訪問看護 加算・制度解説

【訪問看護】小児虐待防止マニュアルの作成方法と各項目の解説【ダウンロード可】

この記事では、訪問看護における「小児虐待防止マニュアル」の作成方法を解説しています。

高齢者や成人のケアとは異なり、小児ケア特有のリスクや配慮すべきポイントは数多く存在します。

しかし、実際にマニュアル作りを指示されたときに、

「どのような項目を盛り込むべきなのかわからない…」

「高齢者向けのマニュアルはイメージがつくけれど、小児の場合はどう作ったら良いかわからない…」

と悩む方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、「小児虐待防止マニュアル」に盛り込むべき主な項目とその書き方、さらに作成時に押さえておきたいポイントをまとめています。

具体的な事例や、訪問看護の現場で役立つヒントもご紹介しているので、明日からすぐに実践可能な内容となっています。

これから小児の訪問看護に携わる方、マニュアル作成を担当される方などはぜひ参考にしてみてください。

トコル
トコル

記事の最後には、マニュアルの作成例とフォーマットがダウンロードできるページを紹介しているので、ぜひチェックしてみてください!

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訪問看護で小児用の虐待防止マニュアルが求められる背景

マニュアルを作成する前に、なぜ訪問看護で小児用の虐待防止マニュアルが求められるのかを理解しておきましょう。

小児への虐待の現状

まずは小児への虐待の現状です。

実は近年、児童相談所への通告件数は増加傾向にあります。

児童相談所における虐待相談対応件数とその推移|令和4年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数(速報値)

身体的な暴力や性的な被害だけでなく、ネグレクト(育児の放棄)や心理的な虐待のように、表面からは見えにくい形で起こる虐待も存在します。

医療の現場でも、訪問看護スタッフが家庭の様子をうかがう中で、何か違和感を覚えるケースは決して珍しくありません。

こうした状況を受け、医療や介護に携わる私たちは、小児虐待の定義や対応策、そして通告に関する義務を正しく理解し、迅速に動けるようにしておく責任があるのです。

障害福祉サービスでは「虐待防止措置未実施減算」が義務化

このような現状から、障害福祉サービスでは令和4年度から「虐待防止措置未実施減算」が義務化されました。

下記(1)から(3)までのいずれかに該当する事実が生じた場合、利用者全員について所定単位数1%の減算が適用されます。

(1)指定障害福祉サービス基準又は指定障害者支援施設基準の規定に基づき求められる虐待防止委員会を定期的に開催していない場合。具体的には、1年に1回以上開催していない場合とする。

(2)虐待の防止のための研修を定期的に実施していない場合。具体的には、研修を1年に1回以上実施していない場合とする。

(3)虐待防止措置(虐待防止委員会の開催及び虐待の防止のための研修の実施)を適切に実施するための担当者を配置していない場合。

対象となるサービス
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)(宿泊型自立訓練を除く)、就労選択支援(令和7年10月1日創設)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援、自立生活援助、共同生活援助、障害者支援施設(施設入所支援のほか、障害者支援施設が行う昼間実施サービスを含む)、地域移行支援、地域定着支援、計画相談支援、障害児相談支援、児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援

作成前の準備:関連法令の確認

マニュアルを作成するにあたっては、関連法令をしっかりと確認しておくのがベターです。

どのような行為が虐待にあたるのか、どういう場面で通報義務が生じるのかなどを把握しておくことが大切です。

関連法令の確認

  • 児童虐待の防止等に関する法律(児童虐待防止法)
    児童虐待の定義や通告義務、児童相談所の役割などが定められています。
  • 児童福祉法
    子どもの権利と福祉を守るための基本的な法律です。

まずはこれらの法律を理解し、どのような行為が虐待に当たるか通告の義務がどのように規定されているかを把握しましょう。

参考:児童虐待の防止等に関する法律(e-GOV法令検索)

行政資料の確認

  • 自治体のホームページや、厚生労働省・児童相談所などが公開している児童虐待対応マニュアル
  • 日本看護協会や小児看護学会のガイドライン・パンフレット

これらを参考にすると、マニュアルの骨組みや具体的な通告先が明確になります。

【訪問看護】小児虐待防止マニュアルに取り込むべき項目と解説

では、本題の訪問看護における小児虐待防止マニュアルの作成方法に移ります。

取り込むべき項目は、以下の通りです。

  1. 目的
  2. 虐待の防止に関する基本的な考え方
  3. 組織体制(虐待防止検討委員会など)
  4. 虐待防止のための職員研修
  5. 虐待発生時の対応方法
  6. 虐待に関する相談・報告体制
  7. 利用者や保護者への支援制度の案内
  8. 虐待に係る苦情解決方法
  9. 閲覧・公開に関する事項
  10. その他虐待防止に必要な事項
  11. 改廃に関する規定
  12. 附則

