訪問看護は、介護保険や医療保険を利用してケアやリハビリを提供します。
あくまでも、私たちは医療・介護を提供する人と受ける人の関係性を保たなければなりません。
しかし、中には一線を超えた関係になっている人も少なくありません。
私は長年、訪問看護ステーションで部門管理・エリア統括をしていましたが、その中で様々なトラブルやクレームを目の当たりにしてきました。
この記事では、実際に私が体験した「訪問看護スタッフと利用者の関係を悪化させる行為」を3つご紹介してまいります。
関係が悪化しすぎると、相手から訴訟を起こされるケースも実際にあります。
自分の身を守りながら、安心して仕事をしたいという人は必見です。
訪問看護スタッフと利用者の関係を悪化させる行為
利用者とお友達の関係性になる
一つ目は、「利用者とお友達の関係性になる」ことです。
コチラの記事(お前は訪問看護に向いてない!ありえない言動5選【実話】)でも言及していますが、「え?あなたたちお友達ですか?」って言いたくなるような関係性を構築しているスタッフがいます。
ただ、戦略として、治療として、あえてそうしている人は除きます。
実際に、精神疾患の人には、まずはお友達になるような距離感で接することで、ご利用者様の精神状態が良くなっていくこともあります。
ただ、特に何も考えず、お友達みたいな関係性になっていたとしたら気をつけた方がいいと思います。
一つ、実際に私が体験した具体例をご紹介します。
私は、医療・介護スタッフとして、途中から利用者に関わることがあります。
例えばケアマネや訪問介護が長年介入していた利用者に、途中から訪問看護が関わるパターンです。
一番最初にお会いする時、過去の情報をお聞きしていくのですが、ク○みたいなケアマネは、私たちをよそ者扱いにして接してきます。
「私たちはもう長年の付き合いで仲が良いのよー。私たちの関係性にあなたはなれますかー?」
このような空気感を出して接してきます。
例えば、私が「外出はどうしてるんですか?」など聞くと、ケアマネが
「○○さんはね、△△だからそんなのできるわけないじゃないーあははっ」
誇張するわけではなく、本当にこのような態度で接してくるケアマネは少なくないのです。
ただ、いざ私たちの介入が始まると、形勢は変わってきます。
訪問看護が介入となると、利用者とは週1〜2回くらいのペースで会うことになります。
一方、ケアマネは月に一回くらいのペースです。
必然と私たちの方が会う回数が増え、徐々に関係性も構築できてきます。
その中で、ご利用者様に本音を聞くと、
「あのケアマネは馴れ馴れしい、本当は変えたいんだけどねー」
って言ってます。
このように、あなたが良しとしている関係性も、利用者にとったら負担になっている可能性があるのです。
あなたが踏み込み過ぎたその口の利き方、本当にご利用者様にとって良いものか、今一度考えてみてください。
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利用者と連絡先を交換する
一部ではありますが、利用者と連絡先を交換しているスタッフがいます。
これ、個人的に絶対にダメです。
社用の個人携帯でも、極力電話番号を教えるのは控えたほうが良いと考えます。
中にはプライベートの携帯を交換したり、ラインを交換したりしていたスタッフもいました。
聞くと、「関係性構築のため」「断りきれずに」って言っていましたが、休日にも電話がくるようになったらしいです。
食事の誘いも受けるようになったらしいです。
さすがに食事は行かなかったらしいんですが、休日までご利用者様の対応に悩むってバカバカしくないですか?
ひどい人覚悟で言いますけど、私たちはあくまでも仕事でご利用者様と付き合っているんです。
お金をもらっているからその人と付き合っているんです。
にも関わらず、特に医療・介護スタッフは、一線を超えたケアをしてしまうことがあります。
しかし、考えてみてください。
もし、ご利用者様の命に関わる緊急事態が起こって、そのSOSの電話があなたのプライベート携帯にかかってきた場合、あなたは対応できますか?
