理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師を目指す学生に向けた、評価ポイント解説シリーズ。
今回は、「一般情報」です。
一般情報とは、「患者名」「疾患名」など、患者の基本的な情報を指します。
レジュメやレポートを作成する上でも重要な情報なので、しっかりと収集しなければなりません。
今回は、書き方の解説に加えて、「一般情報」の評価シートを3種類ご用意したので、自分に合うシートをダウンロードして実習に臨んでください。
もちろん、書式のダウンロードは無料です。
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詳細版は、必要な情報をすべて収集できるように作成してあります。
一方、簡易版は必要最低限の情報収集に向いています。
そのため、カルテから情報を収集するときは詳細版、他部門や家族といった人から情報収集するときは簡易版を用いるなど、用途に合わせて使い分けるのもオススメです。
一般情報の書き方(情報収集)のポイント!
一般情報の書き方(情報収集)のポイントは以下の通りです。
一般情報の書き方(情報収集)のポイント
- その患者にとって必要な情報を収集する
- 未来を想像した情報を収集する
- 人に情報収集するときは事前に聞くことを考えておく
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1その患者にとって必要な情報を収集する
当たり前のようで意外とできていないのが、「その患者にとって必要な情報を収集する」です。
患者の「診断名」や「家族情報」などは、誰がみても必要な情報であることは分かります。
しかし、在宅復帰を目指していない患者の「家屋情報」はいかがでしょうか。
もう施設への入所が決まっている患者に対して、「家屋情報」は決して必要な情報ではないことが分かります。
家族も、在宅復帰を目指していないのに家屋情報を聞かれることは戸惑ってしまうでしょう。
このように、その患者にとって「何が必要で、何が不必要なのか」、まずはこの点を整理してから情報収集しましょう。
とはいっても、評価実習の時などは必要な情報がわからない人もいるでしょう。
そのときは、1から10まで情報を収集するのも決して悪いことではありません。
ただ、家族に迷惑をかけるのは学生であってもご法度なので、バイザーと相談の上、情報収集する部分を決めていきましょう。
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2未来を想像した情報を収集する
学生でも、「今現在の情報収集」は出来ることが多いです。
難しいのは、「未来を想像した情報収集」です。
「その患者にとって必要な情報を収集する」にも通じますが、その患者は退院後どのような生活を望んでいるのでしょうか。
寝たきりでも在宅に帰りたい患者もいます。
私たちが在宅で過ごせそうと思っていても、家族が施設入所を希望する場合もあります。
在宅に帰るなら「家屋情報:段差や手すりの有無」などが必要になるでしょうし、施設に行くならMSWに「どのくらいで施設に入れそうか、入所するまでどうするのか」などの情報が必要になることが分かります。
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3人に情報収集するときは事前に聞くことを考えておく
他部門から情報を聴取することは必須です。
看護師に病棟での情報を聞いたり、医師に予後を聞いたりすることになると思います。
その際、人に情報収集するときは「事前に聞くことを考えておく」ことを心がけましょう。
人に情報収集するときは、かなり緊張します。
目の前にすると質問することが飛んでしまった!ということは、あるあるです。
また、看護師や医師は仕事の合間を縫って時間を割いてくれています。
相手の負担軽減のためにも、手短に済ませられるように準備をしておきましょう。
一般情報の書き方・情報収集の方法を徹底解説!
それでは、ここからは一般情報の書き方(例)と情報収集の方法を徹底解説してまいります。
項目は、どの患者にも必要と思われるものに絞って解説してまいります。
患者の一般情報の書き方・情報収集の方法
情報収集したい内容
- 患者氏名
- 生年月日(年齢)
患者の一般情報は、担当のバイザーが教えてくれると思うので、そこまで情報収集に困る項目ではないでしょう。
一点、学生の身分で住所や電話番号といった個人情報は教えてもらえない可能性が高いです。
レジュメやレポートでも必須項目ではないので、無理に収集することは避けましょう。
患者の一般情報のポイント
・バイザーから聴取しよう!
・プライバシーに関わる部分は聴取しなくてもOK!
医学的情報の書き方・情報収集の方法
情報収集したい内容
- 入院日
- 診断名
- 障害名
- 合併症
- 現病歴
- 既往歴
- 内服薬
- 画像所見
医学的情報では、患者の「入院日」「診断名」「障害名」「合併症」「既往歴」「内服薬」「画像所見」などを収集するようにしましょう。
医学的情報は、カルテから探すのが一般的です。
カルテが電子カルテの場合は、バイザーと一緒にログインをして収集します。
カルテが手書きの場合は、ナースステーションなどに保管してあることが多いので、バイザーと一緒に出向いて情報収集をしましょう。
医学的情報の診断名では、「部位」の収集も必須です。
例えば、脳出血なら「脳出血の場所はどこか?(例:被殻など)」、骨折なら「骨折の場所はどこか?(例:大腿骨頸部など)」が必要になります。
手術をしている場合は、術式・手術日の情報も必要です。
画像所見に関しては、データを貰えるのであればUSBなどを用意して頂戴しましょう。
画像データは容量が大きいため、最低でも64GBのUSBを用意しておけば安心です。
しかし、この点に関してもプライバシーの観点からデータは貰えないことも多いので、その場合は絵を描くことで代用しましょう。
脳の画像所見は、こちらの記事(【実習】脳画像の絵を描く時に最適!無料ダウンロード【CT/MRI】)でダウンロード可能なので、参考にしてみてください。
【実習】脳画像の絵を描く時に最適!無料ダウンロード【CT/MRI】
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医学的情報のポイント
・バイザーと一緒にカルテから収集しよう!
・診断名の部位・術式や手術日も忘れずに!
・画像所見は絵で代用してもOK!
