訪問看護で長年従事をしていると、後輩を育てる立場になる人もいるかと思います。
一人で訪問に行くという特徴上、後輩のケアを直接把握できる機会が少なく、指導がしにくいという人も多いでしょう。
私も長年、訪問看護ステーションで部門管理・エリア統括をした経験があり、多くの後輩を指導してきたので、指導者としての悩みはよく分かります。
今回は、私も経験した「訪問看護で指導しにくい後輩」を3選ご紹介します。
きっと共感してくれる指導者も多いことかと思います。
訪問看護で先輩が指導しにくい後輩3選
それでは、訪問看護で指導しにくい後輩を3選ご紹介してまいります。
プライドが高い後輩
まずご紹介するのは、訪問看護ステーションに看護師として就職してきた50歳くらいの方です。
この方、かなり「プライドが高いご婦人」でした。
医療のコメディカル(看護師や理学療法士・作業療法士といったリハビリスタッフ)は、専門学校や大学を卒業したら、まずは病院に就職するのが王道ルートです。
というのも、訪問だと一人で周る場面が多く、「自分一人 対 利用者」の構図になります。
なので、疾患に対する評価や治療も自分一人でやらなければなりません。
一方、病院は教育体制が整っているところが多く、独り立ちできるまで、先輩が指導者として横について指導してくれます。
そのため、病院である程度の経験を積んで、経験年数と自信がついてきたら、興味のある人は訪問の世界に転職をするというのが一番多い流れになります。
この「病院で働く」のと「訪問で働く」のに上下はないと私は思うんですけど、中には「病院で働いてるやつの方が偉い!」みたいな、考えを持っている人が一定数います。
特に、年寄りの看護師に多いイメージです。
訪問看護で関わる利用者は在宅で生活をしている人なので、ある程度病状が安定している人が多いです。
一方、ご存知の通り、病院は命に直接関わる業務内容が多いです。
そのため、病院勤務の看護師からすれば、
「訪問って高齢者のお話聞いてお薬飲ましてるだけでしょ」
と考えている人が一定数いるのです。
今回、紹介する看護師もそのような考えを持っていた一人なんですが、就職した初日に、
「あなた病院歴何年?」
と、既存のスタッフ一人一人に聞いていきました。
調査の結果、この人が一番病院歴が長いことが分かりました。
そして、そのことがわかった途端!
タメ口、高飛車な態度、上から目線、何か目に入るものにイチャモンつけ出す。
病院歴がその人より短くても年上の人がいました。
その人に対してもです。
それだけには収まらず、なんとその部門のトップ、管理者に対してもです。
もう、一番私が偉い!って思ったんでしょう。
まぁ、そんなやつは相手しなくなるだろうからほっとけって思ったんですけど、一応訪問は初心者だったので、最初の1ヶ月くらいは既存スタッフの同行のもと、利用者の所に行かなければなりません。
案の定、同行してくれているスタッフに対して、
「あぁこんな感じでやってるのね、私だったらこうするわ」
「それはダメじゃない?」
など、否定的な意見ばっかりです。
もう誰も一緒に同行したくないって状態になりました。
ある時、じゃあそこまでいうなら一人で訪問させてみようとなりました。
3ヶ月後くらいですかね、退職しました。
というのも、利用者からのクレームがバンッバンきたんです。
理由は、
「なんであんなに偉そうなの?」
「自分の話ばっかり押し付けて、こっちの話しは聞いてくれない」
というクレームが大半を占めていました。
職員にそういう態度しているやつは、利用者にもやっています。
本当にこのような、「人の意見を聞かず、自分の意見を通さなきゃ嫌!」みたいな人って指導しにくいですよね。
だって聞いてくれないんすもん。
退職日、
「やっぱ訪問は私には合わないわー病院にもどりまーす 」
と捨て台詞を吐いて消えていきました。
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体臭がキツい後輩
ある日、事務所に一本の電話が入りました。
「◯◯さん(リハビリスタッフ)にお世話になっている△△(利用者名)です。」
利用者からの電話でした。
内容は、
「◯◯さん、本当によくしてくれて感謝しているんですが、ちょっと。。。。あの、ちょっと。。。匂いがきつくて。。。。本当に心苦しいんですが担当を変えて欲しいです。」
の旨でした。
ごめんなさい。
私も一緒の事務所にいるので若干気づいていました。
事務所で匂うってことは、利用者の家でも、もちろん匂いますよね。
今思えば未然に防げた事例でした。
ですが、、、皆さん、言えます??