本来なら会社や事務所を通すべき電話が、連絡先を交換することであなた個人にかかってきてしまうことがあります。
そしてもし、自分の判断で返答をしてお亡くなりになってしまった時、訴えられたらどうしますか?
もちろん、会社は守ってくれません。
なぜなら、あなたが勝手に踏み込んだ結果だからです。
公私混同がごっちゃになってしまっているスタッフは一線を引く。
この考え方があなたを守ることになるというのを忘れないでください。
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利用者から贈り物を貰う
最後に「利用者から贈り物を貰う」です。
これもよくあります。
本当はダメですが、訪問した時にお茶やちょっとしたお菓子を出されることがあります。
この程度なら確かに断れないシチュエーションもあり、暗黙のルールとして良しとします。
ただ、お中元などの贈り物、もっといえば金銭まで、もらっている人いませんか?
もし、このような人がいたら、本当にやめた方がいいです。
というのも、保険事業内で行っている以上、このような贈り物を貰うことは禁止されています。
なぜなら、あくまでも私たちは税金という国のお金を利用して仕事をしているからです。
そして、見つかった時のリスクがデカ過ぎます。
ご利用者様本人がお金を渡していて良しとしていても、家族が気づいた時。
家族が会社にクレームをいれてきた時。
あなたを助けてくれる人は誰もいません。
それで会社が何も助けてくれなかった!とか言ったら、うぬぼれんなですよ。
勝手にもらってたのはあなたです。
ただ、中には事務所内で
「今日〇〇さんに○万円もらっちゃってさ〜」
「え〜良いな〜」
みたいな会話を平気でしている会社があるのも事実です。
実際に見たことあります。
このような会社で働いている人は、一刻も早く転職することをオススメします。
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お中元を事務所に贈ってくるご利用者様やご家族様がいるのも事実で、そういう時は、会社の判断になりますが、送り返すのもどうかというところなので、お礼のお葉書などで対応することが多いかと思います。
もう一点、私が贈り物は貰うべきではないと考えている理由があります。
それは、利用者から贈り物を貰うと、立場が逆転してしまう可能性があるからです。
スタッフと利用者、どっちが上はないんですが、ある程度スタッフの指示を受けてもらえるような関係性を保っている必要があります。
なぜなら、相手にとって嫌なこと、めんどくさいこともしてもらうことがあるからです。
時には強く言うことも利用者のために必要な時があります。
ただ、贈り物や金銭を「ありがとうございます!」って貰うと、相手にコントロールされるようになってしまいます。
相手の言いなりになったり、相手が嫌なことは提案しなくなったり、相手が望むこと、嫌じゃないことが優先になります。
機嫌を損ねてプレゼントや金銭をもらっていたのがバレたらどうしよう?といった思考回路のケアになってしまいます。
もし、利用者さんの機嫌を損ねた時、利用者が「お金をたくさんあげてきたのにこんなことされた!」なんて会社に電話かけてきたらどうしますか?
実際、このケース目の当たりにしたことがあります。
もちろん、そのスタッフは会社を辞めることになりました。
このようになってしまったら、会社は守れないんですよ。
訪問という一人で行動する機会が多い仕事はある程度自由にできますし、隠すこともできます。
ただその分、個人の責任が問われてしまうケースも多いのです。
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訪問看護スタッフと利用者の関係を悪化させる行為のまとめ
訪問看護スタッフと利用者の関係を悪化させる行為
- 利用者とお友達の関係性になる
- 利用者と連絡先を交換する
- 利用者から贈り物をもらう
今回は、「訪問看護スタッフと利用者の関係を悪化させる行為」を3つお伝えしました。
こうみるとリスクがでかいと思うんですが、意外とやっちゃってる人いませんか?
一つ共通して言えることは、この行動、あなたにとってもご利用者様にとっても双方にとってマイナスなことばかりなのです。
長い目でみて必ず大きなトラブルが生じるので気をつけるようにしてください。