訪問看護の現場では、思わぬ事故やヒヤリとするような出来事が起こることは決して少なくありません。
特に小児となると、私たちが思いもよらぬ行動をすることがあるため、事故発生のリスクは高くなりがちです。
そうした場面に備えて「事故対応マニュアル」が整っていると、スタッフは迷わずに行動しやすくなります。
この記事では、訪問看護における小児専用の事故対応マニュアルをどのように作成すればよいか、そのポイントをわかりやすく解説していきます。
スタッフの安全を守るためにも、ぜひこの記事を参考にしてマニュアル作成をしてみてください。
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【訪問看護小児用】BCP(感染症)マニュアルの作成方法と作成時の注意点【フォーマットダウンロード可】
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【訪問看護小児用】事故対応マニュアルに取り込むべき項目と解説

- 目的
- 対象
- 定義
- 事前の事故防止策
- 事故発生時の基本的な対応の流れ
- フローチャート
- 報告書作成の留意点
- マニュアルの維持管理
①目的
このマニュアルの「目的」は、文章全体の方向性を定める重要なパートです。
読者である訪問看護スタッフの皆さんには、最初にここを読んでいただくことで、全体像をイメージしてもらいます。
具体的には「小児の在宅ケアで起こり得る事故を未然に防ぎ、万が一事故が起こったら迅速かつ的確に対応する」というニュアンスを伝えられれば良いかと思います。
小児特有のリスクや、成長・発達段階に合わせた配慮が必要な点を背景として示すことで、「どうして高齢者ではなく小児向けのマニュアルが必要なのか」を理解してもらうことが大切です。
特に小児ならではの行動パターンと事故リスクがあることを明記しておくと、これから先の各項目で取り上げる対策や手順の重要性が伝わりやすくなります。
文章はなるべく簡潔にまとめ、主題(小児に特化した理由)を明確に伝えるよう意識しましょう。
- 作成するときのポイント
- ・小児向けマニュアルである理由を分かりやすく伝える
・読者(スタッフ)のモチベーションを高める一言を入れる
・全体方針がひと目で分かるように構成
・補足情報やデータは必要に応じてシンプルに
②対象
このマニュアルが「誰に向けたものか」を示す「対象」の部分では、まず小児の年齢範囲をしっかりと定義しておくと良いでしょう。
「0歳の乳児から学童期・思春期まで」など、実際にカバーしたい年代に合わせて書くようにします。
年齢幅が広い場合は、必要に応じて区分けしておくと分かりやすいでしょう。
また、小児の訪問看護には多職種が関わることが多いため、「マニュアルを使う人」も明確にしたいところです。
訪問看護師、リハビリスタッフ、ケアスタッフなど、どの職種がこのマニュアルを参照し、どの段階で関わるのかをイメージできるように書くと、実際に役立つマニュアルになります。
- 作成するときのポイント
- ・年齢区分を具体的に示す(例:乳幼児、学童期、思春期など)
・どの職種・スタッフが対象かを詳しく書く
・医療的ケア児など特例ケースにも言及しておく
・多職種連携を想定した広めの対象設定
③定義
「定義」では、マニュアル内で使われる重要用語を明確にし、解釈のずれを防ぐのが目的です。
とくに小児の事故に関連する用語として、「インシデント(被害はなかったが事故になり得た事例)」「アクシデント(実際に被害が発生した事故)」などの区分は、全スタッフで統一しておく必要があります。
さらに、小児特有の用語や状況(たとえば「誤飲」「転倒」「窒息」など)も、「どんな行為や状態を指すのか」をできるだけ具体的にまとめましょう。
成長・発達段階によって子どもの行動パターンが変わるため、年齢によるリスクの違いや判断基準を付け加えるのもおすすめです。
- 作成するときのポイント
- ・必須の専門用語は、簡単な言葉で噛み砕いて解説
・小児特有のリスク(誤飲や転倒など)もしっかり定義
・スタッフが混乱しがちな言葉には具体例を添える
・マニュアル内で用語を統一(表記ゆれ防止)
④事前の事故防止策
「事前の事故防止策」はマニュアルの肝となる部分です。
ここでは、乳幼児から学童期までの間に起こりやすい事故をリストアップし、それぞれに対する具体的な予防策を示します。
