今回は、訪問看護の現場で欠かせない「苦情対応マニュアル」の作成方法についてお話しします。
苦情対応マニュアルは、利用者やご家族からの苦情・不満・要望に迅速かつ適切に対応するための重要なガイドラインです。
しかし、実際に作ろうとすると、「どんな項目を入れればいい?」「どのように文章化すればいい?」と悩む方も多いと思います。
この記事では、苦情対応マニュアルに入れるべき各項目の説明と、作成するときのポイントを解説していきます。
スタッフの安全を守るためにも、ぜひこの記事を参考にしてマニュアル作成をしてみてください。

記事の最後には、マニュアルの作成例とフォーマットがダウンロードできるページを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください!
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【訪問看護】苦情対応マニュアルに取り込むべき項目

- 目的
- 適用
- 範囲用語の定義
- 苦情対応の基本方針
- 連絡・報告体制
- 苦情対応の手順
- 再発防止策
- 記録・保存
- 教育・研修
- マニュアルの見直し
①目的
苦情対応マニュアルの「目的」では、このマニュアルを作る理由や、それによって得られる効果を示します。
利用者やご家族から寄せられる苦情に対して、組織としてどんな姿勢で臨むのかを明確にしておくことで、全職員が同じ方針を共有し、統一した対応ができるようになります。
- 作成するときのポイント
- ・なぜ必要かを簡潔に記載する
・職員が読んだ時に「このマニュアルはどんな役割を果たすのか」が一目で分かるようにする
・苦情対応によって期待される効果(利用者満足度向上、業務改善など)を具体的に示す
②適用範囲
ここでは、マニュアルがどの範囲で適用されるかを明確にします。
訪問看護事業所内の正社員だけなのか、パートや派遣スタッフ、業務委託先まで含めるのか、こうした適用範囲をはっきり示すと、「誰がこのルールに従うべきか」がわかりやすくなります。
例えば、「訪問看護サービスに携わるすべてのスタッフが対象」「迷ったときは管理者に相談」というように記載すれば、混乱が少なくなるでしょう。
- 作成するときのポイント
- ・対象となる職員を明確に示す(正社員、パート、派遣、業務委託など)
・訪問看護サービスに携わる全スタッフが共有する前提を記載する
・不明な場合は管理者に相談するよう一文を入れておく
③用語の定義
「苦情」という言葉に対する受け取り方は、人によって異なることがあります。
たとえば「要望」との違いをどこで区切るかなど、組織内で意見が分かれがちです。
そこで、最初に「苦情」「要望」「クレーム」などよく使う言葉を明確に定義し、職員同士で共通認識を持てるようにしておくとスムーズに運用できます。
- 作成するときのポイント
- ・「苦情」「要望」「クレーム」など頻出用語を定義し、共通認識を作る
・その定義を現場の職員同士で共有・確認できるようにわかりやすく書く
・曖昧な表現を避け、具体的に示す
④苦情対応の基本方針
苦情を受け止める際に、組織としてどのような姿勢で対応するか、その根幹を示すのが「基本方針」です。
利用者との信頼関係を損なわない対応を行うため、「迅速」「誠実」「公正」「プライバシー保護」などのキーワードがよく挙げられます。
ただし、これらの言葉を並べるだけでは抽象的なので、「迅速とは具体的にどのような行動か」「誠実な対応とは何を意味するか」といった補足説明を添えると、職員がイメージをつかみやすくなるでしょう。
- 作成するときのポイント
- ・「迅速」「誠実」「公平」などのキーワードを盛り込む
・基本方針の意図を簡単に補足説明する(例:「迅速」とは具体的にどのような行動を指すか)
・事例を想定し、職員が実践しやすい表現を心がける
⑤連絡・報告体制
苦情が寄せられたときに、だれがどのタイミングでどのように報告を行うかをあらかじめ定めておくと、トラブル対応がスムーズになります。
緊急性が高い場合や法的問題が絡むケースでは、上司や法人本部、場合によっては顧問弁護士へ相談する流れも必要です。