社会的情報の書き方・情報収集の方法
情報収集したい内容
- 家族構成
- 主介護者(キーパーソン)
- 家屋構造
社会的情報は、主に「家族構成」「主介護者(キーパーソン)」「家屋構造」などを収集します。
社会的情報は、まだ家族に聴取できていないなどの理由から、カルテに記載されていないことも少なくありません。
その場合は、直接家族に情報収集しなければなりません。
学生の場合、家族と1対1で情報収集することはないかと思います。
必ずバイザーがついてくれると思うので、事前に「この情報を家族に聞きたいです」と伝えておきましょう。
家族が面会などにきたタイミングで聞くのが一般的です。
家族構成は、配偶者・子供・孫まで情報収集できれば十分でしょう。
その他、同居している家族や、家族ではないものの介護に携わる人がいる場合はしっかりと収集しておきましょう。
レジュメやレポートには、図(ジェノグラム)を用いて記載するのが一般的です。
図(ジェノグラム)にもルールがあるので、こちらの記事(【実習】家族構成(ジェノグラム)のルールと書き方【無料ダウンロード】)を参考にして押さえておきましょう。
【実習】家族構成(ジェノグラム)のルールと書き方【無料ダウンロード】
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主介護者(キーパーソン)が誰になるかを明確にしておくことも重要です。
なぜなら、在宅復帰をするときなど、その主介護者(キーパーソン)に介護指導や、リハビリの見学などをしてもらって現状を伝えなければならないからです。
主介護者が「介護は無理」と判断したら、今後の方向性も大きく変わってしまうのです。
家屋構造は、図で描いても問題はありませんが、日常生活で重要となる部分(段差や手すりの有無など)を聴取するだけで十分な場合が多いです。
導線が入り組んでいる場合などには、図を用いて情報収集するようにしましょう。
社会的情報のポイント
・カルテに記載されていないことが多いので、家族に直接情報収集をしよう!
・主介護者(キーパーソン)の明確化は忘れずに!
・家屋構造は無理して図にしなくてもOK!
家屋構造の聴取にオススメ!様式ダウンロード
家屋構造の聴取や家屋調査に行くことになった時は、ぜひ私がオススメする様式を使ってみてください。
細かい部分から大雑把な部分まで、家屋の情報を書き込めるようになっています。
他部門からの情報の書き方・情報収集の方法
情報収集したい内容
- 医師からの情報
- 看護師からの情報
- MSWからの情報
- PT/OT/STからの情報
- その他(介護士からの情報)
他部門からの情報は、予後予測や今後の方向性、日常生活の把握など、あらゆる面で重要です。
それぞれ、どのようなことを聞くべきか、事前に質問事項を考えておきましょう。
医師からの情報
医師から情報収集したい内容
- 予後予測
- 今後の方向性
- 治療方針
- 禁忌事項
例えば、医師が「脳梗塞は広範囲だから歩行獲得は難しいだろう」と考えているにも関わらず、リハビリで「歩行自立」を目標にするのは相違があるといえるでしょう。
また、今後は在宅復帰を視野に入れているのか、回復期病院を経由するのかなども聞いておくべきです。
リハビリを行うにあたっての禁忌事項を確認したい場合も、あわせて聞いておきましょう。
看護師からの情報
看護師から情報収集したい内容
- 日常生活の様子
- 夜間の様子
- 食事の摂取量
- 内服状況
- 家族の面会頻度
リハビリでできている動作でも、病棟でできていないことは良くあります。
つまり、日常生活に反映されていないことを示しており、在宅に戻った後もできない可能性が高いのです。
病棟では「どこに介助が必要で」「どの程度の介助量が必要か」は聴取しておきましょう。
夜間の様子や食事の量も聞いておくべきです。
リハビリが思うように進まないのは夜間に眠れていないからかもしれません。
食事の量が少ないのであれば、負荷量を調整しなければならないかもしれません。
情報収集することを忘れてしまいがちなのが、「家族の面会頻度」です。
家族にリハビリを見てもらいたいとき、家族に情報収集をしたいときなど、看護師に家族がくる時間を聞いておけばその時間に合わせてアプローチすることができます。
MSWからの情報
MSWから情報収集したい内容
- 経済状況
- 今後の方向性
- 家族の介護に対する思い
MSWは、病院を出た後にどのようなサービスを利用するのか、在宅に戻るのか施設に入所するのかなど、今後の方向性を家族と話し合っています。
私たちが、「在宅復帰できる」と思っていても、家族が「介護はしたくない、施設に入所させたい」と思っているのであれば、こちらから押し付けることはできません。
今後の方向性によって、私たちの治療プログラムや目標が変わってくるので、しっかりと情報収集しておきましょう。
PT/OT/STからの情報
PT/OT/STから情報収集したい内容
- 理学療法士(PT):基本動作・立位・歩行能力、治療プログラムの内容、予後予測など
- 作業療法士(OT):ADL能力、治療プログラムの内容、予後予測など
- 作業療法士(ST):高次脳機能障害の有無、治療プログラムの内容、予後予測など
自分が把握できない部分は、他職種のリハビリスタッフに聞いても何ら恥ずかしいことではありません。
「分からないことは分からない」と伝えるなど、自分が悩んでいることを打ち明けてみてもいいかもしれません。
一般情報の書き方・情報収集の方法を徹底解説!まとめ
一般情報は、レジュメ・レポートを作成する目的だけではなく、患者の予後予測などにも必須になる情報です。
ぜひ、「その患者にとって何が必要なのか」を念頭に置いて、情報収集を進めていってください。
今回、患者本人から直接情報収集する内容に関しては省いております。
本人から情報収集するときのポイントは、こちらの記事(【実習】患者への「問診」の方法を解説!【書式無料ダウンロード】)でご紹介しています。ぜひ参考にしてください。