2024年4月よりBCPの策定が完全義務化となりました。
介護事業者が対象になっているため、もちろん訪問看護ステーションも対象となります。
しかし、「いきなり策定って言われてもどういう内容にしたら良いか分からない!」という事業所も多いことかと思います。
特に小児用となると尚更かもしれません。
この記事では、訪問看護における小児用のBCP(感染症編)の策定で取り込むべき内容を解説してまいります。
あくまでも推奨内容のため、各事業所用に改変してご使用することをオススメします。
※なお、BCPの研修方法に関しては下記の記事で詳しく解説していますので、興味がある方はこちらもぜひご覧ください。
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【2024年義務化】BCP(感染症編)の研修内容を完全解説!【フォーマットあり】
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記事の最後には、マニュアルの作成例とフォーマットがダウンロードできるページを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください!
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【訪問看護小児用】BCP(感染症)マニュアルに取り込むべき項目

訪問看護ステーションが作るBCP(感染症用)マニュアルは、事業所や会社ごとに内容が異なる可能性がありますが、大きな枠組みとして下記のような項目を抑えておくと良いでしょう。
- 目的
- 体制・責任の明確化
- リスク評価・想定される感染症
- 行動指針とステージ分け
- 感染防止策の具体化
- 小児用備蓄品・資材管理
- スタッフのシフト管理・代替要員確保
- 訓練・教育・見直し
- 復旧・事業再開計画の策定
1. 目的
小児に特化した感染症対応BCPで最も大切なのは、子どもの命と健康を守りながら、在宅での医療・ケアを継続することです。
大人に比べて小児は合併症が起きやすかったり、重症化しやすかったりする場合があります。
そのため、家族や保護者の不安を和らげると同時に、地域の小児医療を支える存在として「安心を提供する」という役割を明記しておきましょう。
- 作成するときのポイント
- ・小児の医療依存度や年齢に合わせたケアニーズを想定する
・保護者を含めた支援体制(連絡先や相談窓口など)を明確にする
・「感染拡大の防止」と「ケアの継続」という両立を中心に据える
・スタッフ自身の安全を守る対策も忘れずに組み込む
2. 体制・責任の明確化
小児の在宅ケアを行ううえでは、小児科病院や療育センター、保健所などの専門機関との連携が欠かせません。
感染症が拡大するとスタッフの不足や業務の混乱が起こりやすいため、「誰が何を担当し、どこと連絡を取るのか」を事前に定めておくことが重要です。
- 作成するときのポイント
- ・BCP責任者(管理者・所長)や感染管理リーダーを中心とした指揮系統を示す
・連絡調整担当や物資管理担当などの役割を具体的に割り振る
・小児科病院や療育センターとの連絡窓口を決めておく
・責任者が不在の場合の代行ルールを明確にし、スタッフ全員へ周知する
3. リスク評価と想定される感染症
小児が罹患しやすい感染症には、インフルエンザ、RSウイルス、ノロウイルス、コロナウイルスなど多岐にわたるものがあります。
さらに、新型インフルエンザや新興感染症などの可能性も考慮が必要です。
流行した場合の影響度やスタッフへの波及を見極めておけば、必要な対策を事前に検討できます。
- 作成するときのポイント
- ・それぞれの感染症について、感染力・症状・潜伏期間などを整理する
・重症化リスクが高い感染症は優先度を高めに対策を検討する
・地域の流行状況や子ども自身の既往歴なども踏まえてリスク評価を行う
・スタッフが同時期に感染するリスクを想定し、欠勤が重なっても回せる計画を立てる
4. 行動指針とステージ分け
感染症の流行度合いに合わせて、たとえば「平常(ステージ0)」「感染拡大の兆候(ステージ1)」「中規模流行(ステージ2)」「大規模流行(ステージ3)」のように段階を設定し、それぞれのステージで講じる対策を変えていきます。