上記はあくまで一例です。

事業所や会社の方針によって、内容・構成は変化することが考えられますが、基本的には同様の内容が含まれるかと思います。

①目的

「目的」の項目では、このマニュアルを作成する理由をわかりやすく示します。

たとえば小児虐待防止法などの関連法令に触れたうえで、「子どもの最善の利益を守る」「訪問看護現場で早期に虐待を発見し、適切に対応する」といった本マニュアルならではの意義をはっきりと説明すると良いでしょう。

さらに、年齢の範囲(たとえば0〜18歳など)を明示して、どの利用者を対象としているのかを明確にすることも大切です。

ポイント
・マニュアルを作成する理由を短くまとめておくと、読む人にとってその必要性がより理解しやすくなる。
・児童虐待の防止等に関する法律などの根拠に加え、訪問看護や医療の現場での重要性を強調すると職員の理解が深まる。
・さらに、事業所の理念やビジョンに結びつけることで、「組織として何を大切にしているのか」がより明確になり、共通の意識を持ちやすくなる。

②虐待の防止に関する基本的な考え方

ここではまず、「小児虐待とは具体的に何を指すのか」という定義を整理し、事業所として子ども(利用者)にどのように向き合うかを明記します。

たとえば、児童虐待防止法で示されている身体的・性的・心理的虐待やネグレクトなどの種類を整理すると同時に、「子どもの身体と心の安全を守り、尊厳を大切にする」という基本的な姿勢を示すことが重要です。

また、守秘義務や個人の尊重といった事業所全体の行動指針も含めて記載しておくと、「子どもの最善の利益」を最優先するための全体像がわかりやすくなります。

ポイント
・小児虐待に関する法律やガイドラインにある定義を引用し、種類をわかりやすくまとめる。
・「子ども一人ひとりの尊厳を守る」「安心できる環境を維持する」という基本理念を示して共通認識を高める。
・日常のケア場面を想定した簡単な例などを交えると、実際の業務に活かしやすい。

③組織体制(虐待防止検討委員会など)

この項目では、事業所内で虐待防止に携わる組織や担当者の役割・位置づけを詳しく説明します。

たとえば「虐待防止検討委員会」のような組織を設置している場合は、正式名称・メンバー構成・責任者・副責任者を明確に示すとよいでしょう。

さらに、会議の開催頻度、検討内容、そこから得られた結果の共有方法などを具体的に記載し、全スタッフがスムーズに動ける体制を整えます。

また、児童相談所や地域の子ども支援センターとの連携方法を明示することで、事業所単独では難しい状況でも迅速にサポートが得られる仕組みが作れます。

ポイント
・どの段階で誰が意思決定を行い、どのように実行するかをはっきりさせる。
・委員会の責任者・副責任者を定め、連絡系統を整理しておく。
・「医療的ケア児への対応」や「保護者支援」に関わるスタッフの配置状況を説明すると、委員会が果たす役割を理解しやすい。

④虐待防止のための職員研修

職員研修の項目では、スタッフがどのような研修を、いつ、どんな内容で受けるかを明確にします。

たとえば定期的に年1回研修を行うのか、新人研修の必須項目として組み込むのか、といった開催頻度や方法を示し、さらに「児童虐待の定義・通告義務」や「事業所独自のルール」など、研修で扱うテーマを具体的に記載すると管理しやすくなります。

研修を行ったあとの記録・評価方法、そしてその結果をどのように活かすかを定めておくと、職員の理解度を高めるきっかけにもなるでしょう。

ポイント
・研修の開催頻度と方法を具体的に決め、実施内容をわかりやすく伝える。
・「児童虐待防止に関する基礎知識」「通告手順」「事業所独自の相談体制」を中心に、実務に直結するテーマを盛り込む。
・研修後にどのような状態を目指すか(目標像)を共有すると、スタッフの意識向上にもつながる。

⑤虐待発生時の対応方法

虐待が疑われた際に、どのような手順で通告や報告をするのかを整理して書くのがこの章の目的です。

児童相談所や自治体、警察などへの連絡のタイミングと連絡先リストをはっきり示し、「どの段階で誰に報告するか」を具体的にまとめます。

また、実際に虐待を発見した職員の安全確保や、被害を受けた子どもの保護・サポート体制もできるだけ詳細に記載しておくと、いざというときに戸惑わずに動けます。

ポイント
・虐待が「疑われた段階」での通告義務を踏まえ、迷わないためのフローチャートがあると便利。
・「最初にとるべき行動」「通告の連絡先一覧」「事後対応の手順」などを整理。
・緊急性に応じた対応フローを示すと、スタッフ全員が共通の認識を持ちやすい。