私、、、言えないんですよね。
いやーダメですね。自分が嫌われたくないだけなんすよ、相手を傷つけたくないだけなんすよ。
ただ放っておいたらもっとスタッフは傷ついちゃうんすよ。
わかってるんですけどね。
なかなか言えず、大丈夫なんだろうって蓋をしていました。
で、そのスタッフがタバコお構いなくばんばん!って後輩だったら逆に言えるんですけど、めっちゃ良い後輩なんですよ。
ちょっときついこと言ったら泣いちゃうんじゃないか?って感じの子なんですよ。
「めっちゃ言いにくいー!」って感じですけど、利用者から声が上がったんでね。
これはもう伝えるしかありません。
そして、そのスタッフに伝えると、案の定涙目なんですよ。
もう私も、「いやいや!まぁな、いろいろあるよな、な。」とか訳分からんフォローしつつ、俺まで涙目になってきちゃったんすね。
ただ、今回の利用者に関しては、担当変更の希望が出たので希望に添い変更をしました。
じゃあ、これからどうしようかって話です。
他の利用者からもそういう言葉が出てしまうのは、このスタッフにとっても、利用者にとっても良くありません。
毎回、家に入る前に体拭きシートやるかとか、制汗剤でいいやつがあるらしいとか、色々一緒に調べたんですけど、結果的に彼は手術を受けました。
手術っていってもそんなに大掛かりなものではなく、匂いの元になっている腺を取り除く手術ですね。
プライベートでも気になってしまう場面が多々あり、前からなんとなく考えていたとの事でした。
そして、今回の一件で踏みきれたそうです。
確かに、事務所に一緒にいても気になる事なくなりましたし、クレームもそれ以降なくなりました。
確かに言いにくい事ですけど、今回のように言う事で、そのスタッフの仕事やプライベートまで変えてあげるきっかけになる事もありますからね。
言わない優しさではなく言ってあげる優しさがある事に気づかされたケースでした。
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担当変更の希望が出た後輩
後輩に「担当変更の希望が出てるんだけど…」と伝えるのは、個人的に最も神経を使います。
「プライドの高い後輩」にも「体臭がキツい後輩」にもつながる事なんですけど、利用者から担当変更の申し出が指導者や部門の管理者にくる事があります。
理由は色々です。
体臭のケースもそうですし、技術不足、コミュニケーション面など様々です。
まぁ、人間対人間ですからね。
色々あります。
管理者としてはご利用者様からそういう希望が出た以上、対応する義務があると思います。
一方、管理者も機械じゃないので、そのスタッフがどういう気持ちでそのご利用者様に向き合っていたかも知っているんですよ。
「聞いてくださいよ!◯◯さん、今日初めてトイレにいけるようになったんです!」
「よし!次は外を歩けるように頑張るぞ!」
って報告をくれたスタッフに、
「実は担当変更希望があって。。。」
は、出来れば指導者として一生経験したくないシチュエーションです。
それを伝える私が本当に緊張してしまうんですよね。
ズバッと、「担当変更出たからもういかなくていいよ」って言える上司も見てきたんですけど、ある意味いいなぁって思ってしまいます。
ほとんどのスタッフは、「どう利用者の生活を良くできるか」に一生懸命です。
指導や管理をしていると、よりその温かい気持ちが伝わってきます。
ただ、厳しい事を言うのもこの立場の役目です。
しかし、その後のフォローは入念にします。
だって、その利用者と合わなかっただけで自信をなくして、訪問が嫌いになってしまったり、他のご利用者様にも自信もてなくなっちゃったら嫌じゃないですか。
伝え方一つで、その人の大好きな仕事を奪ってしまう可能性があるのです。
もちろん、スタッフに非があった場合は直すよう伝えていきます。
まぁ、これは医療・介護業界だけの話じゃないかもしれませんけどね。
ただ、利用者からそういうご意見を頂くと、
「こうすれば良かったんだ。じゃあ次からはここを直そう!」
とスキルアップしていく事も事実です。
なので、もしこの記事をサービス受けている側の人が見ていたら、「決して担当変更を申し出るな」というわけではありません。
あなたも料金を払ってサービス受けているので、そこは遠慮する必要ありませんよという事はお伝えしておこうと思います。
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訪問看護で先輩が指導しにくい後輩まとめ
というわけで、「訪問看護で先輩が指導しにくい後輩」をご紹介しました。
指導者や管理者の方、少なからず共感でいる部分もあったんじゃないでしょうか?
指導者や管理者は、「スタッフの評価をしてばかりで自分は評価されてない。。」と孤独を感じている人も多いかと思います。
辛い立場だなぁーと思っている方もいるでしょう。
大丈夫です。一人じゃありません。
みんなで支えあいながら、この大介護時代を乗り切りましょうね。
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