たとえば、乳幼児の「誤飲・窒息リスク」、在宅医療における「コード類の絡みつき」や「転落・転倒リスク」など、年齢や身体機能、家庭環境に応じて着眼点が変わるのがポイントです。
単にリスクを並べるだけでなく、各リスクに対してどんな対策が効果的なのかを明確に書き分けると良いでしょう。
「在宅酸素利用時のコード管理」「薬の誤飲対策としての保管方法」「環境整備の注意点」など、できるだけ具体的な例を示すと、スタッフが実務で活かしやすくなります。
- 作成するときのポイント
- ・リスクを年齢・発達段階ごとに整理
・各リスクに対する具体的な予防策を提示
・保護者との連携方法や家庭環境のチェック項目なども記載
・実践で役立つよう、写真やイラストを用意するのもおすすめ
⑤事故発生時の基本的な対応の流れ
事故が起きたときの最初の行動が明確になっているかどうかで、その後の展開が大きく変わります。
まずは利用児と周囲の「安全確保」、次いで「応急処置」「上長への報告」「関係機関への連絡」という優先順位を分かりやすく示しましょう。
小児の場合は、保護者への連絡体制や子どもの年齢・状態に合った救命処置の方法など、特有のポイントがあります。
緊急時に焦らず対応できるよう、可能であれば「小児救命処置(BLS for children)の手順」やAEDの使い方も簡潔に盛り込んでおくと安心です。
- 作成するときのポイント
- ・「安全確保→応急処置→報告」のフローを段階的に書く
・保護者への連絡タイミングや方法を具体的に書く
・小児特有の救命処置(BLSやAED使用時の注意点)を押さえる
・誰が何をするか、役割をはっきりと明示
⑥フローチャート
文字情報だけだと把握しづらい流れを、一目で分かるようにするのがフローチャートです。
「事故が発生した直後に確認すべきことは何か」「保護者への連絡はどの段階で行うか」など、小児ならではの要素を盛り込んで、通常の高齢者対応マニュアルとは違った形にしましょう。
フローチャートを見るだけで次の行動が分かるように、余計な情報は削り、必要な手順だけをスッキリ整理するのがポイントです。
可能であれば色分けやアイコンを使うなど、視覚的に分かりやすい工夫を加えると、誰が見てもすぐ理解できます。
- 作成するときのポイント
- ・各工程を簡潔に、見やすくまとめる
・小児特有のステップ(保護者連絡など)を要所で入れる
・色分けやアイコンなどデザイン面での工夫を取り入れる
・読み手が一目で流れを把握できるように情報量を調整する
⑦報告書作成の留意点
事故やインシデントが起こった際に作成する報告書は、再発防止や事例検討の重要な資料になります。
まず大切なのは「客観的かつ正確な記録」です。
主観を交えるのではなく、「何があったか」を時系列に沿って書くことを意識しましょう。
小児特有の要素としては、当日の子どもの体調や心理状態、保護者の反応など、事故の背景に影響しそうな情報をしっかり拾う必要があります。
また、個人情報保護の観点から、子どもや保護者のプライバシーを守るための配慮も欠かせません。
報告書の提出期限や保管方法など運用面にも触れておくと、スタッフがスムーズに行動できます。
- 作成するときのポイント
- ・事実を時系列で詳しく記録(主観は避ける)
・小児の場合は年齢や行動特性、保護者対応などを詳細に書く
・個人情報保護のルールを明確に示す
・提出先、提出期限などを分かりやすく記載
⑧マニュアルの維持管理
「マニュアルの維持管理」については、作って終わりではなく、継続的な改訂が必要だという点を強調します。
小児は成長段階でリスクが変わり、訪問看護の現場も新しい事例や情報が日々出てきます。
そこで、定期的な見直しのタイミング(半年ごと・年に一度など)をあらかじめ決め、実際に事故やインシデントがあった場合は、その事例を反映して改訂する仕組みを整えましょう。
新任スタッフを含む全員がこのマニュアルを共有できるよう、研修や説明会の実施についても具体的に書いておくと、実運用で役立ちます。
- 作成するときのポイント
- ・定期的な見直しや事例検討の手順を明記する
・研修・教育の仕組みや頻度を具体的に示す
・スタッフ同士がフィードバックを出し合える仕組みを用意
・マニュアルが“形骸化”しないよう定期的に改版して周知
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