⑥虐待に関する相談・報告体制

「虐待に関する相談・報告体制」では、スタッフ間の相談体制だけでなく、保護者や子ども(利用者)本人からの声をどう受け止めるかについても方針を示します。

相談窓口を特定の部署に一本化するのか、どの役職にでも相談可能にするのか、また匿名での報告を受け付けるのかなど、運用ルールを明らかにしておくことが大切です。

あわせて、相談を受けた内容の記録方法や責任者への報告手順を具体的に決めておくと、対応漏れが起こりにくくなります。

ポイント
・「言いづらいことでも話せる雰囲気づくり」や「守秘義務の遵守」をしっかり伝える。
・窓口や相談ルートを複数用意しておくと、実際に機能しやすい。
・受けた相談の記録と報告フローを定め、早急に次の行動へ移れるようにする。

⑦利用者や保護者への支援制度の案内

「利用者や保護者への支援制度の案内」では、児童や保護者が利用できるサービスや社会資源に関する情報を整理して紹介します。

たとえば障害児支援の制度や子育て支援センターの連絡先など、保護者の悩みや負担を軽減する手立てを提示すると、早期の相談につながりやすくなります。

また、それらの支援制度を利用する際に、事業所がどの程度手続きのサポートを行うかを明らかにすることで、子ども(利用者)や保護者側に安心感を与えられます。

ポイント
・保護者自身が抱えるストレスや悩みが虐待リスクに発展するケースもあるため、保護者向けサポート情報を充実させる。
・「困ったときに連絡できる先」の一覧を用意しておくと、トラブルの早期解決に役立つ。

⑧虐待に係る苦情解決方法

「苦情解決方法」では、虐待に関する苦情が寄せられた際に、どのように受け付け、調査し、結果を報告するかをまとめます。

苦情受付の方法(電話・メール・対面など)や担当者の役割・対応フローを示し、誰が何をどこまで行うのかを明確にすることがポイントです。

対応結果を記録し、保護者へのフィードバックを適切に行うしくみも定めておくと、トラブルが長引きにくくなります。

ポイント
・子ども(利用者)本人からの相談に応じる場合も想定し、フローを整備しておく。
・対応結果や改善策は関係者にフィードバックし、問題を繰り返さない体制づくりを目指す。

⑨閲覧・公開に関する事項

「閲覧・公開に関する事項」では、完成したマニュアルを誰がどのように閲覧できるのか、どこに保管するのかといった点を説明します。

事業所内で紙のマニュアルを常備して自由に閲覧できるようにするのか、ウェブ上で公開するのかなど、運用ルールを決めておきます。

職員だけでなく、必要に応じて利用者や保護者が閲覧可能にするかどうかも記載すると、透明性や信頼性の向上につながります。

ポイント
・公開範囲や保管場所をあらかじめルール化し、職員全員が把握できるようにする。
・「事業所内ではいつでも閲覧可能」「コピーや抜粋資料の提供が可能」といった具体的な運用方法があると便利。

⑩その他虐待防止に必要な事項

「その他虐待防止に必要な事項」には、外部機関との連携や社外研修への参加促進といった、マニュアルに盛り込みきれなかった施策をまとめるとよいでしょう。

たとえば「児童相談所や自治体主催の研修へ定期的にスタッフを派遣する」「関係機関との意見交換会を年○回実施する」などを計画として示し、常に最新の情報や知見を取り入れる体制を整えるとよいでしょう。

ポイント
・「他職種・他機関との連携を進めるための取り組み」「新しいガイドラインを常にチェックする体制」など、常に最新情報を取り入れる姿勢を示す。
・運用していく中で得た改善点を定期的にフィードバックできる仕組みがあると、マニュアルの実効性が高まる。

⑪改廃に関する規定

「改廃に関する規定」では、マニュアルをどのような基準やフローで改訂するかを定めます。

法令が改正されたり、実際の運用で課題が生じた場合に、どの部署が主体となって見直しを行い、どのように承認を得るのかを具体的に書きます。

また、改訂履歴を管理する方法(バージョン番号や施行日の表記など)を明確化しておけば、どの時点のマニュアルが有効かがひと目でわかるようになります。

ポイント
・法改正やガイドラインの更新に合わせ、速やかに内容を見直す体制を整える。
・「年に一度」など、定期的なチェック・改訂のタイミングを決めておくと常に内容を最新に保てる。

⑫附則

マニュアルの施行日や経過措置など、本文に含めきれなかった詳細事項をまとめるのが附則です。

施行日をはっきり示すことで、新しく作成したマニュアルがいつから適用されるのかを全職員に周知しやすくなります。

旧マニュアルとの切り替え時期や、他の規定との整合性などもここに書いておくと混乱を少なくできます。

ポイント
・施行日を明示し、周知のタイミングをしっかり管理する。
・旧マニュアルとの併用期間などがある場合は、ここで併記しておくとスムーズな移行ができる。

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