わせて依頼書を作成しよう。

2人の医師から指示書発行は不可能

私は直接経験したことはないんですが、他のステーションであったトラブルです。

何かの手違いで1人の利用者に2人の医師から指示書が発行されていたというもの。

なんでこうなっちゃうのか不明なんですけど、これはダメです。

訪問看護指示書は、1人の利用者に対して、1人の医師しか発行できません。

紛らわしいのが、1人の利用者に複数のステーションが関わるケースです。

もちろん、それぞれのステーションごとに指示書が必要になるのですが、この場合も1人の医師がそれぞれのステーションに発行しなければなりません。(例:Aステーションは田中医師、Bステーションは鈴木医師は不可で、両方とも田中医師が発行します)

ちなみに・・・

指示期間6ヶ月で発行されていた利用者が、期間の途中で入院した場合。
退院して訪問看護を再開する際、まだ指示書の期間内が残っていたら、その指示書を利用することができます。
しかし、入院前と退院後では状態に変化があると想定されますので、入院していた病院から新しい指示書を発行してもらうのが望ましいでしょう。

訪問看護指示書のあるあるトラブルと対処法まとめ

まとめ

・主疾患を見ていないから書けないと言う医師の場合は、主疾患を見ている医師に確認&再依頼をしよう。

・訪問看護指示書を書いてくれない時は、他の疾患でかかっている医師に依頼をしたり、場合によっては主治医の変更も視野に入れよう。

・訪問看護指示書の返送が遅い場合は、書いたらすぐFAXを送ってもらうようお願いしよう。

・訪問看護指示書の指示期間に間違いがあった場合は、再依頼をかけよう。

・医師の印鑑がなかった場合は、再依頼をかけよう。

・訪問看護指示書の郵送がNGの場合は、利用者の受診時に合わせて依頼書を作成しよう。

訪問看護指示書を書く側(先生)へ

訪問看護指示書を書く側(=先生)は、こちらの記事(【完全保存版】訪問看護指示書の書き方を完全解説!【記載例多数】)を参考にしてみてください。

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