報告フローを図などで可視化し、具体的な経路(担当看護師→主任→管理者→事業所長など)を示すとわかりやすいです。
また、通常の苦情と重大事案では優先度を変えるなど、使う連絡ツールや連絡期限をしっかり決めておくと混乱が防げます。
- 作成するときのポイント
- ・具体的な報告ルートを図式化して示す(例:担当看護師 → 主任 → 管理者 → 事業所長)
・緊急度に応じた優先度を設定する(通常の苦情と重大事案の区別など)
・連絡する際のツール(電話・メール・チャットなど)や期限も明記する
⑥苦情対応の手順
「苦情の受理」「記録」「初期対応」「調査・確認」「相手への報告・説明」「同意・合意形成」「フォローアップ」という流れで、実際にどのように動いていくかを段階ごとにまとめるパートです。
ここはマニュアルの中でも重要な部分になります。
作成にあたっては、時系列で手順を整理し、「このステップでは誰が何をするか」を明確に書くのがポイントです。
報告書や記録書のテンプレートなどがあると、現場で迷わず対応できます。
- 作成するときのポイント
- ・手順を時系列で整理して分かりやすくする
・各ステップにおいて誰が何をするのかを明示する
・実際に現場で使えるテンプレート(報告書の様式など)を添付しておくと便利
⑦再発防止策
苦情に対して一度対応しただけでは終わりではありません。
同じような問題が起こらないようにするため、原因の分析や改善策の実施、それらをスタッフに共有するといった仕組みを設けておくことが大切です。
たとえば、定期的なスタッフミーティングで振り返りを行い、改善策を試した後は効果がどうだったかを検証するなど、そうした流れを明確に決めておくと、再発防止がより実践的になります。
- 作成するときのポイント
- ・苦情の発生原因を分析する方法や流れを示す(例:スタッフミーティングでの振り返り)
・改善策を実施後、定期的に効果検証する手順も盛り込む
・問題再発や別のトラブルにつながらないよう、組織全体で周知する方法を明記する
⑧記録・保存
苦情対応の経過や結果を残しておくと、あとから問題が生じた際に証拠や参考資料として活用できます。
ただし、個人情報を扱うことが多いため、閲覧権限や保存期間を定め、漏えいしないように管理しなければなりません。
具体的には「どんな情報を記録するのか」「どこに保管し、何年間保存するのか」などを明記し、アクセス権限の制限やパスワード管理のルールなども追加すると安全です。
- 作成するときのポイント
- ・何を記録するか、記録フォーマットを明確にする
・保管期間を定める(例:5年保管など)
・アクセス権限を設定し、個人情報の漏えいを防止する方法を記載する
⑨教育・研修
マニュアルを作っても、職員がその中身を知らなければ意味がありません。
新しく採用された職員へのオリエンテーションや、年に一度の勉強会などで、苦情対応の基本方針や手順を周知・共有しておくことが大切です。
具体的には、事例を使ったシミュレーションやロールプレイなどを取り入れると、実践的なイメージが湧きやすく、職員同士の理解も深まりやすいでしょう。
- 作成するときのポイント
- ・新入職員研修でマニュアルを説明するようにする
・年1回など定期的に研修や勉強会を計画する
・事例をもとにシミュレーションやロールプレイを行うと理解が深まる
⑩マニュアルの見直し
法令が変わったり組織体制が変化したりすると、マニュアルにも手直しが必要です。
トラブルの傾向自体が変わることもあるため、定期的に内容を点検し、実態に合わなくなっていないかをチェックすることが大切です。
たとえば、「年に1回は管理者を中心に職員の意見も踏まえながら見直しを行い、改訂履歴を残す」といったルールを設けておくと、継続的に質を保つことができます。
改訂後は、変更点を全職員に周知することも忘れないようにしましょう。
- 作成するときのポイント
- ・見直しの頻度を設定する(例:年1回、組織再編のタイミングなど)
・見直しの際には管理者だけでなく、スタッフの意見も取り入れる
・改訂履歴を残し、職員全員に改訂内容を周知する
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