小児の場合、症状が急に悪化しやすいため、早い段階での訪問調整や優先ケアの再検討が必要になることもあります。
- 作成するときのポイント
- ・人工呼吸器や経管栄養などが必要な子どもを優先訪問リスト化する
・スタッフの欠勤率や行政からの通達を踏まえ、訪問スケジュールを適宜見直す基準を設定
・スタッフや保護者との連絡手段(電話・オンラインなど)を明示し、迅速に対応できる体制を整える
・緊急対応が必要な子どもを素早く把握できるよう、情報共有の仕組みを整備する
5. 感染防止策の具体化
小児向けのケアでは、人工呼吸器の管理や痰の吸引など、飛沫が発生しやすい処置が多くあります。
そのため、個人防護具(PPE)の使用や手指衛生を徹底するのはもちろん、スタッフ同士の接触やステーション内の密集を避ける工夫が必要です。
- 作成するときのポイント
- ・マスク、手袋、フェイスシールド、ガウンなど、PPEの使用ルールを処置ごとに具体化
・訪問先やケア場面ごとの手指衛生のタイミング(訪問前後、吸引前後など)をはっきり示す
・飛沫が多い処置の手順と注意点を、スタッフ全員が理解できる形でマニュアル化する
・保護者にも予防策を指導し、家庭内での感染拡大を最小限に抑える
6. 小児用備蓄品・資材管理
小児のケアには大人と異なる資材が必要になることがあります。
たとえば小児用マスク、吸引チップ、胃ろうチューブなどは需要が集中しやすく、感染症流行時には一気に品薄になる可能性があります。
- 作成するときのポイント
- ・日頃から小児用の医療物品や衛生用品の在庫と消費ペースを正確に把握する
・PPEも含め、長期的に不足しないよう、使用頻度や在庫期限を考慮した発注サイクルを組む
・複数の仕入れルート(行政支援、医療材料卸など)を確保しておく
・在庫品は定期的にチェックし、期限切れや品質劣化を防ぐように管理する
7. スタッフのシフト管理・代替要員確保
感染症が拡大するとスタッフが感染したり濃厚接触者となったりして、出勤できなくなるケースが増えます。
特に小児のケアは高度・複雑な処置が多いことから、担当者を固定しすぎると代替が難しくなる恐れがあります。
- 作成するときのポイント
- ・Aチーム・Bチームに分けるなど、スタッフ同士が接触しにくい勤務体制を考える
・重要なケアのノウハウを全体で共有し、特定のスタッフに集中させない
・非常勤スタッフや他事業所とのネットワークを活用し、緊急時に協力できる体制を築く
・通勤時のリスクを減らすため、時差出勤や自家用車通勤の導入などを検討する
8. 訓練・教育・見直し
BCPマニュアルは作成しただけでは実効性がありません。
定期的な訓練や研修を通じて、スタッフ全員が具体的な行動や連絡方法、感染予防策を理解し、実践できる状態を維持することが重要です。
訓練の結果や実際の流行事例から問題点を見つけ出し、マニュアルに反映させることで、より現場に即した内容にブラッシュアップできます。
- 作成するときのポイント
- ・年2回程度、シミュレーション訓練を行い、小児特有の処置(呼吸器管理など)も再現する
・オンライン会議システムを利用した情報共有の場を定期的に設け、スタッフ間の連携を強化
・訓練後は必ず振り返りを行い、発生した課題を可視化してマニュアル改善につなげる
・行政機関や専門学会から最新の感染症ガイドラインが出た場合は速やかに内容を更新する
9. 復旧・事業再開計画の策定
感染症がピークを越えて収束・終息に向かった際、通常業務に段階的に戻していく方法をあらかじめ考えておくと、混乱を減らすことができます。
小児の場合、回復した後も引き続き注意が必要なケースが多いので、その点も踏まえて計画を作成しましょう。
- 作成するときのポイント
- ・最優先で提供すべきケア(人工呼吸器管理など)から順に通常業務へ復帰させる
・スタッフの体調や精神的負担にも配慮し、休暇やフォローアップの機会を設ける
・保護者へのサポートも継続し、在宅復帰後の不安を解消できるよう支援体制を確保
・今回の経験から得られた反省点や改善策を次のBCP改訂に必ず反映させる
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