【訪問看護】BCP（災害用）マニュアルの作成方法と作成時の注意点【フォーマットダウンロード可】

2024年4月よりBCPの策定が完全義務化となりました。

介護事業者が対象になっているため、もちろん訪問看護ステーションも対象となります。

しかし、「いきなり策定って言われてもどういう内容にしたら良いか分からない！」という事業所も多いことかと思います。

この記事では、BCP（災害編）の策定で取り込むべき内容を解説してまいります。

あくまでも推奨内容のため、各事業所用に改変してご使用することをオススメします。

※なお、BCPの研修方法に関しては下記の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はこちらもぜひご覧ください。

トコル

記事の最後には、マニュアルの作成例とフォーマットがダウンロードできるページを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください！

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【訪問看護】BCP（災害用）マニュアルに取り込むべき項目

訪問看護ステーションが作るBCP（災害用）マニュアルは、事業所や会社ごとに内容が異なる可能性がありますが、大きな枠組みとして下記のような項目を抑えておくと良いでしょう。

BCPマニュアルの冒頭で、まず「なぜこのマニュアルを作成するのか」を明確にしましょう。

災害や緊急事態が起きても、利用者の生命と健康を守りつつ、事業機能を維持し続けることがBCPの根幹的な目的です。

また、訪問看護の特徴としては、利用者宅に出向く必要がある、医療依存度の高い利用者が多いなど、ほかの介護サービスとは異なるリスクが存在します。

そのため「平時」と「有事」のギャップをどのように埋めるかがポイントになります。

作成するときのポイント: ・「なぜ作るのか」をはっきりさせ、全員が共有できるゴールを設定
・訪問看護に特有のリスク（緊急の医療ケアや移動手段の確保など）を考慮
・誰でもすぐに参照できるシンプルなレイアウト・構成を心がける

BCPを実際に機能させるには、「誰が何を担当するのか」を明確にし、指揮系統を整備する必要があります。

管理者（所長など）をトップとし、副責任者や連絡調整担当、物資管理担当など、役割を細かく振り分けておくと、緊急時の混乱を最小限に抑えられます。

作成するときのポイント: ・BCP責任者を中心にした指揮命令系統を、図などを用いて分かりやすく表示
・副責任者や連絡調整担当などを明確に定義（スタッフが少ない場合は兼任も検討）
・万が一、責任者が不在のときは誰が代行するのかといったルールを設定

災害には、地震・津波・台風などの自然災害だけでなく、火災や大規模感染症、停電・断水も含まれます。

訪問看護ステーションが想定すべきリスクを一通り挙げ、どの程度の被害が見込まれるかを考えたうえで、最優先で守るべき業務（例えば酸素療法や人工呼吸器の管理など）をはっきりさせましょう。

作成するときのポイント: ・自然災害（地震、風水害など）や火災、大規模感染症など、可能性のあるリスクを一覧化
・各利用者の医療依存度を事前に把握し、優先順位を設定
・業務継続が難しくなったときの代替策（他事業所との連携、代替スタッフの手配など）も検討

災害が発生した直後の「初動対応」から「復旧」までを段階ごとに整理し、フローチャートに落とし込むことで、誰が読んでも行動の流れをひと目で把握できるようにします。

特に訪問看護の場合、移動中や利用者宅で被災する可能性もあるため、状況に応じた具体的な行動基準を示しておくと安心です。

作成するときのポイント: ・発災時から復旧までを時系列でまとめ、初動手順を明確に
・重要利用者（人工呼吸器利用者など）への対応順を考慮
・二次災害防止のため、訪問を見合わせる基準も設ける
・フローチャートは簡潔かつ視覚的に分かりやすいデザインに

災害時には医療用物品や非常食、飲料水、通信手段などが一気に不足します。

また、電子カルテや請求システムが止まってしまったときのバックアップ体制も欠かせません。

作成するときのポイント: ・医療用物品（マスク、消毒液、ガーゼ、パルスオキシメーターなど）の在庫管理
・スタッフ用の非常食と飲料水は3日分以上を目安に備蓄
・紙媒体・電子データの両面でバックアップ・保管方法を検討
・通信手段としてモバイルバッテリーや携帯型無線機なども準備

BCPがどれだけ充実していても、実行するスタッフが被災して動けないとなれば意味がありません。

まずはスタッフの安全確保を最優先しながら、利用者の安否確認や訪問可否を検討します。

作成するときのポイント: ・スタッフの安否確認手段（電話連絡、SNS、安否確認システムなど）を確立
・スタッフが出勤できない場合に備えた業務引き継ぎ方法の共有
・利用者宅への連絡手段（電話、訪問、地域の見守りサービスなど）を複数用意
・危険地域の訪問是非を判断する基準（自治体の避難勧告など）を設定